永遠

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1:雪:2014/12/07(日) 11:15

私は、みんなと一緒に喋って、笑って……
そんな日々が、これからもずっと続いてくんだなって思ってた。
私が欲しかったものは、ただ1つ。
それは、永遠―

2:雪:2014/12/07(日) 11:49

さらさらと降り続ける、真っ白な雪。
白い夜道を一人で歩いている、私。
『葉子!』
突然名前を呼ばれて、体が反射的に振り向いたのが分かった。
『あ……君―』

ピピピピッ……ピピピピッ……ピッ
聞きなれた音に、私は目を開けた。
「葉子ちゃん、起きて。もう、朝よ」
いつの間にか、笑顔でベッドの横に立っていたのは、お母さん。
「おはよう、葉子ちゃん」
「お、おはよう」
私は体を起こしながら、部屋をキョロキョロと見回した。
「あれ?私、今まで雪の中歩いてたのに……」
「雪?夢でも見たんでしょ?」
夢?そうだ、あれは夢だ。
何だか最近、同じ夢ばかり見るなぁ……
朝から厳しい顔をしている私に向かって、お母さんは言った。
「どうしたの?早く朝ごはん食べなさいね」
「うん……」
私は重い体を起こし、窓を全開にした。
カラカラカラ……
「うーん……気持ちいー」
心地よい風と共に、ほんのり香る、春のにおい。
私、桜木 葉子。
今日から、高校と言う名の新生活が始まる。

3:雪:2014/12/09(火) 18:50

「いってきまーす!」
私は、温かい日差しの中を歩いていた。
腰まで伸びた、さらさらの黒髪を揺らしながら、私は桜並木道を進んでく。
交差点を渡る前に、私は綺麗な朝顔が咲いているのを見て、その足を止めた。
「わぁ……キレー」
あ、そういえば、こっちに行ってみたらどこに出るんだろ?
ダメダメ!そんなことしたら、遅刻しちゃうじゃん!
ここは、帰りによってみよー。

―放課後
「うーんと……どこだったけなぁ……」
時は放課後。私はあの、朝顔が咲いている綺麗な道を探しながら歩いていた。
「あっ、あったあった!」
あんまり遅いと、お母さん心配しちゃうから、ちょっとだけ。
ガサガサ……
どこまで行っても、朝顔が続いている道を歩きながら、私は最奥部を目指していた。
カサッ……
「あ……何これ?」
私は血の様に真っ赤な、花火が散ったように咲くそれを眺めた。
「お母さん、この花好きだよね。何て名前だったっけ……」
そうつぶやきながら、何本か花を摘んでゆく。
花を摘み終わって、家に帰ろうとした私の目に、それは映った。
私と全く同じ格好をした、雪のように白い女の子。
その子は、私の顔をしばらくの間見つめてから、口を開いた。
「あなた、それ……」
その、大きな瞳を見開きながら、聞いた。
「あぁ、これ?お母さんが好きな花だから、持って帰ろうと思って……」
「あなた、人間?」
何この子。と、思いながら、質問に答えた。
「うん。もちろん!」
「ここにいちゃいけないよ!早く戻って!!」
「え?」
「さぁ、早く!!その花も捨てて!!!」
「あ、うん」
その子は私の手を引いて、猛ダッシュした。
「あ、ヤバイ!」
前方を見ると、朝顔が出口をどんどんふさいでいた。
ついに、出口が完全にふさがれてしまうと、私達の足場が崩れ、深い闇に落ちてゆくのだった……

4:雪:2014/12/10(水) 18:20

「おーきぃてぇ!」
「ん?」
「お?おきたぁ?」
目を開けると、私と女の子がきれいな草原に寝ていた。
「んー……ここは?」
「ここはね、花実の国。あたしは、ありす」
「私は、葉子。花実の国って、何?」
「花実の国っていうのはね、世界の花を管理している、つまり、花の生命みたいなものね。そして、あたしは案内人」
「案内人?」
「うん。葉子ちゃんが、お花積んでたとこあったでしょ?あれがね、花実の国につながる、時空ホールだったの。普段は、人間は入れないようにしてあるんだけど……結界が緩んでたみたいね」
「私はどうしたら帰れるの?」
「ううん。もう、帰れないよ」
「えぇ〜!?」

5:雪:2014/12/11(木) 17:27

「か、帰れないって、どういうこと?ありすちゃん」
「だからね、もう、葉子ちゃんは帰れないんだよ。ここで、一生暮らしていくしかないね」
「そんな……」
私は泣きそうになった。
「泣かないで。葉子ちゃん……大丈夫。ここはいいところだよ?」
「でも……」
「大丈夫だから、安心して?ね?」
「……っ、うん……っ」
ようやく私が泣き止むと、ありすちゃんは立ち上がった。
「さ、いこっか?」
「え?どこに?」
「とりあえず、私の家にいこ?」
「うん!」

6:雪:2014/12/12(金) 16:32

「わぁぁぁ!!」
私は、ありすちゃんの家の前で感動していた。
なぜなら……ありすちゃんの家が、とっっっっっっっっっっても大きいから!
効果音を付けるなら、ババァーン!!って、感じ。
「どうしたの?葉子ちゃん。早くはいろ?」
「うん!」
ありすちゃんの家で、お茶を飲んでいると、ありすちゃんが、こんな話を切り出した。
「葉子ちゃん、あのね……あたしも、人間なの……」
「え?」
「ごめんね……葉子ちゃん」
「ありすちゃん……」

7:雪:2014/12/31(水) 15:03

「あのね、葉子ちゃん。聞いてくれる?」
「うん」
ありすちゃんは涙を拭いて、真剣な顔で私を見つめた。
「あたし、葉子ちゃんに嘘ついてた。帰れないって言ってたけど、本当は帰れる方法が1つだけあるの」
「え?」
「うん、でも、本当に話してもいいの?それに、これは帰るというよりも……」
ありすちゃんが口ごもった。
「何?話して?」
「葉子ちゃんの欲しいものが奪われてしまうの」
「欲しいもの?ないよ」
「無い場合は、葉子ちゃん……あなた自身が奪われてしまうわ」
「どういうこと?」
「死ぬっていう事よ」

8:白:2015/01/01(木) 14:22

「死……?」
「葉子ちゃん、花実の国を乱したものはそういうことになるのよ」

9:雪:2015/09/11(金) 19:46

「ちょ、ちょっと待ってよ!」
私は慌ててありすちゃんの話を中断した。
「急にそんなこと言われたって……。それに、花実の国を乱したものって……。私、何かした?」


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