好きって伝えたら死んじゃう女の子のお話
それは、ごくごく普通の朝だった。
目覚ましのけたましい音で目を覚ました私は、まだ眠っていたい欲望を抑え床を辞す。
ああ、昨日は大好きな作者の本を二冊ぶっ続けで読んだからか。やけに頭と視界がぼんやりする。
「夜更かしって、朝になってから後悔するんだよね〜……ああ眠い。」
それからおぼつかぬ足取りで階段を下って洗面所へと向かい、顔洗って、歯磨いて。幾分かさっぱりした自分の顔を鏡で確認し、着替えのためによれた寝まき用のTシャツを脱いだ。そう、その時だった。
「……………………
……………は?」
鏡に映った自分の姿を確認した私の心臓が、そのまま3拍停止した。
「ま、マーニ、マーニいいい!!!」
思わずこの場で一番頼りになるルームメイトの名を叫べば、ドタンバタンというけたましい騒音の後に洗面所の戸が勢いよく開いた。
「うっさいわね、何よ?」
もしかして、私は今泣いているのだろうか?ものすごく霞んでいる視界の先に、彼女の黒い頭が見えて安心する。
思わずフラフラと近づいて抱きつけば、「朝から騒がしい……」というクールな声が返ってくる。
一見冷たい対応に見えるけど、急いで来てくれたのか、ちょっと息切れしてたりとか眼鏡を逆さに掛け違えているところとかすてきだと思う。実は友達思いなヤツなのだ、とほっこりする。
……って、そうじゃない!!
「マーニ、聞いて。私、ね……」
「ああ……」
ごくり、と彼女が喉を鳴らす音が聞こえた。
私の声にも震えが混じってきて、とうとう本格的に涙がこぼれる。
「私……私、恋をしちゃったみたいなの!!」
数秒後、マーニの「はぁ?」という声が部屋中に響いた。
おもしろいです!
続きが気になります♪
どんな顔なのかなァ〜
応援します
>>3
モコア様
有難うございます!嬉しいです!
顔、というのは多分容姿のことだと思うので(笑)書いていきたいと思います。
主人公
リト
平々凡々な茶髪が腰くらいまであります。長いっすね。
肌は白い!目は、焦げ茶色でこれもふつーんですね。
容姿レベルは……まあ、ふつーん。
マーニ・シュレック
艶やか〜な黒髪が肩下くらいまで。瞳はこゆーい青。
容姿レベルは、隣に立てば確実にリトが霞むというくらいの美人です。でも、シュレックって言わないであげて。
黒縁眼鏡かけてます。美人がかけたら似合うっていう。
>>4
おぉ!きれい!
リトもマーニもかわいいですね
>>5
綺麗だなんて!リトが照れますね笑
ありがとうございます!
面白いです!
続き、楽しみにしてます!(*´♡`*)ノ
>>7
閖時雨◆YQ 様
ありがとうございます!!
まだ一話しか更新してないのに……応援ありがとうございます!
これからも頑張ります!!
この世に生を受け、かれこれ17年。……私は、一度も『恋』というものをしたことがなかった。
『恋』というものに関して一番記憶に懐かしいものでは幼稚園時代、我らがひまわり保育園1の美少女ユリちゃんが発した一言がある。
『わたし、タカヤくんのことがすき……!』
ユリちゃんがその愛らしいお顔を真っ赤にしながら「なかよしのおともだちだけに」と告げた事実は、まだ幼かった私に電撃に打たれたかのような衝撃をもたらした。いや、今でもかなり衝撃だ。因みにタカヤというのは私の幼馴染の名前である。
だって、まだ生まれて5年だよ?まだ2000日も生きてないひよっこだよ?
それなのに、あの頃のユリちゃんの3倍以上生きてる私が恋愛経験皆無ってどういうことだろう。
周りには「早く好きな人作ったほうがいいよ〜」とかなんとか言われるし、最近では合コンとやらにもしつこく誘われるようになったし。親に結婚を急かされるアラサー女子と語り合いたくなる今日この頃である。
「………てか、『恋』ってなんだよ……」
「それすらもわからないのに……一体誰に『恋』してんのよ…」
呆れた声を出すマーニに、私は黙って首を振るしかない。だって、本当に誰か分からないんだもん……。ああ、考えれば考えるほど泣きたくなる……。
以前この年にもなって『恋』の定義も知らなかったことを恥じて、急遽既に恋愛経験済みのお姉様方(同級生)に突撃インタビューした結果、初恋は「ラズベリー味」だの「甘酸っぱい」だの具体的な味の説明しかされなかった。さらにその上をいくベテラン達の中にはファーストキッスを済ませている方々(!)もいるらしく、ついでに彼女達にもインタビューすると、異口同音に「レモン味☆」と答えられた。いや、私は決してお味の感想を聞いているわけではないんだが……。
「はあ……『恋』についてはまだしも好きな人まで分からないなんて……。恋愛経験の無さが仇になるなんて……」
「まぁ、フツーの女の子ならここで喜ぶところなんだけどね……。あんたの場合は事情があるから………って、泣いてんじゃないわよ!!こら!!泣くんじゃなああい!!!」
再び泣き始めた私を見たマーニはまた慌てだして、今度は濡らしたタオルを手際よく電子レンジにかけていた。頼もしい。
そんなマーニを見ていたらもっともっと涙が出てきて、思わず叫んでいた。
「私に……私に恋をさせるようなイケメンフェイスなんて、皆滅んでしまえばいいのにーー!!」
「イケメンに謝れ!!!」
チーン!という小気味良い音とともに素早くレンジから取り出された熱々の蒸しハンドタオルが、私の顔面にクリティカルヒットした。