ーーー(紅がいじめっこと和解する話)
*…*…*…*…*
そのとき、ちょうど向かい側の道を、同じ年くらいの女の子ふたりが歩いているのが見えた。1人は髪を茶色に染めていて、更に縦に巻いていてとてもおしゃれな雰囲気。もう1人は短い黒髪を巻いている。何となくだけど、その二人にみおぼえがあった。
うーんと、誰だったっけ?
「ねえくーちゃん、あの二人どこかで__」
私は一緒に歩いていたクーちゃんの顔を見た。
「……くー、ちゃん?」
くーちゃんのその横顔は、まるで殺人鬼に出会したそれだった。完全に見ている何かに怯えている。
「桃音、あいつら……お母さんの手紙を捨てた奴らだ………!」
くーちゃんは楽しそうに談笑する二人を指差しながらそう言った。いつものしっかりとしていて落ち着いた声とは違う、震えていて弱々しい声だった。