皆様からお題を頂いて小説を書くスレ

葉っぱ天国 > 小説キーワード▼下へ
1:まほろば:2018/03/24(土) 22:51

皆様からお題を頂いて短い小説を書き連ねるスレです
ルールは特にないけど、エロ系のお題はよしてください(規約違反だよ)
お題は気付き次第消化するので時間がかかる場合もあります、そこは予めご了承くださいな

>>2から早速どうぞ〜

2:まほろば:2018/03/25(日) 00:10

何かお題来ないんでデスクに置いてあったリップでちょっと書きます

3:匿名っす:2018/03/25(日) 00:10

病弱主人公死ネタ恋愛って行けますか?

4:まほろば:2018/03/25(日) 00:26

 高校生になって数か月が経った。
 このくらいになると皆お堅い校則を破るのなんて当たり前のようで、大半の子が真っ赤なリップをクレヨンのように塗りたくっていたものだから私は驚いた。つい先日まで皆自然な唇の色をしていたのに──同じ中学校を出てきたあの子も、目元からがっつりおめかししている。あの子だけに限った話ではないだろう。皆きっとお化粧なんてお手の物なのだ。ちなみに私はというと、カラーリップすら塗ったことがない。唇が荒れたときに薬用リップを塗るくらいだ。
 ところで、私の学校では長期休みが明ける度に服装検査がある。これがまた厄介で、地毛の色やスカートの長さ、爪の長さと細かいところまで舐められるように見られるのだ。もちろんお化粧なんてものは論外である。メイク落とし用のシートを渡されて、落とすよう言われるらしい。私は名字がら行だから、私より前に呼ばれた女の子達が渋々化粧を落としているのを何度も見たことがある。そういう私はというと、お化粧はしないし、スカートも折らないので、問題なく終わる。
 そして私はつくづく疑問に思うのだ──休みの日に存分におめかしすればいいものを、どうして学校生活にも持ち込んでくるのだろう。おかげでトイレはいつでも香水臭い。まったくいい迷惑だ。
 こんなことを常に考えているから、友達がいなくなるのだろうか。お堅い奴、地味な奴、無愛想な奴、協調性のない奴──何とでも言え。私は一人でも生きていける。

5:まほろば:2018/03/25(日) 00:26

>>3
いけます、少々お待ちを

6:匿名っす:2018/03/25(日) 00:33

>>5
ありがとうございます。

7:匿名っす:2018/03/25(日) 00:35

>>4
そういうの、よくわかります。
何故スカートを折るのか…?
何故タイを巻くのか…ってなります。

8:まほろば 病弱主人公死ネタ恋愛:2018/03/25(日) 01:30

 短い旅だった。
 私の数十年の人生の旅はそろそろ終わるらしい。感覚的にはまだまだ道中である。松尾芭蕉は奥の細道の中で「古人も多く旅に死せるあり」と綴っていた。私もそんな死に方をしてみたいと思ったものだが、こんなに早く終わってしまうとは思わなかった。
 未練も多い。美味しいと噂のプリンは結局食べられなかったし、高校の卒業式には出られなかったし、恐らく最後と思われる誕生日を前にして私は死にそうである。年を取る目前で死ぬなんて考えられない。せめて年くらい取らせてくれ──と、自分でも訳のわからない願掛けをした。
 ちなみに今私はどんな体勢かというと、上体を軽く起こして魂が抜けたように脱力している。左腕に刺されている点滴の針が時折鈍く痛んでは私の意識を覚醒させた。そして目の前には高校の制服。結局、あまり着ることはできなかった。制服を着て遊園地にでも行きたかったなぁ──。
「よお」
 ノックもなしに個室の扉が勢いよく開いた。点滴の痛みを感じるときよりも遥かに明確に意識が覚醒した。おまけに「うわっ」と拍子抜けた声も出た。
「おはよう」
「お……おはみょん」
 ずっと起きていたが、向こうが朝の挨拶をしたので私も同じように返した。若干自己流ではあるが。
「まだそれ使ってんのかよ」
「だってかわいいじゃん」
 ところでこいつは誰かというと、幼馴染だ。小さい頃は私に頬をつねられたくらいで泣き出す弱虫だったのに、しばらく見ないうちに元カノが3人もいるタラシ野郎になっていた。初めて「彼女ができた」と聞かされたときは、私の初恋が巨大なハンマーで打ち壊されたものだ。それでもこいつに心が惹かれているというのだから、人間の心理とは不思議なものだ。
「まあかわいいんじゃない? 言葉は」
「おたく一言余計じゃないですかねぇ?」
「はいはい」
 悪戯っぽく笑いながら、彼はベッドのそばに置いてあった椅子に腰かけた。それから「で、具合は?」と聞いてきた。
「見ての通り最悪だよ。明日辺り死ぬかもね」
「えっ」
 彼はすっとんきょうな声を上げた。私が訝しんで「うん?」と彼の表情を伺うと、先程までの機嫌が嘘のように落ち込んでいる。
「し……死ぬ?」
「いや死ぬでしょ、転移しまくりの末期癌だよ?」
「死ぬ……」
 私が淡々と喋る一方で、彼は「死ぬ」という言葉を反芻した後に黙りこくってしまった。そんなに私の死が恐ろしいのか。──私以上に、恐ろしいというのか。
「別にあんたが死ぬわけじゃないんですけど……」
 一言付け加えた。私は少し饒舌になっていたのだろうか。

9:まほろば 病弱主人公死ネタ恋愛:2018/03/25(日) 01:30

「そういえば今彼女いたよね? プロポーズした?」
 淀んだ空気を浄化すべく、私は彼に冗談を交えて別の話題を振った。
「アホか。もう別れたよ」
「えぇ……何でよ? 前写真見せてくれたじゃん、すっごい可愛い子だったのに」
「他に好きな奴ができたから」
「うわぁ」
 元カノが4人に増えた。思い返せば彼はいつも「他に好きな奴ができたから」という理由で連れを振っている。その度に私は「またか」と突っ込むのだが、今日は何だかそんな気分にもなれないので、別の突っ込みを考えた。
「あんたの本当に好きな人って一体誰なのよ」
「そうだな……色が白くて、生意気で、すぐ体調崩す奴」
「うわ、面倒くさそう」
 いわゆる「メンヘラ女」だろうか。SNSに多くいるとはよく聞くが。そんな面倒な女がこいつは好みなのか。──私ではないのか、と少し落胆した。
「だろ? お前だよ」
「は?」
 今度は私がすっとんきょうな声を上げた。私はメンヘラ女に成り上がった記憶はない。なろうと思ったこともないのだが……。
「あと古典ばっかり読んでる」
「ちょっと!」
「なんてな。こうでもしないと、言い出せなかったんだ」
 彼は申し訳なさそうに頭を垂れた。それから「さっき『死ぬ』なんて言うから、もう今しか言うチャンスないんだなって思って……でも、俺、なかなか言い出せなくて。結局お前のこと悪く言ったようになっちまった。ごめん」と続けた。
「いや……いいよ。ありがとう」
「何が?」
 今なら何でも言える気がして、私はそっと彼の手を握った。皮が厚くて、意外としっかりしている。そういえばこいつは卓球部だったっけ。
「私、死ぬ前にね……彼氏の一人や二人、連れてみたかったの」
「へ……へぇ」
 状況が理解できない、というような彼の顔。写真に撮ってやりたいくらいだ。
「そういうわけだからちょっと付いて来てよ、そこの自販機まで」
 私は体を起こし、スリッパを履いて立ち上がった。多少ふらつくが、今はそんなことを気にしてはいられない。
「動いていいのか? ここにいた方がいいんじゃ……」
 私を止めようとする彼の腕を引いて、私は強引に病室を出た。そして、私が出せる最大限の可愛さを込めて、
「短い命なんだから、少しくらい甘酸っぱい思い出作らせてよ」
 と、言ってやった。これが初めてのデート。ものの5分で終わった。

10:まほろば 病弱主人公死ネタ恋愛:2018/03/25(日) 01:31

 彼が帰った後、ちょうど薬が切れてしまったのか、私はひどく体調を崩した。意識が朦朧として、馬鹿な私でも「目を瞑ったらおしまいだ」と悟った。ああ、本当に短い旅だった。
 ナースコールを押す前に、引き出しから筆ペンと短冊を取り出して、震える手でふと思い浮かんだ西行の歌を遺言代わりに書き付けた。人様の遺書を自分のものにもするとは烏滸がましいかもしれないが、何か残しておきたいという気持ちの方が強かった。如月はもう過ぎたけれど、それを訂正している場合ではない。

   願わくは花の下にて春死なんその如月の望月のころ

 この31文字を綴った後、私の意識はどこかへ吹き飛んだ。

11:まほろば:2018/03/25(日) 01:32

長すぎて一気に投稿できんかった

12:まほろば:2018/03/25(日) 01:34

>>7
ギリギリまで折られたスカートを見てると、お腹の辺りがきつくならないのかなってことを考えてしまいますね

13:まほろば:2018/03/25(日) 18:09

上げッ゛

14:匿名っす:2018/03/25(日) 18:59

すごいですね!

15:まほろば:2018/03/25(日) 22:03

>>14
ありがとうございますッ゛(感涙)

16:まほろば:2018/03/26(月) 22:59

燃え上がれガンダム〜

17:まほろば:2018/03/28(水) 14:13

お題ください(切実)

18:のん◆Qg:2018/03/28(水) 15:33

「項羽様と虞美人の別れの場面」をお願いします。


書き込む スレ一覧 サイトマップ ▲上へ