「では舞台は、私たちは?」
「見つけなければいけない、みんなに立つべき舞台があるように」
運命とは、最もふさわしい場所へと、貴方の魂を運ぶのだ。
Your soul is carried to the most suitable place with destiny.
ガコン
そんな、ものを投げ入れたような音が、中庭に小さく響く
「うわ、あぶなー、はずすとこだった」
「下手くそ」
「はぁ〜!?だいたいお前のゴミじゃん麗!文句言うな!」
「うるせ〜〜……」
どうやらそれは男子生徒がゴミ箱に紙パックを投げ捨てた音だったらしく、軽口を叩きながら、2人の男子生徒は木にもたれかかり寝転んでいる
「だいたい生徒会長様がこんなとこにいていいのかよ、授業中だぞ今」
「ブーメランじゃんそれ、麗だってサボってるし、たまにはいーの!」
「は、優等生の猫かぶり」
「お、喧嘩か〜?????買うぞ〜!?」
キーンコーンカーンコーン……
「あ」
「……昼休みだっけか……俺寝るから、後よろしく」
「さっきまで寝てたじゃ……もう寝てら」
「台本と資料はある、よし…まって、良くない先生に呼び出されてる、まって間に合う…?間に合うよね、うぅ、怒られたくないなぁ」
台本を抱えた一人の少女が走り去っていく。その表情はとてもいきいきとしており眩しい。焦ったように中庭をかけていく少女は
演劇科 77期生主席 小鳥遊 無月と名前の書かれた台本に気付くことなく走り去っていった。
そんな少女と青年たちを遠目からみていた少女が一人。ほっとため息をつき、ボロボロになった台本をきゅっと握りしめる。
「よかった、いつも通り」
この舞台を演じてれば怖いことなんてないもの。そう呟いた声は誰にも届かず消えていった