すもも物語 

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1:千歳もも◆wc hoge:2018/02/25(日) 05:36



 どこにでもあるような日常だけど、きっとここにしかない、私だけの物語。

 

2:第1話 朝に咲いちゃったヒルガオ hoge:2018/02/25(日) 05:37



 無意識に大口を開けながらあくびをした。

 

3:第1話 朝に咲いちゃったヒルガオ hoge:2018/02/25(日) 05:50



無意識に大口を開けながらあくびをした。

あーあ、眠いなぁ。

朝が特別弱いってわけじゃないけど、やっぱり特別得意ってわけでもない。
どっちかって言うと、苦手な方。

朝って寒いし、やることがたくさんあってめんどくさいし。

布団から出てくるのだけでも一苦労なのに、制服に着替えて、歯を磨いて、顔を洗って、髪の毛を整えて、ご飯食べて。

これだけでも布団にUターンしちゃいそうなのに、これから学校に行かなくちゃいけないなんて、拷問に等しい。

重たい鞄持って、揺られる隙間もないくらい混み合った電車に乗っておしくらまんじゅう、やっと開放されたかと思ったら、坂道を上ったり下ったり。
もう何だよって叫びたい。

私、最近こう思うんだよね。

私って実は、ヒルガオなんじゃないかって。

ヒルガオって言うのは、アサガオに似てるんだけど、昼に咲く花なんだ。
だから私も、本当は昼に起きるように設定されてるけど、学校のせいでやむなく朝に起きさせられてるのかもしれない。

そんなくだらないことを頭の中で回想していたら、もう校舎が見えてきた。
そこで、2回目の大きなあくびが出てくる。

今日も、憂鬱な1日が始まる。
 

4:第2話 嘘だらけ hoge:2018/02/25(日) 06:17

 
今日も1日、なんとか生きられた。
車に轢かれることもなかったし、学校に巨大なワシが入ってくることもなかったし、給食にしいたけが入ってることもなかったし。

椅子に凭れながら天井を仰ぐ。大きな黒いシミが見える。あんなのいつ出来たんだろう。

あ、そういえば机の引き出しにも、小学生の頃絵の具をこぼして出来たシミがあったっけ。
唐突にそれが見たくなって、引き出しを開ける。中には色んな物がぐちゃぐちゃに詰め込んであった。それを避けて、絵の具のシミを見る。

ピンクの絵の具のシミが、ピュアグミみたいな形をしてる。
ただそれだけなのに、何で突然見たくなったんだろ。

……。

暇だ。

カチカチ、と壁掛け時計が秒を刻む音だけが聞こえる。時たま外から犬の鳴き声やら楽しそうな笑い声が聞こえてくる。

犬は苦手だなぁ。猫は好きだけど。

あ、そうだ。


申し遅れたけど、私の名前は小枝すもも。中学1年生。

身長は158cmで、体重は――kgで、血液型はB型。

まあ、後は……紹介するほどのものなんて持ち合わせてないや。

趣味なんて特にないし、習い事もしてないから得意なことだってないし。勉強も出来る方ではないし、運動だって中の中だし。

あ、でも、強いて言うなら、人の嘘を見抜くのが得意。話し相手が嘘を吐いていたら、すぐに分かる。

特に目を逸らすとか耳を触るとか、行動で見分けられるんじゃないけど、何故か直感的に分かっちゃうんだよね。

あ、嘘吐いてる。って。

一見便利そうな得意技だけど、実際に自分ができちゃうと、かなり厄介。

幼稚園の頃は、嘘を吐く子なんてほとんど居なかった。だからこの頃はそんな得意技を持ってるなんて気付かなかった。

小学校中学年くらいになると、ぽつぽつと嘘を吐く子が増えてきた。少しずつだけど、6年生になる頃には、ほとんどの子が嘘を吐くようになった。

中学生になったら、もうそこは嘘の巣窟。どこもかしこも嘘だらけ。みんな嘘を吐いてる。

笑顔で誰かを褒めてる子も、誰かの陰口に乗って悪口を言ってる子も、誰かに褒められてありがとうって言ってる子も、みんな嘘。

心の中では誰かを貶してるし、本当は陰口を言われてる子のことを好きだって思ってるし、本当はそう思ってないんでしょって分かっちゃってるし。

そりゃ嘘吐かないと人間関係が上手くいかないっていうのは分かってるよ。

でも、流石にそれが全部分かっちゃうっていうのは、結構ツライ。
人間不信になるなって方が無理だし。

だから、私は人を避けてる。そのせいで友達なんて居ないし、友達になりたいと思う人だって居ない。

多分、1人が1番楽。1人じゃなくなったことなんてないから、本当は違うかもしれないけど。

でも、嘘ばっかりの中にぽんって放り込まれても、そこで上手くやり取り出来る気しないし。私頭おかしいし。

そうだよ。人の嘘を見抜けるのって、きっと私の頭がおかしいからだ。

頭がおかしいから、仕方ないんだ。
 


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