【リレー小説】学園女王【企画?】

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1:ビーカー◆r6:2017/01/29(日) 18:05

――この学園は、女王に支配されている。

【主な内容】
生徒会長によって支配されカースト、いじめなど様々な問題が多発した白羽学園(しらばねがくえん)。生徒会長を倒し、元の学園を取り戻す為に生徒達が立ち上がった……という話です。

【参加の際は】
好きなキャラを作成し、ストーリーに加えていただいて構いません。
ただし、
・チートキャラ(学園一〇〇、超〇〇)
・犯罪者系
・許可なしに恋愛関係や血縁関係をほかのキャラと結ばせる
は×。
また、キャラは「生徒会長派」か「学園復活派」のどちらかをはっきりさせてください。中立派もダメとは言いませんが程々にお願いします。
キャラシートは必要であれば作成して下さい。

【執筆の際は】
・場面を変える際はその事を明記して下さい。
・自分のキャラに都合の良い様に物事を進めないように。
・キャラ同士の絡みはOKです。ただし絡みだけで話が進まないということの無いように。
・展開については↑のあらすじだけ守ってくださればあとは自由です。
・周りの人を不快にさせないように。

2:ビーカー◆r6:2017/01/29(日) 18:11

では、私から書かせていただきます。

白羽学園。
地方でも進学校として有名なこの学園は、まさに理想の教育機関であった。
冷暖房完備、最新科学技術を積極的に取り入れた綺麗な校舎に、ベテランの教師陣や優れた教材。一方で生徒達の健康や娯楽にも気が遣われ、メニューの充実した食堂や専門のカウンセラーなども配備されている。

そんな楽園とも呼ぶべき学園の生徒会長が、彼女――風花百合香(かざばなゆりか)であった。
その美しい容姿と穏やかな性格から、信頼の厚いこれまた理想の生徒会長。

そう、理想の生徒会長。

3:かおり:2017/02/02(木) 17:01

(私もいれてください!たまにしか来れませんが、よろしくです)

私は神狩美紀(かがりみき)。生徒会の会計。
トップクラスの学力と、リーダーシップを持つ、会長の補佐役。
そして………。

会長の、幼馴染でもある。

生徒会長が理想なら、その近くにいる私も理想でなければならない。

それが、私の役目。

4:かおり:2017/02/05(日) 15:44

(えっと、今度は復活派で)

「………いってきます」
小さく呟き、玄関のドアを開ける。
今日は五月の第三月曜日。つまり、新たな週の始まりだ。

私は、歩いて15分の駅に向かう。今年から通っている白羽学園にいくために。

白羽学園。
理想と絶望が混じり合う、究極の学校。
成績とは身分。
それが、白羽学園の絶対的なルールだった。

私の名前は白野恵里(しらのえり)。一応、普通の学生である。
一応、とつけたのは、私自身は普通でも学校がそうでないからだ。
白羽学園と言えば全国に名をとどろかす、『理想』の進学校。
確かにこの学園は、生徒の学力を伸ばすことに関しては積極的だろう。
教室、設備、職員、学校行事。そのどれをとっても素晴らしいと言わざるを得ない。

ただひとつ、欠点をあげるとすれば。

それは、教育方針に違いない。

私たち白羽学園生徒は、いつも勉強に追われている。その主な理由が教育方針にあった。

入学した生徒達はすぐさま5クラスに分けられる。基準はもちろん、入学試験時の成績だ。
上は全国でもトップの頭脳をもつA組から、下はギリギリ合格できたというE組まで。
下とはいってもそれなりに良い成績なのだが、そんなことを言える立場ではない。

私は、1年E組だから。

「………ハァ」
最近癖になってきたため息が自然と漏れる。

……今週も頑張らないと。

5:奏:2017/02/05(日) 16:32

(学園復活派で)
《キーンコーンカーンコーン》
昼休みを告げるチャイムが鳴った。
「ふぅ…」
私の名前は板橋麻衣。白羽学園2年C組の生徒。
今日の昼休みもC組で話す人など誰もいない。
このクラスに友好関係が築かれることはないであろう。
お互いに面倒をかけられたくないからだろう。
沈黙から15分。皆急いで廊下に並ぶ。
そう、この学園を支配する女王・風花百合香の行進だ。
彼女には先生までも頭が上がらない。
この学園は彼女に洗脳されている。
つい私は俯きながら溜息をつくと誰かと溜息が重なった。
顔を上げるとそこには一年生の確か…えっと、白野さんがいた。
私はその日初めてこの学園の人物と心が通じた気がした。

【絡ませていただきました】

6:ビーカー◆r6:2017/02/05(日) 20:10

「ご機嫌よう、皆さん」
周りを生徒会のメンバー達に取り囲まれ、今日も風花百合香は生徒達の前で優雅に微笑む。長く伸ばした艶やかな髪が、歩く度にさらりと揺れた。
「いつもお疲れ様です。生徒会長」
生徒達は声を揃え、一斉に頭を下げる。
生徒会長は、所謂この白羽学園――王国の女王なのだ。彼女が通る際にはきちんと道を開け、その姿を見たらば彼女を賛美し、気遣い、讃えなければならない。
「生徒会長、今日もお美しいです!」
「ありがとう、貴方も髪を切ったのね?とても良く似合っているわ」
「いつもありがとうございます、生徒会長」
「いいのよ、生徒を守るのが私の役目だもの」
「お身体は大丈夫ですか、生徒会長?」
「ええ、とても気分が良いわ。カモミールティーを飲んでからよく眠れるの」
それが、この学園のルールなのだ。
生徒会長は絶対的な存在。故に、彼女に逆らう事は許されないのである。彼女の機嫌を損ねる事は、学園での死に値するのである。
「会長、あの生徒」
女王行進のパレードの中。生徒会会計の神狩美紀が、女王の傍らで一人の生徒を指さした。
その生徒の視線の先にいるのは、女王ではなく……別の人間。別の場所。女王以外の何か。
「……あら……神狩さん、ちょっと待っていて下さる?」
女王は静かにそう言い、無礼者……板橋麻衣へ向かって再び歩き出す。
空気が、凍った。

(皆様ご参加ありがとうございます)

7:奏:2017/02/07(火) 17:20

心が通じた、そう思ったのもつかの間。
女王がこっちへ近ずいてくる。学園の生徒は皆私に冷たい視線を送る。
あ、私粛清されるんだ。粛清という名前の支配の仕方。みんなはそれに怯えてるんだ。
だったら、後悔するくらいならいっそ革命を起こしてやる。女王が近ずいてくる。
でも私は怯えない。立ち向かってやる。私は女王の頬に平手打ちした。
「私はもうあなたに屈しない。こんなことだけで学園を去るなら、後悔したくない。
これは私からの挑戦状よ。風花百合香生徒会長。」

8:蒼月 空太◆eko:2017/02/08(水) 17:23

入っても宜しいでしょうか?とまぁ言っておきながらも書くのですが。不快だった場合はスルーしてかまわないので。(学園復活派の男子目線で行かせてもらいます)



「私はもうあなたに屈しない。こんなことだけで学園を去るなら、後悔したくない。 これは私からの挑戦状よ。風花百合香生徒会長。」

学園の女王。そうふんぞり返っていた女子生徒に平手打ちを食らわせた板橋。それを見た瞬間、最初冷たい目線だったものに、俺の心に、火がついた。何かしら負けたくないと、そう思ったときにつく火。俺はニヤリ、と笑い、板橋の首根っこを掴んで。

「ちょっと借りてくぜ!」

「え!?」

いきなり生徒会長の顔が強張る。そりゃあそうだろうけど、俺はもう決めたことだしな!

「一人で反乱すんのはマズいぜ。だから、俺が力になってやるから、俺と友達になってくんねえか?俺はD組の松葉 晃。松葉でも晃でもどっちでもいいぜ。」

ポカン、としている板橋。俺のマイペースって言われてる性格ならそうだろうけど、まぁ急いでるししゃーないか。

「探しなさい!今すぐ粛清するわよ!」

うっわ女王もどきの叫び声じゃねえかよ・・・こりゃあもう同盟決定か?

「ちょ、ちょっと待ってよ?!いきなりなんなの!」

反応遅く板橋が突っ込んでくる。

「お前の力になる、俺の名前はD組にいる一般男子生徒松葉 晃!そんだけだ!で、早く逃げんぞ!」

俺は板橋の腕を掴んで走り出した。よっし、仲間集めってのを教えてやるか!

(いきなり参加して変な展開ですみません。)

9:ビーカー◆r6:2017/02/08(水) 18:58

(大丈夫です。ありがとうございます)

「……いえ、こんな事を言ってはいけないわね……大事な生徒相手だもの」
辺りの騒々しさが増す中、女王は静かに呟いた。勿論その白い肌には、清らかで美しくある笑顔を貼り付けながら。
「会長! お怪我はありませんか!?」
「大丈夫よ、神狩さん……それよりも私の生徒達が心配だわ」
女王は小さく溜息をつき、その手を合わせパンパンと鳴らす。それに気付いた周りの視線が自然と集まる。やがて物音一つしない空間の中、女王は高らかに命令を下した。
「……こんなことを言うのは大変心苦しいのだけれど……皆さんの学園生活の為には、平和を乱す生徒を粛清しなければなりません」
粛清。
それは、学園中の人間から見放されること。親友だった人間から暴言雑言を浴びせられること。1人の生徒としての権利を奪われること。散々に虐げられ、傷に塗れた身体を自ら投げ捨てること。
所謂それは、私刑なのだ。
「……この間の『事故』は大変悲しいものでした。あの様な痛ましい事態を、私は繰り返したくないのです。彼女は一命は取り留めましたが、もう動くことも出来ません。私は貴方方にそうなってほしくないのです」
ごくり、と唾を飲む音。
「さあ、皆さん……辛いのは分かります。こんなことを言わなければならない私も辛いのです。……しかし、言わなければ始まらない」
それは、女王の絶対命令。

「処刑の時間です」

巻き起こる拍手。歓声。
女王が、そこに君臨していた。

(また、もし『事故』の被害者を作りたいという方がいれば勝手に作っていただいて構いません)

10:ABN:2017/02/08(水) 23:32

(継続できるか分かりませんが、参加させていただきます)



 嵐のように沸き上がる拍手と歓声を、風花生徒会長は挙手で制する。間もなく生徒たちの声が静まるのを待ってから、生徒会長は小鳥のような声で問いかけた。

「さて、今回処刑対象となってしまった生徒ですが……彼女のお名前やクラスなどをご存知の方はいらっしゃいますか?」

 再びどよめきが起こるも、その問いにすぐ答える声はない。偶然生徒会長の近辺に処刑対象、板橋麻衣を知る者がいなかったのか。あるいは遠目にしか見えなかったため、彼女の姿を認識できなかったのか。
 そんな中、生徒会長の側にいた一人の男子生徒が、黒いカバーの手帳を捲りながら彼女に答えた。

「二年C組、板橋麻衣。この学園内に友人関係はなく、部活などにも所属していません。そして彼女を連れて走り去ったのは、同じくD組の松葉晃という男子生徒です」

「そう、あなたの情報力はいつも頼りになるわね。ありがとう、安部野君」

「いいえ、滅相もない。僕も生徒会長にお力添えできまして、至極光栄です」

 生徒会長に労いの言葉をかけられると、男子生徒は手帳を閉じてから、うやうやしく頭を下げる。従順な彼の仕草に、生徒会長は満足気な微笑みを浮かべた。

「なるほど、名前とクラスは分かったわ。じゃあ安部野君、その二人について有用そうな情報を調べてくれる? 円滑な処刑のためにね」

「承知しました、神狩会計。ご希望に添えますよう、尽力いたします」

 神狩の依頼を二つ返事で承諾し、もう一度深々と一礼してからその場を足早に立ち去る。そうして生徒たちの目が届かない校舎の影で一旦足を止めると、安部野はふう、と小さく溜め息を吐いた。

「やれやれ、あんな女王の近くにいるのは疲れるよ」

 ここからでもまだ聞こえる生徒たちの喧騒を背後に、静かに苦笑しながら手帳のカバーを外す。露になった武骨な表紙には、真っ赤な色で乱暴な文字が書き殴られていた。
 「独裁女王 風花百合香 絶対に許さない」と。

 三年A組に在籍する生徒会書記。彼の名は安部野椎哉(あべのしいや)という。




(会長派のふりをした復活派です。ややこしくてすみません。また、麻衣さんの設定(部活)を一部捏造しましたすみません。どちらかでもNGでしたらスルー結構です)

11:奏:2017/02/09(木) 23:49

〜松葉くんに連れてかれた麻衣目線〜
な、仲間集め?そ、そっか私、革命を起こしたんだった…
熱が入りすぎてうる覚え…
でも、女王に逆らう人なんて相当の変人くらいしかいないわよ…
だって誰も関わろうとしてない,みんなまるで女王のロボットよ。
「大丈夫!俺、中学でほとんどと友達だったから!」
と松葉くんが言う。
「で、でもこの学生はもうほぼ敵なんだから…」
つい弱気になる。
「でも革命起こしちゃったもんなぁ〜?だからもうしょうがねぇんだよ!喧嘩腰で行こうぜ」
まあ、それも一理あるか。てなわけで私と松葉くんの仲間探しが始まった。
生徒会長、全校生徒VS板橋麻衣,松葉晃

12:かおり:2017/02/10(金) 15:49

意味が分からない。革命?馬鹿げている。
この学園内で百合香に勝る者はいない。校長だって、百合香に逆らったらすぐさま処刑されるだろう。

私、神狩美紀は愚かな二人の生徒を冷たい目で見送った。
「すぐにあの方たちを処刑することは、いささか度が過ぎるというものですね。どういたしましょう?」
困ったように考え込んでいるのは学園の女王、風花百合香。
……本当に演技が上手いこと。きっと後で私にこっそり文句を言うのだろうが。
「とりあえず、あの二人はE組に降格。処刑の宣言はその後にしましょう、生徒会長」
「そうですね。……皆様、申し訳ございません。用事が出来てしまいましたので、ここで失礼いたします。神狩さん、お手伝いをお願いできる?それでは皆様、また後ほど」
百合香が可憐に笑うと、生徒達は一斉に返事をする。
「「「「「了解致しました、生徒会長」」」」」
……そう、それでいい。
この学園の全生徒、全職員は、百合香に従っていればいい。百合香は、全てが正しいのだから。

百合香を少しでも否定するのならば、殺してやる。
この学園で生き残れるのは、百合香の全てを肯定する者のみ。
本当は私自身で殺してやりたいが、それでは百合香の名に傷がつきかねない。
だから、この処刑制度は本当にありがたい。

さあ……


  最後まで生き残れるのは、一体どれくらいいるのでしょう?

13:ABN:2017/02/11(土) 14:25

(場面を少し変えます。正式ではない処刑宣言の少し後〜その日の放課後くらいのイメージです)



 古来より「悪事千里を走る」とはよく言ったものか。生徒会長が処刑を正式に宣言する前にも関わらず、一部の生徒は板橋麻衣、松葉晃の存在を既に反逆者として認知していた。
 ある者は二人の行動を無謀だと嘲笑し、ある者はストレスの捌け口が生まれたと歓喜し、ある僅かな者はこの恐怖政治を打ち破る革命を期待する。そのうち、二番目の思想を持つ数人の一年男子生徒は、学園の空き教室でダラダラとたむろしていた。


「えーと、二年の板橋と松葉だったか? その処刑対象ってやつ」

「そうそう。中庭近くの廊下歩いてたら、いきなりワーって大声が聞こえてよ。めっちゃ騒いでたから聞き辛かったけど、確かにそいつらだぜ」

「入学前に話は聞いてたがマジであったんだな……女王命令の処刑って」

「これからはそいつらボコっても文句言われねえってことなんだな? へっへっへ、俺の腕が唸るぜ!」


 都合のいい暴力の矛先を知り、拳を振りかざしながら下卑た笑みを浮かべる男子生徒。彼らの髪はおよそ学生らしくない色に染められ、服装はだらしなく着崩されている。進学校の生徒であるならば、本来彼らの格好は校則によって厳しく取り締まられるはずなのだが。


「あんまり調子乗るなよお前ら? いくら処刑っつう大義名分があっても、度が過ぎりゃあ俺達が目えつけられるからな」

「へいへい。翼の生徒会長への熱い敬意にはいつも感謝してますよっと」


 翼と呼ばれた彼の格好は、一時的に首元が緩められていることを除けば、模範的な白羽学園生のものだ。しかし彼がまとっている気だるげな雰囲気は、周囲の不良生徒たちによく溶け込んでいた。
 一見不良には思えない見てくれの男子生徒、一年B組の大路伏翼(おちぶしつばさ)。不良生徒たちの素行が学園に見咎められないのは、熱心な生徒会長派である彼が、その擁護をしているためであった。
 しかし、不良生徒の言葉を聞いた翼はきょとんとした表情の後、勢いよく失笑する。


「敬意? 生徒会長に? ああいう単純女は周りがヨイショしてやりゃあ、独りでに調子こいて色々見逃してくれるんだ。そんなアマに敬意もクソもねえよ」

「マジかよ! 裏でそう思ってたとか、お前笑えるくらいクズだな!」

「世渡りのためならクズ上等だ。それに俺も、お前らの喧嘩に付き合わさせてもらえて感謝してるんだぜ? いい鬱憤晴らしになってよ」


 ゲラゲラと下品な笑いが、薄暗い空き教室に響く。その光景は、名だたる進学校の白羽学園には到底似つかわしくない一場面だった。



(安部野に続き、今度は生徒会長派の男子生徒を作らせていただきました。ただし文章内で書いた通り、真剣に慕っている訳ではありません)
(「校則違反は見逃されない」「モブでも部下的な存在を持つのは良くない」「そもそも学園に不良はいない」などの設定の不一致や不都合がありましたら、この投稿をスルーして構いません)

14:ビーカー◆r6:2017/02/11(土) 15:08

「相変わらず調子乗ってんねー、アンタ方さ」
その教室の扉の向こうで、小生意気な声が響く。
翼を含めた不良生徒達がそちらに目をやると、1人の小柄な少女が見える。しっかりとピンク色に染められた長い髪は、薄暗い教室の中でもよく目立っていた。
「あ?何だお前は……見た目からして1年か?」
「残念でしたー、アンタ達の先輩ちゃんです」
そう言って彼女はべーっと舌を出す。舌に刺さった銀色のピアスが顔を覗かせる。
「あっそ……で、お前は何しに来たんだよ。喧嘩なら受けて立つぜ、お前みたいなガキンチョ相手にするまでもねぇがな」
再びゲラゲラと笑う生徒達。しかしそれを彼女は怒りも怯みもせずに、フッと鼻で笑った。
「喧嘩なんかする訳ないじゃん、かいちょーに怒られんだから」
「会長?」
翼がその言葉に反応した。そして察する……彼女もまた、女王の下僕の1人であると。
「そ、かいちょー。風花百合香生徒会長。アンタ達も知ってんでしょ、特に翼クンはさ」
小生意気な声で言い放ち、彼女は翼と向き合う。長いまつ毛が瞬きの度バサバサと動く。
「……どうして俺の名前を?」
「そりゃあ、知らない訳ないじゃん? アタシいっつもかいちょーの話聞いてるし」
そして彼女は机に座り、くすりと小悪魔の様に笑った。
「アタシは結城璃々愛(ゆうきりりあ)。アンタ達、気を付けないと密告しちゃうよ?」

彼女こそが『白羽のギャル』、結城璃々愛。

15:ABN:2017/02/12(日) 01:47

(翼との交流ありがとうございます。他の方の投稿を挟まないのはいかがとも思いましたが、話の流れ上最適だと判断したため投稿させていただきます。すみません)



「……ってことは何だ。生徒会長の話に名前が出る程度には、俺らは目をつけられてるって訳か?」

「その通り。翼クン本人は良い子だけど、悪いお友達とよくつるんでるから不安だって、かいちょーが『心配』してたよ?」


 机の上で足を組みながら、愉快そうにクスクスと笑う璃々愛。だが彼女とは対称的に、翼は面白くなさそうな顔でチッと舌を打った。生徒会長が言う『心配』が額面通りの意味でないことは、学園に入学して間もない彼もとうに理解している。
 そんな期待通りの反応を示した後輩に満足しつつ、璃々愛は言葉を続けた。


「今回の奴らみたいに、真っ向から反逆宣言するよりかはずっと賢いと思うけどさ。『壁に耳あり障子に目あり』だっけ? 自分の発言には気をつけないと、誰が見聞きしてるか分かんないんだからね」

「あーはいはい、ご忠告どーも先輩様。しかしそんな事をわざわざ教えてくれたっつうことは、お前は俺達の味方って認識でいいわけ?」


 これ以上は耳が痛いと言わんばかりに、翼は璃々愛の台詞を半ば中断して、話題の方向を自分から彼女に向ける。彼の問いに璃々愛は少し考える素振りを見せると、間もなくしてニイっと意地の悪い笑みを浮かべた。


「さあねえ。それは翼クンたちの行い次第じゃない? ま、どちらにせよ、アンタたちの命運はもうアタシが握っちゃってるしー」

「さっきの俺の話をチクるつもりか? 証言だけじゃあちゃんとした証拠とは認められねえんだぜ」

「それは裁判所での話じゃん。残念ながらここは白羽学園で、その法律はかいちょー。逆に言えばかいちょーの信頼さえあれば、冤罪を吹っ掛けることだって不可能じゃないんだから」

「うっわ、マジかよ……」


 既に警戒されている新入生の翼と、一定の信頼は得ている在校生の璃々愛。生徒会長の前で有利なのは言うまでもなく後者だろう。言外に答えられた正論に対し、返せる言葉を翼は持っていなかった。


「まあまあ、そんな悔しそうな顔しないの。別に今すぐ密告するとは言ってないし、それに表向きだけとはいえ、アンタたちみたいな過激派がいると助かるんだよね」

「助かる?」

「かいちょーが命令するまでもなく、処刑対象をボコるつもりだったんでしょ? そうしてくれれば、アイツら以外の不満分子に対していい見せしめになるからさ」

「生徒会長の代わりに俺達が直接手を下せってか。流石、清く正しい女王様だぜ」

「誉め言葉として受け取ってあげる。じゃ、言いたいことは大体そんな感じだから。精々加減しながら暴れてちょうだいね?」


 その台詞を最後に、璃々愛は座っていた机から飛び下りると、彩度の高い桃色の髪を翻しながら退室していった。女子特有の甲高い声が消えた空き教室で、翼は盛大な溜め息を吐く。


「……という訳だ、お前ら。あいつの言った通りに動くのは癪だが、ほとぼりが冷めるまでは大人しくしてるぞ」

「はあ? マジであんな奴の言いなりになるのか!?」

「もうちょい上手く言いくるめられなかったのかよー」

「うっせえよ! 不満垂れるなら端から俺に丸投げしてんじゃねえ!」


 璃々愛には弱みを握られ、生徒会長には警戒され、友人の不良たちからはブーイングを受け。行き場のない鬱憤が限界に達した翼は、璃々愛が座っていた机を乱暴に蹴飛ばしたのだった。



(長文になってしまいすみませんでした)
(主催のビーカーさんに質問なのですが、一人で作ってもよいキャラの人数に上限はありますか?)

16:ビーカー◆r6:2017/02/12(日) 21:33

上限はありませんが、自分が使いこなせるくらいに留めておくのが良いかと思います。

17:かおり:2017/02/15(水) 20:18

シンプルながら伝統的な雰囲気を醸し出す学園の講堂。
綺麗な声が響き渡っていた。
「この度、とても喜ばしいことに、二人の生徒の方が昇格されます。白野恵里さんと、戸塚亜衣さんです」
全校生徒の前でそう話したのは百合子。すると、大きな拍手が会場を包み込んだ。
……昇格、ね。
生徒達も気づいているだろう、この話の本当の意味に。

今回『昇格』するのはE組生徒二人。クラスごとの人数は決まっているため、その代償として他のD組生徒二人が降格することになる。
私達生徒会のねらいはそれだ。
降格するのは勿論……板橋麻衣と松葉晃だ。
E組になれば、自由はほぼ無いに等しい。

革命の予防、というわけだ。

これで、百合子の楽園は、守れる。

百合子を、守れる。

そのためなら、なんだってしてやる。

それが、私、神狩美紀なのだ。

私にとって、百合子がすべて。
それは、ただ幼馴染だからというわけではない。


百合子を見上げる生徒の中に、一人、明らかに異質な生徒を見つけた。
ピンク色に染められた長髪……結城璃々愛だ。
あんな見た目でもこの学園にいられるのは、何故か百合子が気に入ったからだ。

璃々愛のどこがいいのかは知らないが、まあいい。

百合子はいつでも正しいから。

18:匿名 ABN:2017/02/16(木) 07:30

>>16 回答ありがとうございます。あと二人ほどキャラの案があるので、一応それまでに留めておきます)
(かおりさんが投稿した場面が、仮の処刑宣言の翌日だと仮定して書きました。不都合などがあればスルーお願いします)



「どうかしましたか? 神狩会計。会長の演説中に余所見とは珍しいですね」

「いえ、なんでもないわ。ちょっと心配ごとがあっただけだから」


 自分の隣に立っていた、同じく生徒会役員の安部野に声をかけられる。彼の問いに対して、美紀は本心を誤魔化す形で答えた。
 ――璃々愛は確かに得体の知れない不安分子だ。しかし他でもない百合子自身が彼女を肯定しているのなら、少なくとも璃々愛は百合子、及び自分の障害ではないのだろう。それより、問題は……。


「ところで神狩会計。今回の『昇格』に伴って一つ提案があるのですが、よろしいでしょうか?」

「提案? 何かしら」


 美紀がその話を聞き入れる姿勢を見せると、安部野はゆるりと口元を緩めながら言葉を続けた。


「今回の処刑対象は、自ら生徒会長に手を出した無謀者でした。無謀というのは時に恐ろしいもの。こちらにも読めない方法で、反逆を企ててくる可能性もあります」

「確かにね。でも、だからこそ今回の『昇格』でしょう? E組に堕ちた生徒は、この学園では無力も同じよ」

「無力だからこそ、ですよ。失うものがなくなれば、リスクを恐れる必要もない。恐れがなければ、過激な手段でも躊躇いなく実行するかもしれません。そんな危険人物を放置するわけにはいかないでしょう」

「……つまり、今回の処刑対象には監視をつけたいということ?」

「理解が早くて助かります。それに自分で言うのもなんですが、僕の観察力は人並みよりは高い。彼女たちに不穏な動きがあれば、それを理由に処刑を先導……あるいは煽動することも出来るでしょう」


 いかがでしょうか? と最後に締め括って、安部野は自分の提案を述べ終わった。
 確かに彼の意見は一理ある。それを踏まえた上で念には念を入れ、という理由での監視なのだろう。美紀はそう思案する。


「……なるほど、悪くないアイデアね。でもそれを通すには、会長の承認が必要になるから即答はできないわよ」

「勿論、承知しております。ですので生徒会長のお時間が空き次第、この案の是非を判断して頂きたい所存です」

「安部野くんの考えは分かったわ。一応今の話は、会長に伝えておくわね」

「ありがとうございます」


 保留の返事を受け取り、うやうやしく頭を下げる安部野。その顔が下がっている間、美紀は彼の仕草を訝しげな目で見ていた。

 安部野椎哉。彼は今年度の新学期から、白羽学園に転入してきた生徒だ。三年生とはいえ、新参者の彼が生徒会役員の座に就けたのは、優秀な学力と、学園への強い貢献心を認められたからという話だが。
 執事のようだと揶揄されるほど、柔らかい物腰と周囲への綿密な配慮。その一挙一動があまりにも丁寧すぎて、逆に胡散臭さを覚えるのだ。従順という分厚い皮で、それとは真逆の性質を覆い隠しているような。


「おや、そろそろ始まるようですよ。正式な処刑宣言が」


 百合子が立っているステージに安部野が目線を向ける。同時に美紀も、演説台に立つ彼女をじっと見つめた。
 ――板橋麻衣。松葉晃。結城璃々愛。安部野椎哉。誰が敵に回ろうと同じこと。親愛なる百合子に仇成す者は例外なく、全員破滅を辿らせるまでだ。
 全校生徒の前、凛とした佇まいで直立する百合子の姿に、美紀は改めて自らの決意を固め直すのであった。

19:ビーカー◆r6:2017/02/16(木) 19:17

「……皆様、御二人に盛大な祝福を」
麗しい声が演説会場に響き渡る。一瞬の間、空気が止まる。女王は相変わらずの微笑みを浮かべ、理想の少女として振る舞い続けていた。勿論、その底知れないおぞましさの宝石はしっかりと胸にしまい込んで。
「そして同時に……どうかあの二人に弔いを」
視線は女王突き刺すことなく、寧ろ彼女を優しく包み込む。木々にとまった烏でさえも、女王をじっと見つめている。
「……先日、仮の処刑宣言はさせて頂いたものの、皆様にはきちんとご説明をしていませんでしたね。最高学年の三年生ならまだしも、一年生や未経験者、休みがちの方々には解りにくい点が少々あったでしょう」空気さえも、女王に服従している様な錯覚。女王の声は確実に全生徒達の耳に届く。
「処刑。それは白羽学園の平和の為の制度です。学園の意思に背く、私達や周りの方々に迷惑をかける、白羽学園生としてあるまじき行為を行う……そういった事を行い、残念ながら処刑対象になってしまった生徒達。そんな生徒達を処刑するのは、皆様なのです」
ごくりと唾を飲み込む音がした。女王は生徒達を見回し、訴えかける。
「処刑には勿論苦痛が伴います。しかし、彼等を放置しておけば皆様を守ることができません。彼等に最大限の痛みを、人の痛みを理解してもらわなければ、平和な学園は築けない。恐れることはありません、これは皆様自身の為の処刑なのですから。約束します。皆様が対象を処刑しても。散々に苦痛を与えても。私は貴方を赦します。貴方を讃えます」

「学園の為に――皆様の為に、私は宣言致します」

「2年C組、板橋麻衣さん。2年D組、松葉晃さん。二人を、処刑しなさい」

20:蒼月 空太◆eko:2017/02/18(土) 00:19

処刑の宣言がされてから翌日。
松葉 晃は、自室でノートに、ペンを走らせていた。どう対抗するか。どうやれば勝てるか。
が、まったく案が浮かばずに、ボールペンを投げ出して、布団へとダイブした。

「はぁ・・・勝てる策が浮かばねえ・・・っつーか絶対俺らE組に落ちてるだろ・・・味方作れるかなー・・・ってか、返事しろよー、板橋ー」

晃は、麻衣を連れて、自室に止めていたのだ。丁度一人暮らしだから。という理由だけで。

「あのさ・・・自分から仕掛けたことって言っても、無謀すぎる気がするの。なんていうか・・・どうにか味方・・・作れない?」

「それを今考えてるんだっての!それによ、俺喧嘩強くねえし、もう八方塞なんだよ。しかもやたらと誰かに見られてる気がするしよー。」

晃は、D組の友達へ、スマホでMINEを送ると。

こー『どうにか俺らの手伝いできねえか?友達だったろ?』

タク『ふざけんな裏切り者。俺はあの生徒会長とあわよくば付き合いたかったのにお前みたいな野郎がいるせいで友達だとか言われた俺まで避難されてるんだよ。マジふざけんな。』



「ちくしょー!薄情ものめーっ!」

晃はスマホを投げて、そのままノートにペンを走らせて、ちょこん、と座っている麻衣。

「あのさ・・・一つだけ、作戦が浮かんだんだけど・・・」

麻衣の口からは、衝撃の作戦が告げられた―。

21:ABN:2017/02/18(土) 14:41

>>18 名前書く場所間違えたああああorz)
(白野恵理さんの視点お借りしました。麻衣さんと晃くんが相談している一方その頃のような感じです)



 長らく努力し続けてきた成果が実ったのだろう。今回の集会を以て、白野恵理は最底辺のE組から晴れてD組へと昇格できた。全体で見ればまだまだ下の方だが、勉学のプレッシャーからは幾分か解放され、心にも今までより余裕が出来るだろう。


「初めまして、白野さん! D組へようこそ!」

「これからは私たちと一緒に頑張ろうね!」

「う、うん……」


 余裕が出来る。と恵理は思っていた。しかしあの集会以降、彼女の心はずっと晴れない。
 恵理と入れ替わるようにしてE組に降格した、二年生の板橋麻衣と松葉晃。自分(ともう一人)の昇格が二人を贄にして行われたのだと思うと、素直に喜ぶことはできないのだ。それに今だって、目の前の新しいクラスメイトは朗らかに話しかけてくるが、少し目を逸らせば麻衣と晃の侮辱話を嘲笑いながら繰り広げている生徒が見える。
 果たして自分は、こんな生徒たちと上手くやっていけるのだろうか? 恵理が溜め息を吐きそうになったとき、教室の外がやけに騒がしいことに気づいた。


「どうしたの?」

「あー、二年の人が廊下で倒れたみたい」

「大分しんどそうだけど、この人って確か……」


 D組前の廊下を見ると、確かに小柄な男子生徒が床に転がるようにして倒れ付していた。だが、周囲の生徒たちは彼を遠巻きに見るばかりで、誰一人として彼に手を差し伸べる様子はない。通常なら誰かしらが彼を介抱するなり、保健室に連れて行くなどするはずなのだが。


「お前保険医員だろ? 早く連れて行けよ」

「はあ? 嫌だよ。確かにあいつは処刑対象じゃなかったけどさ……」

「分かるー。『広報部』の奴らとは関わり合いになりたくないし」


 うずくまって呻いている男子生徒には声もかけず、生徒たちはひそひそと介抱の面倒を押し付け合う。周囲の話に耳を傾けると、どうやら彼は「広報部」と処刑関連で過去に何かがあったらしいことが聞き取れた。
 この学園において、自らの評判は生命線と同義である。例え些細な行為でも、それが学園全体――もっと言えば生徒会長の意向にそぐわなければ、たちまち白い目を向けられてしまうだろう。
 ……しかし、それでも。


「あ、あの! 大丈夫ですか?」


 彼が敬遠される所以こそ恵理は知らないが、それでも病人が利己的な都合で放置される光景は気分が悪い。
 自分の評価を犠牲にする覚悟を決めると、恵理は思い切って二年男子生徒に声をかけた。



(長文になりすぎるため、男子生徒の詳細などは次回くらいの投稿で書こうと思います。それまでに挟みたい交流などがあればどうぞ)

22:奏:2017/02/18(土) 15:20

【あの、小説と関係ないんですけど生徒会長の名前って百合子じゃなくて百合香ですよね?】

23:ビーカー◆r6:2017/02/18(土) 15:36

(百合香、ですねー
まあ間違いはよくありますしお気になさらず!次から直していただければ幸いです)

24:ABN:2017/02/18(土) 17:46

(うわああああ人様のキャラになんて失礼をすみません;以後気を付けます;;)
(再発防止といってはなんですが、こことは別にキャラをまとめたり質問などが出来るスレがあれば便利だと思うのですがどうでしょうか…)

25:ビーカー◆r6:2017/02/18(土) 18:20

>>24
大丈夫ですよ!
なるほど、立てるとしたらどの板にいたしましょう?小説か創作かどちらかだと思うのですが…

26:ABN:2017/02/18(土) 18:56

>>25 ここは現在進行形で書かれている他の小説もあるので、立てるなら創作でしょうかね?勿論他の参加者さんたちの意見も聞いた方がいいと思いますが)

27:奏:2017/02/19(日) 10:51

〜麻衣と晃の作戦会議〜
「あのね、私趣味っていうかなんかそんな感じでね、洗脳について調べてたの。」
まさかこの知識がここで役に立つと思ってなかったな…
「するとね風花百合香の支配の仕方は全て洗脳の技術な訳。そこで考えたの。これを私たちも使ってみないかって。」
すると晃は、「うおっ!マジか!」
「成功するかはわからないけどね…でもやってみないとわからない。お願い、晃くん。
協力して。」
麻衣は真っ直ぐな目で晃を見つめた。すると晃は笑って
「そんなん言われなくても協力するっつーの!で、具体的にどんなことをするんだ?」
「よく聞いてくれたわね。風花百合香は完璧でしょ?そして理想的。まずそれで魅了する。
でも不正を犯したものには厳しい罰を与える。これで恐怖を植え付けるのよ。そしてこれから私たちが
一年生たちの恐怖の植え付けの見世物ってわけ。あなたも見たでしょ?一年生の時にえっと、確か
藤野真凛。彼女だったわね。彼女もまた生徒会長に反抗した。でもどう?今はもうこの学校にはいない。
あの時もきっと粛清されたんだわ。そしてまた私たちに恐怖を植え付けた。
これが彼女の洗脳方法よ。私たちはこの洗脳を解く。解き方はいろいろあるわ。例えばいろんな人たちの意見を
聞く。あとは善悪で物事を考えない。要するに物事の見方を変えるってこと。学生たちはみんな
風花百合香の思想に塗り替えられてるから私たちはその思想を壊すの。そうなるとかなりの人の協力が
必要だわ。でも今の時代はネットがある。利用しましょう。風花百合香を潰すために。」

【長文すいません>>26 そうですね 創作でいいと思います。】

28:蒼月 空太◆eko:2017/02/19(日) 18:54

俺も書きますね

「でもよー、どうやってネットに皆集めるんだ?俺らは投稿すれば粛清対象で授業中すら追いかけられるしよー、これはキツいんじゃねえか?」

「晃くんって確かパソコン使うの上手いよね?」

「まぁ、パソコンの腕なら負けたことはねえな」

「じゃあ、学校掲示板を立てちゃおう。そういうのが出来ればなんとか集められると思うの。」

マジか。随分と大胆なこと考えますな麻衣さんよ。って、まぁ掲示板作るくらいなら余裕か。つっても外部人が来ないようにしねえとなぁ・・・ああ大変だこりゃ。

続く(短いけどすみません)

29:ビーカー◆r6:2017/02/19(日) 19:30

(了解しました。創作板の方に建てさせていただきます)

「かいちょー?」
生徒達のいざこざがあちらこちらで起きる中、放課後の生徒会室を覗き込む生徒が1人。目が痛くなるようなピンク色の髪に小さな身長、短いスカート。そう、結城璃々愛だ。
「あら……どうしたの、璃々愛ちゃん」
その声に反応し、彼女の方に視線をやる百合香。相変わらずの優しい笑顔。
生徒会室にいるのは、椅子に腰掛け雑務をこなす百合香1人だけだった。
「かいちょー、あの反逆者共がね、なんか危ないかも」
璃々愛はそう言いながら、百合香の肩に両手を回す。金木犀の優しい香りが、璃々愛の鼻に入り込む。
「まあ、どうしてそう思うの?」
「えへへーっ……盗み聞きしちゃったの」
そう言って璃々愛は、女王の耳元に携帯電話を当てる。そこから流れ出たのは、反逆者――麻衣と晃の、作戦会議。その音を、百合香は暫く黙って聞いていた。
やがて再生が終わると、百合香はゆっくりと口を開く。
「……璃々愛ちゃんったら……いつ盗聴器を仕掛けたの? 犯罪になっちゃうわよ」
「証拠がないから訴えられても負けないもーん。それよりかいちょー、どうする?」
麗しい女王の耳元で微笑む璃々愛。その光景はさながら、小悪魔が天使に囁く様だった。
「そう、ねぇ……」
百合香は数分の間考え込み、やがて璃々愛に笑いかける。
「璃々愛ちゃん、『また』お願いできるかしら? ついでに掲示板ごと操作してしまいましょう」
「了解っ、かいちょーの為なら何でもしてあげる」
そう言いながら璃々愛はスマートフォンを取り出し、電源をつけた。SNSアプリを開くと、50個以上ものアカウントがずらりと表示される。彼女はその中から1つを選び、プロフィールを開いた。

『Lily.
フォロー 121 フォロワー 63,982』

30:ビーカー◆r6:2017/02/19(日) 19:37

http://ha10.net/sou/1487500416.html
こちらになります。

31:奏:2017/02/19(日) 22:11

【2人目のキャラ作らしていただきます】
「…うふふふふ…きゃはははははは!」
暗い部屋の中pcのエンジン音が鳴り響きブルーライトの光に照らされる少女は深夜、不敵な
笑みを浮かべていた。
「生徒会長さん。あなたってほんと素晴らしいわね…」
彼女も白羽学園の生徒。今は出席停止状態の少女。そして今パソコンに何やら打ち込んでいる。
「まさか反逆者が出るなんて、おもしろい展開じゃない!…ふふふふふふ…」
そして彼女がエンターキーを押した瞬間部屋に電気がついた。
「あの時の復讐…この機会を待っていたの…」
彼女の部屋の壁には風花百合香の写真が貼ってあってその写真は全て顔が切り裂かれていたり、
えんぴつでぐちゃぐちゃにされていたり。
その傍には生徒手帳が置いてある。『藤野真凛』と書かれた生徒手帳が。

32:ABN:2017/02/20(月) 01:43

>>30 スレ立てありがとうございます!)
(告知通り前回の続きです。どうしても長くなってしまったので、二回に分けて投稿させていただきますすみません)



「筆崎先輩、あれから大丈夫でしたか?」

「なんとか。心配かけてごめんね。……で、どうして君は俺のクラスに来てるの?」


 二年男子、筆崎剣太郎(ふでさきけんたろう)を恵理が介抱した翌日。恵理は剣太郎の様子を見に、彼のクラスである二年E組を訪ねていた。
 しかし剣太郎は、恵理の気遣いに感謝こそすれど、自分の教室にまで赴いた彼女の行為はあまり歓迎していないようだ。弱々しくも突き放すような態度が、彼のそんな心情を物語っていた。


「昨日も少し言ったけど、俺にはもう近づかない方がいい。白野さんの沽券に関わってくるから……」

「……私の沽券に関わるから、また先輩が倒れたとしても見捨てろってことですか?」

「そうだよ。君もE組にいたなら分かるだろう? この学園は成績と評判が全てを決める。必要以上のお節介は自分の身を滅ぼすだけだ」


 剣太郎の言葉に、恵理はぐっと喉を詰まらせる。実際に自分がE組だったときの扱いは、他の組の生徒と比べて明らかにお座なりだった。彼の言い分は確かに正しいだろう。しかし。


「でも、体調不良の人を見捨ててまで保つ沽券の価値なんて、たかが知れてます。そんな紙切れ程度のものなら、いっそない方がマシですよ」

「!」


 恵理のその言葉で、剣太郎の顔は明らかに驚愕で染まった。そうして観念したように肩を竦めると、躊躇いがちな小声で、恵理だけに聞こえるようにして話す。


「……分かったよ。お節介を続けていいとは言えないけど、忠告くらいはしてあげられると思うから」



◆ ◆ ◆



 中庭の中でも日の当たりが悪い、人気がない隅の隅。そこまで恵理を連れてきた剣太郎は、ぽつりぽつりと自分の身の上を話し始めた。


「まずね、この学園には『広報部』って部活があったんだ」

「ああ、筆崎先輩が倒れたときにも、微かですが聞こえてましたね。どういう部活だったんですか?」

「学園内のイベントや功績を挙げた生徒を取材して、それを学園新聞にまとめる。謂わば学園の新聞社ってやつだね」


 昨日聞こえてきていた生徒たちの話からもある程度推測できたが、かつては剣太郎も広報部の一員だったのだろう。当時の活動内容を想起する彼は、僅かだが楽しそうに見えた。生憎その表情は、その直後に見る影をなくしてしまったのだが。


「でもあるとき、当時の部長が言ったんだ。『この学園は異常だ。この異常性を学校中に知らしめる』って。反対した部員もいたんだけど、それでも部長は独自の調査と取材を続けた。それまで行われてきた処刑の詳細や……この学園を牛耳る生徒会長の秘密や、権力の実態まで」

「まさか、それで広報部は……」

「部長が掴んだ情報がどこまで真実だったかは分からない。でもどちらにせよ、部長の行為は生徒会長の逆鱗に触れてしまった。結果、広報部は強制廃部になって、部員は全員Eクラスに降格。加えて部長には処刑命令が下されて、それで……」


 剣太郎が吐けた過去はそれまでだった。嗚咽に似たうめき声を上げると、口を抑えて昨日のようにうずくまってしまう。
 恐らく昨日の体調不良も、宣言された処刑命令によって引き起こされたものなのだろう。彼自身の意思もあったとはいえ、全く同じ症状を引き起こさせてしまったことに、恵理は酷い罪悪感を覚えた。


(続く)

33:ABN:2017/02/20(月) 01:44

>>32 続き)



「ごめんなさい、筆崎先輩。そんな酷いことがあったなんて……」

「ううん……白野さんが謝ることはないよ。むしろこのことを誰かに話せて、少しは楽になったし」


 そう言って剣太郎は微笑むが、その笑みはとても弱々しく、体躯の小ささや具合の悪さも相まって、いっそ病人のようにさえ見える。
 直接の処刑対象でない彼さえも、ここまで追い詰める生徒会長と、白羽学園。彼女たちの容赦のなさと非道さを、恵理は改めて目の当たりにしたのだった。


「とにかく、俺が皆から避けられてる理由はこんな感じだね。だから白野さん、君はもっと自分を大切にして……」

「あっ、すみません先輩。D組の人からMINEが来たので、ちょっと待ってください」

「う、うん」


 話の腰を折ってスマホを弄るのは本来なら許されがたいことだ。しかし折角入れたD組の席から追い出されないためには、今度は成績だけではなく、コミュニケーションにも気を配らねばならなくなるだろう。
 剣太郎もそれを察したのか、特に文句を言わずスマホの使用を承諾する。彼の気遣いに感謝しつつMINEを開くと、そこにはURLが投稿されていた。


メッセージ:面白い掲示板見つけたよ! 白野さんも見てみたら?
リンク:【白羽学園 学校掲示板】



(今回存在だけ登場した広報部部長で、ABNが作るキャラは一先ずこれまでとなります
(実はABNがライン使ったことのない原始人なので、MINEの描写がおかしいかもしれませんすみません)

34:ビーカー◆r6:2017/02/20(月) 16:57

「……あったあった……白羽学園、学校掲示板? かいちょーの邪魔しようってわけね」
鍵のかかった屋上の扉の前で1人、結城璃々愛は呟いた。彼女の左手には、派手な装飾がなされたスマートフォンが握られている。
掲示板には今のところ、特に内容のある書き込みはなされていない。せいぜい『何年何組?』『管理してるの誰か知ってる人集合』といった、雑談系のものが数件あるだけだ。
「ふーん……今のうちに釘、刺しちゃおうかなっと」
そう言って璃々愛は右手を動かす。
いくら学校掲示板だからといって、第三者に見つかる可能性を蔑ろにしてはいけない。処刑の件を話題にしたり、むやみやたらに会長の話をしたりするのは得策とはいえない。
では、どうすべきか。
簡単だ。ただの雑談会場にしてしまえば良い。
Wi-Fiを変更したり消したりを繰り返して、IDを変更しながら璃々愛は作業を進める。IPアドレスを管理者が特定したとしても定期的に変更されるのだからほとんど意味はなさないし、そこから個人を特定するのは国の許可が必要だ。機種だって同じものを使っている生徒が大多数であり、璃々愛の特定は不可能といえる。

『学園祭何したいか話そー』
『勉強会ー課題わかんない人集合』
『文化部雑談スレ』
『白羽学園一の美人決定戦』

そして最後に1つ。
『【生徒会より】要望・御意見募集』

「……よし」
念のためにスクリーンショットを残し、璃々愛は立ち上がる。
生徒会も見ている、という牽制にはなっただろう。もし書き込みが消されたら、スクリーンショット付きで文句を言って掲示板ごと過疎させればいい。管理者が差別を行う掲示板は批判の果てに潰される。
「……それに……どうせ気付いてないんだろうなあ。あいつらの中にこっち側がいるってのに」
独りそう言い放ち、璃々愛は満足そうに笑う。
「アタシはその逆に気付いたけどね、でも言わないでおいてあげるよ。まだかいちょーの邪魔はしてないみたいだから」
ポケットに手を突っ込み、スマートフォンと入れ替えに別の物を手に取る。それを取り出すと左手の指先で数回転くるくると回した。
「……かいちょーに手出ししたら、許さないけどね」
左手のカッターナイフを持ち変え、悪魔はその刃先を舐めた。

35:蒼月 空太◆eko:2017/02/21(火) 20:13

晃視点

ただの雑談だとかそういうのがかかれてて中々麻衣の洗脳作戦出来ないな・・・まぁ、ここはあれで行こう。スレ削除より手っ取り早く・・・
俺は新規スレッドを立てた。もちろん、俺は管理人だから、管理人権限。それを使って、そのスレッドが必ず一番上に上がっている状態にさせた。

「よっしゃ。これでなんとか行けるか。」

掲示板タイトルー

『生徒会反逆者に対して語る』

ハンドルネームはタク。MINEでも使ってる名前だから、アイツはそれなりに人望があるし、上手く誘えるか。

1:タク ×月○日(▲)13:27

生徒会長にたてつく反逆者へのスレ。俺の元友達だった松葉晃と板橋 麻衣がメインになるだろうな。まぁ、すぐに押しつぶされるのがオチだろうけどなw



よし、こっからだ。俺はパソコンをいじりながら、眠気覚ましドリンクを飲んだ。ほぼ不眠で掲示板作り作業をしているからだ。

「ただ・・・なーんか何か聞かれてる気がすんだよなぁ・・・」

俺は心配だったことを片付けるために、部屋を探してみた。

36:ABN:2017/02/21(火) 23:06

「はあ? 板橋も松葉も今日休んでんのかよ」

「処刑宣言にビビったか、それともマジで反逆の作戦でも立ててんのかね」

「どっちにしろアイツらがいないんじゃ、制裁もクソもねえよ。あー、つまんねえ!」


 処刑。それは暴力好きな生徒にとって、自分の破壊衝動を合法的に解消できる一種のイベントである。たった一人を大人数で痛め付け、助けや許しを乞う声を無視し、酷い大怪我や心の傷を負わせても。相手が処刑対象でさえあればその罪を問われないどころか、学園の風紀を守ったとして称賛されるのだ。
 しかし本日、肝心の処刑対象である麻衣と晃は学園を欠席している。先日璃々愛に牽制された分の八つ当たりを処刑で晴らそうと思っていた大路伏翼とその友人たちは、やり場のなくなった鬱憤をうだうだともて余していた。


「大体、翼が結城の奴を上手くやりこめてりゃ、こんなことにはならなかっただろうに」

「いい加減黙れっつってんだろ。それとも自分の方がもっとアイツを言いくるめられたってか? この底辺E組が!」

「ああ? ちょっと頭いいからってなに調子乗ってんだよ!?」

「その頭の良さにあやかってんのはお前らだろうが! 都合の悪いときだけ妬んでんじゃねえよ!」

「おいおい、二人とも落ち着けって! ……ん、MINEか?」


 鬱憤の責任を互いに押し付け合い、険悪な状態になった二人をなだめようとした友人の一人。そのとき、彼のスマホから軽快なメッセージ着信音が流れる。反射的に画面を見ると、翼たちとは別の知り合いから見知らぬURLが送られていた。


「なになに、『白羽学園学校掲示板』?」

「この学園に掲示板ってなかったような……。新しく作られたのか?」

「へー。生徒会からのスレも立ってんだな」


 ネット上に新しくできた交流の場。現在リアルタイムで更新されている掲示板を見ようと、スマホの周りに続々と集まる友人たち。険悪だった翼たち二人も掲示板に興味を引かれ、争いは一先ず横に置きつつ友人たちに倣って画面を覗いた。


「割と最近に作られたからか、結構人はいるみたいだな」

「なんつーか、妙に中身のないタイトルのスレが多い気もするが……」

「掲示板なんてそんなもんだろ。それより俺、いいこと思いついちゃったんだけど」


 目まぐるしく生まれては流れるスレッド名の数々。スマホの持ち主である友人はその中の一つに目をつけ、早速投稿フォームに文字を打ち込む。


「処刑対象が登校してこないんだったら、俺たちが直々に迎えに行ってやればいいよな?」

「はあ? 迎えっつっても、俺たちアイツらの家とか知らねえぞ」

「だから今から聞くんだよ。学園中の全校生徒にさ!」


--------

スレッド名:生徒会反逆者に対して語る

2:匿名(20**/05/2* 13:3*)
板橋麻衣と松葉晃の住所とかよく出掛ける場所知ってる奴教えろ
ビビって学校に来ない反逆者を潰すぞ



(※注意:ネット上で個人情報を公開したり、他人のプライバシーを脅かしたりしてはいけません。良い子の皆さんはネチケットを守りましょう)
(もし翼の友人を作りたい方がいれば、自由に作っていただいて構いません)

37:蒼月 空太◆eko:2017/02/22(水) 15:35

晃視点

さて・・・誰か書き込んでりゃいいんだけどなー・・・って、うっわ、住所問題か・・・まぁ、今の俺はタクだし、いけるか。

3:タク 20**/05/2* 13:27

一応松葉の住所なら知ってるぞ。元友達だしなw
白羽町2-17-6

よし、確かヤクザが屯してるってとこで有名なこの住所ならいけるか。まぁバレたらそこでどうにかするけれど。

「さあって・・・物探しするか。」

38:ビーカー◆r6:2017/02/22(水) 16:51

(あまり掲示板の書き込み合戦を続けるのもアレですので、キリの良いところで一旦切っていただければ幸いです)

39:奏:2017/02/22(水) 18:24

真凛視点
『カタカタ…』
今日も真凛はPCをいじっている。画面には白羽学園学校掲示板の文字が写っている。
彼女がPCのキーを押す。 すると書き込んである人たちのアドレスの横に本名、電話番号、メールアドレスが映る。
「あとは学校のデータベースに侵入するだけ…♫」
真凛は言う。真凛がなぜ出席停止になったか。それは彼女もまた生徒会長に反抗したものだからだ。
彼女はネットでは有名なハッカー、『killer』であって彼女は生徒会長の秘密を探るべく
生徒会長のPC、スマートフォン内に侵入、ハッキングに成功した。だが生徒会長にバレ処刑された。
しかし彼女はその時生徒会長のPC、スマートフォンから入手したデータをコピーしていた。
そして生徒会長のスマホに残っていた日記に驚くべきデータが残っていた。
『2011年11月23日
今日もいじめられた。痛い。死にたい。高校生になったら絶対に私に反抗できないくらい
絶対権力を築いてやる。




2014年3月7日
名門校、白羽学園の受験成績トップで受かった。あの学校で私は 生徒会長になってやる。
そして私に反抗するものは消す。私に服従するものはたっぷり利用する。』

40:ビーカー◆r6:2017/02/22(水) 22:01

「……会長。頼まれた仕事、全てこなしました」
「お疲れ様、ありがとう。私の言う通りにやれば出来たでしょう?」
生徒会室の扉を開け、1人の生徒が立ち入った。どうやらこの生徒も、女王の従者として役割を全うしていたらしい。
「はい、流石会長です……あんな複雑なプログラムを数時間で組み上げてしまうなんて」
「元からあるのをちょっと弄っただけよ、私なんて大したことないの」
そう言って女王はくすりと笑う。その仕草は始めから終わりまでやはり優雅。ああ、この人は昔から天才で謙虚だったな。1人の生徒はそう、心の中で呟いた。
「これで藤野真凛はダミーのデータベースを歩き回る羽目になる。本来の学園のサーバーは全て暗号化されロックがかかっている筈です。幾ら有名ハッカーといえども、あの桁の……256ビットの暗号を解読するのは流石に不可能でしょう」
「そうね……」
女王は右手のペンを、静かに机に置いた。
「藤野さんの腕は確かに素晴らしかった。でも、彼女は自分の力を過信し過ぎる。自分より上の存在なんか幾らでもいるのだと分かってないのよ……その油断が自分を破滅させたというのに」
そう言って女王は生徒の目を見つめた。彼女の口元は綻んでいるものの、その瞳は黒曜石の様な闇があるだけだ。生徒はその闇を見つめ返して、また目を逸らす。
「可哀想な子」
あくまで女王にとって、彼女の処刑執行はただの自殺でしかなかったのだ。勝手に向こうが暴れて、勝手に朽ちていった、ただそれだけ。
生徒もまた、そんな彼女の考えを察していた。
「……ところで会長……先程送らせていただいたあれは」
「あら、まさか本気で信じているの?」
女王は拍子抜けた顔をした後、ふふっ、と可笑しそうに笑い出す。生徒はただその様子をじっと眺めていた。
「私がいじめられる様な事をしたとでも? 私はいつだって友達にも環境にも恵まれた、とても裕福な子だったのよ」
「では、あの日記は……」
藤野真凛が見つけ出した、あの日記は。
「弱い人を見ながら、相手になりきって日記を書いてみたの。そうすれば、その人の気持ちが分かると思って」
その言葉の意味を、1人の生徒はすぐ様汲み取った。そして……女王のその行為に身震いさえした。
言い換えるとこうだ――百合香はいじめられた人間をただただ見て、その相手の日記を想像し書いてみたと。
それでも女王は笑い続ける。

この人にとってはこんな反逆、お遊びでしかなかったのだ。

「さあ、私はそろそろ見回りに行かないと……皆さんがトラブルを起こしていないかね」
女王は立ち上がり、少し背伸びをして歩き出す。生徒会室から足を踏み出し、振り返る。
「じゃあ、くれぐれも感づかれない様に気を付けて? 大丈夫、貴方ならやれるわ」
女王は、生徒会室という城の扉を閉めた。

41:ABN:2017/02/22(水) 22:16

 空が徐々に暗くなり、ネオンや街灯などの照明が次々と点る街中。その光が届かない大通りの裏道で、翼を始めとする大勢の不良生徒に睨まれているのは片原拓也。全員から明らかに怨念を向けられていることは分かるが、彼らの恨みを買うような心当たりは全くない。拓也はわけも分からないまま、ただ否定の言葉を繰り返していた。


「だ、だから知らねえって! いつ俺がお前らにヤクザの居場所を教えたってんだよ!?」

「とぼけんじゃねえ! 松葉の住所だって嘘ついて学園掲示板に書き込んだだろうが!」

「翼の口八丁がなかったら、今頃俺たちボコボコにされてたぞ!?」

「証拠のレスもしっかり残ってんだ。言い訳なんて効かねえからな、『松葉の友人だったタク先輩』?」


 ドスが利いた声でそう脅しながら翼が見せたのは、松葉晃の元友人だという「タク」の書き込み。勿論拓也本人に見覚えなどなく、首を横に振ることしかできない。


「本当だって! 学園掲示板もたった今知ったし、誰かの成り済ましじゃねえの!?」

「ほー、成り済ましねえ。じゃあもし俺が松葉の住所を教えろって頼んだら、お前は素直に教えてくれるわけ?」

「当たり前だ! あんな奴友達でもなんでもねえ、むしろ俺だって松葉をボコりてえよ!」


 ほんの数日前まで、共通の話題で盛り上がっていた友人。しかし晃が生徒会に反旗を翻し、その風評被害を自らが受けた瞬間から、彼との絆は拓也の中で一切なかったことになった。それほど拓也にとって、生徒会の存在は偉大なのだ。

 一方、拓也の必死の返答に翼は意外そうな顔をした。てっきり友人を庇うものだと思っていたのだが、彼の口から出てきたのは鮮やかなまでの手のひら返し。
 反逆者になるということは、自分の評価が奈落の底まで堕ちること。その事実を改めて目の当たりにした翼はぞっとした震えを覚えつつ、それでもニヤリと口角を歪めた。


「よーし分かった。拓也、俺たちを連れて行け。そうすりゃ礼として、松葉をボコらせてやるよ!」

「へ? い、いいのか!?」

「当たり前だろ? 元はと言えばアイツを処刑するための投稿だったしな。協力してくれるんなら、あれが冤罪だってことも信じてやるさ」

「マジか! 是非とも頼む!」


 願ったり叶ったりな翼の提案に、今まで横にしか振らなかった首を今度は縦に振る拓也。そんな彼が赤べこのようだと内心嘲笑しながら、翼たち不良生徒は今度こそ処刑の期待に胸を踊らせていた。

 晃の自宅に、裏切り者の足音が近づく。



(この後できればやりたいことがあるので、未遂でも構わないのでよろしければ翼たちにボコられていただけると助かります(酷)。無理でしたらスルーで構いません)

42:蒼月 空太◆eko:2017/02/23(木) 16:11

晃視点

結局何も見つけられなかったな・・・っつーか、なーんか嫌な予感すんなー。よし、ドアキッチリ閉めとくか。と、俺はドアの鍵をチェーンごとかけて、そのままなるべく奥の部屋まで行った。

「晃くん、いきなりどうしたの?こんな風に奥まで行って布団被るなんて・・・」

「嫌な予感がする。俺は勘がいいからな。」

「でもパソコン置いてきちゃったじゃん!」

「大丈夫。パスいれねえと掲示板の管理人権限使えねえし、仮に壊されようがデータ消されようがバックアップは取ってるからスマホでも管理人権限使えるし、元々データは消すのにパスワードいるしな」

俺は不安な麻衣に説明をしておく。用意周到なんだぜ?俺。と強がっておくが、多分ヤクザの方は見破られただろう。タクは今頃吊るし上げ・・・もしくはこっちに来てるな。

「松葉 こおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!出て来い!」

うわうるせえええっ!どういう声出してんだよ!ってか誰だよ!しかたねえ。麻衣だけでも守るためにどうにか出るか。と、俺は窓を開けて、家の前で思いっきり睨んでる不良数人と案の定いたタクへ。

「はぁ〜い〜なんのようですか〜?」

「テメエ!よくもぬけぬけと出てこれたなぁ!俺を破滅寸前まで追い込みやがって!」

「なんのことやらさっぱりわかりませんなおとっつぁん」

「お前が反逆者になったからこっちまで避難されてよ!それだけじゃなく冤罪で殺されかけたんだぜ!?」

「あっははぁ、そりゃわかりませんなぁ。えっへっへ。」

俺はなるべ〜く向こうに悪い気をさせないように言う。ちなみに向こうは明らかにヤバいもん持ってるし投げつけられたりしたら大変なもんばっかしだ。

「このっ・・・とぼけんじゃねええええッ!」

タクはそのまま石をこっちに投げてきた。予め用意した盾・・・・こと学生鞄で防ぐ。

「あぶねえだろ!なんてことすんだよ!」

「うるせえ!今すぐそっち向ってやらぁ!」

タクたちはそのまま、玄関のドアへ直行して、ドカドカと体当たりや、持っているもので殴ったりしてくる。

「oh・・・・・」

「畜生っ、中々開かねえなこの野郎!」

ガンガンドアが叩かれるところに、俺は、こ〜っそりと部屋に戻って、俺が小学生の頃に作ったこけしを用意して・・・・

「せーのっ!」

ヒュッ

ゴンッ!

「いでええええええええええええええええええええええええええええええッ!」

こけしは不良の一人に当たって、落ちる。不良は頭を押さえて痛がる。
さてさて、こっからどーしましょ。

続く(タクがボコられるのは自由ですが・・・俺だとつなげるのが難しいので、他の方にお願いしますね)

43:ABN:2017/02/23(木) 22:12

>>42 注文に応えていただき本当にありがとうございます…!)
(また長くなってしまったので二回投稿させていただきます。その上自分が作ったキャラがかなりでしゃばってます。重ね重ねすみません;)



「な、なんだこれ!? こけし!?」

「『こけ』しだけに俺らのことを『コケ』にしてるってか! ふざけんなゴラア!!」

「ふざけてるのはお前の駄洒落だ!!」


 頭上に硬いこけしを落とされ、(若干の自己解釈込みで)更に憤慨した不良たちは、各々の得物を振るうペースを怒りに任せて加速させる。滑らかな表面だった玄関の扉は今や無残にも傷だらけで、所々ガタも来はじめているようだ。この弁償代が学生の小遣い程度で済まないことは想像に難くないが、目の前が真っ赤になっている不良たちは考えなしに扉を壊し続ける。
 そんな不良たちの中でも、率先して破壊活動に勤しんでいるのは片原拓也。血眼になり、脂汗をも浮かべながら、固く握った石でドアノブを何度も叩きつけていた。あまりの必死さに周囲の不良さえ若干戦いているが、本人は彼らの様子に目もくれない。


「お、おい……。拓也、もうやめとけって」

「うっせえ! まだ一発も殴ってねえのに引き下がってたまるかよ!」

「そ、そうじゃなくて……ひっ!?」


 とん、と不良の悲鳴とほぼ同時に、拓也の肩に手が置かれた。その手を振り払うようにして振り向き――瞬間、拓也の顔が凍りつく。


「これは一体なんの騒ぎでしょうか? 片原役員」

「あ……安部野、さん」


 生徒会書記、安部野椎哉の変わらない笑顔が、拓也のすぐ後ろにあった。
 予想だにしなかった人物の登場で思わず手から滑り落とした石は、静まったその場に無機質な音を響かせながらコンクリートの地面に落ちる。


「あの、違うんです! これは松葉晃を処刑するために……!」

「ええ、仰りたいことは分かりますよ。学園の風紀向上のため、処刑対象を罰するというのは立派なことです。しかし……」


 一旦言葉を区切ると、拓也と不良たちの視線を促すように街道の方向を揃えた指で示す。そこにはこの辺りの近隣住民だろうか、遠巻きに彼らを見ながら、ひそひそと小声で会話する人々の姿があった。今更第三者の目線に気づいた拓也たちは、自分たちの行いを省みると一斉に戦々恐々とした。


「生憎ここは白羽学園ではなく、白羽町の住宅街。処刑という言い分が、果たして学園の外でも通用するでしょうか?」

「で、でも! 処刑対象が学園に来ないんじゃ意味ないじゃないですか! 俺たちは……そう、無断欠席の松葉を登校させようと!」

「なるほど。だとしても、他人の家を破壊してもいい理由にはならないでしょう。しかもこんな講習の面前で……」


 まだ何人か残っている周囲の人目を改めて見やり、安部野はくつりと笑った。いつもと同じ顔の筈なのに、漏れ出た笑い声には若干の狂気が含まれているようにも聞こえる。
 拓也がかいていた脂汗はいつしか冷や汗に代わり、その体をぞくぞくと冷やす。膝小僧はガクガクと笑い続け、体を上手く支えることができない。そして――。


「あなたたち。そんなに白羽学園と生徒会長の顔に、泥を塗りたいのですか?」

「う……うわああああああああ!!」


 自分がしでかしたことの重大さに、それによって墜落するであろう生徒会長の信頼に、そして目の前の男子生徒の底知れない凄みに耐え兼ね、拓也は一目散にその場から逃げ出した。


「ちょっ!? おい、待てよ拓也!」

「一人だけ先に逃げるとか卑怯だぞ!」


 街道に飛び出していった彼を、不良たちが次々と追いかけていく。そうして安部野意外の男子生徒がいなくなると、松葉邸の前はようやく静寂を取り戻したのだった。



(続く)

(ところで、本来なら前もって聞くべき質問だったのですが、今回のような演出の注文はやっても大丈夫なのでしょうか?)

44:ABN:2017/02/23(木) 22:19

(続き)



 一方、松葉邸内。玄関を見下ろせる部屋の窓から、晃は安部野の姿を認めていた。
 拓也たちに続いて、彼も自分たちに危害を加えに来たのだろうか。そう晃が考えたとき、安部野の顔が窓の方に向いた。


「松葉晃さん、降りてきてください。渡したいものがあります」

「……」

「警戒は不要です。今回はあなたに一切の危害を加えないことを誓いましょう」

「……今回は、かよ」


 つまり次回以降、自分たちに危害を加えない保証はないということか。あからさまに敵側である彼の前に姿を現す気はないが、このまま相手が諦めるまで粘れるかは分からない。それに長時間の緊張状態が続けば、匿っている麻衣の精神にも悪影響だろう。


「……仕方ねえ。相手は一人だ、俺が全部引き受けりゃ大丈夫だろ」


 深く息を吸って気合いを入れ、晃は忍び足で玄関へと向かう。そして覚悟を決めると、最大出力の警戒をしながらゆっくり扉を開けた。


「こんばんは、夜分遅く失礼します。生徒会書記の安部野です」

「……なんの用だ?」

「まずはこちらを。本日まで休んでいた分のプリントと、あなたのクラスで出された課題です」

「え? あ、どうも」


 こちらの敵意をものともせず、むしろ学園からの配布物を当然のように渡してきた生徒会書記。彼の唐突な親切さに、思わず普通に感謝の言葉が口から出る。


「あなたは処刑対象であるとはいえ、れっきとした白羽学園生の一人です。学園の偏差値を下げないよう、しっかりと勉学に励んでください」

「そりゃ、余計なお世話をどーも」

「それと学園の方にも登校するように。無断欠席は内申点にも影響しますし、第一あなた方がいなければ処刑制度の意味がありません」

「……やっぱそれか。全校生徒からボコられるのを分かって、のこのこ登校する馬鹿がいるわけねえだろ?」


 やはり一番の目的は処刑関係か。プリントで僅かに緩んだ警戒を引き締め、晃は今一度安部野を睨んだ。対して安部野は相変わらずの笑顔でくすくすと笑っている。


「ほう。板橋麻衣さんの謀反を手伝っておきながら、そのような臆病風に吹かれているとは笑えますね」

「なっ、違えよ! 今はまだ準備期間なだけだ! 絶対お前ら生徒会を打ち負かして、その余裕顔をぶっ飛ばしてやるんだからな!」

「……戯言を」


 安部野の顔から笑顔が消える。瞬間、彼の腕は晃の襟首を掴み、自分の顔のすぐ近くに引き寄せた。あまりにも突然のことに、晃は抵抗も叶わず――。


「!?」


 晃の目が見開かれる。それから然程間を置かず、彼の襟首は安部野の腕から解放された。


「失礼しました。危害を加えない約束をしておきながら、僕としたことが感情的になってしまいましたね」

「おい、待て! 今のは」

「そろそろ時間も遅くなりますし、今晩はこれで失礼させていただきます。ではまた明日、学園にて」


 そう言い残すと、安部野は晃の二の句を待たずに松葉邸から立ち去っていった。残されたのは、玄関に立ち尽くしたまま呆然とする晃のみ。


「晃くん、大丈夫? 静かになって随分経つけど……」

「あ、ああ。なんとか。もう全員諦めて帰ったぜ」


 自分だけ隠れている状態に耐え兼ねたのか、おずおずと麻衣が廊下に出てきた。一先ず晃は彼女の緊張を解しつつ、ポケットに入れていたスマホを取り出す。そしてメモ機能を起動すると、手早く文字を打ち込んで麻衣に見せた。


『自分の荷物を調べろ。変なものがあったら触るな』



◆ ◆ ◆



「どういうことだ……?」


 安部野に襟首を掴まれたときのことを思い出す晃。あの瞬間、彼はごく小さな声で囁いたのだ。

『あなたたちの荷物に面白いものが入っています。ただしそれには触れないように』と。

 その言葉に従って自分と麻衣の手荷物を調べたところ、確かに学生鞄に盗聴機が隠されていた。こんなものを仕掛けてくるのは生徒会長側の人間だろう。
 ならば、どうして生徒会長に近しいはずの彼があんな忠告をしたのだろうか?


「……考えても分かんねえや。とりあえず今日はもう寝よう」


 自分たちが不利になるようなことを喋らないよう気をつけつつ、自室のベッドへ向かう。そんな晃の胸中では、信じがたい一つの可能性が頭をもたげていた。

45:ビーカー◆r6:2017/02/24(金) 19:21

翌朝。
白羽学園の校舎の前には、2人の反逆者の姿があった。麻衣と晃は考えに考えた末、学園に登校することを決めたのだ。また昨夜の様な出来事が起こる可能性も高い。それに学園を相手に戦うならば、学園の状況を把握しておくべきだろう。当然ながら、通りがかる生徒達の目は冷たいもので、時折ひそひそと悪口が聞こえてくる。
提案したのは麻衣自身といえ、その手には汗が滲んでいた。現時点では学園の全てが敵だ。もう誰も自分達を助けてはくれない。
そんな麻衣に、晃はいつもの調子で笑いかける。
「大丈夫だって。味方なんか少しずつ増やしゃいいんだし、どうにかなるだろ」
「そう……ね。……行きましょう、いつまでもここにいたって仕方ないもの」
こういった状況の時には、無責任に思える発言がむしろ心を軽くしたりするものだ。麻衣も覚悟を決め、一歩を学園の中に踏み出した。
「私は負けないわ。どんな仕打ちを受けようとも、風花百合香に勝ってみせる」
その自信がどこまで本当なのか、今の麻衣には分からなかった。それでも麻衣は前を向く。その目には、しっかりと燃えたぎる決意が宿っていた。

「うわ、来たよあいつら……よくあんな胸張ってられんな」
「会長に逆らうとかどういう神経してんだろうね。ヒーロー気取り? 自分から地雷踏みに行くとか真性の馬鹿じゃん」
「今度は何日持つんだか。誰か賭けてみない?」
突き刺さる周りの視線。飛び交う言葉と嘲笑の声。
理解してはいたものの、やはり実際にその立場に立ってみると、お互いにどうしようもない孤独感に押し潰されそうになった。そんな自分を見せまいと麻衣は脚を無理矢理動かし、背筋を伸ばして歩いていく。一方晃は、周囲の人間を先程から気に入らなさそうにちらちらと見ていた。
「あっ、板橋さん! おっはよーっ」
後ろから不意に背中を強く叩かれ、麻衣は思わず前のめりになる。驚いて後ろを振り返ると、そこにいたのは元クラスメイト……璃々愛だ。
「……おはよう」
麻衣はクラス替えの時から、璃々愛に対してあまり良い感情を抱いていなかった。その派手な見た目と子供じみた言動が受け入れがたかったこともあるが、彼女が生徒会側の人間と知ってからは余計に嫌悪感が増したのだった。
「あっれ、なんか暗くなぁい? この間のこと気にしてるの?」
全てを知っているというのに璃々愛は、わざとらしく麻衣問いかけた。晃も彼女の性格を察したのだろう、表情には苦手意識が表れている。
「結城さんには関係ないから。じゃあ私、教室行かないと」
「やっぱ暗いじゃーん、板橋さん。 ……これでも飲んで……元気出してよっ!」
ぶっきらぼうに言い放ち踵を返した麻衣の頭に、冷たい液体がかけられた。
璃々愛の片手には封の空いた紙パック。オレンジの断面図が印刷されたそれの注ぎ口から、数滴のジュースが滴っていた。
「……板橋!?」
その声で、呆然としていた麻衣は我に返る。璃々愛の方に振り返ると、彼女は悪びれる様子もなしに言う。
「あっ、ごめぇん。手が滑っちゃった!」
その言葉を火種に、生徒達は腹を抱えて一斉に笑い出す。
「ちょっと璃々愛、やり過ぎー! 最高なんだけど!」
「見ろよあの間抜けヅラ! 腹いてぇ〜!!」
「可哀想ー、制服ベッタベタ!」
廊下中に巻き起こる笑いの渦の中で、麻衣はただ怒りと悔しさに震えていた。思わず怒鳴りつけようとした瞬間、顔面に雑巾が飛んでくる。
「――これで拭けば?」
璃々愛がそう言い放つと、周りの笑い声は一層強まるのだった。

46:蒼月 空太◆eko:2017/02/24(金) 20:57

その笑い声の中の嵐を、一瞬で沈めた者がいる。男の声。やや低い声。言葉が言い放たれた瞬間、その男は手を伸ばし、璃々愛の制服の胸倉を掴んだ。

「テメエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!いい加減にしろよこのクソ野郎ッ!散々やりたいほうだいやりやがってよ!俺もお前が女だからって見逃してるけどよ!本気でぶっ飛ばすぞ!」

晃。彼は本気でキレていた。麻衣をそこまで傷つけられること。仲間を侮辱されること。やること自身が人間として、最低と思うことに。思わず叫ばずにいられなかった。彼は今、周りが見えていない状況。

「へー、あっそー。手ぇ滑っただけでぇ、拭く物も渡し―」

バァンッ!

晃は、そのまま璃々愛を投げた。今完全にキレている彼は相手が生徒会長ですら殴りかかるだろう。

「え・・・」

周りの生徒は、お遊びの気分で見ていた。だが、それはもう違う。晃自身が、璃々愛を投げたのだ。片手で。腰から落とされた璃々愛は、目が変わっていた。人を殺すつもりでの目つきに。

「へー、かいちょーにもアタシにも逆ら」

「黙れ」

晃の拳が振りぬかれた。璃々愛はいきなり眼前に迫る拳に避けー

「やめろ!」

ガッ!

晃を羽交い絞めにする男子生徒二人。晃はそのまま暴れる。肘を打ち付け、必死にもがく。声にならない声を上げて、璃々愛を睨みつけている。

「あはは、結局味方いないんじゃ、話になんないね、じゃー」

璃々愛は、そのままスタスタと歩いて行った。

「待ちやがれこの野郎!」

暴れるだけでも、男子生徒が強く押さえつけるために、晃は廊下の床に倒され、うつぶせにされているところに圧し掛かられ、たつことすらままならない。

「なんだ松葉の奴。頭おかしくなったんじゃねえの?」

「逆らうのはやっぱ馬鹿の考えだったな。」

生徒達が口々に言う。晃は、そのまま身を捩じらせて抜けようとするが、抜けれない。

「放せッ!」

「出来るかボケが!」

晃は、暴れ続けるが、もう既に十名近くの生徒が晃を押さえつけていた。

「何があったのですか?」

その場に現れたのは。


―生徒会長。



風花 百合香。そして取り巻きともいえる生徒会役員。

「風花・・・百合香・・・」

呆然とし続けていた麻衣が言った一言は、それだけであった。

47:奏:2017/02/25(土) 02:45

皆慌てて整列する。そして生徒会長は落ち着いた口調で言った。

「一体何があったのですか?星澤くん、狩野さん、あなたたちは見ていたかしら?」

「いえ、私は何も…」と、狩野。 すると星澤が

「見ておりました。2-C結城瑠々愛が同じく2-C板橋麻衣にオレンジ色の液体をかけ雑巾を投げた際
2-Dの松葉晃が結城に暴力を振るおうとしたそうです。」

「ありがとう。星澤くん。」 「お役に立てて何よりです。」

そして風花百合香は誰かの方へ歩き出した。 その先にいたのは麻衣だった。

「板橋さん。大丈夫かしら?このよかったらハンカチを使って。」

全校生徒が驚いた。皆松葉の方へ行き追放するのかと思っていたのだ。

「な、なによ、こんな時に手を貸すになんて…あんたの行動が読めないわ!これが罪滅ぼしだとも思った?」

麻衣がすこしふてくされたような顔をしていう。

「いいえ。罪滅ぼしだなんと持ってないわ。ましてや罪も犯していないから。松葉さんを連れて来て」

そして彼女は璃々愛の方へ向かい言った。

48:美鈴:2017/02/25(土) 09:58

(この騒ぎを見ていた女の子を書きます。えっと、隠れ『復活派』です。)

私は、伊藤美雪です。1−Aです。
風花百合香≠ネんて、心の腐った人間…いや、動物ですね。ちょっと、百合香にさかっらただけでみんなに裏切り者≠ノされるなんて。本当にここはおかしいです。でも、顔や態度には出しません。だって、百合香のいとこですから。この学校に入ったのは百合香に進められたからです。

「美雪ちゃん、このこと見ましたか?」

「はい。」

「じゃあ、後で私のところに来てください。」

「?はい。」

生徒が驚いていますよ。見ていただけなのに呼ばれたのですから。璃々愛さん、松葉さん、坂橋さん、3人ともかわいそうです。璃々愛さんと松葉さんは騒ぎを大きくしたので処刑されそうですね。面倒なことになりそうです。

「会長、あのその時に話したい事があるので家に行ってもいいですか?」

「ええ、いいですよ。じゃあ、一緒に帰りましょう。それでいいですね?」

「はい。ありがとうございます。」

璃々愛さんのことです。ちょっとだけ気になることがあったので。


(おかしかったり、嫌だったらスルーしてください。)

49:ビーカー◆r6:2017/02/25(土) 10:30

「……璃々愛ちゃん、大丈夫だった?」
会長が現れたと聞きしばらく立ち止まっていた璃々愛に、百合香は優しく声をかける。
「かいちょー!」
百合香の顔を見ると、璃々愛の表情はぱっと明るくなる。そのまま勢いよく会長に抱き着いた。
「あらあら、璃々愛ちゃんったら……怪我はしてない? 保健室に行かなくて平気?」
「うん! あんなのちっとも怖くないんだから!」
「そう……それは良かったわ」
子供をあやす母親の如く、百合香は璃々愛の頭を撫でている。それは異様な光景でもあったが、白羽学園ではごく普通な光景でもあった。
璃々愛は百合香を溺愛し、百合香は璃々愛を妹の様に可愛がる。そういった奇妙な関係性が、2人の間にはあったのだ。
「板橋さんにジュースをかけたの? 後で代わりのを買いに行きましょうね。雑巾を触った手は洗った?」
「あ、まだかも……ちゃんと洗わなきゃだよね」
「そうよ、病気になったりしたら大変だもの」
百合香に璃々愛を咎める様子はない様だった。寧ろ璃々愛を気遣い、心配さえしている。
「いい子ね、璃々愛ちゃんは……」
「いい加減にしやがれ!!」
その光景に耐えかねた晃が、会長に飛び掛らんばかりの勢いで暴れ出す。男子生徒達も必死になって取り押さえた。
「何がいい子だよ!? あいつに謝るのが先じゃねぇのか!? こんなんただのいじめだろ!!」
その訴えは、会長に届く筈もない。
「あいつがジュースぶっかけられんのはいじめじゃねぇのか!? 雑巾投げられんのはいじめじゃねぇのかよ!? 都合の良いことばっかり正義ぶってペラペラ話しやがって、ただのクズでしかねぇだろうが!!」
麻衣は恐る恐る顔を上げた。周りの視線が様々なことを物語っている。哀れみ、嘲笑、好奇心、嫌悪……目を塞ぎたくなるほどの。
その怒鳴り声を受け止めて、くすりと笑う女王がいた。2人の惨めな反逆者に、交互に視線をやりながら。
「いい、松葉君? ルールというのは皆が楽しく安心して暮らすことが出来る様にするためのもの。憲法や法律、そして校則。これらは全部守るべきルールなのよ。では、そのルールを破った人は何をされるかしら? 罰を与えられるでしょう? 罰則さえもいじめだというのなら、ルールを破る人は野放しにしなければならなくなるわ。そうしたらどうなるかしら。皆がきちんと生活していくことが出来なくなる。だから貴方達にはこうして罰を与えているの。皆の幸せを守るために、ね」
さも当然の様な顔で、女王はすらすらとそんな言葉を口にする。軽い演説が終わると、生徒達はうんうんと頷き納得した表情を見せた。
だが、晃の怒りは収まるどころか更に燃え上がっていく。
「ルールだぁ!? 逆らったら罰を与えるなんてただの独裁じゃねぇかよ!! お前らは何とも思わねぇのか、こいつの言いなりになる気か!?」
周りに訴えかけるが、賛同者は見当たらない。
女王はそんな反逆者を見下ろすと、落ち着いた声でにこやかに言った。
「璃々愛ちゃんに、謝りなさい。さもなくば板橋さんに罰を与えます」
「!!」
璃々愛への謝罪をしなければ、余計麻衣へのいじめは加速するということだ。自分が悪かったと、向こうは間違っていないと認めなければならないのだ。
……今は晃も、従うしかなかった。麻衣を守る為にも。
「…………悪かったよ」
消え入るような声だった。
「かいちょー、どうする?」
「そうね、今回だけは許してあげて。でも次璃々愛ちゃんを傷付けたら……言うまでもないわね」
凍りついた瞳で百合香は晃を一瞥する。直ぐに普段通り微笑むと、百合香は生徒達に向かって言った。
「皆さん、処刑を続けて下さいな。何かあったら私を呼んで下されば、直ぐに駆けつけますから」


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