MisanGA ~6人のアイドルの物語~

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1:空ラビ◆mU:2016/01/08(金) 16:06 ID:TRQ



素直になれないアマノジャクなお姫様と、

ムードメーカーな王子、
キュートで可愛い王子、
チャラいけど優しい王子、
クールでツンデレな王子、
アンニュイな天然王子。


この6人は、一夜にして沢山の人々を魅了した…。

”アイドルとして、人と人を繋いでいく笑顔を生み出していきたい”

強い思いが、アイドル界を大きく変える事となる。

「俺たちの絆は、何があっても繋がっ たまま。」

ミサンガに願いを込めた6人。
それが…。

   < MisanGA >

33:空ラビ◆mU:2016/01/17(日) 19:28 ID:TRQ


>>32

嬉しいです、ありがとーございますっ
頑張りますねっ、♪

34:空ラビ◆mU:2016/01/17(日) 21:16 ID:TRQ


No,3『アイドルオーラ』

「明日も学校あるし、今日は終わろう 。」

レッスン室にこだまする怜音君の声。
先程まで全力で踊って、レッスンしていた。
私は女だからというのもあるけれど、皆はまだ余裕があって羨ましい。

時刻は10:20。
レッスンを終えた私達の額には、汗が輝いている。

いつも通り順番にお風呂に入って、宿題も終わらせないといけない。

やっぱりアイドルは過酷なものだと、嫌でも思い知らされる、けど。
やっぱり、笑顔にしたい人達がいるから…ね。
 
「あっれ、碧斗君は〜?」
「マッキーと話してるよ。
 確か、CMか何かにMisanGAで出る とか、そういう話だったかな。」

MisanGAは順調に仕事が貰えているようで、明日も明後日もスケジュールはパンパン。

「…嬉しいね。」

私が小さく微笑みながら呟けば、

「だな。」

返事を返しながら、笑う紅。

「あ、姫ちゃんお風呂最初に入ってき ていいよ。
 僕たち男は、適当に入れば良いだけ だしさ」。

怜音君がきらきら笑いながらそう言ってくれたので、

「うん、お言葉に甘えちゃうー!」

遠慮もしないでお言葉に甘えるのが私なのです。



 

35:空ラビ◆mU:2016/01/19(火) 19:28 ID:TRQ


「ふー、温まったぁ。」

長風呂なんてしている時間のない私は、急いで汗を流すように全身を洗い、頭も素早く丁寧に洗った。
少し湯船につかってから、目にも止まらぬ速さで全身を拭き、お風呂から出る。

バスタオルをぐるぐる巻きにしてから、化粧水やクリームを塗り保湿保湿。

『アイドルになんだから、身だしなく らいきちんとしろよ?
 ほら、ドラッグストア行くぞ。』

と、デビュー1ヵ月前にマッキーに連行され、女子力UPしてしまった私。
これを紅に見られた時は、

『…、女子力のある姫なんて姫じゃね ーよ、お前は誰だっ!?』

とか真剣な顔で言われたっけ。

思い出して、ふふっ、と笑いながらクリームをしまう。よし、バスタオル外してパジャマ着ようか、な…

ガラッ

「あっ」

「きゃっ、!」

………、

私はバスタオルをギリギリ外していなかったくらいだけど、確実に背中にタオルは無かった。

今脱衣所の扉を開けてしまったのは、

「…紅…、」

「本当ごめんって!見てないから、何 も見てないから!」

慌てながら目線だけ外し、精一杯謝る紅を横目に、

「…、出てけ、出てけ馬鹿紅っ!!」

「すんませんでしたぁああ、っ!


…、紅以外だったら、ここまで怒ることはなかったと思うの。

何でかな、紅に見られるのは…、

恥ずかしくて、胸が熱くて…。



「…苺チョコ持って謝りにいこ。
 姫も、女子…だから嫌だったよな」

「紅に謝りに行かなくちゃ。
 …今度、オムライス作ってあげよう かな。」


___動き始める“想い“。

36:空ラビ◆mU:2016/01/19(火) 19:47 ID:TRQ


__姫の部屋

「ほんとっに、すんませんでしたっ!
 お詫びの苺チョコです、ほんと反省 してます、ジャンピングスライディ ング土下座します、
 途中バク転や側転も加えた新たな土 下座を、「しなくていいからっ」

お風呂から出てきて部屋に戻ってから、コンコンとノックする音。

紅だったら気まずいけど、紅はノックもせずズカズカ入ってくるし…、違うよね。

そう思ってドアを開けた瞬間、見えたのはしっかりお辞儀をして苺チョコを差し出す紅。

…、髪なんて濡れたままだから、自分がお風呂に入ってから急いで来てくれたって、丸わかり…。

「は、何でっ!?
 俺悪い事したんだから、なんならバ ンジージャンプの綱無しでもしてく るし、「それ死ぬからねっ!?」

…素直になれない私は、自ら謝る事が…出来ない。
でも、おかしい。

これまでは、友達には普通に素直に謝れていた。
…、心が、とくん、と動いた気がした。


___それから、紅が謝ってきて、私は渋々許した…、ふりをした。
とっくの昔に許しているのに、馬鹿な私はそれが言えないの。

37:空ラビ◆mU:2016/01/19(火) 21:14 ID:TRQ


それから2人で宿題をして…、しょうもない話もして…、眠くなるまで話をしていた。

ただの幼馴染み…、
そう、幼馴染みと話すと楽しい…から
ずっと一緒にいたいって思うの。
紅となら、いつまでもお話していられそう。

…なんて、口が裂けても言えないけれど。

「それでさ、実月が急に碧斗君に抱き ついて…、あ、もう11時だ。」

紅の面白い話に耳を傾けながら、居心地の良い空気に安心していると、不意に紅が時計を見て驚いている。

「…時間過ぎんの早い…、な。」

…私と、同じ事考えてたんだ…。
…、なんで、こんな事で喜んでるの私…。

「…、じゃあもう寝よっか。
 宿題も終わったしねっ!」

私が笑顔の裏に思いを隠そうとしながらそう言えば、

「だな、部屋戻って寝ねーとだ。
 …、おやすみ。」

と、ゆっくり立ちながらふにゃりと笑って…、扉の前にたつ紅。

「また、明日な。」

扉を開けてそのまま出ていく紅。

…ガチャン


「…意味、分かんないよ…。」

意味がわからない。

何で、紅の事ばかり考えてるのか、
意味分かんない…。

モヤモヤを抱えたまま眠りについた、夜…。

38:空ラビ◆mU:2016/01/21(木) 19:00 ID:TRQ


怜音side

「怜音、姫起こしてきて。
 碧斗がめんどい輩起こしてきてくれ てっからよ。」

朝日のさしこむリビングに響くマッキーの声。
朝からしっかり早起きをして、前に姫ちゃんにプレゼントしてもらったエプロンを付けて朝ごはん作ってくれている。

「分かった、姫ちゃん起こしてくるね 。」

めんどい輩…、とは、

紅、実月、葉の朝弱い組。
紅と実月は起きるのが苦手なだけだけど…、葉は…、人格が変わりすぎる…。
(…おっと、葉の人格の変わり様はいつかの番外編で。)

マッキーに言われた通り、姫ちゃんを起こしに廊下を歩く。

[Himeri]

の、ハートにかかれた名前を見つめながら、ドアを__コンコンとノック。

「…姫ちゃん、入るよ?」

……、まだ寝ているんだね。

__ガチャッ。

扉を開ければ、無防備に眠る姫ちゃんの姿。
ピンクのベッドに潜る姫ちゃんは…、
あまりに可愛すぎて…。

「…、起きて、姫ちゃん。」

なんて言いながら近づく。
本当は、起こしたくなんてないよ。

そっと、姫ちゃんのふわふわした前髪に触れてみる。
栗色の、綺麗な髪…。

「…、起きて、起きて姫ちゃん。
 早く起きないと、遅刻しちゃうよ?
 ……、起きないなら…。」

そこまで言って、口をつぐむ。
…いや、冗談なんだからね。

「起きないと…、
 キス、しちゃうよ…?」

前髪をふわりふわり撫でながらそう静かに呟けば、姫ちゃんの頬に…。

…一筋の涙が流れていた。

「どうしたの?…」

その声を遮るように、姫ちゃんは僕の手首を引っ張って握った。

かと思えば…、

「やめて、
 …しないで、こ、う…。
 こう…、ずっと私の…、隣…。」

綺麗に涙を溢しながら、呟いた姫ちゃん。

紅…、姫ちゃんが求めているのは、

 紅なんだね…?

僕はそっと姫ちゃんの持つ手首を離し、後ろに引く。

…、この思いは、ただ迷惑なのかな。
迷惑…、かもしれないけれど。

「…ごめんね、姫ちゃん。
 僕、好きになっちゃったんだよ。」

…君のこと。




 

39:空ラビ◆mU:2016/01/22(金) 18:11 ID:TRQ


怜音side

…本当は気づいてたんだよ。
いつも姫ちゃんの目線の先には、紅がいた。
それと同様、紅の目線の先にも…、
姫ちゃんがいる。

目線だけじゃない、お互いの心も、だね。

2人が幼馴染みで、親友だと初めて知った時は凄く驚いたんだ。

一見ヤンキーにも見えるルックスの紅と、息を飲むほど可愛くて、まるでお人形のような姫ちゃん。

2人が何で親友なのか、最初は疑問でしかなくて。
だけど…、2人を知っていく内に分かったんだよ。

2人が出会ったのは、”運命”だったんだと。


可愛い外見とは裏腹に、
ツンデレで、素直じゃなくて適当で、
でも…、誰より思いやりの溢れる姫ちゃんに僕が恋したのも、

きっと…、定めなんだね。


これまでの僕は、女の子からの
「好き」という思いを、軽く考えていた。

自分でいうのも可笑しいけれど、親のルックスは完璧、ロシアのクォーターでもある僕のルックスは、整いすぎるほどに整っている。

だから、きっと。
女の子達は皆、この顔しか見ていないんだろ?
そうとしか、思っていなかった。

「王子様みたいな怜音君」
のレッテルを張られて、僕はその設定を守るだけ。

「好き」
と言われれば、その分の
「好き」
を返してあげた。

相手が望む事全てに従って、いつもいつもニコニコしていた。

そんな完璧を貫く僕に、振り向かない女の子なんていない。

いつしか、そんな曲がった考えを持ち始めた僕。

…本当に、そう信じていた。

なのに、姫ちゃんは少しも振り向いては____くれない。


姫ちゃんから見た僕にも、
「優しい人」
の無意識のレッテルが張られている。

でもね、ごめん。
もう一度、先に謝りたいことがあるんだ。

「…僕、欲しいものは全部欲しいんだ 。
 引いてあげないよ…?」


ゆっくり姫ちゃんの部屋を出て…、
僕の口角の端をゆっくりと持ち上げ、妖しく笑う…、僕。

40:空ラビ◆mU:2016/01/22(金) 21:45 ID:TRQ


姫梨side

「…もうっ!なんで…!?
 怜音君…何で起こしてくれなかった のっ!…うまっ、!
 あっ、マッキー今日も美味しいよ」

朝ごはんのフレンチトーストをモグモグ口一杯に頬張りながら、怜音君、マッキー両方に話しかける私。
お行儀悪くても仕方ない…よね?

だって、だってさ!
ひどいよね、怜音君起こしてくれなかったのに笑ってんだよっ!?
何さ、慌ててる私がそんなに可笑しいのか?

「そうか、なら良かったわ。」

と、満足そうにニンマリ笑うマッキーは、腰まで届きそうな長い黒髪をぎゅっとたくしあげて、ポニーテールでがっしり結んでいる。

「姫ちゃん、リスみたい。
 モゴモゴしてて可愛いーっ」

と、横からにゅっと出された人差し指は私の頬をつつく。
天使の微笑みを見せる実月…、いや、こいつは悪魔なんだ、目覚まそう。

「いや、可愛いんじゃなくてな、
 行儀悪いっていうと思う「紅は黙ってね。」

紅がいつも通りおちゃらけながらそう言い出すのを、いつも通り阻止する私。
何も変わってない…よね?

「…ちっ、…あ"?」

…、寝起き悪すぎ葉君も降臨してしまった。
葉君はソファに座って、ふぅ、とため息をつくと、

「…美味しそ、いただきまーす。」

そういって口いっぱいにもぐもぐしはじめる。

…変わりようがひどいけど、まぁ良いよね、個性個性。
 

41:空ラビ◆mU:2016/01/22(金) 21:59 ID:TRQ



「…とかとかあってね、
 もう本当に朝から疲れたぁ…」

ただいまお昼の時間です。
あれから無事学校へ着き、平和な1日を過ごして、あまりに平凡なのでそこは省略。

「まじでー?
 怜音先輩とか、しっかりおこしてく れそうなのにねー?」

と、女子力溢れる手作り弁当を食べながら、長い睫毛をばちばちさせてそう言う夕日。

私はマッキーの作ってくれるお弁当の中の卵焼きを、ごっくん、と飲み込むと、

「いっつもは怜音君起こしてくれるの にねっ!?
 今日だけさ、
 『あまりに姫ちゃんが可愛くて…、  僕起こす気無くなったんだ。』
 って、きらきら笑顔で言ってくる  んだよっ!!
 神々しい王子様オーラだせば良いと 思ってんじゃねぇよぉぉ!」

私が机をばんばん叩きながら、うるさいくらいに大きな声でそういい続ける。

「うるっさいよ、姫。」

と言われてもめげないです。
そういう性格なんだよ、うん。

とか何とか言い訳したりして遊んで、お弁当タイムは終わりを告げたとさ。
 

42: 空 ◆mU:2016/01/25(月) 16:08 ID:TRQ



「おいどけ、今から俺が光輝く時間だ 。」

ただいま5時間目が始まりを告げたばかりです、冒頭の言葉は紅野郎。

5時間目は体育なので、体育がズバ抜けて得意すぎる紅にとって、唯一の光輝く時なんだって、

「勉強は何1つ出来ないもんね…、
 可哀想「おいこら、聞こえてんぞ」

そういって軽く私の額をデコピンして、あっかんべーをする紅。

「MisanGAの幼馴染みコンビがいち ゃついてる…!」

「やばい、絵になる写メとろ」

「紅くんかっこいー…」

はい、いらいら募る今日この頃だわ、紅のどこがかっこいいの、それ聞いてこいつ調子乗ってるよ絶対!

私は女子たちにアイドルスマイルで手を振る紅を見上げつつ睨んでおいた。


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