リストカット〜どこへも逃げれない人の行く世界〜

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1:杏奈:2014/06/09(月) 20:27 ID:vT6

私や友達の経験や悲しい思い。
私の知り合いの人の経験や思いなども含めてこの小説に書いていきます。
よろしくお願いします。

週2ぐらいのペースで書いていきます。

52:友紀菜:2015/03/10(火) 17:03 ID:dxE

篠川先生の用事も終わると、友紀は家まで送ってもらった。

「ありがとうございました。」

友紀は篠川先生にお礼を言った。

「いいのよ。何かあったら連絡してね。はい、これ。じゃあね。」

篠川先生は友紀に紙を渡すと、帰っていった。

「なにこれ?」

友紀は、紙の中を見た。
そこには、篠川先生のメアドと携帯の電話番号が書いてあった。

友紀は、それを見て微笑んだ。

53:友紀菜:2015/03/10(火) 17:21 ID:ucA

友紀はその日は、リスカをすることもなくゆっくりと過ごした。

バタン

玄関が開いた音がした。

「お母…さん?」

友紀は、自分の部屋を出て玄関へ向かった。

そこには、友紀の思った通りお母さんがいた。

「お母さん、お帰りなさい。今日ね篠川先生と病院に行ったの。とっても良い先生に診てもらったの。それでね…」

「分かったから、黙ってて!おじいちゃん今日から入院するから。あとは自分でなんとかしなさい。あー昨日わざわざ家なんか帰るんじゃなかったわ。じゃあ。」

バタン

お母さんは、さっさと家を出てしまった。

お母さんは、私の事なんてどうでもいいんだ……

家なんか帰るんじゃなかったなんて…

ひどいよ!

私はいつも独りで我慢してるのに……

友紀の目からは涙がこぼれ落ちていた。

友紀は自分の部屋に戻るとカッターを手に取った。

「ハァハァハァ…」

友紀はカッターを手首の上で何度か滑らせた。

紅い血が流れてきた。

「ハァハァハァ…フゥー」

友紀はリスカをしてなんとか、心を落ち着かせた。

そして、ご飯も食べずに寝てしまった。

54:友紀菜:2015/03/11(水) 13:03 ID:W4A

部屋が薄明るくなったころに友紀は目を覚ました。

体がだるいし重い。
学校…なんて行きたくないな……

友紀はスマホを見た。

5時40分

「早く目が覚めちゃったな……」

友紀は小さくつぶやいた。

友紀はしばらくぼーっとしてから、傷だらけの手首を消毒しリストバンドをつけた。

そして友紀は少し早いが朝ご飯の支度をした。

「あんまりご飯食べたくないけどな…」

友紀はいつも通り、トーストを作って食べた。

そして、朝の準備をゆっくりとして、仕方なく家を出た。

55:友紀菜:2015/03/12(木) 13:31 ID:i6U

友紀は、遠回りして学校に向かった。

いつもよりは少し早いが、学校に着いた。

今日も頑張ろ…

友紀は教室に入った。

いつも通りのメンバーがいた。

友紀は、そんなことお構いなしに席に着いた。

久美がまた友紀のそばに来た。

「友紀さーん。昨日学校来なかったよねー?学校来ないとかいけないんだー問題児。ま、来ない方がうちら的にはいいけどねー」

久美は、そう言うと去っていった。

来るなって言ってみたり、来ないといけないんだとか言ってみたり意味分からないし。
わざわざ言いに来なくて良いし。

友紀は、少しイラ立った。

そしていつも通り、汚い声が友紀を攻撃した。

「友紀さんって暗いよね。来なくていいのに。」

「明日は何していじめようかな?」

「いじめられる人ってどんな気持ちなのかな(笑)」

「こんなにいじめてるんだから、消えればいいのに。」

あんたたちは、私をいじめてそんなに楽しいの?
いじめられるこっちは辛くて苦しくて悲しくてしかたないのに……


いじめは日に日にひどくなっていった。

そのたびに友紀は、傷ついていった。

56:友紀菜:2015/03/19(木) 11:07 ID:0oA

どんより暗い雲が太陽を遮るような朝、友紀は学校へ向かっていた。

助けて……
長石先生……篠川先生……

友紀はスマホを出し、篠川先生にメールしようとしたがためらった。

篠川先生は今大変な時期だからメールなんて出来ない。
早く、火曜日にならないかな?
今日行けば、土日は休み。
今日頑張れば、2日間少しは落ち着く……はず。
でも、もぅ嫌!
これ以上、傷つきたくない!
嫌…学校なんて嫌…

友紀はそう考えていると学校に着いた。

来ちゃった…

友紀は今すぐにも、学校から離れたかった。

でも、そうする事なんて出来ず、また、悪夢の学校生活が始まった。

57:友紀菜:2015/03/19(木) 15:36 ID:i6U

友紀は生徒玄関に向かった。

「スリッパが無い…」

下駄箱に友紀のスリッパは、なかった。

今日は、スリッパなの?
もぅやめてよ!
私をどれほど傷つければ気が済むの?

友紀の目からは今にも涙が溢れそうだった。

でも、友紀は涙を必死にこらえ、生徒玄関周辺を探した。

「っ……」

ゴミ箱の中に暴言をかかれた見るに耐えないスリッパがあった。

友紀は震える手でスリッパを取った。

幸いにも、水性ペンだったため、ティッシュを水で湿らせて拭けば綺麗になった。

「良かった…」

友紀はスリッパを履き、教室へと向かった。

怖い…今日はなにをされるの?

そう思いながらも、教室に入った。

58:宮下:2015/03/19(木) 18:04 ID:s5E

しばらく来ないうちに新章スタートしてる・・・!!

この作品も面白そうですね!!

頑張ってください!!

59:友紀菜:2015/03/19(木) 21:47 ID:vPM

来てくれて、ありがとうございます。

頑張ります!

60:友紀菜:2015/03/20(金) 10:00 ID:MNo

バサッ

友紀が教室に入るなり、何かをかけられた。

友紀は怖くて目を閉じた。

恐る恐る目を開くと、友紀は今すぐにでも、逃げ出したくなった。

友紀は、ゴミをかけられていた。

「アハハ☆汚いーちゃんと掃除しといてよー」

久美は笑いながら、友紀に言った。

そして、汚い声が友紀を攻撃した。

「ゴミかけられるとかバッカみたい。」

「うわーきったなー生ゴミじゃなくて良かったじゃん(笑)」

「汚いな。さっさと掃除しろよ。」

友紀は、ゴミをはらうと、ほうきとちりとりを取り、きれいに掃除した。

私はゴミ扱い…
なんで平気で、人を痛めつけるの?
長石先生と篠川先生はそんなことしない。
私を大事に思ってくれる、わかろうとしてくれる。
でも……

私のつらいときにはそばに居てくれない……

やっぱり、私は…

独りぼっち

61:友紀菜:2015/03/21(土) 19:47 ID:Wqw

友紀は悲しみにくれていた。

そして、いつの間にか教室を飛び出していた。

「な、長石先生……助けて……」

篠川先生に助けを求めることのできない今、友紀は、いつの間にかそう言っていた。

そう言っても助けがくるわけないとわかっていながらも。

「何言ってんの。先生に助け求めてんじゃないわよ。だいたい長石先生?なんてこの学校にいないわよ。バッカじゃないの。」

友紀に着いてきていた久美は、友紀をバカにするように言って教室に戻って行った。

私には、もぅ長石先生しかいないです。
助けてください!

友紀は涙を流し、必死にそう願った。

62:宮下:2015/03/22(日) 09:10 ID:s5E

長石先生・・・!

気づいて、この気持ち・・・!(笑)

63:友紀菜:2015/03/22(日) 21:41 ID:TEQ

>宮下さん

いつもコメントくださってありがとうございます。
続き書きます。



友紀はひたすら泣いた。

すると、足音が聞こえた。

友紀は、急いで近くのトイレに逃げ込んだ。

足音がだんだん近くなると、担任の小林先生が誰かと話している声がした。

そして、足音は離れていった。

フゥ…

友紀は、小林先生に見つからずに済み安心した。

友紀は涙をふき、学校を飛び出した。

どこへ行けば良いかなんてわからず、1人だれもいない道を何気なく歩いていた。

「学校飛び出して来ちゃったな……お母さんに怒られるな…小林先生や久美達もうるさいだろうな……嫌だな……」

しばらく歩いていると、誰もいない公園があった。

友紀は公園に入り、ブランコにのった。

ブランコにのるなんて何年ぶりだろう?
6年の頃はもう公園すら行かなくなってたな…

友紀は、そう思った。

私が学校飛び出しても心配して追いかけてきてくれる友達もいないのか。
誰も心配するどころか、怒るし、うるさいしって感じだろうな…

友紀はそう思うと悲しくなってきた。

64:友紀菜:2015/03/23(月) 19:41 ID:Gso

すると、いつの間にか友紀の目から涙が溢れ出していた。

友紀は、顔を隠し、ひたすら泣いた。

でも、泣いても泣いても、つらい気持ちからは逃れられなかった。

あっ……

友紀はポケットにカミソリがあることに気づいた。

友紀はポケットからカミソリを取り出した。

友紀は誰も居ないことを確認すると、袖を捲り上げ、手首を出した。

そして、カミソリで手首の上を軽く滑らした。

タラーー

手首からは紅い血が流れ出た。

友紀はリスカすることで、考えたくない気持ちから逃れることができた。

そして、友紀は何度も手首を切った。

私なんて、誰も心配してくれない。
篠川先生だって、もぅ学校にいない…
長石先生だって、助けてくれない…

友紀は手首からは紅い血を、目からは、涙を流した。

「友紀ちゃん?」

その声はなんとも、優しい友紀が一番聞きたかった声だった。

友紀は顔を上げると、そこには長石先生がいた。

65:友紀菜:2015/03/23(月) 19:59 ID:Gso

「な、な、長石…せ、先…生…?」

友紀は、信じられない気持ちでいっぱいだった。

長石先生は友紀の前にしゃがんだ。

「友紀ちゃん、つらかったね。なにがあったのかお話聞かせてくれるかな?傷の手当てもしてあげようね。」

長石先生は優しい笑顔で、友紀にそう言い、友紀の頭をなでた。

友紀はあまりにも嬉しくて、涙が止まらなかった。

「長石先生!」

友紀は長石先生に抱きついた。

「よしよし、つらかったね。いくらでも泣いたらいいよ。」

長石先生は友紀を抱きしめ、優しく頭をなでた。

あったかい……

私の、お父さんみたい…

凍えた心と体の友紀は長石先生のぬくもりと優しさで、いやされた。

長石先生は友紀が泣き終わるまで、ずっと待っていてくれた。

ありがとう。

助けてくれて、ありがとう。

長石先生だけは、私を助けてくれる。

友紀はそう思った。

友紀はだいぶん落ち着いてきた。

「そろそろ、行こうか。」

長石先生は優しい声でそう言った。

「はい。」

友紀は長石先生から離れた。

そして、長石先生と一緒に大学病院に向かった。

66:友紀菜:2015/03/24(火) 07:04 ID:V2s

友紀は長石先生の車に乗せてもらった。

15分もすれば、大学病院に着いた。

そして、友紀と長石先生は中に入った。

「ごめんよ。ちょっとここで待ってて。」

「あ、はい。」

友紀は椅子に座らされた。

しばらくすると、長石先生が戻ってきた。

「ごめんよ。じゃあ、行こうか。」

友紀は長石先生について行った。

いつもとは違う部屋に通された。

そこには、いつもの女の先生もいた。

「まぁ座って。」

「はい。」

「まずは、手当てしてあげよう。ちょっと絆創膏取ってきて。」

長石先生は女の先生にそう言った。

「はい。先生、これでいいですか?」

「いいよいいよ。ありがとう。友紀ちゃん、見せてくれるかな?」

「……」

友紀は黙ったまま手首を見せた。

「消毒もしとこうか。消毒も取ってきて。」

「はい。どうぞ。」

「ありがとう。」

長石先生は友紀の手当てをしてくれた。

「はい。あんまり、自分にあたったらだめだよ。するなとは言わないけどね。」

「はい。」

友紀は嬉しかった。

傷の手当てをしてもらったのなんて初めてだったから。

67:友紀菜:2015/03/24(火) 17:09 ID:2V6

長石先生は、いつもの優しい雰囲気に包まれていた。

「じゃあ、なんで学校から離れたあの公園いたの?」

「学校の居たくなかったからです。」

「嫌なことされた?」

「……」

友紀は黙ったまま頷いた。

「そっか。だから、学校を飛び出して、公園に逃げ込んだのか。泣いても泣いてもなにも変わらなくてそれで、リスカをしたの?」

「………はい…」

「……そっか。辛かったんだね。どうすることもできなくてごめんね。」

「いいえ、大丈夫です。心配してもらえるだけで、嬉しいです。」

友紀は助けてもらえて、話を聞いてくれて、本当に嬉しかった。

この日、友紀は長石先生がより一層好きになった。

68:友紀菜:2015/03/25(水) 18:07 ID:TOU

長石先生は、微笑んだ。

「友紀ちゃん。なにかあったら遠慮なく言うんだよ。」

「はい。」

友紀も微笑んでそう言った。

「友紀ちゃんは独りじゃないよ。先生がいるからね。先生は信じたらいいからね。先生は友紀ちゃんをわかってあげたいし、助けてあげたいって思ってるよ。」

長石先生は柔らかな手つきで友紀の頭を撫でた。

友紀は、嬉しかった。

つらいとき助けてくれて、正面から向き合ってくれて、いつも優しく笑ってくれて。

「あ、ありがとう…ございます…」

友紀は涙をこぼした。

必死にこらえたけれど涙は止まらなかった。

「泣かなくていいんだよ。」

長石先生は温かな手で友紀の涙を拭った。

「だって、嬉しくて…涙が止まらないんです。」

「そっか。わかった。じゃあ、予約通りまた、火曜日ね。」

「はい。」

「1人じゃ帰れないよね。待ってて、送ってあげるから。本当はあんまりよくないけどね。秘密だよ。」

「そんな、大丈夫ですよ。1人で帰れますから。」

「いいから。さっき独りじゃないよって言ったばかりなのに、1人にはさせられないよ。」

「だって、意味が違いますから。」

友紀は笑ってそう言った。

69:友紀菜:2015/03/25(水) 19:14 ID:nc6

「ハハハッそうだな。まぁいいから。逆に、1人女の子を帰らせたら怒られるから。」

長石先生は笑いながらそう言った。

「え…でも。」

友紀は戸惑いながらそう言った。

「だから、良いって。本当は今日、出張で休診にしてもらってたから、忙しくないし。少しは甘えなさい。ちょっと待っててな。」

そう言って、部屋を出た。

「いつものことだから、気にしないでいいよ。」

長石先生の隣にいた女の先生が友紀に話しかけた。

「あ、はい。」

成海咲良

名札にはそう書かれていた。

成海先生っていうんだ。
知らなかったな。
成海って名字なんだ。
ちょっと意外。

「フフフ。成海って名字なんだって思うでしょう。」
友紀は考えていたことがバレて少しびっくりした。

「あ、はい。」

「よく言われるんだ。よくないけどって言ってるけどよくあることだから。大丈夫。」

「そう…ですか。」

友紀と成海先生が話していると長石先生が来た。

「友紀ちゃん、行こうか。」

「はい。」

「さようなら。」

成海先生は優しく笑ってそう言った。

「さようなら。」

友紀はそう言うと、頭を下げた。

70:友紀菜:2015/03/26(木) 14:54 ID:H1g

友紀は長石先生の後ろをついて行った。

「友紀ちゃん、今篠川先生がどうしてるか知りたい?」

長石先生は少し悲しそうに言った。

友紀は篠川先生になにかがあったんだと悟った。

「知りたいです。」

「…じゃあ、おいで。」

長石先生はエレベーターに向かった。

友紀も長石先生について行った。

長石先生はエレベーターの3階を押した。

「落ち着いて聞いてね。篠川先生はね。今、入院してるんだ。」

「え……な、んで…」

友紀は心が凍りついた感覚におそわれた。

「お腹の赤ちゃんに異常があったみたいで、篠川先生も危ないみたいなんだ。」

「う…そ……でしょ…うそですよね?まさか、篠川先生死んじゃったりしないですよね?」

「わからない……」

「……」

友紀は心だけでなく全身凍りついた感覚におそわれた。

「友紀ちゃん、諦めたらだめだよ。大丈夫だから。」

「……」

友紀は何も言えなかった。

ただただ、悲しくて、大切な先生を失うのが怖かった。

71:宮下:2015/03/26(木) 17:02 ID:etc

篠川先生大丈夫かな・・・??

ど、どうしよう・・・。

72:颯:2015/03/26(木) 22:10 ID:BuU

読ませていただきました。
傷付きやすい心。理解が得られない状況。
リストカットから始まるままならない出来事がよく伝わってくる作品でした。
しかし、はっきり言って文脈と展開が雑すぎます。
というのも説明文が全て過去形「〜た」で終わってしまうほどに単調だからです。
見えた、笑った、走った。
駄目というわけではありませんが、大概過去形で終わる文は言い切りであり、
言い切りの文は状況説明の最低限度の文です。

よって説明文を言い切りで構築すると、本来そこに入るはずであった、
登場人物達の思いや感情が読者に全く届かなくなり、
結果として読者は「出来事」だけを頭に詰め込まれたまま、
何の感動も無く物語を読み終えてしまいます。

「〜た」という言い切りが多いと感じたら、笑う、走っている。
などの次に続く言葉、現在進行形などを使って、
もっと細かく、繊細にキャラの感情を訴えてみてください。
また、物語の結末から逆算して、キャラのとるべき行動を考えてみると、
さらに深みが増すと思いました。
(心配しているなら葛藤を感じさせる言動を入れる。
一般的に言うフラグ、え? もしかして・・・
と読者に思ってもらえるようにするといいと思います)

73:友紀菜:2015/03/27(金) 21:36 ID:i6U

>颯さん

見てくださって、ありがとうございました。

>宮下さん

本当にいつもコメントありがとうございます。
篠川先生…どうなるのでしょう…?

74:友紀菜:2015/03/27(金) 22:03 ID:i6U

友紀の体は震えていた。

「友紀ちゃん、大丈夫?顔色悪いし、震えてるよね?」

長石先生は心配そうに声をかけた。

「だ、大丈夫…です。」

エレベーターは3階についた。

長石先生は篠川先生の病室に向かっている。

友紀はただ長石先生について行った。

病棟に入ると、長石先生は病棟の先生と少し話をした。

長石先生は篠川先生の個室の前で立ち止まった。

75:友紀菜:2015/03/27(金) 22:06 ID:i6U

長石先生は入ろうか迷っている。

「友紀ちゃん。本当に行くかい?」

「はい。」

友紀は頷いた。

コンコンッ

長石先生はノックをすると篠川先生の個室に入った。

篠川先生の返事はなかった。

友紀も長石先生につづき入った。

「え……」

友紀は思わず声をこぼした。

篠川先生は、酸素マスクをしていて、体も細くなっていて、見るからに病人って感じになっていた。

篠川先生はただ眠っているように見えた。

友紀は、呆然と立ち尽くした。

この前まで、あんなに元気そうだったのに。

なんで……

なんでこんな事に……

篠川…先生……

私をバタッ

突然、友紀はあまりにもショックで倒れた。

長石先生は友紀が倒れた音ですぐに気づいた。

「友紀ちゃん?友紀ちゃん!」

長石先生は必死に、友紀を揺すった。

でも、友紀は目を覚まさなかった。

長石先生は友紀を抱き上げると急いで友紀を運んだ。

76:宮下:2015/03/28(土) 07:21 ID:etc

友紀ちゃーん!!どうなっちゃうんだろう・・・。

先が読めないよぉ・・・。気になるよぉ・・・。

77:友紀菜:2015/03/29(日) 12:29 ID:CFk

>宮下さん

いつも、ありがとうございます。
友紀はどうなっているのでしょう?
続き書きますね。


白いカーテン、白い天井、窓からは、赤い空が見れた。

友紀は、病院のベッドの上で目を覚ました。

周りを見渡すと、ここは病院だとわかった。

なんで、ここに居るの?
私、篠川先生の所に居たんじゃ……?

友紀はそう思った。

誰かの足音と話し声が聞こえている。

「友紀ちゃん、どうされたんですか?」

「遥ちゃんの事言って、会わせてあげたら、倒れちゃって。多分、強いショックと軽い貧血かな。もう少し考えるべきだったかな。」

その声は長石先生と成海先生の声だった。

シャーッ

長石先生がカーテンを開けた。

長石先生はびっくりした表情になった。

「友紀ちゃん、起きたの?良かった。大丈夫?」

友紀はゆっくり体を起こした。

「はい。先生、私篠川先生に会えて良かったって思ってます。確かに、とてもショックでした。でも、何も知らず、後から突然聞いていたら、もっとショックだったと思います。」

友紀はきっぱりとそう言った。

78:友紀菜:2015/03/29(日) 18:08 ID:NeU

長石先生はびっくりしていたが、安心そうにした。

「そっか。友紀ちゃんが良いならそれはそれでいい。じゃあ、帰ろうか。」

「はい。」

友紀は長石先生に連れられ、家に帰った。

「じゃあ、ここでいいかな?」

「はい。ありがとうございました。」

友紀はお辞儀をした。

長石先生は手を振ると、帰って行った。

友紀は家に入った。

「ちょっとどこ行ってたの!学校から勝手に逃げ出して、いい加減にしなさい!」

お母さんはそう言うと、友紀を叩いた。

「ごめんなさい。」

友紀は本当は反抗したかったけど我慢した。

「小林先生からも、電話があってさんざんだったんだから。病院に居たってどういうことよ!」

あぁ長石先生が連絡してくれたんだ。
良かった。

病院に居たって知らなかったらもっと言われるんだろうな。

友紀は長石先生に感謝した。

「貧血だって。」

「あっそ。いい加減にしなさいよね。お母さん、それじゃあ、おじいちゃんのとこ行くから。」

バタンッ

お母さんは家を出た。

79:宮下:2015/03/30(月) 07:21 ID:etc

お母さんひどくないですか?!ヽ(`Д´)ノプン プン

いつもおもしろいですね!!その才能がほしい・・・。(・-・)

80:友紀菜:2015/03/30(月) 09:14 ID:vu.

>宮下さん

お母さんひどいですよね。
面白いといってくださってありがとうございます。
そんな才能なんてないですよ。

81:友紀菜:2015/03/31(火) 11:35 ID:kJ.

家には、重たい空気だけが、取り残されていた。

友紀は全身の力が抜けて、座り込んでいる。

「ひどい……病院に行ってたって知ってたくせになんで、なんであんな風に言われなきゃいけないの?私ってそんなにどうでもいい存在なの?」

ポタッポタッ

友紀の目からは、涙が溢れていた。

私は、何度泣いたらいいの?

何度傷ついたらいいの?

何度泣いたら変われるの?

何度傷ついたら変われるの?

なんで、私が生きてるの?

ねぇ長石先生…

私は何のために、ここにいるのでしょうか?

友紀は、動く気力すらなく、ずっと座り込んだ状態から動けなかった。

82:友紀菜:2015/04/02(木) 09:48 ID:Pb.

友紀はずっと座り込んでいた。

切りたい。

いつの間にか、そう思っていた。

すると、体もいつの間にか動いて、自分の部屋に行っていた。

部屋は赤く薄明るかった。

切りたい。切りたい。

友紀は切りたい一心でカッターを取り出した。

そして、手首の上を何度も滑らせた。

手首は紅い血まみれになっていた。

あーそっかぁ。

私が長石先生に助けを求めたから、こんな目にあったんだ。

私は人に助けを求めたら絶対に後から傷つく。

神様は、私が幸せになることを望んでいないんだ。

私は傷つくべき人なんだ。

きっと……

友紀は助けてもらうことが急に怖くなった。

そして、涙は自然と溢れていた。

友紀はただただ泣いた。

なんで涙が溢れるのかなんて分からないまま。

83:友紀菜:2015/04/06(月) 08:45 ID:uq6

友紀は泣き疲れていつの間にか寝ていた。

部屋が、明るい光に包まれる頃友紀は目を覚ました。

「今日は学校行かなくていいんだ。」

友紀は少しほっとした。

友紀はその日、何もせず、ただぼーっとして過ごした。

次の日は、音楽を聞いて、ただぼーっとして過ごした。

2日間ともお母さんは帰ってこなかったため、友紀はリスカをせずに過ごすことができた。

友紀にとっては、貴重な静かな時間になった。

空は真っ暗になり、星が輝き始めた頃、友紀はもう寝てしまった。

84:蓮奈 hoge:2015/04/08(水) 20:02 ID:Dvk

すき

85:友紀菜:2015/04/11(土) 11:16 ID:FRE

空が明るくなり始め、部屋には暖かい光が差している。

友紀は目を覚ました。

「ねむ…」

友紀はスマホの電源をつけた。

「あ…今日から学校か……」

友紀の心は一瞬で沈んでしまった。

友紀は、朝ご飯を食べ、朝の準備をした。

着替えているとふと手首が見えた。

手首はリスカ痕でボロボロだった。

「昔は傷痕なんてないきれいな手首だったのにな。いつからこんなに汚い手首になったのかな。」

友紀は手首をなでながらそう言った。

そしていつも通り家を出た。

「今日行けば、病院。今日行けば、病院。長石先生に会える。だから、今日1日頑張らなきゃ。」

友紀は学校に行きたくなくて仕方なかったけど、そうつぶやき心に言い聞かせた。

86:友紀菜:2015/04/19(日) 10:28 ID:0wY

もしかしたら今日は平和な学校生活が送れるかも。

友紀はそんな甘い期待をした。

しばらくすると学校に着いた。

相変わらず、人は多く、ざわついていた。

友紀は自分の下駄箱を見た。

「あ、ある…」

今日は友紀のスリッパはきちんときれいなままで下駄箱に入っていた。

「良かった…」

友紀は思わず微笑んだ。

友紀は安心してしまった。

今日は、スリッパも隠されてないし、なにか嫌なことがあった訳でもない。

今日は、何も嫌なことはない。

人生、嫌ことがあったなら、楽しいこともある。

友紀はそう思った。

でも、平和な学校生活が送れることはなかった。

87:ミックス ミックス:2015/04/19(日) 18:30 ID:cNA

友紀良かったね!

88:宮下:2015/04/19(日) 19:50 ID:etc

何か、裏がありそうで怖い・・・。

89:ミックス ミックス:2015/04/19(日) 22:04 ID:cNA

確かに何か裏がありそうですね。

90:友紀菜:2015/04/21(火) 09:58 ID:7sI

宮下さん、ミックスさんコメントありがとうございます。

裏がありそうですよね〜

では、続きをどうぞ。

今日は教室へ向かう階段が歩きやすかった。

なんか、心が軽いな。

友紀はそう思った。

そして、やけに騒がしかった。

それが、最悪な学校生活が始まる予兆とは友紀は知らなかった。

友紀は軽い心で教室に入った。

バッシャー

「キャー」

友紀はびっくりして思わず叫んでしまった。

ポタッ…ポタッ…

友紀の体からは水が滴り落ちた。

友紀は水をかけられた。

「アハハハハッ水浸し☆きったな〜い〜」

久美はそう言って笑った。

クラスからはまた汚い声。

「うわ〜かわいそー久美もやるね。」

「きれいな水が汚い水になったじゃん汚いし。」

友紀は一言一言を気にする心の余裕はなかった。

どう…して……

私は幸せになったらいけないの?

私は、普通に学校生活が送りたいのに……

助けてよ……

「っていうか早くこの教室から出て行ってよ。あんたの机なんてないのよ。」

友紀は自分の机を見た。

「え…う、うそでしょ…?」

久美の言うとおり友紀の机はなかった。

91:友紀菜:2015/04/21(火) 12:46 ID:R6M

「この教室にあなたの居場所なんてないのよ。早く消えて!」

「消えろ!」

「さっさと消えろ!」

クラスのみんなが口々にそう言った。

あ、そうだった。

私は幸せになれないんだ。

傷ついていればいい人間だもんね。

期待なんてしてバカだな。

だれも助けてくれる訳ないのにさ。

独りぼっちなんだから……

友紀は忘れていたことに気がついた。

92:ミカ ミカ:2015/04/21(火) 18:15 ID:cNA

裏はこういうことですか。久美最低(プンプン)です!

93:友紀菜:2015/04/21(火) 18:42 ID:V2s

>ミカさん

コメントありがとうございます。

久美最低ですよね。

良かったら続きも読んでください。

94:友紀菜:2015/04/22(水) 08:12 ID:F2M

「ちょっと、何の騒ぎなの!高橋さん、あなたなんで水浸しなの?」

「………」

友紀は何も答える事が出来なかった。

いじめられて、水かけられました。
なんて言える訳ないじゃん。

なんにも分かってくれないんだから。

友紀は思った。

「高橋さんは保健室行きなさい。バスタオルがあるはずだわ。拭いて待っていなさい。鍵は、自分で開けてちょうだい。」

「はい…」

友紀は小さく返事をして、そそくさと教室から逃げた。

「っ……っ…」

友紀は階段降りながら静かに涙を流した。

助けて…

助けてよ……

長石先生………

お願いだから…

私を独りぼっちにしないで……

友紀は涙を拭いて職員室の扉を少しだけ開けた。

「失礼します。保健室の鍵借ります。」

友紀はそれだけ言って、職員室入ってすぐの所から鍵を取って、失礼しましたと言って保健室に逃げ込んだ。

バスタオルを体に巻きつけて友紀は泣いた。

ただただ泣いた。

篠川先生がいない、保健室は寂しく、静かで、暗かった。

95:ももちゃん takarazima1@gmail.com:2015/04/22(水) 08:28 ID:sVk

【ももちゃん小説】は夢小説です。書くのも読むのも勿論無料です。小説内に登場する主要キャラクターの名前を 自分の好きな名前へ変換する機能がついた小説です。
他にもドリーム小説やドリー夢小説などと呼ばれています。 ドリームノベルは、この機能[名前変換]="ドリーム設定"に特化した小説投稿サイトです。
"ドリーム設定"を使うことにより、小説を読む際に登場キャラクターへより深い感情移入をすることが可能になるのです!!検索して是非小説を書いてください。

96:友紀菜:2015/04/22(水) 17:46 ID:F2M

>ももちゃんさん

すみません。

他で小説は書けません。

97:宮下:2015/04/22(水) 21:04 ID:etc

み、水浸し…?

やりすぎじゃないっすか?!😞

98:友紀菜:2015/04/25(土) 10:52 ID:ucA

>宮下さん

いつも、読んでくださってありがとうございます。

水浸しはやりすぎですよね。

でわ、続きをどうぞ〜



全身水浸しになった友紀はいくら5月下旬だからって、少し肌寒く感じていた。

「さすがに少し寒いな。」

涙も枯れ果てた頃に、小林先生は来た。

「高橋さん、これ体操服、勝手にロッカーから出したわよ。まぁこれに着替えてなさい。それなら少しはいいでしょ。しばらくは、保健室にいなさい。また、来るわ。」

そう言うと小林先生は保健室から出て行った。

「はぁ…寂しい先生だな。愛の一つもない、優しさの一つもない気遣いの一つもない。」

友紀はボソッとそう言うとベッドのカーテンで見えないようにし、体操服に着替えた。

こんなとき篠川先生が居たらな…

篠川先生なら、もっと優しくてくれるのに……

友紀はそう思った。

99:友紀菜:2015/04/25(土) 13:39 ID:MNo

友紀は体操服に着替えても、寒気が止まらなかった。

頭がボーっとして、熱っぽかった。

「はぁ…熱でもあるのかな?」

友紀はそうつぶやいた。

一限目が終わった頃に小林先生は来た。

「あら?高橋さん、顔色悪いわよ。大丈夫?熱計ってみて。」

小林先生はそう言って、体温計を友紀に渡した。

ピピピッ

38・5℃

「あら、すごい熱じゃない!早退した方がいいかしらね。お家の人に連絡してみるわね。」

「先生、お母さんに連絡つかないと思うので、まだ調子のいいうちに歩いて帰ります。」

「そう?気をつけてね。まずは荷物持ってくるわね。」

そう言って、小林先生は保健室を出た。

そして、その日友紀は早退した。

100:ぽち:2015/04/25(土) 19:10 ID:3qk


私もいじめられていた時期がありました。
この小説のように水を浴びたり机がなくなったり(幸い部活内だったので)はしかなったですけど、マスクや上靴を隠されたり落書きはたびたびありました。

そのグループとは縁を切り今は全く関わっていません。

リスカも数えきれないくらいしました。

だからなんだ、と思うかも知れませんが、私はこの小説を読んで前の自分と似ているなって思いました。

更新楽しみにしています。

101:ミックス ミックス:2015/04/25(土) 22:53 ID:cNA

ぽちさんいじめられてたんですか!私はいじめにあったことないですね。なのでこの小説で少し勉強(?)してます
これからも頑張ってください!!

102:友紀菜:2015/04/26(日) 09:25 ID:NeU

>ぽちさん

読んでくださってありがとうございます。
ぽちさんには辛い時期があったんですね。
私も、この小説に出てくるようないじめにはあいませんでしたが、仲の良かった女子に仲間外れにされたことはありました。
私は今もリスカをしています。

この小説には私に似た感情表現が入っています。

もしかしたら、ぽちさんと私は少しにている部分があるかもしれないですね。

続き楽しみにしていてください。

>ミックスさん

読んでくださってありがとうございます。

この小説で勉強してもらえてるなんて、聞くととても嬉しいです。

続き楽しみにしていてください。

103:友紀菜:2015/04/26(日) 09:58 ID:NeU

友紀はフラフラしながら、家に向かった。

熱がでてくれて良かった。

これで、今日は学校終わりだもん。

今日は辛い思いしなくていんだ。

でも……

また、学校行けば、ああやって私は傷つけられる。

なんで、私なの?

友紀はなんとか家に着いた。

そして、すぐに自分の部屋に入った。

「ハァー」

友紀は、私服にきがえるとベッドに倒れ込んだ。

「100個良いことがあっても、嫌なことが1個でもあったら、その日は嫌な日になるって本当だったんだ。良いことが100個なんてなかったけど。」

友紀はそうつぶやいた。

友紀はしばらくボーっとしていた。

「あ、制服乾かさなきゃ。」

友紀は制服が濡れていることを思い出した。

友紀はベランダに制服を干した。

カシャン

何かが落ちた音がした。

友紀は何だろう?と思い落ちた音がした所を見た。

「あ。」

落ちたのはカミソリだった。

「あの時のか…これで切れば、誰か助けてくれるかな?長石先生みたいに。なんてね。そんな良いことがある訳ないよね。」

友紀は悲しそうにつぶやいた。

友紀はカミソリを持って、部屋に戻った。

104:ぽち:2015/04/27(月) 19:14 ID:PSo


>>101
ありがとうございます!

>>102
はい。やっぱり仲間はずれやいじめはいけませんよね。
リスカしてるんですか!?
リスカって危険ですから…、私いつでも話聞くんでリスカ控えて下さい…。
なんか上からだけどほんとに傷ついてほしくないです。

105:宮下:2015/04/27(月) 19:57 ID:etc

そうですよ。もっと、自分を大切にして下さい。

あと、小説も楽しみに待ってますからね?

頑張ってください!!

106:友紀菜:2015/04/27(月) 21:20 ID:UAM

>ぽちさん

ありがとうございます。
そうやって思ってくれる人が居てくださって嬉しいです。
少しずつ減らしていくよう努力します。

>宮下さん

そうですよね。
自分を大切にするよう努力します。
引き続き頑張りますね。

107:友紀菜:2015/04/28(火) 09:42 ID:TEQ

外は灰色の雲で、埋め尽くされていた。

友紀はベッドに横になっていた。

何にも考えずにいると、嫌なことばかり頭に浮かんで感情につぶされそうになった。

友達なんていないし、お母さんも先生も私のことなんて見ちゃいない。

毎日毎日、苦しい思いをしてまで、生きていく意味はあるのかな?

私が居なくなっても、誰も悲しまないし、誰も泣いてはくれない。

私は独りぼっちだから……

友紀の目からは涙が溢れていた。

苦しいよ…

助けてよ……

そんな思いは儚かった。

友紀はカミソリを握り締めた。

袖を捲り上げて、手首の上にカミソリをあてた。

少し力を入れて、手首の上を滑らした。

何度かそれを繰り返すと手首には紅い線がたくさんになっていた。

たらーと紅い血は手首を滑ると足に落ちた。

友紀は慌てることはなく、ティッシュで拭いた。

友紀はしばらく手首を見つめていた。

「いつか、傷つけなくて良い日はくるのかな?」

友紀はそう言って大粒の涙を流した。

108:友紀菜:2015/04/28(火) 14:08 ID:Wzg

友紀は消毒液で湿らしたティッシュを手首にあて、リストバンドで固定した。

手首の傷は絆創膏で隠れるような小さな傷ではなかった。

熱のせいなのか、頭がクラクラして、熱っぽく、起きているのが、少しつらかった。

友紀はベッドに横になると眠りについた。

外は星も月も雲の中で輝きを消している。

友紀は目を覚ました。

「あら、起きたの?」

友紀のそばには元気そうなお母さんがいた。

今日は機嫌が良さそうだった。

「お母さん?なんで?」

「学校から電話があって、熱があるみたいだから、病院に連れて行ってって言われたの。いろいろ流行ってるみたいだし。」

「そう。なら大学病院に連れて行って。」

「なんで?」

お母さんは不思議そうな顔をした。

「予約が入ってるの。篠川先生と行った時にまた来てって言われたの。」

お母さんはそれを聞くと笑顔になった。

「予約が入ってるのならちょうど良いわね。分かったわ。熱さまシート持ってくるわね。ご飯はおかゆで良いわね。」

そう言ってお母さんは下に下りた。

これで、明日必ず長石先生に会える。

友紀は嬉しかった。

109:ぽち:2015/04/28(火) 18:06 ID:MDM


>>106

なにがあっても応援しています(p´エ`)q

110:友紀菜:2015/04/29(水) 11:06 ID:mzc

>ぽちさん

ありがとうございます。
そういってもらえると嬉しいです。
続き書きますね。


友紀は夜を穏やかな気持ちで過ごした。

友紀は朝よりも熱があり、体がだるく、ぐったりしている。

「友紀大丈夫?救急で診てもらおうか?」

お母さんはそんな友紀を見て珍しく心配をしていた。

「いい。長石先生が良いから。」

「そう?じゃあ、今日はもう寝なさい。」

お母さんはそう言って、部屋の電気を消して、下に下りた。

こんなにえらいときでも、頭をぐるぐると嫌な思いが駆け巡る。

友紀はどうしようもなく、えらくなってあることを決めた。

もぅいいや、薬たくさん飲めばいい。

そうすれば、死ぬにしろ、生きるにしろ、楽になれる。

友紀はフラフラしながら、薬を探し始めた。

でも、あったのは、よくわからない薬10錠だった。

まぁいっかと思いながら下に下りた。

「友紀、どうしたの?」

友紀はお母さんの声に一瞬ビクッとした。

「ちょっとトイレ。」

「そう。早く寝なさいよ。」

「うん。」

友紀は、洗面所に行って薬を10錠飲んだ。

友紀はその後トイレに行って部屋に戻った。

友紀はベッドに横になると眠りについた。

111:友紀菜:2015/05/03(日) 10:12 ID:mzc

「友紀!しっかりして。行くわよ。」

「ん……」

友紀は病院にほとんど記憶のない状態で来ていた。

自分の診察の番になったのも気づかなかった。

「早く行くわよ。」

お母さんは一緒に診察に行こうとした。

「私一人で行かないといけないから。お母さんは後からだから。」

友紀はそう言って、診察室に入った。

いつもの優しくて明るい雰囲気で長石先生はいた。

成海先生もいつものように長石先生の隣にいた。

「調子はどう?」

長石先生は笑顔で聞いてきた。

「悪いです……」

友紀は弱々しく答えた。

「顔色も悪いし、体調も悪いかな?」

「はい。」

長石先生は友紀の手を取り、脈拍をみると少し顔をしかめた。

それから、心臓の音を聞かれたりした。

「友紀ちゃん、いつから体調悪い?」

「ずっと、頭痛はあって昨日は水かけられて、熱が出て、それから……」

友紀は薬を飲んだ事を言うべきか迷った。

「それから?」

「それから………薬…10錠飲みました……」

「この一週間辛かったんだね。そっかそっか。話はたくさん聞きたいけどまず、検査してきて。」

「はい…」

友紀は看護師さんに連れられて、検査をしに行った。

112:友紀菜:2015/05/03(日) 10:35 ID:mzc

友紀は検査を終えて、また診察に行った。

「悪い所は一応ないね。」

友紀はその言葉を聞いて少しホッとした。

「友紀ちゃん、手見ても良い?」

「はい。」

友紀は手首を見せた。

「うーん。増えてるね。この一週間何があったか聞かせて。」

友紀は涙を必死にこらえながら、全部話した。

「そっかそっか。うんうん。でも、生きててくれて良かった。」

長石先生は優しい手で友紀の手を包み込んだ。

そして、少し表情を変えた。

「友紀ちゃん……入院しない?」

「え…」

友紀はあまりにも急でびっくりした。

「独りにしてるのは可哀想だし、頭痛続いてるなら、入院中に検査したらいいと思う。それに、先生がいるから。入院したら、楽になれると思うよ。本当は、精神科の閉鎖病棟に入院させたいけど、小児科の普通の病棟に入院させてあげるから。嫌かな?」

「先生がいてくれるんですよね?」

「もちろん。」

「分かりました。入院します。ていうか入院したいです。」

長石先生は友紀の答えを聞くと笑顔になった。

「よし。じゃあお母さん呼んできて。」

「はい。」

友紀は少し戸惑ったけど、入院することになって嬉しかった。

113:友紀菜:2015/05/08(金) 06:50 ID:oic

「お母さん。先生が呼んでる。」

「分かったわ。」

お母さんは診察室に入っていった。

これで、楽になれるよね?

長石先生がいてくれるんだよね?

これで、独りぼっちじゃないんだよね?

友紀はいつの間にか微笑んでいた。

入院できて嬉しくて。

楽になれて嬉しくて。

独りぼっちじゃなくなれて嬉しくて。

友紀は長石先生がますます好きになった。

「高橋さん。」

そこには看護師さんがいた。

「あ、はい。」

「入院の準備があるので来てもらえますか?」

「はい。」

友紀は立ち上がった。

そして、看護師の後ろについて行った。

114:友紀菜:2015/05/10(日) 10:46 ID:Gso

友紀は入院の準備を済ませた。

昨日より熱があったから、点滴もされた。

友紀はぐたーっとなっていた。

歩いて、病室に行けそうにないので、車いすで病室まで連れて行ってもらった。

そして、ベッドに寝かされた。

「高橋さん、大丈夫ですか?」

「はい…一応。」

「何かあったらナースコール遠慮なくならしてくださいね。」

そう言うと看護師さんは出て行った。

体がだるい。

薬のせいもあるのかな。

友紀はなんだか眠くなりいつの間にか寝てしまった。

115:友紀菜:2015/05/10(日) 10:57 ID:miw

「友紀ちゃん。友紀ちゃん。」

成海先生が友紀を何度も呼んでいる。

友紀はその声で目を覚ました。

「成海…先生?」

友紀は起きたばかりで少しボーっとしていた。

「私、看護師だから先生なんて言わないで。なんか恥ずかしいから。」

成海先生は少し顔を赤らめていた。

友紀はそれを見て微笑んだ。

「でも、成海さんより成海先生って感じなんですよ。」

「そう?でも、先生はなしね。」

「じゃあ、咲良さんにします。」

友紀がそう言うと、咲良さんは微笑んだ。

116:友紀菜:2015/05/10(日) 11:23 ID:miw

「下の名前で呼ばれるの初めて。ありがとね。」

「どういたしまして。あっ外来はいいんですか?」

「長石先生にみてきてあげてって言われてね。もうすぐお昼ご飯の時間だし、お母さん帰っちゃったみたいだし…心配だからって。先生も午前のが終わったら行くって言ってたけど、内科に後から来てって言われたみたいだから先生は来れないかな。」

友紀は荷物が置いてあることに気づいた。

入院したってお母さんは心配もしてないのか…

「そう…ですか。わざわざ来てくださってありがとうございます。」

「どういたしまして。長石先生はね内科が忙しい時と高校生が心の相談に来るときだけ、内科に行ってるんだ。高校生の場合は予約制だから、今日は忙しいみたい。小児科は月曜日と火曜日と金曜日に第三水曜日はいるよ。お昼ご飯持ってきてあげるわね。」

そう言って、咲良さんはお昼ご飯を取りに行ってくれた。

「はい。どうぞ。食べ終わったら他の看護師さんが取りに来てくれるからね。今のところは元気にやってるけどお母さんが引っかかってますって伝えとくね。じゃあ。」

そう言って咲良さんは出て行った。

なんで、お母さんのこと分かったんだろう?

友紀はすごいなって思った。

117:ミックス ミックス:2015/05/10(日) 11:49 ID:cNA

皆さんお久しぶりです!友紀さん入院して心が少しでも安らぐといいですね♪これからも頑張ってください!

118:友紀菜:2015/05/10(日) 21:19 ID:ZqE

>ミックスさん

いつもありがとうございます。
友紀安らげるといいですよね。
これからもよろしくお願いします。

119:友紀菜:2015/05/13(水) 20:26 ID:miw

友紀はお昼ご飯を食べ終えた。

すると、何もやることがなくなったので荷物を全部見た。

着替えやスマホ、ミュージックプレイヤー、筆記用具、本、漫画、お金、テレビカードなど、入院中暇しないようにいろんなものがあった。

まぁちゃんと必要なものはあるしいいか。

でもな……

友紀はやっぱり、お母さんが寝ている間に帰ってしまった事が心に引っかかっていた。

本を読もうか迷ったが、体がだるくてなにもする気になれず、音楽を横になって聞いていた。

でも、すぐに眠くなり、寝てしまった。

120:友紀菜:2015/05/17(日) 10:07 ID:dik

外は薄明るくなってきている。

友紀は目を覚ました。

「今何時だろう?」

友紀は1人小さくつぶやきスマホを見た。

18:14

もうそんな時間か……

点滴のおかげか、熱も下がったみたいだし、少し体が軽くなった。

友紀はしばらくボーっとしていると、ふと左手首に目がいった。

あまり覚えていなかったが左手首には包帯が巻いてあった。

私のカッターやカミソリは?

友紀は飛び起きて、制服のスカートのポケット、ペンケースの中、ポーチの中を探した。

「あ…あった。良かった。」

シャー

「なにがあったの?」

カーテンが開く音とほぼ同時に長石先生がそう言った。

長石先生と一緒に咲良さんもいた。

121:友紀菜:2015/05/17(日) 10:26 ID:dik

友紀は探すのに必死で、先生たちの足音に気がつけなかった。

友紀はびっくりしたし、とても焦った。

カッターやカミソリ探してました、なんていったら、病院でリスカするなって言われて、取り上げられそうだしな。

「な、なんでもないです。いるものがちゃんとあっただけです。ていうか、突然入って来ないでくださいよ。びっくりするじゃないですか。」

「ごめんごめん。まあいいけど。体調はどう?」

「少しよくなりました。」

「それは良かった。でも一応熱計って。」

長石先生がそう言うと咲良さんが体温計を出してくれた。

「友紀ちゃん。先生リスカするな、なんて言わないから、大丈夫。」

え…

「いいんですか?」

「うん。薬はダメだけどリスカはいいよ。もちろん、やめれるならやめてね。」

ピピピッ

体温が計れたので、長石先生に渡した。

「んーでも、微熱はあるね。入院中はゆっくり休んだらいいからね。何かあったら、言えばいいからね。じゃあまた来るね。」

長石先生と咲良さんは友紀に手をふると、出て行った。

122:友紀菜:2015/06/05(金) 22:34 ID:7sI

長石先生って本当に優しいな…

咲良さんも。

友紀はそう思った。

シャー

「高橋さん。ご飯ですよ。」

カーテンが開く音がすると、看護師さんが、夕ご飯を持って来てくれた。

「ありがとうございます。」

友紀はそう言うと看護師さんはニコッと笑い去っていった。

「吉岡さん。ご飯ですよ。」

また看護師さんの声がする。

この病室に私以外の人が居たんだ。

全然覚えてないけど。

その後、看護師さんは他の病室に行ったようだった。

ここは2人しか居ないんだ。

友紀はそう思った。

「いただきます。」

友紀は小さな声でそう言うとご飯を食べ始めた。

お味噌汁にご飯、焼き魚にサラダにいちご。

おいしいそう。

でも…

あんまり食べたくないな。

友紀はこのところ、食欲はあまりなく少し残してしまった。

123:宮下:2015/06/08(月) 06:23 ID:etc

しばらく来てなくてごめんなさい😢

やっぱり、この小説面白いです!

これからも頑張ってください!!

(毎回言ってるような気がする・・・。)

124:友紀菜:2015/06/21(日) 09:59 ID:aF2

>宮下さん

お久しぶりです。

いつもありがとうございます。

何回でも言ってもらえると嬉しいです。

125:友紀菜:2015/06/21(日) 10:19 ID:aF2

友紀が食べ終わって少しすると看護師さんが来て食器を運んでくれた。

それから友紀は真っ白な天井をしばらくボーっと見つめている。

なんか、変な感じがするな。

こんなに穏やかで静かな時間って普段ないからかな?

その後は特に何も変わったこともなく、消灯時間になった。

友紀はなかなか寝付けなかった。

いつもより小さな音で音楽を聞いてみたが、全く寝付けなかった。

何時間かすると、看護師さんが見回りに来られた。

「友紀ちゃん、寝れない?」

看護師さんは友紀が寝れていないことに気づいたらしい。

「はい…」

友紀は小さく答えた。

「そっか。なかなか寝れないようなら、トイレ行ってみたら?入院してからまだ一回もトイレ行ってないでしょ。」

「はい。そうしてみます。」

友紀は看護師さんの言うようトイレに行くことにした。

126:友紀菜:2015/06/21(日) 11:34 ID:noM

友紀は重たい体をゆっくり起こしてトイレに向かった。

点滴してるからか、なんだかトイレがしにくかった。

トイレを済ませ、病室に戻ろうとすると、友紀と同じくらいの年頃の女の子と目があった。

彼女も点滴をしていた。

身長は友紀より低く、髪の長さは肩ぐらいで、ガリガリに痩せて、骨がくっきり浮き出ていた。

あぁ、きっと、拒食症なんだろうな。

彼女がなぜ入院しているのか友紀でもわかった。

「あ、あの…高橋友紀さん…ですか?違ってたらごめんなさい。」

彼女の声はか弱く、可愛らしい声だった。

そして、とても緊張しているようだった。

「はい。そうですけど…」

友紀がそう言うと、彼女は笑顔なった。

「私、同じ病室の吉岡優菜っていいます。私、あの病室にずっと1人だったんで、新しい人が入って来てくれて嬉しくて…」

「そうだったんだ。話しかけてくれてありがとうございます。何年生ですか?私は中1なんだけど。」

「私も、中1です。同級生だね。」

「そうだね。もう夜遅いし、明日、いや、もう今日かな?優菜ちゃんのとこ行っていいかな?」

「うん。ありがとう。じゃあ。」

優菜ちゃんはトイレに行った。

友紀は本当に嬉しかった。

127:友紀菜:2015/06/28(日) 15:45 ID:7sI

友紀は病室に戻り、ベッドに横になった。

眠気は全くないがが、目を閉じていた。

しばらくすると、友紀の頭の中を今まで忘れかけていた感情がぐるぐると駆け巡りだした。

私は独りぼっちなんだよ。

誰かに頼って一時的に幸せになれたって、その後絶対に不幸になる。

誰かを信じても、私は失うか、結局捨てられるの。

分かってるでしょ?

友紀の中にあった忘れかけていた感情が溢れ出した。

分かってる…

あの時も、バカみたいに人を信じて裏切られた。

あの時は裏切られなかったし、傷つけられたことは、一度としてなかったけど…失った。

長石先生は、信じても、裏切らないって信じてたい。

優しさや笑顔で溢れていて、私のこと、大切に思ってくれてるって感じる。

でも、裏切らなくても、失うんでしょ。

失わなかったとしても、裏切られるんでしょ。

だったら、最初から、信じなかったらいいのに、なんで信じちゃうのよ。

もぅ絶対に人なんて信じないって決めてたのに……

私のこの気持ちをなかったことになんか出来ないのに……

友紀はいつの間にか涙を流していた。

128:元きのこ:2015/06/28(日) 17:04 ID:zfQ

こういうお話好きです!
ファンになりました!!
続きが楽しみです。

129:友紀菜:2015/07/05(日) 10:26 ID:vu.

>元きのこさん

ありがとうございます。

続きも頑張っていきますので、楽しみにしていてください。

130:友紀菜:2015/07/05(日) 10:49 ID:vu.

友紀は涙を拭くと、カッターを取り出した。

点滴が左手首に刺さっているため、リストバンドがつけれず、手首の傷は丸見えになっていた。

リスカしたって分かるけど、別にいっか。

友紀は、手首の上で何度もカッターを滑らした。

すると紅い線がたくさん出来ていた。

また、紅い線でいっぱいになっちゃった。

別に落ち着くから、いいんだけどね。

友紀は、少し悲しそうに微笑んだ。

ポーチの中から消毒液とポケットティッシュを取り出し、消毒をした。

そして、心が落ち着いたからなのか、いつの間にか寝てしまった。

131:友紀菜:2015/07/06(月) 22:18 ID:4Ms

追加登場人物

成海咲良

看護師。
長石先生と一緒にいる事が多い。
それ以外は、基本的には外来にいる。

吉岡優菜

中1。
拒食症で入院中。
頑張ってご飯は全部食べているけど、なかなか良くならないらしい。

132:友紀菜:2015/08/02(日) 11:09 ID:2V6

「友紀。」

ん…?

この声は……

紫出先生?

「友紀。」

友紀はゆっくり目を開いた。

目の前には、ベージュのカーディガンにグレーのスカートを身にまとった、紫出先生がいた。

「し、紫出先生…?」

「友紀。」

「紫出…先生。なんで…」

紫出先生は悲しそうな顔をした。

「友紀、ごめん。もう、会えない。じゃあ。」

紫出先生はそう言うと、どんどん遠くに行ってしまった。

「待って、行かないでください!私を、独りにしないでください!先生!紫出先生!」



「はっ!」

友紀は飛び起きた。

「ハァハァハァハァ……ゆ、夢?」

友紀の頬は涙で濡れていた。

紫出先生…

会いたいよ。

どうして、私のそばからいなくなったの?

私を独りにしたの?

ねぇ…先生。

友紀は独り静かに泣いた。

133:友紀菜:2015/08/30(日) 11:36 ID:TOU

紫出先生は、友紀にとってかけがえのない存在だった。

すごく怖くて、友紀はいつもおびえていたけど、それでもすごく優しい先生で、友紀は、大好きだった。

友紀は、小5の時担任の先生に裏切られて、深く傷ついた。

もう誰も信じることができなくなった友紀は小6の時に紫出先生に出会った。

初めは怖いし苦手な気がしたけど、出会って一週間もしない頃には、友紀の性格を見抜き、友紀が何を言わなくても、友紀の心の傷に気づいてくれた。

紫出先生は担任でもなかったけど、担任以上に友紀をみてくれていた。

紫出先生だけは、信じることができた。

紫出先生にだけ心を開けた。

134:友紀菜:2015/08/30(日) 11:41 ID:i6U

〜回想〜

友紀は、独り教室で読書をしていた。

いつだって独りで誰にも心を開くことはなかった。

「友紀。ちょっといい?」

「紫出先生?はい。別にいいですけど……」

「友紀。お前、なんで誰も信じようとしないの?」

友紀は、一瞬心臓が止まったかと思った。

なんで、なんでこの先生には、わかるのだろう。

「………」

友紀は黙り込んでいる。

「私は、お前に何があったのか知らない。でも、心にたくさんの傷を抱えてることぐらいわかる。友紀は、人を信じて傷つくのが怖いんでしょ。」

友紀は小さく頷いた。

「そっか。」

紫出先生は、そうつぶやくと、友紀の両腕をつかんだ。

紫出先生は友紀の腕を近くに持ってくるように友紀の腕が伸びた状態した。

友紀は、ビクビクしながら、動かされる手を見ていた。

友紀の手首にはたくさんの紅い線が引かれていた。

友紀はそれがばれるのが怖くて怖くて仕方なかった。

また、誰かにばらされるきがして、いやな目で見られる気がして、気持ち悪いって言われる気がして、怖かった。

135:友紀菜:2015/08/30(日) 16:53 ID:H1g

紫出先生が両手首をつかんで手のひらを上に向けた瞬間体がビクッとした。

紫出先生には、きっと何もかもわかってるんだ。

隠しても無駄かもね。

友紀はうつむいていた。

「痛い?」

紫出先生は優しくそう聞いた。

友紀は長袖を着ていて、傷は見えていなかったが紫出先生は、わかっているようだった。

友紀は黙って首を横に振った。

♪〜♪〜♪〜

休憩時間の終わるチャイムが鳴った。

「友紀が今とてつもなくつらくて苦しくて、誰かに助けてほしいって気持ちが少しでもあるなら、放課後、ここに来なさい。私は友紀を傷つけないから。いつでも助けてあげるから。私のことすぐには、信じれないなら、今日じゃなくてもいいから。私はずっと待ってるから。」

紫出先生はそう言うと教室を出た。

136:友紀菜:2015/09/01(火) 17:20 ID:0Go

紫出先生は、どうしてあんなに優しくて暖かいんだろう?

私の気持ちをすべて受け止めてくれそうな気さえする。

あんなに怖いのに、本当は優しいんだな。

放課後か…

どうしようかな。

紫出先生は、何も言ってないのに、私のこと全部わかってる。

紫出先生を信じてすべて話して、助けてもらいたい。

でも……

怖い。

友紀は悩みに悩んだが、放課後になっても決められず、教室前廊下でうろうろしていた。

「友紀。」

友紀は突然呼ばれて体がビクッとした。

「紫出先生…」

先生、本当に来てくれたんだ。

「友紀。迷ってるなら、教室に入りなさい。そんなすぐすぐ、信じて全てを話してもらえるとは思ってないよ。でも、帰らないでくれてありがとう。」

紫出先生はそう言うと、教室に入った。

紫出先生って本当に私を気にしてくれてるんだ。

普通そんなこと言わないのに。

紫出先生を少しずつ信じてみよう。

紫出先生ならわかってくれる気がする。

私を助けてくれる気がする。

友紀は、教室に入った。

137:おかのうえのばか:2015/09/02(水) 15:18 ID:8Gk

いいですね〜今後の展開、気になります

138:友紀菜:2015/09/02(水) 17:51 ID:3S2

>おかのうえのばかさん

読んでくださってありがとうございます。
続きも読んでもらえると嬉しいです。

139:友紀菜:2015/09/02(水) 18:06 ID:3S2

紫出先生は椅子に座って待っていた。

友紀が教室に入ると優しく微笑んだ。

「よく、決心したね。まぁまずは座りな。」

友紀は椅子に座った。

「友紀。手、見てもいい?」

「………」

友紀は黙ったまま、数秒たつと頷いた。

紫出先生は、今にも壊れそうな物を扱うかのように、友紀の服の袖をまくった。

すると、友紀の両手首に刻まれた、たくさんの紅い線があらわになった。

決して、かわいいものではなく、見るのが痛々しいくらいだった。

紫出先生は、友紀の手首を見ると優しくそっと傷をなでた。

140:友紀菜:2015/09/03(木) 09:47 ID:UAM

そして、友紀の手首を消毒をし、包帯を巻いた。

「ありがとうございます。」

友紀は小さく呟くように言った。

「痛かったでしょ。」

友紀は黙ったまま、首を横に振った。

「傷自体は痛くなくても、心は痛かったんじゃない?友紀。私は、するなとは言わないけど、自分は大切にしなさい。全部1人で抱え込んで、我慢して、周りに気を使って、悩んで、苦しんで…そんなことしなくていい。私は大切な友紀が体も心も傷ついている姿は見たくない。きっと、友紀はそういう性格なんだろうから、少しでも手助けしていくから。」

紫出先生にとって私は大切なの?

そんなこという人誰もいないのに。

なんでそこまで、私のことがわかるの?

141:おかのうえのばか:2015/09/03(木) 16:11 ID:T7M

柴出先生やさしい〜
たしもた担任のせんせい大好きです!
自分のことわかってくれるとなんだか嬉しいですもんね〜

142:友紀菜:2015/09/03(木) 16:43 ID:Gso

>おかのうえのばかさん

読んでくださってありがとうございます。
紫出先生優しいですよね。
書いてて自分でも思います。
これからも続き読んでくださると嬉しいです。

143:ミックス ミックス:2015/09/13(日) 07:44 ID:cNA

お久しぶりです!!!やはりとても面白いです!これからも、頑張ってください♪応援してます!

144:友紀菜:2015/09/28(月) 09:27 ID:ucA

>ミックスさん

お久しぶりです。
いつも読んでくださってありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。

145:友紀菜:2015/09/28(月) 09:54 ID:ucA

「あ、ありがとう…ございます。」

友紀はポロポロと涙を流していた。

「独りでつらかったよね。これからは、私がいてあげるからね。頼っていいからね。そんなに泣くなって。」

そういいながら、紫出先生は友紀を抱きしめた。

あったかい。

「先生は、なんで優しいんですか?」

「優しいなんてそんなの、当たり前の事だからよ。」

「当たり前?」

「私にとっては当たり前なのよ。」

「そうですか。フフッ。」

「何笑ってんの?」

「いや、なんかいいなぁって。私、人と関わるのなるべく避けてましたから。」

「そうだな。」

友紀は本当のぬくもりを感じる事ができた。

146:友紀菜:2015/11/09(月) 12:17 ID:0oA

それから、友紀は紫出先生に少しずつ自分の辛いことや苦しいことや悲しいことをを話した。

家では、この頃、友紀はお母さんからDVを受けていた。
優しい時もあったけど、機嫌が悪いといつも友紀に当たっていたこと。

学校では、友紀はずっと独りだった。
クラスに友紀の存在はないも同然だった。
友紀は、人に関わるのが怖くて友達も作れなかったし、先生とも仲良くできなかった。
ただひたすら、地味に、気配を消して、静かに毎日を送っていたこと。

去年、担任の先生に裏切られて、とても傷ついたこと。

とにかく、すべてを話した。

紫出先生は、無理に、クラスのみんなや、担任に関われとは言わなかった。
お母さんとも、少し距離を置けばいいと言ってくれた。

中学校に行くに向けて、頑張っていこうと言ってくれた。
ただ、そのためには、人と関わらないといけないし、お母さんとも距離を置いてばかりじゃいけないと。

でも、今すぐにとは言わなかった。

友紀は、紫出先生とたくさんの時間を過ごした。

紫出先生は、いつも助けてくれた。

友紀の心の傷を癒してくれた。

147:友紀菜:2015/11/10(火) 08:31 ID:3Vs

でも、すべてがすべてうまくいくことはなかった。

ある日、事件は起きた。

「言われたこともできないのかよ!さっさとやれっていってんでしょ!この、役立たずが!」

そういって、お母さんは友紀を何度も殴って蹴った。

こんな事はいつものことだった。
でも、その日はこれだけじゃなかった。

「役立たずはこうしてやる。」

そう言うと、友紀を階段の上まで連れて行き、友紀を突き落とそうとした。

「嫌っ。やめ……」

友紀がそう言った時にはもう遅かった。

友紀は、階段から落とされた。

友紀は意識を手放した。

気づいた時には、病院のベッドにいた。

「友紀!良かった…」

友紀の隣には、紫出先生がいた。

「紫出…先生…?」

「動くなよ!けがしてるんだから。」

友紀は、手首の骨折、頭、足等の打撲だけですんだ。

それから、お母さんは友紀に暴力をふるうことはなくなったが、友紀の世話をほとんどしなくなった。

148:友紀菜:2015/11/10(火) 08:46 ID:E2k

それでも、紫出先生と過ごしているときは、笑顔でいた。

紫出先生は、いつも優しくしてくれた。

2学期最後の日のことだった。

「紫出先生は、今日で、この学校を辞められることになりました。お世話になった人は、お別れを言っておきましょう。」

突然、担任から聞かせられた。

「うそ…でしょ。そんな……」

友紀は、急いで紫出先生の元へ向かった。

「紫出先生!」

「友紀…」

紫出先生はつらそうな顔をした。

「先生、辞めるってどういうことですか?」

「ごめん。友紀。」

「私の、せいですか?私が、たくさん迷惑かけたから。」

「違う!友紀は、迷惑なんかじゃなかった。ただ……ごめん。もう会えない。ごめんな。」

そう言うと、紫出先生は友紀を抱きしめた。

「じゃあ…」

紫出先生は去っていった。

友紀はまた独りに戻った。

リスカの酷くなった。

そして、中学生になった。

149:ミックス ミックス:2016/02/20(土) 22:46 ID:4WQ

お久しぶりです!連載が止まっていますがずっと応援してます。続き楽しみにしてます♪

150:スターバル発電所:2016/02/22(月) 18:30 ID:sog

イッキ

151:ミックス ミックス:2016/02/22(月) 19:08 ID:4WQ

早く続き読めないかな〜。楽しみにしてます!


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