一番大切なもの

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1:◆TGw:2019/05/19(日) 15:10



  あなたの一番大切なものって?

  
  ――今まで大切なものなんて無かった女子中学生、
       そんな彼女が本気で守りたいと思ったモノとは?――


  

  

2:◆TGw:2019/05/19(日) 15:22



  ◆登場人物◆


  杉崎杏朱/スギサキ アンジュ/中2

  孤独で家族と親友以外に心を開けない。
  父を幼い頃に亡くし母は仕事を優先しがちなので、自分のことを嫌っていると思い育ってきた。


  杉崎優/スギサキ ユウ/34歳

  杏朱の母。20歳で杏朱を産み、その三年後に夫が亡くなった為、それからは女手一つで育ててきた。
  自分が働かないと生活出来ないのでどうしても仕事を優先させてしまう。杏朱の事は勿論大切。


  三波衣良/ミナミ イラ/中2

  杏朱にとって唯一の親友。いつも杏朱の側にいる。
  明るく優しいので、クラスの人気者だが本当の親友は杏朱だけだと思っている。とっても良い子。


  

3:◆TGw:2019/05/19(日) 15:46



  ◆必ずお読み下さい◆

  ◇先に言ってしまうと、主人公はこの歳で妊娠します。
   苦手な方は読むのをお控え下さい。お願いします。

  ◆荒らし、なりすましはお断り。
   小説にケチをつけたり、文句を言うのもやめましょう。

  ◇感想、アドバイス大歓迎!!
   乱入嬉しいです!!辛口はやめて下さい...。


  
  

4:◆TGw:2019/05/19(日) 16:03

杏朱side

私は最近、付き合っていた年上の彼氏と別れた。

理由は...、彼氏の浮気。

まあ、私とはお遊びだったってこと。

寂しかったし、裏切られたって気持ちで一杯だったけど、

別れて、少し安心した。

あの人は、私のことを心から好きではないような気がしたから。

でもやっぱり、、少し寂しい。


衣良に電話したら来てくれるかな。


「もしもし。衣良?」

『杏朱ー!どうした?なんかあった?」

「いや、今、暇かなーって。」

『暇暇!あ、今から会う?私ん家来てもいいけど!」

「良かった。えーっと、衣良が私の家来れる?
 ちょっと動くのだるくて.....。」

『分かった!だるいの?大丈夫?』

「うん、大丈夫、ありがと。じゃあ待ってるね。うん、はーい。」


衣良はいつも私のことを心配してくれる。

お母さんと喧嘩して落ち込んでいた時も、

雷が鳴っていて、私が家に独りだったときも、

彼氏の浮気が分かったときも。

いつもいつも私の味方をしてくれて、、、。

彼の浮気が見つかったときは、


「私が殴り込みに行く!!!」


なんて言いながら、愚痴に付き合ってくれた。

本当、良い親友だなぁ。


―ピンポーン―


お、噂をすれば。


「はーい。」


私はだるくて重い体をベッドから起こし

玄関へと小走りで向かった。


  

5:◆TGw:2019/05/19(日) 16:36


「お邪魔しまーす!」

「いらっしゃい。どうぞ、上がって。」

「ん、ありがとー!!」


衣良を中に入れると二階の自分の部屋に通した。

私は冷蔵庫の中にあったオレンジジュースを

二つのガラスのコップに注ぐ。

引き出しから適当なお菓子を掴むと

お盆に乗せ、衣良が待つ部屋へ運んだ。


「ごめんね、急に会いたいとか言って、、」

「良いんだって!私も暇だったし!!」

「ありがとう。暇って...、勉強したの?」

「んー、、してない!笑」

「やっぱり!いつもそうだy、」

「ん?杏朱?どうしたの?」

「痛....。」

「杏朱?」

「...ごめん...、少しお腹痛くて...。」

「大丈夫?どんな感じ?」


衣良の家は病院。

ご両親は院長と看護士さんなので、

衣良もそれなりの知識がある。


「んー...、張ってる感じ...?背中の下の方も、少し痛い...。」

「どうしたんだろ...。あ、杏朱。生理、最近来てる?」

「...そういえば...、来てない。」

「どのくらい?」

「2ヶ月...、いや、もっとかな...?」

「嘘!?そんなに!?...もしかして...。」

「もしかして...何..?」

「....妊娠してるかも、しんない。」


え?

衣良...、何言ってるの?

妊娠って.....、そんな訳...。


「そ、そんなわけないよ!」

「だ、だよね。ママ達に相談してみるから!!」

「ありがと、助かる。」


そう、そんなわけない。

自分にゆっくり言い聞かせた。


  

6: 凛 ◆TGw:2019/05/20(月) 16:35


次の日。

お母さんは出張に出かけた。

3週間帰ってこないらしいけど、私には関係ない。

出張の事だって朝起きたら置いてあった手紙で知ったんだし、

どうせ、お母さんは私のことなんて好きじゃないから。

手紙には、


『出張に行ってきます。3週間くらいで帰るね。
寂しいと思うけど、いつもごめん。沢山メールするから。』


とだけ書いてあった。

これだけ読んだら良いお母さんに思えるかもしれない。

でも、この手紙に心は籠っていないと思う。

理由は特にないけど、

なんとなくそんな気がする。

そんなことを考えていると携帯が鳴った。


「もしもし?」

『あ、杏朱?ごめん、今良い?』

「良いよ、どうしたの?」

『昨日さ、妊娠してるかもって言ったじゃん?』

「うん、」

『やっぱり、その疑いあるって。』

「.....は?」

『だから今から検査するやつ?持ってくね。』


まだ頭が追いついていない私のことなんか気にせず、

衣良は早口でそれだけ伝え、電話を切った。

――――――――――――――――――――

何分くらい経っただろうか。

ボーっとしていた私を元の世界に戻したのは

インターホンの音だった。

多分、衣良が来たのだろう。


「....はい、」


私は小さな声でインターホンに向かって呟くと

ゆっくりと玄関へと向かった。


  

7: 凛 ◆TGw:2019/05/26(日) 15:29



「...私...、本当に、、妊娠してるの?」


私は衣良を部屋に通すと早速聞いた。

もう待ちきれなかったから。

でも、ここでyesと言われたらどうしたらいいんだろう。

怖かったけど、聞くしかなかった。


「そうと決まったわけじゃないよ。
検査してみないと分かんない...。どうする?検査、、する...?」


「......する。」


こんなこと、後回しにしても仕方ない。

していないことに越した事はないけど、

妊娠してるならしてるで早く気づいた方が良い。

中2ながらにそう思った。


「...分かった。やり方、分かる?」

「裏に書いてあるでしょ?見ながらやる。」


衣良はゆっくり頷いたきり、それ以上何も言わなかった。


「行ってくるね、」

「うん...。」


  

8: 凛 ◆TGw:2019/06/07(金) 14:49



「うー....。どうしよう、衣良ぁ、、、!」


予想通りなのか通りじゃないのかなんて、

今、そんなことはどうでも良い。

まさか、、本当に妊娠していたとは...。


「あの、馬鹿男〜!!
安朱に妊娠させといて責任取らずに他の女と...!よし、殴りに行こう!」

「あんな馬鹿な奴のこと思い出したくないからいい、!
それより、、、どうしたらいいの.....?」


衣良は黙ってしまった。

そりゃあ、親は医者だけど...、

衣良はまだ中2だし、答えられなくて当然だよね。


「.....とりあえず、お母さんに言ったほうが良い。」

「......やっぱり、、言わないと駄目だよねぇ...。」

「言いたくないの?」

「衣良が私だったら言いたい?」

「私は...、言えるけど、、」

「だって衣良はお母さんと仲良しじゃん?
だけど、私はさ...、邪魔者だとしか思われてないんだよ、」


しまった、衣良に嫌味を言ってしまったかもしれない。

せっかく心配してくれていたのに、、。

駄目だ、私、どんどん嫌な奴になって行く。

もう、どうすれば良いんだろう。

私はこの短時間で疲れきってしまっていた。


  


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