薄明に希望を込めて

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1:水色◆Ec/.87s:2022/12/18(日) 23:02

港町、テリスリラ。
巨大な造船所を備えた、ボルザー王国の東端に位置する町である。
港町、そして巨大な船も作れる造船所。そういうわけで、王国と深い友好関係を結んでいる『海賊』とも関わる立場にあった。
しかし、王が病死すると、新王による海賊の弾圧が始まる。その魔の手はテリスリラにも伸びた。
······この危機に、英雄は······果たして、現れるのだろうか。





・見切り発車
・まーたこいつ新しい小説初めてやがる
・色々な架空戦記やらスペースオペラに影響を受けました。
https://ha10.net/novel/1617536891.html ←の番外編のような小説です。これを読んでいなくても多分大丈夫です。
・いつもの如く若干チート注意。
・いつも百合書いてるので不意に出てくるかも知れません。注意です。
・人を選ぶ描写がございます。規制されそうな表現以外でのクレームは受け付けません。
・感想以外での乱入はお控えください。
・よろしくお願いします。

2:水色◆Ec/.87s:2022/12/18(日) 23:05

時はボルザー歴1月。先王オルフェロスが崩御してから、初の新年だった。
国民に祝賀ムードはない。先王の喪中であることや、関係が悪化した隣国と一触即発の雰囲気が漂っているということも影響しているだろう。
しかし、現状はその二つだけで片付けられる程甘くはない。────三つ目の問題が、今まで語った二つより明らかに重くのしかかっていた。
新王はマクラヤミィという青年である。彼の王子時代の評判は『灰色』であった。政務に対してのやる気はなく、かと言って道楽に耽る様子もない。ただ唯一の趣味として知られていたのは『掃除』という、生まれた家を間違えたかのような人物であった。
先王オルフェロスもそれには苦笑していたが、マクラヤミィは次男であり、長男である第一王子グレイカーブは英邁との呼び声が高い青年だった。
そういうことなので、一般教育は続けられたが、······それだけだった。


────あぁ。誰が予想できただろうか。
第一王子グレイカーブは、流行病で呆気なく夭折した。暗殺説、生存説が後の世に出回るほど、その死は王国に文字通り衝撃を与えた。
当然、最も衝撃を受けたのはオルフェロスだった。宰相の反対を押し切り、マクラヤミィを王位継承者に位置付け、そして宰相が王位継承者に推した第一王女を、修行という名目で港町テリスリラの領主とした。
この辺りの混乱は、後の世で議論や考察を生むことになるのだが────ともかく、グレイカーブの死から4年後のこと。
英主オルフェロスの衰弱した心身は病にほとんど抵抗できず、最愛の王子を追う旅路に就いたのだった。


そして、『灰色の』新王マクラヤミィによる治世が始まった。

彼が即位して最初に行った事はというと────『海賊』の弾圧である。
海賊、とは言っても、殆ど義賊のような集団である。海軍力としての敵性国家との戦闘から、測量・交易まで、様々な面でオルフェロスを助けていた集団である。
マクラヤミィはそこに熾烈な弾圧を加えたのだった。急に精力的に動き始めた彼を見て、病弱であった宰相は何も言わなかった。


────話を最初に戻す。
1月。まだ海賊をまとめていた女提督が健在だった頃。彼ら彼女らの無事を願いつつも、粛清を恐れた国民が重苦しい雰囲気に包まれた頃。
ボルザー王国の港町、テリスリラ────そう、第一王女が領主を務めている町────から、この物語は動き出していく。


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