文学の生産現場が、批評そのものをほとんど必要としなくなってしまった・・・
これは明らかなことだと思います。
たとえば、今の作家たちのなかには、少し厳しい批評に接すると、悪口をいわれたと思ってしまう者がいる。
批判と中傷の区別がつかない。文芸誌から匿名欄がなくなったのもそのせいです。
作家たちが、あの「蜂の一刺し」みたいな批判を受け入れなくなった。
少なくとも編集現場がそう判断したわけです。
しかし、その判断は、作家を悪く甘やかすことにしか通じません。
SNS的な自堕落な承認願望を、プロの作家たちまでが共有し始めているのです。
したがって批評家などというささくれだった存在自体が求められない。
僕も時々しか見ないけれど、文芸雑誌における批評の現場って、見るたびにげんなりしますよ。
たんなる「感想文」が平気でわらわら載ってますから。
稀にいい書き手も見かけますが、総じて甘すぎる。