MisanGA ~6人のアイドルの物語~

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1:空ラビ◆mU:2016/01/08(金) 16:06 ID:TRQ



素直になれないアマノジャクなお姫様と、

ムードメーカーな王子、
キュートで可愛い王子、
チャラいけど優しい王子、
クールでツンデレな王子、
アンニュイな天然王子。


この6人は、一夜にして沢山の人々を魅了した…。

”アイドルとして、人と人を繋いでいく笑顔を生み出していきたい”

強い思いが、アイドル界を大きく変える事となる。

「俺たちの絆は、何があっても繋がっ たまま。」

ミサンガに願いを込めた6人。
それが…。

   < MisanGA >

2:空ラビ◆mU:2016/01/08(金) 16:18 ID:TRQ


はじめまして。
空ラビと申します。

今回から始まる物語は、

沢山の人を笑顔にしていきたい。

そんな思いを持って、アイドルになった6人のお話です。

その6人のユニット名は、

   MisanGA( ミサンガ )。

MisanGAの、
アイドルとしてや、
1人の人間としての恋や友情。

それらを、しっかり書いていけたらなと思っています。

ぜひぜひ、感想はいつでもお待ちしていますのでっ♪
感想いただけると、嬉しくてはりきっちゃいます(笑)

それでは、次から物語は始まります。
お楽しみいただけたら嬉しいです。

3:空ラビ◆mU:2016/01/08(金) 16:30 ID:TRQ



都会の町の、大型モニター。

いつもと比べ物にならないほどの、通学・通勤中の人が、そのモニターをジッと見つめていた。

「僕らは…、まだ知らない…」

ある歌詞の1フレーズが聞こえてくるだけで、高鳴る歓声。

この曲こそ、昨夜沢山の人々を魅了しながらデビューを遂げた、

MisanGAのデビュー曲だ。

瞬く間にアイドル界に現れ、
瞬く間に全てのものを虜にしていったのだ…。

そんな、MisanGAへの歓声や、熱気に包まれた町中を行く車が一台。

その車に乗っていた彼らこそ…。

「あ、俺出てんじゃん。」
「いやいや、実月の方が大きくモニタ ー映ってたけどね?」
「どうでもいいから、黙ってよ。」
「 姫、正論ありがとうな。」
「その前に、葉起こすの手伝ってほし いな。びくともしてないよ…。」
「…ん、ねむいの、…。」


MisanGAだったのだ…。

4:空ラビ◆mU:2016/01/08(金) 17:30 ID:TRQ


No,1「アイドルMisanGA」

キキーッ、

「お前ら、学校着いたぞ。
 降りる準備しろよー!」

元ヤンの、真希奈(まきな)さん。
通称 マッキーの声が車内に響いた。

その声で、たった今まで寝ていた、日下部 葉(くさかべ よう)が起きたみたい。

「んーっ、マッキー、おはよ…」

「葉、おはようはさっき言ったよ?
 起きたら全部おはようになっちゃう なんて、面白いね。」

葉君の隣に座っていた、宮野 怜音(みやの れおん)が綺麗に笑いながら、そう言った。

私、白石 姫梨を入れた6人が、カバンを持つと、車の扉は開いた。

「いいか?アイドルとしての自覚を忘 れるな。
 学校が終わったら、全員ここに集ま れ。
 雑誌の取材、歌番組の収録…。
 結構なスケジュールだからな…、
 とりあえず、行ってらっしゃい!」

その声を合図に、私達は一人一人外へ出ていった。
待ち受けていたのは…、耳をつんざくほどの歓声。

全校のほとんどに向かい入れられているのだから、もちろん嬉しいけれど…

「きゃぁああ、紅様ぁああっ!」

中から聞こえたきたその声に、隣にいた如月 紅(きさらぎ こう)は、

「え、何かうるさい。何で、は?」

と、理由が分からないというような表情をして、私に不思議そうな顔を向けた。

…、この顔だけイケメンが幼馴染みって、ちょっと複雑。

なんて事を思ってしまう程、紅はカッコいい。いや、MisanGAの男子は、顔が整いすぎているほどだけど…。

5:空ラビ◆mU:2016/01/08(金) 20:14 ID:TRQ



私達は、半端ない歓声の前に立ち尽くしていた。

「これ…、通れないよね?」

私が絶句しながら、そう呟けば、

「通れる隙間もくそもねーわ。」

と、頭をがしがしとかきながら、乱暴にそう言ってのける紅。

しかし、MisanGAには、こんなので立ち尽くす事の無い人間が1人いるのだ。

私と紅の間からサッと歩いていく男子。

「…、どいてくれ。
 非常に邪魔なんだが。ファンでいて くれるのは…、嬉しいから、な?」

6:空ラビ◆mU:2016/01/08(金) 20:40 ID:TRQ


ここからは、彼の顔は見えない…、けど。

「きゃぁあああっ!」
「碧斗さまぁああっ!」
「通ってくださいー!」

……。

「碧斗君…、何技使ったの?」

私がつんつんっと、碧斗君の背中をつつくと、ゆっくり振り返って、

「あ“?計算尽くのアイドルスマイル をやったんだよ。」

イケメンとしかいえない顔を歪めながらそう言い捨てた。

や、やっぱり…。
進藤碧斗(しんどう あおと)は、こんな人間だ…。
優しくて思いやりのある、MisanGAの良いリーダーではあるんだけどね。

「ほら、お前ら行け。」

MisanGAの中で一番前にいた私と紅に、顎で指し示しながら「行け」といった碧斗君。

「りょーかい、あ、そうだ。」

紅が気の抜けたように返事を返してから、歩き出した私と紅。

平和に二人で話しながら靴箱まで行こうと考えてみるけど、相変わらず沢山の人に囲まれたまま。

7:空ラビ◆mU:2016/01/09(土) 10:41 ID:TRQ


「うっわ、これさ、もう俺。
 スーパースターじゃ「ない。」

紅が調子に乗りながらきらりと笑って、ウィンクしながら言った言葉を私はしらーっとした表情で、ずばっと遮った。

「えー。まじかよー、はー」

と言いながらぶーぶー言っている紅。
いや…、スーパースターっぽい扱いはされてるけどね…。

私が紅の大きい背中を見つめながら、普通に歩いていたその時…、

…嵐はやってくる。

「きゃぁあ、実月ちゃんが走ってきて るーっ、可愛いーっ!」

「姫ちゃんのところに向かってるのか なーっ?」

……、私はため息を「…はぁ」とついた。振り返った紅はそんな私を見て、

「どんまい」

と、イラつくような笑みで言ってきた紅の長い足を蹴る以外選択肢は無かった…よね?

「きゃぁ、実月ちゃーんっ」

「ふふっ、綺麗なお姉さん達、おはよ ぉーっ、姫ちゃんまでの道開けてく れないかなぁ…?」

その声に、ザッという誰かがどいた音。
ま、まずい…、嵐は真後ろだ…。
[私の判断] 走って逃げる…っ!!

ドドドドドッ、という効果音がつくくらいの走りを見せる私。
あっという間に紅を抜かして、靴箱まで一直線だ。

…あ、やばい、そーいえば…。

嵐の元凶、花田 実月(はなだ みつき)は、年下ながら足の速い男子…。

ふわり、彼の香りがした時…、
ぎゅっと、誰かに抱きつかれた。

「もうっ、姫ちゃん。逃げないでよ〜 っ?

 …まぁ、俺の速さから逃げれるわけ ねーけどなぁ…?

 ふふっ、姫ちゃんは可愛いなぁ…」

き…、きた、天使に見せかけての悪魔、みつ…!

周りには天使に見せかけているけど…、いつも甘い声で、耳元でそっと呟くの。
悪魔の台詞を…、ね…。

「じゃあ、行こっかぁ。

 ひーめちゃんっ、逃げないでね?」

ぎゅっと、腰を抱かれた状態で歩き出す実月。
ここで逃げようとでもするのは、絶対にやばい行為だ…。

「はははっ、…、ははっ、やばい、
 笑いがおさまんね…、はははっ、」

「紅…、笑っちゃだーめ…。
 ふふ…、笑うしかないか…、ふふ」

後ろから、紅のうるさい笑い声と、おしとやかに笑う葉の声。

睨みたいけれど、隣の天使…、いや悪魔に捕まえられているから…、当然無理なわけで。

中学部の靴箱と高等部の靴箱は分かれている…、けど。

私は中3。悪魔は、中2….。
最後まで、きっちり同じルートだったとさ。…、ちっ。

8:空ラビ◆mU:2016/01/09(土) 11:47 ID:TRQ



階段を上る最中も、後ろからぞろぞろ、横からぞろぞろ。

「きゃぁーっ、MisanGAの年下メン バーだっ」

「年上メンバーは、高等部にいけば  見られるんだよね!」

ちらほら聞こえる声。
私は、今紅と実月に挟まれる形で歩いている。

さりげなく、私を守ってくれているのが分かるから…優しい。

さっきの誰かさんの話通り、
年上の高等部メンバー、
怜音君、葉君、碧斗君の3人は、途中で離れて違う校舎に行く。

私達の通うこの学校、

新城学園は、中学部、高等部があって、校舎が別々になっている。

自ら関わりにいかない場合、中学部と高等部にあまり関わりはないけれど、同じ敷地内にいるのは確かだ。

中学部、高等部があるくらいだから、敷地は結構大きい。

もちろん人数も多く、周りにいるファンの人達の人数も相当だ…。

「うっわ、姫げんなりし過ぎ。
 でも、これ明日から確実に無くなる から安心しろ。」

紅の言った言葉に、理解など出来るわけがない。
実月でさえも、はてなマークを浮かべているくらいなんだから。

「紅何言ってんの、MisanGAは昨日 デビューしたばかりだよ?
 それに、実力だってつけてきてるか ら、人気が落ちるのも困る…」

私は身長の高い紅を睨み付けるようにして、そう言った。

それにも関わらず、紅は、ははっ、と余裕そうに笑って、

「今日、楽しみにしてな?
 はい、着きましたよーっと。
 実月は、2年の教室いってら。」

気づけば教室についていて、紅はドアを乱暴にがらっと開けると、そこに入っていった。

中から聞こえる歓声…、うるさい。

実月をちらっと見ると、天使の“ような“微笑みをしていて、

「ひーめちゃんっ、また後でねっ」

そう、甘い声で言ったあと、私の頬に自分の唇をあてて、スキップしながら颯爽と消えていった。

周りから聞こえる、

「ひゅーっ、いちゃついてるーっ」

の声にいらつきつつ、頬をさすりながら教室へと入っていく私であったとさ。

9:空ラビ◆mU:2016/01/09(土) 12:32 ID:TRQ


いつも通り教室に入って、自分の席にどさっと座る。
いつも通りではないけど…、周りがね。

「姫梨ちゃんも、紅くんも芸能人以上 に可愛くて、かっこよかったけど… 本当に芸能人になるとはね…」

そんな声が聞こえて、さっき以上にアイドルである事を実感する。

1月5日、あるライブ会場から、生中継がテレビに繋がった。

それは、紛れもなくMisanGAのデビューだったのだ…。

そして今日、1月6日…。
一応芸能人である私達は、普通に登校してきたせいで、散々な目にあったと…そーいう事です。

さてさて、教室をぐるりと見回すと…、前の席で男子に話しかけられ、普通の男子オーラを出しながら話している紅。

そして…、

「あ、ひめじゃん、おはー」

「ゆうひーぃっ!」

これまでの何の変わりもなく私に接してくれる、大好きな親友、

朝比奈 夕日(あさひな ゆうひ)

朝日か、夕日かわかんないけど、良い人なのは分かるからそれでおっけ。

夕日は、世に言うギャル。
顔立ちは整ってるのに、メイクで台無しの美人さん。

初めて話した時は、一匹狼みたいだった私に、

「あれー、生きてるー?」

と、普通に話しかけてきた夕日。

ちなみに、一匹狼でも何でもなくて、「話しかけて良いのかな」…っという、弱虫ちゃんだっただけですが。

10:空ラビ◆mU:2016/01/09(土) 12:46 ID:TRQ



「ゆうひーぃ」

私はそう叫んで席をがたっと立ち、夕日にしゅばっと抱きついた。

「わーぁ、ゆうひだぁーっ!」

そう言いながら、ぎゅぅうと抱きついていると、

「姫うるせぇっ、学校でもうるさいと かやめろよっ」

という紅の声に、夕日は「え?」と言って、教室中はシーンとする。

私も紅もよく意味は分からないままだけど、とりあえず私は夕日に抱きついたまま反論。

「いやいや、いつもうるさいって怒ら れてるのは紅じゃんっ!
 朝だってさ、全然起きないし。」

その声に、「もしかして…」というどむめきが起こる。
そんな声も露知らず、

「だからって、あの起こし方は無いだ ろー、もっと女子らしく起こせ。」

「起きない相手に、思いっきり乗っか って何が悪いのっ?」

ちょっとした口論。
紅とのこれは、意外と楽しんだよね、何故か。

そしてそして、夕日がある疑問をぶつける事で、どよめきの真相が分かった。

「2人ってー、一緒に住んでるの?」

私より少し身長の高い夕日が、首をかしげながらそう聞いた。

あ、あれ、言ってなかったっけ。

私と紅は顔を見合わせ、

「うん。」

と、声をハモらせながらそう言った。
それに驚くクラスメイト達。

「どうして?付き合ってるの〜?」

その声には、2人で

「ない。」

と言ったけどね。

11:空ラビ◆mU:2016/01/09(土) 13:34 ID:TRQ



ざわざわ、がやがや更にうるささを増す教室内。

私は夕日に、
紅は男子達に、質問攻めにあっていた。

「え、何で一緒に住んでんのー?」

「いいな、姫梨ちゃんと住めるとか、 超幸せ者だな紅はっ!」

とかとかいっぱいいっぱいなのです。

私は夕日に聞かれた事を、ずっと抱きついたまま答えていた。

「まぁ、MisanGAメンバー全員で住 んでるから。」

私の返事に、「へーぇ」とかるーく返す夕日。
おいおい、聞いてきたわりにドライだな。

「じゃあさ、普通に夜までレッスンし てたりとかー?」

夕日は、自ら質問しているというのに、まるでめんどくさそうにそう聞いてきた。
っていうか夕日さん、私の頭の上にスマホ置いて操作すんのやめてけろ。

でもでも、夕日大好き人間の私はめげずに答える。

「そういうわけです。
 酷いときは、日付変わっても踊って たりしてたからね。
 それはもう鍛えられて「~♪」

私の語りが始まりかけたというのに、放送が始まりを告げている。

静かになる教室。
それより私の話を聞いてくれ、とか言わないけれども。

「皆さん、おはようございます。
 今朝は、始業式があるので、体育館 に各クラス移動してください。」

「~♪」と、終わりを告げられ、皆ゆっくりと体育館に行く準備を始める。

自然過ぎて皆気づいてないけど、
あの声碧斗君だから…、
生徒会副会長様、碧斗君だから…

大事な事は2回言う、これ当たり前だからね?

12:空◆mU:2016/01/09(土) 16:17 ID:TRQ



私は夕日から離れて、んーっと背伸びをした。
ずっと抱きついてたからね、疲れるんだよね。

学級委員長の栞ちゃんが皆を並ばせた。頼りになるよ、栞ちゃん。

紅の周りには、相変わらず男子がわらわらといて、ずっと話している。
紅は優しいから、あまり人を無視したりすることが出来ないもんね。

まぁ、今のは普通に楽しんでるんだけど。紅。

私達は、体育館へと歩き出した。
ちなみに始業式の日は、今日は中学部も、高等部も集まるので、大きな総合体育館へと向かう。

中学部校舎と、高等部校舎の間にあるのが、総合体育館。
行く途中に、渡り廊下があって凄く寒いので、とりあえず夕日にくっついてみる。

「うっわ、ひめ冷たっ、ほらカイロ。
 私は、いつも寒さに耐えておしゃれ 楽しんでる人間だから、大丈夫ー」

そう言って、私に温まったカイロを渡して、私にぎゅっと握らせた。

夕日は慣れてるって言うけど、少し震えてる。こうやって、人の為にするところ、大好き。

私は、夕日にぎゅうっと抱きついて、

「夕日専用電子レンジーっ」

とか意味のわからない事を言って、夕日を笑わせながら、総合体育館へと着いた。

もう高等部は着いていて、流石だって思ったの。
栞ちゃんのおかげで、中3全6クラスの中では一番だったけどね。

いつもの場所に着いて出席番号順に座った。


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