蒼空に想う。  

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1:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/29(金) 18:39


「花ちゃんっ!」

バシャ、と水を掻く、音が。
溺れるあたしの耳に、響いた。

不思議なことに、あたしは今も。

────その子と、巡り逢えると思ってる。あの日の、蒼空に想う。

これは。
きっと。

偶然じゃないっ、て!           

2:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/29(金) 18:43

*挨拶*

はじめまして。
リリカです。

現在、『時を駆けて、初恋*します。』を執筆しております!
Jまで執筆中です。
↑がおそらく、メジャー作だと。

完結できる・・・予定です。

こっちの作品も、掛け持ちで頑張ろうと思います。

*注意書き*

*荒らしはやめてください。
*なりすまし、悪口等もお控えください。
*コメント、感想などは待ってまーす!               
 
       

3:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/29(金) 21:35

登場人物

伊達 花 (だて はる)
*島のヒメミコ。
*島から出たいと思っている。
*小さい頃、海で溺れてしまい、海が苦手に。
*幼い頃、助けてもらった男の子を今も好いている。

北条 然 (ほうじょう ぜん)
*花の幼なじみ。
*島と自然が好き。
*山が好き、海はそこそこ好き。
*花が好き。

真田 夏海 (さなだ なつみ)
*花と然の幼なじみ。
*島を愛している。
*海も、山も好き。
*花の大親友。

謎の男の子
*溺れていた幼き花を助ける。
*最後、「また逢える」と言い残して・・・?                                 

4:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/30(土) 11:27

1,伊達花です!

暑い・・・。
海の匂いが、鼻にツンとつく。
毎日嗅いでる匂い。
うんざりして、隣の真田夏海に愚痴る。

「あーあ、暑くない?」

夏海は、シャーペンを動かしながら、

「仕方ないよ。孤島だもん」

ううっ。
確かに、だけど・・・。

なーんて。
グチグチ言ってる私は、伊達花です!
『伊達』という名字も珍しいけど、『花』と書いて、『はる』と読む。
あんまり、聞いたこと、ないでしょ?

でもね。
珍しいのは、コレだけじゃないの。                               

5:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/30(土) 11:37

2,ヒメミコ様

ふぁぁ。
眠いけど、がんばらないと!
今は、社会の時間。

「明治政府は、富国強兵に・・・」

ほうほう。
ノートを真面目に取って、将来に活かしたいから、今、がんばってる。

「伊達さん、真面目だね〜」

冷やかすように、隣の井ノ原涼太が、クスッと笑う。
失敬な!

「そんなに、七海島から出たいの?」

「当たり前じゃん!」

今、コイツは七海島と言った。
そう、私の住んでいるところは、さっきも言ったように、孤島なのだ!

「ヒメミコ様だから?」

カッチーン。
コイツ、私をおちょくってるな。
無視してたけど、反論しなくちゃいけない。

「いちいちうるさい・・・」

「伊達さん。前、見てください」

ギャッ!
前田先生。
注意されたじゃん、井ノ原のせいで!
せっかくの授業が〜!                                                  

6:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/30(土) 19:54

はぁ。
もうっ、井ノ原のせいで集中できずに、挙げ句の果てに先生に怒られたし。

「井ノ原、Sだね。お疲れ、花」

夏海〜!
いつもクールだけど、また一段とクールだねっ。

「伊達神社、寄らなくていいの?」

「ん。今日は、梓さんがいるから」

伊達神社と言うのは、この島の守り神、シュナ様を祀っている。
ついでに言うと、私の家が経営してて、いつもは私が巫女さんをするんだけど・・・。

「一応、寄ってこうかな」

「わかった。バイバーイ」

夏海と別れ、伊達神社に向かう。
切り立った崖に面しているけど、シュナ様のおかげで、大した災害はないらしい。

「花ちゃん。今日は、巫女さんやらなくても大丈夫よ?」

梓さん!
梓さんは、伊達神社のアルバイトで巫女さんをしている。
黒髪を、ふんわり結っていて、すごいオシャレ。
私の憧れのお姉さん。

「ん!でも、梓さんに会いたくって」

梓さんは、にっこり微笑む。

「シュナ様に、お詣りして行って」

ハーイ。
お賽銭、持ってないけど。
私は、梓さんについて行く。
と・・・。

「ヒメミコ様だっ。土下座しよーぜ!」

あっ!
同じクラスの、石井と柿崎、高沢じゃん!
バカ三人組!
バカ三人組は、ニヤニヤ笑いながら、土下座しようとしてる。
私は、睨みつけながら梓さんについて行った。                                                                                      

7:リリカ@恋歌◆Wg 略して『蒼想』☆  :2017/12/30(土) 21:19

ヒメミコと言うのは、何百年かに一度、《大災厄》起きるのを防ぐ役目。
私────じゃない、あたしが生まれるとき、お母さんがお告げを受けたんだって。

「あなたのお子は、ヒメミコに選ばれます。シュナ様の御加護がありますように」

って、金色の女の人が言ったらしい。
正直、嫌だ。

「花ちゃん、あんなの気にしない方が良いわ。寧ろ、胸を張って。ヒメミコ様なんだから」

ん!
梓さんが言ってくれた。
梓さんなら。

「ヒメミコ様、スゴいわよねぇ。《大災厄》から、この島───んん、世界を守るなんて。カッコ良くて憧れる〜」

そうかな。
プレッシャーだよ!
《大災厄》って、何なの!?                                                

8:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/31(日) 21:18

3,悪口

『えっ、伊達さんがヒメミコ様なの?』

『ウッソー!』

『《大災厄》から守れるわけないよぉ』

五年のころ、言われた。
私は、ヒメミコ様じゃない。
ヒメミコ様になっちゃいけない、人なんだって。
私は、何にも反論しなかった。

『ほぅら』

『でしゃばるからよ』

『だいたい、シュナ様を信仰するなんて、ウチら、終わってない?』

『伊達神社の御利益ないし』

酷い、言葉。
御利益なんて、ジッと待てば良いのに。
私だって、ヒメミコ様になんて、なりたくないのに。
あなたたちがやれば良いじゃん。
そんなときに。

『花の事、悪く言わないでよ!』

『何にもわかってないな。愚民め』

夏海が、悪口言ってた子たちに、食ってかかる。
然は、クールにその子たちを睨みつけた。
おかげで、それっきり悪口は言われなくなった。
でも。
私には、好きな人がいる。     
    
                                       

9:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/31(日) 21:24

4,蒼空くん?

小さな頃。

『お母さん!海、行ってる〜』

小さなあたしは、お母さんが止めるのを聞かず、海に飛び込む。
その頃には、海が怖いだなんて思ったことない。
浮き輪なんか浮かべて、プカァと入って。

ザバーン!

『・・・へ?』

大きな波が、浮き輪とあたしを襲う。

『・・・キャ!』

お母さんが、悲鳴をあげてるのを聞いた気がして。
あたし──────・・・。

『大丈夫?』

気付けば、蒼っぽい目の男の子があたしを見ていた。
あたしが、うなずくのを見て、男の子は笑った。

『花ちゃん。俺が、花ちゃんと一緒に、《大災厄》をやっつけるからね』

それだけ言って、男の子は歩いていった。                                          

10:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/01(月) 21:21

あの子の名前。
あたしがつけたのは、

『蒼空くん』。

あの日がたまたま、快晴であの子も蒼っぽい目だったもん。
蒼空くんに逢えたのは、運命な気がする。

良いことがある一方───────。

当時の大巫女だった、おばあちゃんが亡くなった。
でも、行儀にうるさくて、ヒメミコ様ばっかり言ってたおばあちゃんで、あんまし良くは思ってなかった。

「ヒメミコ様かぁ・・・」

そっとつぶやいたのが聞こえたのか、梓さんが振り向いた。

「御本殿よ〜」

相変わらずの朱色に、ハデだなと思う。
そりゃあの子たちが、

『シュナ様なんかなんの御利益ないし』

『奉る分、無駄』

って言ってたのも、わからなくもない。                             


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