空の彼方で、あなたに。

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1:あんみつん◆oo:2015/06/05(金) 23:38

初めてのスレ立てで至らぬところもあるかもしれませんがよろしくお願いします。
文才もないし書く速度も気まぐれですが温かく見守ってもらえると助かります。

2:あんみつん◆oo:2015/06/05(金) 23:55

子供の頃の夏だった。
僕は、毎日のように冒険ごっこに明け暮れていた。
そしてある日、初めて山の奥に行った日のこと。
そこに、『君』が居た。

それは僕よりずっと小さな女の子で、見たことないような変わった服を着ていた。
その子は、初めて出会った時泣いていた。
『ふねが壊れてしまったの』なんて言って。
女の子の背後には、ぐちゃぐちゃになった金属傀。
直すことなんて到底できそうになかった。
お父さんを呼んでこようとして、引き止められた。
『大人は呼ばないで』
そう言われ、しょうがないからそれをやめた。
どうしようもなかったけど、何週間かその子と話をした。
森や海など、自然の話を女の子は本当に目を輝かせて聞いてくれた。
山の中で遊んだりした。
そして、季節が移り変わる頃に僕はあまりにも唐突で衝撃的な事実を知った。
『私ね、宇宙人なんだ』
完全に直った元金属傀――宇宙船を前にして、女の子はそう言った。
新月の夜で、星の光を反射して宇宙船は輝いていた。
それがなぜか幻想的で、大人になった今でも鮮明に思い出せるのだった。
それが最後で、女の子は僕の前から姿を消した。
もう一度、あの夏の女の子に出会いたくて。
僕は、この道を選んだのだから。

3:あんみつん◆oo:2015/06/06(土) 00:07

「ちょっと、織。ちゃんと聞いてました?」
作業をしていると、テーブルの向かいに座った幼なじみのハヅキが声をかけてきた。
「え、何が…じゃなくてすまん、ハヅキ。聞いてなかったわ」
それを聞いて、ハヅキは明らかにむっとした顔をした。

4:あんみつん◆oo:2015/06/06(土) 06:42

「これよ、これ!」
彼女がバンバンとテーブルに叩きつけたのは昨日僕が拾って預かっておいたファイルだった。
よく見ると『狂沢ハヅキ』と名前が書いてある。
「なんだよ、ハヅキお前のだったのかよ」
このファイルがどうかしたのだろうか?
「そーよ!なんであんたがこれ持ってるわけ?」
「ただ落ちてたの拾っただけだよ」
顔を真っ赤にしてハヅキはこちらを睨んでいた。
そんな怒ることだろうか。
「そ、そこまで怒んなくても」
「…中身見てないよね」
中身に問題でもあったのか。
僕は他人のを勝手に見るほど常識ないと思われてるのか…
なんとなくショックだ。
「別に見てないけど?」
「そ、そう…良かった」
ハヅキはようやく安堵の表情を浮かべた。


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