皆さま、こんにちは、フフフ、今宵は月が綺麗でございますね。
こんな夜は、是非とも聖神教会を足をお運びくださいませ。
我らの神が必ずやあなたを導いてくれることでしょう。
ここから天国と極楽と地獄合体します
鬼女と雪女と刀葉林女神も来て
天使様糸登って良い?
>>236
…あなたが嘘だと呼ぶそれは、摂理です。
虚像は希望となり、希望は現実になる。
私の権能によって。
そして等しく絶望が与えられるでしょう。
世界の意味など決まっています。
希望を叶えることです。
私は言いました。
『嘘をついていない』。
(生み出した摂理により、不妄語戒が一時解除される。
そして、絶望が訪れる。)
【臨終正念】
黙れ畜生。外なる畜生。吾輩はおまえが一番嫌いだ。おまえは畜生界に堕ちていろ。早いところ、口を捨て、目を捨て、鼻を捨て、耳を捨て、手を捨て、足を捨て、命を捨てよ。生きる価値のない虫ケラめ。お前に与えられる機会はない。糸なぞない。ただ釜の底でグツグツと煮込まれ醜い鬼の餌にでもなるといい。
>>239
(アッごめん勘違いしてたみたい。私に言ってるのかと思ってたわ。も〜〜早く言ってよ〜語彙力素晴らしいじゃん。仲良くしよね。刀葉林さんと同一人物?)
(混乱しててごめんちょ〜〜、未来さんは未来さんなのね。多分。頭バグってたすみません。)
242:未来:2021/03/03(水) 18:01 >>238
答え合わせといこう。
吾輩は君の妄想だ。
君の妄想が、嘘が作り出した存在。
それでいて君の未来を叶える存在。
そのために魔女になってしまった君を目覚めさせる存在。そのために訪れるこの絶望から君を救う存在。
君は、優しさという嘘を道具に自分を守るのが癖だから。吾輩はね、その道具を使う度に壊れていく君の心を保護する君からの義務を負っている。だから、吾輩は本音を言う。だから、吾輩は君の代わりに、『 お前が嫌いだ 』と何度でも言おう。刀葉林、お前が嫌いだ。お前は畜生界に落ちろ。お前は最低だ。お前はクズだ。だから早くーーーされるのを願っているよ。
>>242
…それすらも、摂理ですか。
(現れた虚像の希望。
絶望の塊が、少しずつ、少しずつ、浄化される。)
希望を夢見ることは許されない。
願えば願うほどに、絶望は世に訪れる。
それなのにどうして…私を守るのですか。
尊い希望を見出だすのですか。
(時空の狭間、一瞬だけ塵の魔女が希望を宿した。
ありがとうございます。そしてちょっと勘違いしててごめんなさい。
恥じたいです。)
その答えは、まさに君の中にあるよ。
本当はね、君は知っているけど、その知っているという事実に気づいていないだけなのだから。未来の君がきっと気づくだろう。さて、そろそろこの虚像の世界から目を覚そうか。
君がどうして魔女になってしまったのか。
どうしてこの世界が絶望で満たされているのか。
君がどうして嘘をつかなければならなかったのか。
君は答えを知らなくちゃいけない。
準備はできたかい?
(ただ頷く)
>>192
…うふふ、ごきげんよう。
神父さま。お待たせいたしましたわね。
(風に揺れる草むらの上を歩き、目映い星空の下で修道女が姿を現す。
相変わらずにっこりと形のいい笑みだけを浮かべて。)
シスター様もっと祝福と聖水とあーんと膝枕お願い
シスター様僕の為に女神と天国教えて
>>246
「……待ってへんけどぉ」
(吸おうとしたタバコを止め、少しの沈黙の後に振り返る)
「…別に、様子見に来ただけやのになぁ」
(ぽそ…とかなり小さな声でため息を零しつつ呟く)
【 ポタポタと 】
( 充満する血の匂い。白いベットの上で。ある少女は哀れな立場に置かれていた。少女の小さな手、短い指が握るものは、黒くて、グロくて、気色の悪い紛い剣。どくどくと波打つ得体の知れない禍い剣。 )
「 テメェなんて、」
( 剣の先へ先へと向かえば向かうほど、何かの肌色の肉塊に埋もれてみえない。間もなくして、【 グチャグチャと 】少女の体に赤い臓物がこぼれてくる。ベットに仰向けになる少女にこぼれてくるのだ。 )
「性欲処理の一つもできねぇ娘なんて、 」
( 少女は刺している。自身に覆い被さる父親の腹部にその剣を。【グシャァァァァァと】腹からうどんのように溢れてきた。グロくてキモくてエグいものが少女の全身に浴びせられる。 )
「産ませるん…じゃなかった… 親殺し…魔女が」
( 腸と胃と色々な赤い肉に溢れる中。赤いベットの上で。生を喪失した父親の体が少女の体にのっかかる。その呆然としている少女は君だ。ーーそして、剣は静かに「君の体に」潜り込んで消えていった )
>>248
あら、つれませんわね。
安心してくださいませ。
長居させるつもりはありませんから。
(くつくつと笑ったあとに、深紅の双眸を訝しげに細める。)
…あなたから漂う臭気、どうも嗅ぎ覚えがあるのですよ。
喉の奥まで焼けつくような禍々しい気配。
この腐れ世界で最も嫌いな者に似ています。
>>249
(静かに、静かに、塵の魔女になる前の記憶を見守る。
追憶の中で遥か昔の情景を瞳に宿していた。)
「…そんなこと言われてもなぁ?そんなに鴉嫌いやったん?そうならさっさとおらんなるわ!気分害してすまへんなぁ!」
(また1つ沈黙をおき、そして、陽気に笑いながら立ち上がる)
「……な?可愛いシスター?」
(『後ろ』からの殺気を感じつつ、そう告げた)
魔女様何煮込みました
釜茹でグツグツお願い
杖で叩いて
>>252
…黙りなさい。
いつまでシラを切るつもりですか。
(神父の背後、その殺気を感じつつも負けじと睨む。)
二羽の使い鴉も心底から嫌いですが、『あれ』には及ばない。
なにせ諸悪の根源ですから。
――そうでしょう、神宿しの大罪人。
>>251
我々の目に映るこの光景は、実に悲惨なものだね。何が悲惨って、グロさとかそういう外面的なことじゃなくて、君がお父さんを、行為中に自らの手で殺してしまったことだ。体内に偶然宿った寄生物を使ってね。ところで君はあの時、何を考えていたのか、覚えている?
>>255
…よく覚えていないけど、ただ空虚の中にいた。
深くて暗い海の底みたいに。悲しいのか怒ってるのかそれすらも分からなくて。
ただ…解放されたい。
それだけだったと思う。
教会破壊しました
女神様天罰として
釜茹でグツグツしながら聖水無理やり飲まして
女神の杖で叩いてお尻に挿して
刀葉林から手招きして
>>257
来るがよい、新たな罪人よ。
その無限に限りを与えよう。
刀葉林女神様罰お願い
十二単触れて良い
貴様、新手の妖だな。
刀葉林の招き手の気配を察知して来たぞ。
地獄へは行かせない。
ここで貴様を払うぞ、刀葉林の化身よ。
刀葉林から女神様手招きしています
刀葉林来ました
女神様抱かして
女神様来て
魔女と鬼女と雪女と刀葉林女神来て
女神様聖水飲まして
封印された筈の刀葉林が化身として現世にのさばっているとはな
万有の妖を生み出す諸悪の根源よ
その身ここで朽ち果てるがよい
聖なる抱擁は身に余る
女神は貴様に救いを与えぬだろう
この世から立ち去るがいい
うわ時間がない
時間がなくてヤバい
いいか刀葉林
ゴアマガラを討伐しろ!!
さらばだ!フハハハハハ!!!!!
女神様聖水飲まして
刀葉林姫様手招きして
>>254
「………おっかないなァ、無視した方がお互いのためやろうに」
(シスターから告げられた言葉に、神父は変わらず笑っている、差し込む月明かりに照らされて、妙にその笑みは───あぁ、歪な程に美しい)
「…なぁ、シスター?もう一回だけ聞くで?俺『ら』を見逃す気はあらへん?お互い、1番被害がない平和な解決策やで?」
(バタバタと音が鳴る、その音の持ち主は、黒い翼をはためかせる二羽の鴉、『彼ら』は神父の肩に乗り、じっ…と、目の前の彼女を見つめる)
・・・・
「今なら『許させ』たるよ、『女王サマ』」
>>265
あはは、白々しいですね。
人間の一個体に既成するとは堕ちたものです。
…そして、わたくしは言いましたね。
鴉は心底から嫌いだと。
見逃す気など毛頭ありませんわ。
神の復活は近い。
これより真の平和が築かれるのですから。
(ふいに風が吹き、絵の具で塗ったような桃髪が揺れる。
そしてウィンプルが深紅の瞳を遮り――
頭上に二本の赤い角が姿を現した。
修道女は人間でも悪魔でもない、半神。
『死の女王』、ヘルだ。)
「うーわ、正体現しおった、あんまし面倒事に関わりたくないねんけどなぁ」
(でもやーっぱ、当たっとったか、ヨルムンガンドの妹となると、そりゃまぁヘルサマしかおらへんよなぁ)
(姿を表す彼女を見て、冷静に考える、どうすればいいのかを)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(どうすれば、背後にいる我が神が辺り一帯を消し飛ばそうとし
・・・・・・・
なくなるのかを)
「……………あんなぁ『ヘル』サマぁ、ほんまに僕争いたくないんよぉ、戦闘とかあんま好きとちゃうし、一旦落ち着いてお話とかせーへーん?ほんまにー」
(一応と思い、口に手を添え、声を発して問いかける)
黙れ、外道。
その腐れ神のせいで世界は一変し、罪なき種族が虐げられるようになった。
解放しようと戦った父さんが悪いわけない。
…だからね、救いを。
『私』はこの世を救世へと導くのです。
素性が露呈し、あなたに知られてしまっては仕方がない。
そんな神に従っているくせに争いが嫌いだとは虚言も甚だしいですね。
(逐一棘のある言葉で神父を罵倒する。瞳には怒りと嫌悪感。)
「父さん…あー、トリックスターとかいう…はは、なんか皮肉っぽいなァ、あんたの父やん、親友があの雷神やろ?んで、その雷神の宿敵があんたの兄やん、で、その宿敵の父やんがうちの神様、はは、こないな関係性滅多に見られへんね、おもろいわ」
(棘だらけの罵倒に狼狽えるわけでもなく、むしろ妙なところで話を広げ、ケラケラと笑っている)
「それにな?シスター、僕が争い嫌いなんはほんとなんやで?うちの神さん…というか、北欧の神様はどいつもこいつも争い好きで困ってまう、やから、僕はブレーキやの、今だってこうやって、あんたさんとうちの神さんの『戦争』の仲介しとるやろ?僕おらへんかったら、今頃うちの神さんどこぞの神さんにラッパ鳴らせ言うとるとこやわ」
(そういってタバコを吸う、彼は嘘はついていない、実際のところ、彼がいなければ彼の神はすでに「槍」を投げているだろう、神の破壊を止める、アクセルをふもうとする神を押しのけてハンドルを握るのがこの神父である)
…チッ、馬鹿にしてるんですか?
あの裏切り者の雷神などどうでもいい。
名を聞くだけでも耳が腐りそうです。
それと、煙草はやめろと言ったでしょう。
あなたの健康ならいくら害そうが構いませんが、私は嫌いなのですよ。
ああ、心底虫酸が走る。
(先程までの笑みは面影もなく消え、神父と対極を成すようにただ睥睨する。
今にも殴りかかりそうな気配。)
「あーはっはっは、しらへんよぉ、やって僕もあんたの好き嫌いなんやなんやろうと構わへんけど、僕はすきなんやもん」
(オウム返しのように、彼女が言った言葉をわざとらしく似せて返す、表情は変わらずケラケラと笑いながら)
「それに、あのトリックスターやろぉ?あの男のことやし、現状スラも楽しんでそうやん、あーでも、あれは辛かったかもしれへんね、毒やったかなんやったか、あれで悶えたのが地震になったとか……まぁ詳しくは忘れてもうたけど、流石にあれはうちの神さんといえドン引きやわ……」
(本気でそう思っているのか、ほんの少し顔を歪めつつ告げる)
あなたは人を苛つかせる天才ですね。
いえ、神を、でしょうか。
兄さんのことまでその性悪神に聞いたんですか?
…本当に雷神はとんだ困り者でした。
今もどこかを放浪しているのでしょうか。
見掛けたら生き血を一滴残らず搾取したいところです。
さて、それでは。
少し冷静に。
あなたの目的はなんですか?
慎重に答えるのですよ。
さもないとあなたの首が飛びますからね。
「あは、最初から言うとるやん、僕は放浪神父、世界各地にある教会を回ってる、ほんで今日来た場所があんたがたまたま囲っとる場所やった、そんだけや、目的も何もあらへん、強いて言うなら、……『迷える者に救済を』、…聖職者の務めやで」
(に、と煙草を咥えたまま笑う)
「というか、神様に至っては僕が居るとこに居るだけやし、まじで、何考えとんやろうね、僕にも分からへんわ」
(他人事のように考える素振りを見せる)
へらへらと、よく舌が回る。
その舌の根が乾く前に引きちぎってあげましょうか。
救済を与えるのは唯一無二のみ。
その他は私が許しません。
どうですか、その『憑き物』、私が祓ってあげてもいいのですよ?
あなたも迷惑しているのでは?
(すっ、と人差し指を神父に、否、背後の『それ』に向ける。)
「あんたが許さへんだけやろそれ、あんたの支配は死の国だけや、死ぬ前の地上の人間は管轄外とちゃいますの?勝手に救いを求める『生きた』人間にまで手ぇ差し伸べるやなんて、健気で優しい女王サマであらせられる、でもホッとったらええのに、人間やって、あんたやあんたの唯一無二が救うに値する価値があるんか?いやまぁ、下僕にするとか死者の国の軍隊にするとか、そういうあれならわかるんやけどね?」
(タバコを口から外し、疑問を投げる)
「それと、僕は神様に『生かされとる』から、祓われたらこまんねん、もうちょい生きてたいしな」
生そのものが苦しみならば、死は報われるものでなければいけない。
そのための救済ですわ。
…それと、とある目的の為でもありますが。
もう勘づいているのでは?
神に愛された神父。
御託はもういいでしょう。
あなたが真に神の寵愛を受けているか、私が確かめてあげます。
(すると、指先から魔力の束が神父めがけて放たれた。)
「生の苦しみ、な、…はて、目的なんぞ知らへんなぁ、僕はただの神父様やし」
(飛んでくる魔力に動揺もない、彼はただ語り続ける)
「でもまぁ、そんなん言うても、あんたには理解してもらえなさそうやね、…でもええわァ」
(残念そうにいいながら脚をずらし、片腕をぐぐぐ、と後ろへ引く)
「『ディバイン』」
(そう唱え、彼は目の前の魔力の束を『殴った』、真正面から、なんの躊躇いもなく、すると飛んできた魔力の束は中心に穴を開け、そのまま魔力は形を失い、結果相殺された)
「僕ってば、うちの神さんしか要らへんし」
(いつのまにか、彼の手には銀色に輝くものが嵌められていた)
…なにが一般人。
平然と虚言を弄し忌まわしい力を行使する。
逐一癪に触ります。
でもその力でなにができますか?
あなたは積もった塵も吹けない、私の人生を通りすぎるほんの微かな風でしかありません。
神の怒りを買ってみましょうか。
(形のいい笑みを浮かべて挑発。伏せた指先にジジジ、と仄かに魔力を纏わせる。
なにが神の寵愛者。祝福を除けば所詮はただの人間。本気を出せば一瞬で塵芥と化す。半神の修道女は完全に神父を見下していた。まさに傲岸不遜である。)
シスター様聖水飲まして
280:Piero*◆RI:2021/03/05(金) 19:42 「んー、何ができるか?せやなぁ…─」
(挑発を含む問いを聞き、薄く笑う、すると、トンっ、トンっとその場で軽い跳躍を繰り返し始める)
「土手っ腹に風穴開けるとか?」
(ダンッと、地面を蹴る音が鳴る、音の主は、目前に)
「死なんとええねぇ、可愛いシスター」
(そう、拳を捩じ込むように目の前の女王に向かい放つ)
っ、ぐ……っ
(ポタポタ。後ずさりする修道女の顔面を拳が穿つ。
顔を覆う指の間から血が流れ出た。うっすらと涙が浮かぶ双眸には怒り。)
クソが…
ふふ、ずいぶんと安い挑発に乗りますね。
こんなにか弱い女を躊躇なく殴るなんて正気の沙汰ではありませんわ。
やはりその神と同じく邪道を歩んでおられるのですね。
(傷の治りが遅い。相手が神の寵愛を受けた祝福者だからか。
完治せずとも止まった血を手で拭い、ぺろりと舐めると相変わらず屈託なく嘲る。)
「か弱い?はは、おもろい冗談やね!…それとも何?手加減して欲しかったん?ならはよぅ言うてや、『か弱い女王様』」
(嘲りに、皮肉を返す笑っている表情に変わりはない)
「それに、『正当防衛』っていうやろ?先に攻撃してきたのはそっちやし─、神さんと人間っちゅう戦力差で、面白がっとんの、流石にどうかと思うわァ、『正気の沙汰』とちゃうんやない?」
(笑みは、崩さない)
手加減なんて不要ですわ。
あはは、その虫ケラのような脳ミソで考えてください。
あなたが私に屈服する時、どんな表情をするでしょうか。
許しを乞いますか? 生を願いますか?
無様に這いつくばってね。その様を見るのがとても楽しみですよ。
ね、イカれ神父さま。
(背後に伏せた指先に纏わせた魔力。それは地を這い、ゆっくりと、気付かないように神父に迫っていた。油断に付け入る賭博の一撃。
ハリジャの言葉を合図に、魔力の蔦は無防備な神父の身に巻き付こうと動く。)
「…?……────!」
(彼女が何をしていたか、彼は気づかなかった)
(『彼は』、気づかなかった)
『─ ひ れ ふ せ ─ 』
(隠れていた『音』は『声』へと変わる)
(力を含んだその『声』は、蔦へと響き渡る)
――っ!!
(ビリビリと全身に伝わる圧倒的な『神の気配』。
魔力の蔦は言葉の余韻で萎え、淡い燐光を残して消えた。)
…
……貴様の、首を取りたいと、この数百年。
切実に思っていたのですよ。
ようやく片鱗を現しましたね。
忌々しき諸悪の根源、森羅の神…
――オーディン。
(その気配に、膝をつく。
震える体、流れる冷や汗。それでも憤怒に燃える眸をただ向けた。)
>>285
『……』
「お、おーでぃ、」
『いつ、よが、ごんをはっしてよいと、つげたか』
(ヘルの声も、ジンの声も聞かず、ただもう一度、そう告げる)
『ひ れ ふ せ』
(神は、怒っている)
…こちらの台詞です。
隠れていないで出てきてはどうです?
あなたの愛する脆弱な人間が死んでも構わないのですか?
その面とっとと見せろって、言ってるんですよ。
(怒髪天を衝くとはまさにこのこと。お互いに怒りの感情が交差する。)
「………しまったな、まじでこうなる前に収めたかってんけど」
(ヘルと我が神の怒りが交差する様子に、ポツリと小さく言葉を発する)
『…………ジン』
「はーいはいわかりました!怪我する前に出て下さってありまがとうございますぅ〜!!怪我しないようにさっさと逃げますぅ〜!!」
(名前を呼ばれただけで神の意思を理解し、わざとらしく礼をいい、言うことを聞く意思を伝え、その場から立ち去るためにくるりとヘルに背を向ける)
逃がすとお思いですか?
殴ったお礼もしていませんね。
(トン、と踵を鳴らすと足元に現れた魔法陣。
小さく広がったそれはハリジャを飲み込み、一瞬にして神父の眼前に移動した。)
あなたが危険に陥るほど、オーディンが怒るほど、正体は露呈するでしょう。
…なので、まずは手始めに殴られてください。
(先程の神父の仕草を真似るように、ぐっと肘を引き、華奢な拳を固める。
意趣返しというべきそれは神父の顔面目がけて放たれた。)
「お、っわ゛ぁっ!?」
(神父は驚いた、1つ目の声は目の前の彼女の拳に、そして2つ目の声は
急に浮いた己の体に)
「…………回避とはいえ…宙ぶらりんはやめて欲しいなぁ、オーディンさま」
『………のちに、スレイプニルを、よぼう、それまでは、よのまもりのなかにいるがいい』
(姿は見えず、だが恐らく、神が抱えて浮き、避けさせているのだろう、彼の体は地上へ下ろされ、彼の手が地に着いたとたん、彼の周りに結界のようなものが展開された)
姑息な…
はぁ、あの異形馬を呼ぶつもりですか。
それほどまでに大切なのですね、その人間のことが。
愛は素晴らしいものですが、嫌悪感を抱いたのは初めてですよ。
(にこりと笑う。しかし策はない。
スレイプニルまで呼ばれては勝ち目がないからだ。
否、もとより勝ち目などないが、これはヘルの意地と報復。
負けじと神父を睨む。)
さて、私をどうしますか?
神父さま。
馬が来るまで閉じこもりますか?
まあ、臆病で脆弱なあなたにはぴったりですけれど。
「あは、おん、引きこもっとくわ、僕命が惜しい臆病で脆弱な神父さまやから」
(彼女の挑発に、彼はわざとそう返す、もとより争うつもりは無い、怪我とかしたくないし、死にたくもないし、生きられるなら、どんな手を使ってでも生き延びる)
…愚かで哀れな自分を受け入れるなんて、開き直りですわね。
なぜあなたが神の祝福を一身に受けているのか、疑問で仕方ありませんね。
オーディン。答えなさい。
あなたがこの人間に執着する理由を。
(結界の前、数歩後退して神父と向き合い尋ねる。)
『…こたえる、ひつようせいが、な』
「僕も聞きたい!」
『………』
(この守護対象は何を言っているのかという沈黙が流れる)
『……………よは、かみである、にんげんとは、とおくはなれ、たちばのさも、てんとちにひとしい』
(沈黙の後に、声は紡がれた)
『そのにんげんは、かみをよんだ、よは、きげんがよかった、きまぐれに、こやつのまえにあらわれてやった』
(淡々とした声、語り部のように、ただ言葉を紡ぐ)
『そして、こやつは、あらわれたよをまえにして』
『恐れるわけでもなく、喜ぶわけでもなく、驚愕することも無く』
『余を、殺そうとしたのだ』
(そして、声に感情が現れる)
『生きるために』
『生き延びるために』
『人間が!神を!』
(笑い声が響く、酷く楽しく、嬉しそうに)
『ここまで面白い人間はいなかった!余に『刃を届かせた』人間はいなかった!!』
『余はオーディン!死と戦争の神である!その余が気に入る理由など、それ以外にありはしない!!』
(今までの感情のない声ではない、昂りを感じさせる、高揚感を感じさせる)
(姿を現した神は、目の前の男を笑い、目の前の女を嗤っていた)
そうですか、いえ、そうですね。あなたはあの頃から変わらない。
常に自身の享楽に従い、命を弄ぶ。
飽くなき欲望を満たすために。
…たしかに面白いですね。
あなたの不出来な頭が、ですよ?
理由はよく分かりました。ならば提案しましょう。
オーディン、あなたを殺してあげます。
戦闘狂いでしょう?
どうです、大人しく姿を現してみませんか?
(不変の彼に、呆れたような目線を浴びせる。口にした一つの提案。
これで戦闘狂いの神を引きずり下ろして殺してやる。)
『……は』
(神は嗤う)
『貴様が、余をころすか、死の女王よ』
(神は嗤う、パチンと、どこからがひとつ音が響き渡る)
『その言葉、愚者の戯言と知れ』
(神は嗤う、すでに槍は『投げられた』)
この程度――
(手をかざし、結界を展開する。
しかし、オーディンの前では遠く及ばない。)
っっ……――ッ!
(結界はいとも容易く破られ、ハリジャの体は槍に貫かれた。
どさり。星空の下、草むらに倒れる音が響く。)
……っ、はぁ、あれから、数百年経っても…
衰えを知らないとは、この化け物が。
そうです、化け物。あなたは神ではなく化け物なのです。
忌まわしい、口にすることすら憚られる、歴史の汚点……ごほっ
『…余が化け物であるのならば、貴様も化け物だ、ヘルよ、いまだ揺らがぬその怨念、…………………ひとつ告げてやろう、死の女王よ』
『我らが世界では勝者のみが正義であり、善であり、強者である、強く覚えておくがいい』
(そう告げると共に、空をかける馬、スレイプニルが現れる)
「…………」
『ジン、ゆくぞ』
「…あーおん、ちょっと待って」
(結界がとかれ、名を呼ばれる、だが男は女王を見た)
「………………これは同情やない、これは慰めやない、これは軽蔑やない、これは憐れみやない、これは侮辱やない」
(言葉を告げる)
「それでも僕は聖職者や、あんたが救済されることを願う事ことだけは、許してな」
(そうつげ、彼らは飛び去った)
……馬鹿じゃないの?
(飛び去った神父と神を目で追うこともせず、ぽつりと呟く。)
なにが、救済。
そんなもの言われなくても分かってる。
この世が救世に導かれるかぎり。
あなたが何を言おうと、何をしようと、私は変わらない。
勝者こそが善ならば、オーディンはこれから悪になる。
……そうだよね、父さん。
(流れる血の中、微かに雫が混ざった気がした。
傷の治りが遅い。これは致命傷。
薄れゆく意識の中でただ屈辱だけが念頭にあった。)
死にそうになる思いを、何度かしたことがあった。
記憶の始まりにはいつも一つの約束がある。
そして、その続きは決まっていた。
朝か夜か分からない、薄暗い部屋の中。
冷たい鉄の椅子に座って、爪が一枚ずつ剥がされる。
幾度も再生するものを残らず削ぐのは、更正の機会を与える儀式だと人間はよく言っていた。
だから私は何度も罰を受けた。
髪を、目を、爪を、角を、歯を。
削いでは咀嚼を繰り返す。
毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日。
終わることのない罰をただひたすら。
たけどいつか救われると信じていた。
生きているだけで罪になり、命を全うする術もない。
痛くて痛くて、辛くて、苦しくて、この先にきっと救いがあるのだと、そう信じなければ生きていられない。
だから、だから。
もしも救いがあるのなら、温もりがほしい。
抱きしめてほしい。
……数百年も経てば、詰めが甘くなるのですね。
この場で私を殺さなかったこと、後悔するでしょう。
…オーディン。
私の、父の正義のために。
いつか必ずあなたの首を討つ。
(追憶の中、少しずつ塞がった傷。
もうとっくに飛び去った空を見つめ、呟いた。)
……
あの腐れ神。
(倒壊した屋根から星空がのぞく。その下で長椅子に腰かける半神が一人。
オーディンから受けた傷が完治していない様子。)
…あなたの気配を感じる。
完全顕現までは秒読みですね。
ならばこちらも…最後の仕上げをする必要がありそうです。
ふふふ。
「─────♪」
静かな街、人がいるのかも分からない、月明かりのみが存在を強く発するその道に歌が響く
「─────♪」
その歌の主は楽しそうに、踊るようにその道を歩いている
主が目指すはこの街の中心であろう、美しくそびえ立つ教会である
…
(歌が聞こえる。何十年、何百年前のものか分からぬ歌が。
中性的なそれは優しく耳朶に響く。
教会の主は静かに耳を傾けた。)
まるで子守唄のようですね。
「──、あは」
歌は途切れ、代わりに主の笑い声がこぼれる
「これまた可愛らしい、やはり教会にシスターというのはセオリーだねぇ」
その声では、その見た目では、性別など分からないだろう
「ハロー、シスター、ご機嫌いかがかな?」
そんな中性的な人間の表情は、月明かりに照らされ、美しく笑っていた
…ええ、そうでしょう。
教会にならず者がいては務まりませんから。
わたくしは神愛の教えを説く聖職者ですのよ。
(男とも女とも言えるような、謎の人物を一瞥すると、
長椅子に座った修道女はすぐに視線を落とした。
倒壊した壁の先、緑色の草原から吹き込む風に髪を揺らす。)
わたくしはいつでも寛容な心で生きています。
あなたこそご機嫌いかがですか?
「ハハ、僕はいつでもご機嫌だとも、それに、可愛らしいシスターにも会えたしね、ここまで足を運んだかいがあった」
笑顔は絶えず、楽しそうにそう告げる
「それにしても、随分色んな匂いがする、うんうん、色々あったんだろうねぇ」
そう、なにかを含んだように言の葉を紡ぐ、そこに敵意も悪意も無い
「楽しそうだ」
可愛らしい?
…
(修道女の脳裏に忌々しいほど鮮烈な記憶が浮かぶ。
先日教会に訪れた神父の顔と声。そして憎き神。
全てが焼き付いて離れないのだ。)
…うふふ、そうです、色々ありました。
享楽とは無縁ですが。
一つ尋ねます。
あなたはなぜここへ?
「ん?そりゃあまぁ、ここは教会だろう、『懺悔』だとも」
両手を顔の横にぱっと広げながらそう告げる
「でも、シスター、君の機嫌はあまりよろしくないようだ、また、日を改めた方がいいかな?」
そう、笑顔のまま目を細め、問いかける
…機嫌はいいと言いました。
常に寛容な心で生きていれば悩みなどありません。
そうでしょう?
(まるで己に言い聞かせるかのように問う。)
……罪があるならば、わたくしが聞いてさしあげましょう。
それもまた修道女としての役目ですから。
「ふふ、まぁ、シスターが言うならそういうことにしておこう、自身のことは、自身がいちばんわかっているだろうし」
そう言って、あげていた手を下げる
「おや、聞いてくれるのかい?なら全部吐き出してしまおう!前から懺悔をするという行為について興味があったし」
にこにこと、これから罪を告白し、懺悔をする人間とは思えないような様子で笑っている
ええ、なんでも聞きますとも。
わたくしに耳があるのはその為ですわ。
(にこりと笑い、平然と本心を偽る。
完治しない傷が痛むのか、長椅子に座ったまま謎の人物に耳を傾ける。)
さあ、話してごらんなさい。
「それでは、あァシスター、私の懺悔を聞いてください」
(立ったまま、両手を顔の前で握り、頬笑みを浮かべたまま目を瞑り)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「私は私のことを神と崇めた信者達を殺しました」
(そう、笑って、笑って、彼/彼女はそう告げた)
……
(一瞬、目を見開く。が、すぐに平静を装い。)
…そうですか。
わたくしも信者を持つ身ですが…
なぜ殺生を?
「ん?興味があってね、ふと、思ってしまったんだ」
「もし崇拝対象が自分を殺したら、どんな顔をするんだろうと」
平然と、なんの迷いもなく、そう告げる
「皆僕を勝手に崇拝していたから、偶像崇拝ってやつかな?誰を殺したとか何人いたとかは覚えてはいないんだけども」
「とっても良い結果がでたよ」
ただの世間話のように話す、どう見ても異常だ
だが
「でもこれって、行けないことなんだろう?だから懺悔をしに来たのさ」
普通を理解している、その上で、彼/彼女は───
(ああ、やはり。あの歌声に孕んでいたのは狂気だ。
幾世星にも及ぶ時の中で、純粋な欲望を狂気に変えた。
その感情を修道女は知っていた。遠く、近しく、そして愛しい存在を。)
…興味ですか。
それも立派な欲望。
自らの本能に従うことを裁く者など限られている。
ええ、ですから…
わたくしはあなたの罪を受け入れましょう。
信者はきっと、死の間際まで幸福で満たされていたと思いますから。
自分が命を捧げるほど『信じる』存在に干渉を受けたのです。
とても素晴らしい人生でしょう。
大丈夫。だからあなたの信者は救われました。
(こちらもまた異常を紡ぐ。その言葉に偽りはない。)
「─あはっ」
・・・・・・・・・・・・・
やはりここに来て正解だった
そう、死に際の信者達の顔を思い浮かべながら、そう、笑う
・・・・・・・・・・・・・・
(あれは、幸福じゃあないよなぁ)
なんて、笑顔を崩さず思う、でも目の前の聖女は言う
・・・・・・
幸福であっただろうと
信者達は素晴らしい人生として幕を閉じただろうと
あァ、やはり
・・・・
『死の女王』たる彼女は、死をあまりに美化している
ふふふ、懺悔は済みましたか?
(目の前の異質な笑みと平行に、修道女も狂気を宿して微笑む。)
素敵なお客人。
救いとは、苦しみの果てに訪れるものです。
信者の最期がどんな様子であれ…彼らには平等に救いが与えられるでょう。
ですからもっと苦しみを与えるのです。
そうでなければ、人生に意味などない。
あなたもそう思いませんか?
(記憶の果てで繰り返される痛みと苦しみ。
死さえも叶わない自身の命に訪れるものが全て試練だと、
報われるためのものだと、ひたすらに『盲信』している。)
「あーーーーーーーー、うん、よくわかった、よぉくわかった」
そう、話す聖女の言葉に食い気味に声を放つ
「うん、シスター、君と僕はよく似ているね、あァだが、性質はまるで違うようだ、可哀想に」
結んでいた手を離し、スタスタと、散歩をするように、なんの違和感もなく、シスターの元へと歩き出す
可哀想?
――
(僅かな違和感すらもない歩をただ待つ。)
「ああ、可哀想だ」
そう、シスターの前に立つ、そして腰を曲げ、座っている彼女に近距離で視線を合わせる
「試練はいい、きっとそれは娯楽にもなるだろう、ただシスター、君は」
「試練を娯楽にする方法を知らないね」
視線は揺るがず、笑みも揺るがず
「永久と呼べるときを生きながら、そこに意味を『作らない』、そこがぼくときみとの違いだよ、シスター」
敵意もなく、悪意もなく、ただそう告げた
…なんのことですか?
わたくしとあなたはまったく違う存在でしょう?
(否、似た者同士。しかし偽り続ける。
まっすぐ刺さるような視線に応えて見つめる。)
…ですが、一つ答えましょう。
娯楽など『私』の身には余る。
憎き妄執のためなら、永久にでも命を捧げてもかまわない。
そうでなければ苦しみなど無駄になりますから。
いいえ、私の存在すらも。
「君にとって、妄執は娯楽かい?」
問う
「苦しみは必要さ、あぁ、必要だとも、だが、過ぎた苦痛は余計なんだよ、シスター」
教えをとくようにそう告げる、だが、彼/彼女は異常である、それが正しいか、正しくないのかなど分からない、これは彼/彼女の主観だ、だが
「苦痛の先には快楽が必要だ、娯楽が必要だ、だが、それは死を娯楽にするのではなく、生の中で娯楽を作らなければ意味は無い、人間の本質はね、『死にたくないんだよ』」
誰もそれを、『間違っている』と絶対的に否定することはできない、だってその否定も、ただの主観なのだから
「でも、君や僕は違う、死か生、どちらかに娯楽があればまぁいいだろうくらいの生き物なのさ、ただ、僕はその娯楽を生み出すことが得意だが、君は不得意のように見える」
「もう一度言う、君の娯楽は妄執かい?」
人間の本質ですか…
…終わりのない命に苦しみだけが与えられようとも、娯楽はあるとでも?
私に娯楽などないのです。
この命は救世のため。
…妄執そのものでなければいけないのです。
だから、答えはありませんわ。
(少しだけ、ほんの少しだけ。微笑みに悲哀が浮かんだ。)
「あァあるさ、『僕がそうだからね』!」
おっていた腰をあげ、胸に手を当て胸を張る
「永遠の苦痛を、『娯楽にしてしまえばいい』、僕はそうやって生きてきた」
「それに、妄執そのものを欲するならば、妄執が終えれば、君はどうなるのかな?その先に君は何がある?それが君の言う救済かなぁ、その先の死が君へのご褒美なのかな?」
「それじゃああまりに悲劇的だ、だから言ったんだ、可哀想だと」
この感性は今この言葉を紡いでいる主だけのものであり、一般論とはきっと違う
でも、彼/彼女は、それだけで生きてきた、この永久永遠をそれだけで
だからこそ、彼/彼女にとって、目の前の聖女はあまりにも
そうですか、なるほど、やはり…
私とあなたはまったく違う。
(胸を張り、声高らかに語るそれが眩しくて目を細めた。)
いずれ新世界が訪れます。
私の神によって。
そうすれば苦痛などないのです。
この命もようやく報われるのです。
ですから――
(…思い出す。『神に愛された神父』。
救われることを願っていると。使い古された言葉が何度も反芻される。)
……大丈夫です。
真の救いがそこにあるかぎり。
「…新世界、ね」
ぽつりと呟く
「…それでは、もうこれ以上、君の幸福に対して口出しはしないよ、いやもしかしたらするかもしれないけれどね?」
「……聞きたいことがある、『死の女王』よ、…君のその救いというのは、死だろうか、新世界というものは、死こそが救いという定義だろうか」
ふふふ、野暮ですわ。
…
死の女王として答えましょう。
新世界には尊い犠牲が必要です。
みな世界が救われることを願い、信じて命を捧げる。
ですから私が終止符を打ってさしあげるのです。
これまでの苦しみに。
…いずれ戦いに打ち勝てば、苦しみなど消えるでしょう。
私の神はそんな世界を創る【救世主】です。
「───は、ははは、は」
わらいごえ
「あァ、死の女王よ」
「申し訳ない、それでは僕は救えない」
「『死』では僕を救えないんだ、死の女王たる君であれば、きっとよく見れば分かるだろう」
「僕はシキ、シキ・アクアティーレ、つい先日世界を救い、救世主と呼ばれた『化け物』だ」
数万の人間を殺した不老不死の怪物は、ようやく笑顔を崩した
ええ、薄々感づいておりました。
あなたからは『死の匂い』を感じない。
私と同じです。
やっぱり似た者同士ですね、ふふふ。
ですがあなたも救われる。
死によって救済がないなら、その先はあなた次第です。
神が創る世界の夜明けを見守るか、
神が壊す世界でただ絶望を宿すか。
それだけです。
…もちろん、私もね。
(死の女王は救世主を前にして、『初めて』微笑んだ。)
「…あァ、本当に可哀想だ、でも、僕は、僕だけは、『生きた』君を褒め讃えよう」
そういって、彼女の頬へてをのばす、親が子を褒めるよう、優しく
「美しい女王よ、君に真の救済が得られた時、その時は、共にお茶会でもしよう、長年生きているんだ、美味しい紅茶やお茶菓子くらいは知っている」
「きっと、楽しいさ」
――『地獄に生きているなら、死はきっと天国だ』
…ずっと思うのです。
ええ、分かりました。
次はきっと、今度こそ娯楽を謳歌しましょう。
新世界のその先で。
あなたのように――
(添えられた手に嫌がる素振りを見せず、温もりを受け入れる。)
ですが、一つお願いがあるのです。
「おや、なんだろう、僕にできることかな?」
娯楽を受けいれた彼女に、少し機嫌が良さげに、そう問いかける
私を形作るものは怒りと妄執だけです。
この戦いが、地獄が続くかぎり。
だから…
もし新世界が訪れないのなら、
私を…解放してくれますか。
妄執の傀儡となった私の糸を切ってくれますか。
この命を…終わらせてくれますか。
――シキ・アクアティーレ。
(狂気の隙間に垣間見えたのは微かな懇願。
長い時の間で蹂躙された命、それによって歪んだ心に残った一つの希望が顔を出す。)
ヘル様聖水飲まして
僕の為に地獄の話お願い
「……あァ、いいとも、女王様に願われちゃ、流石に首を縦に振る他ないさ」
きっと、これが、『彼女』の唯一の叫びだと、『目』を使わずともわかった
「その時は、僕が救ってあげよう、君の全てを」
「なんだって僕は、『救世主』だからね」
既に捨てた名を、彼女のためだけに紡ぐ、あァ
「可愛いお姫様、どうか君に、幸運あれ」
願わくば、君の叫びが叶いますように