〜音色〜 

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1:sango:2014/07/22(火) 12:46 ID:5oI

急に短編をやりたくなったので来てみました〜

コチラが小説です↓
http://ha10.net/novel/1405329995.html

短編長編気まぐれなんでスレが落ちてるかもです

2:sango:2014/07/22(火) 17:25 ID:5oI

 魔法の世界、異世界……
 数ある小説を眺めてきた私にとって、現実と隣り合わせだと思っていた。
 
 でもそれは――……

 北海道からフランスまでの距離より遠く――

 隣り合わせどころではないくらい

 遠く、遠く――

 存在すら確認できない世界だったんだ……

3:sango:2014/07/22(火) 17:36 ID:5oI

 鋭い切っ先をした純銀の剣――……

 相手を脅すような光を発する盾……

 小説で見たのと同じ装備を私は今手にしていた。
 おかしいな、交通事故で死んだんじゃ?
 
 3分前、新刊を歩き読みしてたら車に跳ねられて死んだ。
 新刊は読めないしその次も最終回も読めなくなった。
 本当についていない――

 と思ったら憧れの盾と剣を手にしていた。
 黒い森のような場所で突っ立っている。
 枯れた原木が横たわっていて、枯葉が膝まであった。

 私は木更文奈。小説が大好き。
「わぁーっ、RPGに出てきそう!わぁーっ勇者〜」

4:sango:2014/07/22(火) 17:40 ID:5oI

「お前、何言ってんだ?」
 背後から低く怖い声……大丈夫!私には剣と盾が――
「死神様を守るために勇者を殺す使命がある。まさかお前まで勇者側飲み方に?」
 彼は鋭い目で私を睨みつけ、ため息をついた。

 鉄の甲冑を装備し、弓矢を手にしていた。
「ここは生死の世界。ここで手柄を果たした者は生きて帰れるのだから頑張りなさい」
「生死の世界?それは……どういうことなの?」

 生きているか死んでいるか分からない――?そんな世界が存在するの?

「生きても死んでもいない。死んだ後の唯一のチャンスなんだ。ここで死ぬと完全に死ぬ」

5:sango:2014/07/22(火) 17:45 ID:5oI

「!?」
 唯一のチャンス……
 まだ死んでいないってこと――!

 私は要約状況を理解し飲み込んだ。
 彼はまたぽつりぽつりと言葉を紡ぎ出す。
「ここは世界ではない。瀕死状態のお前の夢だ。手柄を立てれば目が覚める」
 彼は冷静に解説すると、奥の方へ去っていく。
 奥には勇者らしき人たちが金属音をたてて戦っていた。

「そうか!ここで生き延びれば新刊が読めるのかぁ」
 呑気なことを考えていたが、重大なことに気づく。
 
 私は目を潤しながら俯いた――

 ど う や っ て 目 覚 め る の ? ?

 手柄をたてるって?勇者を殺すって私悪魔側!?
 責めて勇者になりたかったーくそー!

6:sango:2014/07/25(金) 12:57 ID:5oI

 門番の先を追って行く内にそこにはレベル4のワンダーブリックでありそうな町並み。
 武器とかが売っている店とか、薬局がひしめき合っていた。
「うわぁ、でもお金ないや……」
 ポケットの中に数枚の銅貨とクシャクシャになった」紙幣があった。

「ここの国の通貨はルビーというのか」
 私は値札を読み取り、素早く状況を飲み込んだ。
 銅貨は1ルビー紙幣は50ルビー。
 合わせて58ルビーしか持っていないということだ……

 日本だったら駄菓子の1つや2つ買えるだろうに。
 今の全財産は小さい小刀(剣)と鉄板(盾)、細い鉄棒(矢)ハンガー(弓)ポシェット、その中にあった麻糸。
 58ルビーと日本通貨、180円。
「これでどうしろと……」
 
 特別良い武器ではなかった。
 ジャムを塗るようなナイフ1本と薄い鉄板だけで戦うらしい。
 弓矢も期待していた程クオリティは高くない。
 ハンガーに糸を張ったものと細い棒で敵を倒す。
 私も一応女子だし、腕力はあまりない。

 一生このままかな――……
 


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