「リサ…」
まるで先輩たちに絡まれた時のように思考が止まる。落とした段ボール箱からは小道具がこぼれた。
リサもその音に気づいて私を見た。その顔はさっきまで見ていたリサと何も変わらない相変わらずの美人なのに、まるで氷の冷たくて、さっきのリサとはまるで別人のようだった。
「どうして、リサがそんなことを言うの…」
無理やり出した声は、思っていたよりもか細く高い。しかし、静まり返った廊下では、このおもくるしい空気に誰かが息を呑む音すらよく聞こえた。
叱られていたアイドルが私を見て、綺麗な顔を困ったようにしかめる。
リサは嘲るように笑い、その綺麗な人を指差した。
「あの人は紛れもなく下流アイドルだよ。」
「なっ!」
そんなことはないよ!次こそ言い返そうとしたとき、リサは私を鋭く睨んだ。
「だって、あの人、顔も身体も演技も、全部偽物じゃん」
「えっ?」
偽物?
「人の真似して整形して、人の真似した演技して、全部中途半端。だから」
「そんなのわからないじゃん!」
わかるよ。リサの声は震えている。
「だって、あのひと、あたしのおねえちゃんだもん」
えっ?
また、思考が止まった。さっき、あんなに誇らしそうにお姉さんの話をしていたのに。
お姉さんは、ぐっと下を向いた。
「あたしは昔からおねえちゃんに憧れてた。夢に真っ直ぐなところとか」
でも、今は違う。
「あたしはああはならない。顔も体も綺麗に変えて、人の真似して。しかも、完璧にできないで怒られるなんて、それこそ下流。そう思わない?」
変なスペース入れるのやめて