未来と現在、過去

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1:美音◆.wmpFy.Zyhxio 小説掛け持ちしすぎww(私が):2016/09/08(木) 17:38

美音です!今回は、今までと違った小説にチャレンジします。
掛け持ちをたくさんしているので、更新が遅れると思いますが、
よかったら感想や意見をください!

ちなみに、この小説は主人公の過去と未来、そして現在について
書きたいと思っています。

2:美音◆.wmpFy.Zyhxio 小説掛け持ちしすぎww(私が):2016/09/08(木) 17:59

登場人物

蒼山 奏(あおやま かなで)
過去6歳〜11歳  現在12歳  未来18歳
この小説の主人公。
勉強はできるが、引っ込み思案で女友達がいない。
唯一の友達が幼なじみである、翔。
1年生に人気。

荒川 翔(あらかわ しょう)
過去6歳〜11歳  現在12歳  未来18歳
勉強も運動もできて、男女共に人気。
幼なじみの奏を大切に思っている。

内藤 桜(ないとう さくら)
現在6歳  未来12歳
奏と翔と同じ地区に住んでいて、一緒に登校する仲。
わがままで幼いところがあるが、本当は思いやりがあり、優しい。

野村 環(のむら たまき)
現在6歳  未来12歳
桜と同じで、奏と翔と一緒に登校している。
おとなしくていつも静かに笑っている。
輝のことが好き。

町田 輝(まちだ ひかる)
現在6歳  未来12歳
環や桜と同じで、奏と翔と一緒に登校している。
スポーツ万能でサッカーが得意。
奏のことが好き。

あと一人は明日?書きます。

3:美音◆.wmpFy.Zyhxio 小説掛け持ちしすぎww(私が):2016/09/09(金) 16:01

追加登場人物

盛山 寧々華(もりやま ねねか)
過去6歳  現在12歳  未来18歳
クラスのボス女子で、勉強はあまりできないが、
トーク力が高く皆の人気者。
翔のことが好きで、幼なじみの奏を邪魔に思っている。

4:美音◆.wmpFy.Zyhxio 小説掛け持ちしすぎww(私が):2016/09/09(金) 16:02

>>3
に追加です。

過去6歳 ×
正しくは、過去6歳〜11歳
です

5:美音◆.wmpFy.Zyhxio 風林火山:2016/09/09(金) 17:57

小説始めます

1.私の毎日、幸せと残酷

「リリリリリ!」
目覚まし時計が鳴り響き、私は目を覚ました。
時計の針は、いつもと同じ5時00分。
それを確認すると、私は急いでベッドから起き上がり、1mほど離れた
窓に飛び付く。
ガチャッと開け、それからものの2、3秒。
目の前で幼なじみの翔の声がした。
「おはよう、奏。」
「あっ、おはよう、翔。」
私たちはにっこり笑う。 
そう、朝の秘密のおしゃべりだよ。
「奏、今日、体育でサッカーがあるよ。俺、すっげえ楽しみ。」
はぁ?
なんで4月からサッカーなの?!
まったく理解できない。
「なんで楽しみなの。私には絶望的なんだけど。」
私が頬を膨らませると、翔は笑った。
「そう言うと思ったよ。奏は運動できないもんな。」
むっ!
バカにされたように言われて私は苛立った。
「別に。」

切ります

6:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/13(火) 16:37

小説

1.私の毎日、幸せと残酷

翔はクッと笑う。
「出た、奏の『別に』。」
そのまま頬を赤らめてクックッと笑う。
どうやら、笑いが抑えられないようだ。
翔って、そういうとこ、あるからな。
「ふん、そんなことどうでもいいじゃない。」
私が言うと、翔があっと声を上げる。
「今日って確か、国語のテストだよな。どーしよう?!全然勉強してない。
しかも苦手な物語文じゃん!奏、国語が得意なおまえに頼む、今から教えて
くれっ!」
はぁ……………。

切ります

7:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/15(木) 18:35

小説  

てっ!
今からって無理でしょっ!
「無理。教えるんなら、学校で。今からじゃ間に合わない。」
つっけんどんに言うと、翔はムスッとした。
「なんでだよ。今日の奏、冷たいし。」
ふん、あなたのせいだからっ!
「そんなに、教えて欲しい訳?だったら、学校で教えるから。」
ちゃんと教えてあげるんだから、感謝してよね。
「わかったよ。」
翔は納得したようだったけれど、すねているようだった。
ふふ、かわいい。
翔って、普通の時はごく普通の男子なんだけど、すねるとかわいくなるんだよね。
これは、幼なじみだからわかることだと思う。

切ります

8:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/15(木) 18:58

小説

私が笑っていると、翔は窓を閉めようとした。
「もう5時30分だぜ。」
あ。
「うん。じゃあね。またあ……」
私が言い終わらない内に翔は窓を閉めてしまった。
「ちょっと、翔!」
叫んだけれど、翔はもう反応しなかった。
う。
機嫌、悪くしたかな。
私たちは、時々ケンカをしてしまう。
確か、私たちがひどいケンカをしたのは、5年生の秋だったかな。

5年生のとき

「あっ、奏、一緒に帰ろ。」
翔が呼びかけて、私は着いていこうとした。
けれど、寧々華さんが私の前に立ちはだかった。
「ちょ、何?」
私は思わず叫ぶ。
「あんたさぁ、何って、そんなこともわかんないの?」
寧々華さんは眉を上げた。
「だって、私は何も悪いことしてないし、ただ翔と帰ろうとしただけ。」
私は早く帰りたくて、寧々華さんの横を通ろうとした。
「翔君と帰んないで!家が隣だからって。」
はぁ?
なに、いいじゃない、別に。
「関係ないでしょ。」
私はそう言い放つと、寧々華さんをうまくよけて、翔のところまで行った。
でも、なんだかいい気持ちじゃなかった。
翔は、なんであんなに目立つような言い方をしたのだろう。


切ります

9:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/16(金) 16:28

小説

だって………。
これじゃあ、明日からクラスメートからどんな目で見られるかわからない。
もっと静かに、そっと言ってくれればよかったのに。
まあ、でもいつもこんなんか。
今まで皆が反応しなかっただけだよね。
でも、ねぇ。
恥ずかしいし、嫌われちゃう。
もともとクラス、いや、学年全体でも女友達がいない私だけれど、周りの目は
気にしている。
私は浮いているから。 
でもそんな事があるたびに、翔に助けてもらう。
だから満足に思っていたけれど、今日は違った。
助けてくれなかった。
なんで?
私のことが嫌いなのかな。
いや、そんなことはない……はず。
「ねぇ、奏、奏ってば!」
へ?
顔を上げると、翔がこちらを見ていた。
あっ、考えすぎた。
「あ、ゴメン。」
そんなわけないよね。
私たちは幼なじみだもん。
「大丈夫?さっきから返事がないから何かと思った。」
へへ、ちょっと考え込んでたから。

切ります

10:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/20(火) 15:47

小説

「本当に大丈夫、だよね?」
心配しすぎだって。
「うん、だけどさっき、寧々華さんにああいうことを言われたから、
明日からどんな目で見られるのかが心配なんだよね……。」
私は打ち明けてみた。
「あ、そういうことか。大丈夫でしょ、もともと奏は浮いてるし。」
は?
真っ正面から、浮いてるし、と言われたのは初めてだった。
なに、翔、ひどいよ!
私、気にしてたのに。
もう我慢できなくなって叫んだ。
「なんで、そんなこと言うの!浮いているって、翔のせいなんだらから。
一人で帰ったっていいんだよ、私は。もういいよ。翔とは帰んないから。
翔は友達たくさんいるでしょ。」
そう言って走って家まで帰った。
泣きながら。
本当は寂しかった。
でも、よかった。

切ります

11:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/21(水) 17:19

小説

もう、決心していたから。
私は一人でも大丈夫なんだから。
そう思っていた。
でも、違ったんだ。

それは、次の日のこと。
朝、とても寂しい、って思った。
でも、頑張って我慢した。
それで、一人で登校したんだ。
教室に着いた途端、
「あれぇ、奏さん、今日は一人なんだぁ。かっわいそ、翔君に
裏切られたんだ。」
寧々華さんだった。
そ、そんなことない。
これは私の決めたことなんだから。
裏切ったのは私。

切ります

12:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/23(金) 18:52

小説

「別に。全然寂しくない。」
冷たく言い放った。
翔が後ろで見ているのがわかったけど、我慢できなかったから。
もういいや。
一人で。
私なんて誰に理解もされないんだから。
いじめたければどうぞご自由に。
私はフッと笑っていた。
そんな日が何日も続く。
1週間ぐらい経ったときの昼休み、私は翔に呼び止められた。
「奏。」
聞きたくなかった。
その、『奏』って言葉を。
「なに?」
ぶっきらぼうに返す。
「来て。」
翔が言い、私を引っ張っていく。
しょうがなく着いて行った。
無視するのも、うんざりだった。
翔が連れてきたのは、音楽室だった。
翔の第一声は、こうだった。
「奏、俺、寂しい。」
は?
一瞬、何のことかと思った。
「なにが?」
私の言葉は、まだ冷たかった。
「あのね、奏は俺がいっぱい友達がいるって言ったよね。」
うん。
「でも、あいつらと帰るのは、楽しくない。」
え?
「俺は、奏じゃなきゃ嫌だ。」
私は胸を突かれる。
翔が、私のことをそんなふうに思っていたなんて、びっくりした。
「だから、さ……」
翔の言葉が続かないうちに、私が叫んでいた。
「私も、ずっと寂しかった。翔がいてほしかった。」
涙が溢れ出る。
気がつけば、泣いていた。
立っていられなくて、その場にしゃがみ込む。
「だったら、仲直り、しようよ。」
翔がそう言って、私の頭に手を置いた。
そのまま、撫でてくれる。
私はもっと涙が出て来てしまった。
翔が、優しくしてくれて。
「そんなに、泣くなよ。」
翔がクスッと笑い、私の頬をつたる涙を拭う。
「奏は、強いふりしてるけど、本当は泣き虫なんだよな。」
びっくりし、顔を上げる。
「2年のときだって、そうだっただろ。確か、上級生にいじめられてたとき。
おまえのすげぇ声が聞こえたからさ、行ってみればすごい状態。髪はほつれてる
し、体中傷だらけだし。」
思い出し、恥ずかしくなる。
そういえば、あったな、そんなこと。
「それで結局、俺が上級生は追い払ったけど、奏はその途端に泣き出すし。」
うん、そうだったね……。


あー!切ります

13:ルルー◆Lck:2016/09/23(金) 18:57

う、うまい・・・

読ませてもらいますー!

14:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/24(土) 09:03

ありがとうございます!
わー!初めて書き込んでくれたー!
嬉しいっ!(←テンションMAX状態w)
早速今から更新しますね☆

15:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/24(土) 09:25

小説
 
「で、確か俺がおんぶしてったよな。」
そういえば………! 
顔が勝手に真っ赤になる。
あの日、おんぶされて帰った。
なんでそんなんになったかは、不明。
「あん時、奏、全然泣き止まなかった。今みたいに。」
今みたいに、は余計だよ。
「多分、それぐらい怖かったんだよな。」
うん、怖かった。
だって、いきなり蹴られたり殴られたりしたら、怖いでしょ、普通!
怖くない方が怖い!
しかも、2年生、だよ。
「思い出してみれば、なんか1年に1回は絶対トラブルあるよな。」
え?
「確か……、1年のときは奏が鉄棒で連続逆上がりしてたら、落っこちそうになって、
あの日もおんぶだか抱っこしてったような………」
やめて、恥ずかしいから!
「2年はその上級生だろ、3年は、喋ってたらおまえが階段踏み外して、俺に激突。」
そうだっけ?
「4年は、奥林山に登ったとき、俺らの班が迷って、おまえが一人で道探しに行ったら、
足滑らして、俺が抱き留めてなかったら、川に溺れてた。」
それは覚えてる。
「確かそのあと、雨が降ってきてびしょ濡れになったよね。」
思い出しながら言った。
考えてみれば、私と翔はずっと一緒のクラスだよね。


切ります(なんか恋愛小説みたいになったw)

16:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/24(土) 11:23

小説

そこで、私は思い出すのをやめた。
急に現実に引き戻された。
こんな昔のこと、思い出してなにニヤニヤしてんだろ。
学校行かなきゃ。
私は一階に降りて、朝ごはんを食べ、早めに家を出た。
「行ってきます」
そう言って、家を出た瞬間、隣の家から翔が顔を出す。
重い沈黙が続いた。
そこで、私は慌てて向かいの家のインターホンを押す。
表札には、くっきりと『内藤』の文字。
「はーい、どうぞ。奏ちゃんでしょう?」
お母さんの声がする。
「はい。おはようございます。桜ちゃん、大丈夫ですか?」
中で桜ちゃんの甲高い声が聞こえた。
「奏お姉ちゃん、おはよう!今行くー。」
私は思わずクスッと笑う。
無邪気でかわいい。
「ふぅ、じゃあお母さん、行ってきます〜!」
桜ちゃんは元気良く出発!
「じゃ、環ちゃんのお家に行こう。」
私たちが向かったのは、桜ちゃんのお隣りのお家、野村環ちゃんの家。
インターホンを押すと、お母さんと環ちゃんが一緒に出て来た。
「おはよう、奏ちゃん。今日もよろしくね。」
お母さんは笑った。
「はい。環ちゃん、行こうか。」
環ちゃんは黙ったままコクリと頷く。
でも、その顔には満面の笑み。
かわいい。

一回切ります

17:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/24(土) 11:37

小説


あとは、翔と輝君だけ。
でも、行きにくいな。
けんかしたんだもん。
「なにやってるの、お姉ちゃん。早く翔お兄ちゃんと輝君のところ行こうよ!」
桜ちゃんがせき立てる。
「ああ、ごめんね。」
まあいいや、今回はそれほどひどくはないし。
私たちが向かったのは、環ちゃんのお隣りのお家、輝君のお家。
「翔お兄ちゃん、輝君!」
桜ちゃんが走り出した。
環ちゃんも続く。
輝君も、こちらに向かって走ってくる。
そんな3人の無邪気な姿は、昔の私と翔みたいだった。
私たちは、同じときに引っ越してきた。
で、隣が翔の家だったんだ。
すぐ仲良くなって、いつも一緒に登下校して、いつも遊んでいた。
そんな昔の思い出を思い出しながら、ちょっとずつ翔に近寄る。
桜ちゃんたちの前で、けんかしてる姿なんか見せたくなかった。
「なんかあの3人、昔の俺らみたいだよな。」
いつの間にか、翔が来ていた。
「そうだね。」
私も返す。
「さっきはごめんね。冷たくあしらっちゃって。学校着いたら、教えてあげるから。」
謝った。
私の方が一方的に悪かったから。
5年生のときのことを思い出して、ちゃんと謝んなきゃ、って思った。
「いいよ。俺も、バカにして悪かったし。奏だけが悪いんじゃない。」
そんなことないよ。
そうは言わなかったけど、話題を変えた。
「5年生のときのことを思い出してたんだけど、あのとき私、ちゃんと謝ってなかった。
私だって悪かったのに。」
それで、言った。
「ごめんね。」
翔は笑った。
「いいよ、もうそんなこと、昔の話なんだからさ。」
それはそうかもしれないと思った。

切ります

18:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/24(土) 11:55

小説

だって、あれは結局ハッピーエンドで終わったもん。
「ま、俺が心配なのは、今年もなんかトラブルが起きそうなこと。」
へ?
「変なこと起こすなよ。もう抱っこかおんぶなんて無理だからな。」
それぐらいわかってる!
「うん。でもトラブルは起こすかも。私、ドジだから。」
うん、私はドジ。
小さな頃から言われてきた。
自分でも、思うんだ。
私って、ドジだなぁ、って。
「そんなことないよ。」
翔がいきなり言った。
びっくりして、思わず翔を見上げる。
翔の目は、見えないなにかを見ていた。
「奏はドジじゃないよ。時々はドジるけど、基本的には優しいし。その優しさが、
トラブルを起こすんだ。」
へ?
「覚えてるだろ、奥林山。あの時、おまえが道探しに行ったのは、優しいから。
それが結局、足滑らせるっていう、トラブルに繋がる。」
うん、まあ、それはそうかも。
「あとは、強いから、かな。奏は今、引っ込み思案だけど、昔は違ったんだ。
すごく強い。正義感っていうか?それがトラブルに繋がる。」
はぁ……。
「さ、もう昔のはやめよう。あのちびっこたちに置き去りにされるぞ。」
あっ!
「桜ちゃん、環ちゃん、輝君、学校行くよー!」
「はぁ〜い!」
やっぱりかわいいや。
「じゃ、出発ー!」
「なんで桜ちゃんがリーダーなんだよ。リーダーは奏お姉ちゃん。ね、環ちゃん。」
「う、うん……」
「もう、いいじゃん!」
「おい、けんかはやめろよ。仲良く行こうぜ。」
「みんな、ちゃんと行かないと危ないよ。」

今日も、楽しい一日が始まろうとしている!

ここで、第一章?は終わりです。次からは第二章です。

19:ルルー◆Lck:2016/09/24(土) 19:13

次もたのしみ!!

20:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/26(月) 17:56

>>19
ありがとうございます。
もしかして、kz板にいます?
確かもと、「スギポン」さん、だったような…………
間違ってたらごめんなさい!

21:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/26(月) 18:05

第一章の名前、変えますね。
『けんか ーすれ違う思いー』
です。
なんか変w

第二章は、
『寧々華さんのこと ー勘違いのトラブルー』
です。(多分)

じゃあ、第二章、始めますっ!

22:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/26(月) 18:17

小説

今日は、10月9日。
稲刈り体験の日だ。
今まで育てて来た、お米を収穫するんだ。
宮川さんっていう、おじいさんの水田。
でもそのせいで、お弁当持ち、ジャージで行かなければならない。
しかも長靴。
やだよ、雨でもないのに。
ジャージはいいんだけど、桜ちゃんたちになんて言われるかを考えると…………、
寒気がする。
でも、しょうがないよねぇ………。

「おっはよー、奏お姉ちゃん!って、あれ………?」
桜ちゃんが早速言った。
ああ、悲惨。
この頃、集合場所を決めて、そこで待つことになっている。
「その格好って…………、おかしいよっ!どうしちゃったの、奏お姉ちゃん。」
低学年、しかも1年生に心配されてる………。
「もう、バカだね、桜ちゃん。今日は6年生の稲刈り体験の日だよ。」
輝君、どうもです………。
「おまえ、1年生に心配されて、しかも1年生に理由を解説されてるし。」
翔だった。
背後で、今度は環ちゃんの声がした。
「ねえ、お姉ちゃん。その稲刈り体験って………、私たちが6年生になってもやるの?」
うーん、微妙。
「多分な。宮川さんの息子が継ぐらしいぞ。」
翔、主婦みたいになってる…………、話し方が。
「やった!」
へ?
環ちゃんって、以外と農業系が好きなのかも。

23:ルルー◆Lck:2016/09/26(月) 19:45

≫20
そうだよー

農業か・・・私は苦手かも…

24:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/27(火) 17:34

>>23
あ、やっぱりそうだっんだ!
知ってる人がいてよかった……(´・ω・`)
今から更新しよー☆

25:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/27(火) 17:52

小説

「ねえ、行こうよー。」
桜ちゃんが言った。
時計を見ると、もう出発の時間だった。
「じゃあ、行こうか。」
私たちはいつものように、歩きだした。
「てかさぁ、急がないとヤバくね?俺らバスじゃん。」
そうだった………。
「走るの?やだよー。私、苦手。」
話を聞いていた桜ちゃんが、吐き出すように言った。
翔がすぐさま言った。
「いや、走りはしないけど、ちょっと早歩きって感じ。」
そう言うなり、競歩みたいに歩きだした。
難しそう。
「はーい。まあ、お姉ちゃんたちのためならいいかぁ。」
なんか将来、桜ちゃんが寧々華さん化しているような。
やだなぁ、そんなんになったら。
「早くー!遅れるぞ。」
見れば翔と輝君が、先の信号機近くまで行っていた。
「走ろう!」
私は叫んだ。
環ちゃんは来てくれたんだけど、桜ちゃんが止まってしまった。
「ごめん、環ちゃん、先言ってて。」
環ちゃんがコクンと頷くのを見て、私は桜ちゃんを引っ張って走った。
もう、わがままなんだから。
まあ、かわいいからいいか。

26:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/28(水) 17:57

小説

「桜ちゃん、お願い。走って!」
桜ちゃんは、走りたくなさそうだ。
「みんなもう、信号機まで行ってるの。私だって遅れたら大変だし。」
桜ちゃんは、無反応だった。
ただ、下を向いていた。
しょうがないから、頑張って引っ張っていったんだけど、ハァハァ言ってしまった。
運動は苦手なんだよね………。
でも、やるしかないし。
遅れたら嫌だし。
先生もだけど、宮川さんもだいぶ怖いらしいし。
急がないと。
「奏。」
ふいに前から声がした。
翔がこっちを見ていた。
「なに?」
息が切れ気味で、『なに』ぐらいしか言えなかった。
翔は何も言わず、私の腕を掴んで、思い切り引っ張った。
え、なに?
私は何も言えず、引っ張っられていた。
多分、大変だった私を少しでも楽にしてくれたんだよね。
ありがとう。
でも、言わなかった。
桜ちゃんを引っ張るのに精一杯で。
翔のおかげで、倍ぐらい早く着いた。
そこでやっと言った。
「ありがとう。」
にっこり笑った。
翔も、笑った。

なんとか遅刻は免れたけど、息切れ状態で、バスに乗った瞬間、寝たくなった。
ああ、よかった、遅れなくて。

27:ルルー◆Lck:2016/09/28(水) 18:00

翔カッコイイねー
人気なわけだww

28:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/29(木) 17:09

>>27
だよねー、現実にいたらいいのになー。
でも私は奏系じゃないからなw

29:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/29(木) 17:22

小説

ああ、本当に寝たい………。
だんだん意識が朦朧としてきて、寝そうになった。
でもその度、はっとして頬を叩く。
今度もまた、寝そうになった。
頬を叩こうとした瞬間、寧々華さんの声が聞こえたんだ。
「翔くーん!ねぇねぇ、お話しよーよ!」
う。
なんか、翔のモロに嫌そうな顔が頭に浮かぶ………。
「いーね!」
「やろう、やろう!」
「翔君とお話できるなんて夢みたい!」
いや、私は普通に話してるんだけど、そんなに憧れるもの?
私は普通の女子じゃないのかもしれない。
まあ、気にしないけどね。

「着きましたよー!」
先生が言った。

30:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/29(木) 19:23

小説

「外に出たら、整列していてください。」
私たちは運転手さんにお礼を言って、外に出た。
「こちらが、宮川義史さんです。」
宮川さんは、白髪で、全身グレーコーデだった。
笑っている目は、きつそうだけど、ベテランって感じだった。
「皆さん、よろしくお願いします。」
宮川さんが、頭を下げた。
私たちもすかさず、
「よろしくお願いしますっ!」
と言う。
「じゃあまず、AグループとBグループに分かれてください。」
私たちは、あらかじめクラスを二つに分けていた。

31:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/30(金) 16:43

小説

私はBグループで、翔と同じ。 
寧々華さんとも。
別に寧々華さんが一緒でも、私は構わないのだけれど、寧々華さんは構うらしい。
翔も。
「えっとAグループは、まず稲刈り体験、Bグループは穂の観察、スケッチです。」
私はまず、スケッチかぁ。
スケッチは、まあまあ得意かな。 
問題は翔で、絵だけは苦手。
怖いんだよ、人なのに手が4本だけとか。
「Bグループ、こっちに集まって!」
先生の声がして、私たちは水田のそばに集まった。
「今からスケッチをしてもらいます。」
頑張ろ。
水田を見下ろせるところは、結構危なそうだった。
落ちたら、一巻の終わり。
気をつけなきゃ。
私は、適当なところに座って、スケッチを始めた。
穂は、実がたくさん付いていて、ご飯にしたらおいしそうだった。
シャッシャッと鉛筆を走らせ、穂を描いていると、隣に翔が座った。 
「うまくね?どうしたらそんなんに描けるわけ?」
そんなこと、言われてもねぇ………。
「いや、得になにも気にしてないけど。」
そう言うと、翔は自分の描いた絵を私に見せた。
「なんにも気にしないと、こうなるんだけど。」
私は思わず、噴き出してしまった。
その絵が、面白かったから。
穂っていうか、太い草みたい。 
「笑うなっ!」
だって、笑わずにはいられないよ。
「逆に、どうしたらそんな絵が描けるの?」
そう聞くと、翔は下を向いた。
「知らない。」
まあまあ、そんなに落ち込まなくても。
誰だって、得意不得意はあるんだから。
「あれぇ?翔君、私と行動するんじゃないのぉ〜?」
寧々華さんだった。
わっ、なんでこんなとこに!?
「別に、あんたと行動したくないから。」
翔は吐き捨てるように言った。
ああ、そんなこと言ったら、寧々華さんが怒るっ!
「行動、したくない……?」
寧々華さんの顔が、だんだん強張って行くのがわかった。
うわぁ、なんか悪い雰囲気……。
「蒼山さんが、いなくなればいい。そうでしょ、いなくなれば翔君は、私と
一緒にいてくれる。」 
は、はい?
よくわかんない……。
翔も呆然としていた。

32:ルルー◆Lck:2016/09/30(金) 19:02

寧々華さん・・・グイグイくるなー
奏に嫉妬してるんだろーな・・・ww
私的には奏&翔がくっついてほしいっていうかなんというかww

33:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/10/04(火) 17:16

>>32
だよねー。
奏&翔にするつもり!
(そうしかないっ!)

34:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/10/04(火) 17:35

小説


いなくなればって、どういう意味?
「フフフフフフフフフっ!」
不気味な笑い方だな、そんなこと考えてる場合じゃないんだけどっ!
だって………、寧々華さんは先にカッターの付いたライトを持っていたから。
これって、まずい展開な気が………。
「盛山………、さんっ?!」
翔が隣で叫んだ。
それでも寧々華さんはお構いなしだった。
刃先を向けながら、近づいてくる。
これは………、本気だ。
翔が私の前に割り込んだ。
「奏………、ここでおとなしくしてろよ。」
う………ん。
「どいてどいてどいてっー!」
ひっ!
そのとき、思った。
今まで翔に頼りっぱなしだなぁって。
いいのって。
私のするべきことは、守られてるってことじゃないんじゃない?
「翔、もういいよ、大丈夫だから。」
翔の声は、何となく震えているような気がした。
やっぱり、もう嫌だよね。

私が。

私が守らなきゃ。

だから。

私は黙って翔の前に進み出た。
「奏っ?!」
翔の焦る声が聞こえたけど、やめなかった。
遅かった。

そのとき私の腕に、強い痛みが走った。

35:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/10/04(火) 18:03

小説

そう。

私は……。
 
切り付けられた。

すぐに先生が駆け寄ってくる。
「奏さんっ!大丈夫?」

大丈夫、なわけない。

痛いよ。

傷が。

でも。
それよりも。
ちょっとの達成感があった。
翔を守れた。
ニュアンスは違うかもしれないけど。

「奏……、なんで?」
ふと、翔の声がした。
振り向くと、翔の目に淡い涙が浮かんでいるのがわかった。
え………。
どうして?

なんで、『涙』なの?

「寧々華さん?あなた、わかってるの?」
背後で、先生の怒声が響く。

「血、やばいよ?」
翔が言った。
びっくりして腕を見下ろす。
確かに、すごかった。
血が滴っている。
「使う?」
え?
見れば翔が、ハンカチを渡していてくれていた。

優しいね。

翔は。

いつでも。
「ありがと。」
そう言って、素直に受けとった。
それから、言った。
「涙、拭きなよ。」
私もハンカチを出した。
翔は照れたみたいだったけど、受けとった。

でもなんだか、人のハンカチで血を拭くなんて。
拒んでしまう。

まあ………。
貸してくれたんだもんね。
ありがたく使おう。
洗濯して、返せばいいか。

36:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/10/04(火) 18:08

>>34におかしいところがあったから、訂正しまーす!

「奏、動いちゃダメだよ。」
翔の声は、やっぱり震えていた。

です。

37:ルルー◆Lck:2016/10/04(火) 19:20

奏すごいな!私だったらできない・・・

やった!!翔と奏は相性ピッタリだよねーww

38:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/10/05(水) 17:30

>>37
うん。
奏は勇気あるよー!

39:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/10/06(木) 17:53

小説

血を拭くと、傷がだんだん見えてきた。
そのとき、ゾッとした。
だって。

すごく深い傷だったから。

見るだけで、血の気が引いてきそうだった。
「寧々華さん。見てください?奏さんの傷。すごく深く切れてるでしょ。」
先生がいつのまにか、私の横に来ていた。
寧々華さんも。
俯いて、お互い黙り合う。
翔の目線が気になる。

『大丈夫?』

って、言ってるみたいだった。

大丈夫?

うん。

多分ね。

でも、心は。

心の傷は、消えない。

すごく深くて。

きっと、皆もそうだよね。

今まで楽しくしてきて、悪いところなんか見えなかった。

でも、今。

この瞬間で、変わった。

きっとね。

あなたに対する皆の態度は。

『仲間』から『軽蔑』に変わるよ。

寧々華さん。

でも私は、寧々華さんを。

嫌わないよ。

どんなに酷いことでも。

きっと、いいところはあるよね?

人間だもん。

私はそれを見つけられるかわからないけど。
 

「奏さん。」
寧々華さんが言った。
「ごめんね。私。」
そこで、寧々華さんの言葉が途切れた。
びっくりして見ると、泣いていた。

「だ、大丈夫?」
口から漏れた言葉は。
何故か。

『優しさ』
だったよ。

私はあなたが。

嫌いなのかもしれないのに。

「あなたが羨ましかった。翔君の近くにいて。なんでもできるし。」
そう、なの?

「だから多分。悪い心が出たんだよね。」
うん。
私もそうだと思う。
「いいよ、私は。それに翔は、あなたのこと嫌いじゃないよ。私と翔が仲がいいのは、
ただ単に幼なじみなだけ。」
寧々華さんは、少し笑った。

「知ってる。私は諦めるよ。もう近づかないから。」
え。
私は、そういうこと望んでいない。


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