(長らく更新がなかったので半ばもう諦めていました、ありがとうございます…!)
(スパンが長かったので、文体が本調子ではないかもしれません)
「……は、はあ!?」
最初に無音を破ったのは、晃の素っ頓狂な大声だった。彼は目と口を大きく開けたまま、恵里の方へちゃぶ台越しに体を乗り出す。ずいと勢いよく顔を近づけられ、思わず恵里はわずかに身を引いた。
「ちょっと待てよ! 会計の神狩っつったらバリッバリの会長派だろ? そいつが協力者だって!?」
「悪いけど、にわかには信じがたいわね。あんな風花百合香の腰巾着代表みたいな奴が、そうそう私たちの味方になるとは思えないわ」
「う……。お、仰る気持ちは分かります」
真凛の言い分は間違ってはいない。学園においての美紀といえば、百合香に付き従う忠実な部下の一人だ。さらに彼女と百合香は、子供の頃から親交があった幼馴染同士でもあるという。そこまで百合香に近しい人物が復活派に加勢すると突然言われても、信用を得られないのは仕方ないことだ。
予想していた反応とはいえ、感触の良くない手ごたえに恵里はうなだれる。そんな彼女をフォローするように、流れそうになった話を麻衣が繋げた。
「で……でも、白野さんたちの言うことが本当なら心強いんじゃない? 生徒会の味方が増えるのは頼もしいし、それにあの人なら安部野先輩よりは怪しまれずに済むかも……」
「そうですね。もっとも実際に味方に引き入れるかどうかは、彼女が加担するする理由にもよりますが。確か、結構長い話なんでしたっけ?」
法正は横目でちらりと恵里を見やる。その視線から話の続きを促す意図を受け取り、恵里は躊躇いながらもコクコクと頷いた。反応こそ三者三様であるものの、どうやらこの場の先輩たちは話を遮るつもりはなさそうだ。
「は、はい。そもそもの発端の出来事が、大分昔に遡るんですが……」
再度口を開きながら、リビングの扉の小窓に目を移す。壁の向こうの気配が動かないところを見ると、椎哉はこのまま恵里の話に聞き耳を立てるつもりらしい。恵里は一人気まずさを内心で覚えながらも、美紀が協力者となる経緯を説明し始めたのだった。