泣きたいときに読む小説

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1:ガトーショコラ:2015/11/28(土) 21:31

温かい春風が吹く素晴らしい日に、一人の女の子が生まれました。

大人たちは、その子を「純」と名付けました。

「いつまでも、純粋な心のままでいてほしい」

という想いが込められた名前でした。

それから、その子はすくすくと育ってゆきました。

2:ガトーショコラ:2015/11/28(土) 21:39

純はある日、二人の少女に出会いました。

一人は、泣いていました。

「どうして泣いているの?」

一人は、笑っていました。

「どうして笑っているの?」

3:ガトーショコラ:2015/11/28(土) 21:45

ずっと泣き続けてきた少女の瞳は、夜の闇よりも深かった。

ただ、声も上げずに、感情を水に変えて、泣き続けることでしか自分を守れなかったのです。

ずっと笑い続けてきた少女の瞳には、何も映ってはいなかった。

ただ、自分の意思を押し殺して、表情を保ち続けることでしか自分を守れなかったのです。

この二人の少女を見た純は、あることに気付き始めました。

―あぁ、同じだ。

この二人は、全く同じでした。

4:ガトーショコラ:2015/11/28(土) 21:51

泣き続けた少女と、笑い続けた少女。

何が同じなのか。

全く逆ではないか。

確かにそうでしょう。

笑いと、涙。

笑顔と、悲しみ。

全く逆のこの言葉。

しかし、本当に逆なのでしょうか。

この少女たちは、真逆の感情の使い方が同じだったのです。


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