かけもっちゃった。完全フィクション、てか勝手な想像
花最 純菜 カサイ ジュンナ (26)
教師3年目。今年薊(あざみ)中学校へ赴任してきた。理科担当。独身。
中島 望 ナカジマ ノゾミ (29)
教師5年目。二年前薊中学校へきた。国語担当。独身。
赤城 優 アカギ ユウ (24)
新任教師。社会担当。独身。
高見 賢人 タカミ ケント (44)
ベテラン。薊中学校に8年程勤めている。数学担当。既婚。
野田 桜子 ノダ サクラコ (34)
4年前薊中学校へきた。英語担当。既婚。
高須 龍雅 タカス リュウガ (29)
教師5年目。昨年薊中学校へきた。体育担当。独身。
4月。薊中学校への異動。教師3年目の私にとって異動は初めてで緊張する。
どんな先生、生徒がいるかな、とか、どんな子と仲良くなれるかな、とか、なるべく明るく考えながら車を走らせる。
ついた。そう大きい学校ではないけれど、この職員駐車場まで掃除が行き届いていてとてもいい雰囲気。
ガラガラガラッ
「おはようございます……」
「おはようございます!花最先生ですね?席はこっちです」
元気な若い女性が私の職員室での席を案内してくれる。
「あ、私は中島望と言います。同じ一年部担当なので、よろしくお願いします!」
「よ、よろしくお願いします!」
中島先生のみならず、職員室全体が誰でも迎え入れられるような温かい雰囲気。とてもいい学校に来れたな。素直にそう思った。
それから入学式まではあっという間だった。
私は1年3組の担任。そして、各クラスの先生は1組から
赤城先生、中島先生、私、高須先生。主任は高見先生、副担任は野田先生。
それぞれ挨拶をし、自分のクラスの学級開きの準備。これが意外にも楽しい。
「どう?花最先生。薊中は」
高見先生。初めて薊中へ来てから6日。まだ緊張のとけない私に優しく声をかけてくださる。
「すごく良いところですね。まだ生徒には会ってないけど、先生だけでもすごく良い雰囲気で。明日の入学式が楽しみです」
「そう。ならよかった!」
ちょっと盛った事実を言うと、高見先生は嬉しそうに職員室を出ていった。
入学式当日。私は新任式にも出席するため、すぐには生徒に会えないし、入学式前に生徒と話すこともほぼない。
「笹野田小学校から来ました、花最純菜と言います。よろしくお願いします」
パチパチパチ…
新任式は無事終了。無難に終わった。
次が本番、入学式。私、というか1年生の担任にとって最大の試練は、自分の受け持つ生徒の名前を、全員噛まずに呼べるか。
ここで噛むと、生徒にも申し訳ないし、なにより自分がはずかしい。
そうこう考えてるうちに、2組が終わった。よし、次だ。覚悟は決めた。
「1年3組 男子 浅井優真 磯貝哉斗……………山田唯奈 吉川芽衣」
ふぅ。やっぱ私は本番に強い!普段はかなり舌がまわってないけど、こういうときだけはうまく言えている自信がある。
そして担任紹介。校長先生が先生の受け持つクラス、名前、担当教科、部活動を紹介する。
…
「1年2組、中島望、国語、女子バレーボール部」
「1年3組、花最純菜、理科、吹奏楽部」
…………
そう。たったこれだけ。はい。終わり。今日の仕事、終わり。
かと思いきや…学級活動をすっかり忘れてた。
教科書、書類の配布、説明、私の自己紹介、クラス写真の撮影など……。
色々あったのに全部忘れてた私、どうかしてる。どうしよう、自己紹介なにしゃべろう、、
「1年3組の担任となりました、花最純菜です。漢字は黒板に書いた通りです。えっと?好きな食べ物はビール片手に食べる枝豆やスルメですかね。でも甘いものも好きですね。趣味はスマホゲーム、特技は早口言葉です。1年間よろしくお願いしま〜す」
たどり着いた自己紹介がこれ。保護者の前でしょっぱなから飛ばしすぎなような気もするが咄嗟に出た言葉がこれなのだから、しょうがない。
とりあえず、これからクラス写真の撮影をしたら生徒は下校。一休みできる。だからもうすこーし、頑張ろう。
「はぁい、撮りまーす。3,2,1カシャッ
…はぁいオッケーでぇす!」
ふぅ。終わり。これで本当に終わり。
生徒たちを門の前で見送り終え学職(学年職員室)に入ると、早くも疲れきった顔の中島先生が座っていた。
いいですね。
私の夢は教師ですが、とてもいい感じだと思いますよ。
>>5
あ、ありがとうございます///
教師が夢なんですね!頑張ってください
「な、中島先生…?大丈夫ですか?」
「う〜ん、まぁ、ちょっと………ハァ」
私が薊中へ来てからずっと優しく明るく振る舞ってくれてきた姿からは想像もつかないようなため息。
よくよく話を聞いてみると、小学校から問題児として有名だった子が、しょっぱなからやらかしてくれたらしい。
「…それでもう、ヤバいんですよw」
「なるほど……お疲れ様です、、」
自分のクラスはパッと見た限り問題児らしい問題児は見当たらなかった。
しかし、例の問題児もいる3組の理科を受け持つことは決まっているので気分が少し重くなる。
「まぁお互い頑張りましょ。今日は飲み行きませんか?」
「いいですね!行きます!」
「え、待ってください、お二人行くなら僕らも…」
赤城先生、野田先生、高須先生、そして高見先生。
「いいですね、じゃあ皆で!」
中島先生のその一言で、一年部の先生皆で飲みにいくことに。
私は正直まだほとんど会話していない赤城先生、高須先生、野田先生には緊張してたけど、決まったら行くしかない。
「かんぱ〜〜い!!」
結局集まったのは、中島、野田、赤城、高須、高見、先生。まとめると1年部全員集合ってことになる。
早くも愚痴をこぼす中島先生、新婚ラブラブ生活を披露する野田先生、酔っぱらって踊りだす赤城先生……。
それぞれまぁ個性が強いこと。
とか言う私もなかなか個性あるけど笑
そんな個性溢れつつも優しい1年部の先生たちとなら、うまくやっていけそう。そんな気がした。
飲み会も終わり、今日もまた学校。朝から教室で昨日の入学式仕様の黒板を消していると、ポケットの中のケータイが鳴った。LINEだ。
「1-3の山本唯奈です。体調不良で欠席します」
何で私のLINE知ってるの!という驚きと若干の恐怖心に襲われる。
でも、昨日の印象は良い唯奈さん。ここは無難に返事して、明日にでも事情聴取といきますか。
「分かりました。お大事になさってください」
ふぅ。山田唯奈。待ってろよ。必ず正体突き止めるからな?
誰も待っていない廊下へ出て深呼吸。
いかん。眠すぎてかけない。また。
そしてパン、と一発手を叩いて教室へ戻る。
これ、小さい頃からの習慣。
何かあると、必ず一人で手を叩いてスッキリする。ことの重大さにより、叩く回数はさまざまだ。
ようやく今朝やるべきことを終えた頃、辺りがザワザワし始めた。生徒が登校してきたからだ。
次々と教室へ入ってくる1-3の生徒、一人一人に挨拶をする。
そして、昇降口での挨拶運動への参加を促す。
7時45分。そろそろ行きますか。私も中島先生に連れられ、挨拶運動へ。
「花先生おはようございます!」
「!?」
え?私のこと?花、先生……
首をかしげていると、次は
「花最先生!!おはようございます!!!」
とさっきより大きめの声が聞こえた。
「おはよう〜」
挨拶を返しつつその声の主の顔を見る。
えっと…あぁ、3組の子じゃん。名前…えっと。浅井ゆめかさんだ。昨日早くも圧倒的なリーダー的存在感を見せつけてたゆめかさんだ。
さすが、リーダー。先生のこといきなりあだ名呼びするなんて!
「ゆめかさん」
「はい…?」
「さっき、私のこと何て呼んだ?」
「…花先生……ですw」
怖がってるのか笑ってるのかよくわからない表情で答えるゆめかさん。
ま、ここは優しくいきますか。
「もー、いきなりあだ名呼びとか、やるね〜w」
「そうですか?wいいじゃないですか!」
「うん、良いよ〜、よろしく!」
「はい!よろしくお願いしま〜す」
いい子!リーダー任せた!
「挨拶運動終わりでーす、お疲れ様でしたー」
高見先生の声が響く。皆ゾロゾロと教室へ戻っていく。
その中で私たちは昇降口で打ち合わせを始めた。
新学期が始まってはや2週間半。
学級組織も決まり、だんだん落ち着いて生活できるようになってきた。
1-3の級訓(クラス目標)は「しおこしょう」
わかる人にはわかる。志、思いやり、個性……とかいうやつ。
そして今日は我が3組での初授業。
1、2、4組はもう既に授業は始まっているのに、なぜか3組だけまだだったのだ。
「今から2時間目の授業を始めます」
「「「はい」」」
「お願いします」
「「「お願いします」」」
うーん、挨拶、イマイチ。揃ってはいるんだけど、大きさ……。
「ちいさーい!やりなおしいい!」
そんな怠そうな顔しない!
他クラスよりも明らかにゆるっとしすぎている雰囲気が、3組の長所であり短所でもある。私もこの短い間だが少し悩んでいた。
でも、その雰囲気の他にも何とかすることがあったようななかったような…
あ、、。まだ学級組織の掲示してない。あーぁ。せっかく書いたのに!!
「先生!心の声!ww」
「しかもめっちゃ間抜けwww」
うっかり「あ」とかいう間抜けな声が漏れていたらしく、初日から問題児の山田唯奈と、リーダーの浅井ゆめかからツッコミが入ると、ドッと笑いが起こる。
「すいませんね!じゃ授業始めまーす」
気をとりなおして授業再開。それからはいい感じに授業は進み、無事今日やる予定のところには間に合った。
(掲示は皆の下校後に無事終わらせた)
う〜ん。緊張?いや、楽しみ?いやいや、不安?…………
5月も半ば。今日から1年生は宿泊学習。(通称:宿泊)
もちろん担任の私も行く。
実は私、宿泊に行くのは初めて。期待あり、不安ありのビックイベント。
この宿泊は、再来週にある体育祭へ向けてのクラスの団結力を高めるチャンス。体育祭で優勝するには、ここから手が抜けないのだ。
「行ってきま〜す!!」
青空が広がる運動場で出発の挨拶をし、バスに乗り込む。
私は3号車。もうこの時点でかなりワクワクしている。もしかしたらクラスで一番テンション高いかも。
朝9時なのに興奮ぎみの私とやたら大人しい3組の生徒たちを乗せたバスが山に到着。ここから宿舎までは300m程なので、歩いていく。
トントン
誰かに肩を叩かれた。
クラスではかなり大人しい三浦美穂さん。
まだほとんど会話を交わしていない相手の一人である。
「どうした?」
「ひなたが転びました」
「あらっ。どのへん?」
出た出た、怪我人。(?)
大体、誰かしら怪我しますよね。分かってました。でも正直、それがひなたさんなのは意外。
「大丈夫〜?」
「え、あ、はい…」
とりあえず戻りひなたさんのもとへ。
わー。かなりの出血。こういうときって、どうするのがいいんだっけ?
しかし本人は落ち着いた様子で立ち上がる。
「えええ、ほんとに平気!?」
怪我をした本人よりずっと驚く私に若干戸惑う美穂さんとひなたさん。失礼いたしました。常にテンション高いんですよ、私。
随分と落ち着きのある2人とともに、ゆっくりと宿舎へ到着した。
ひなたの怪我の手当ても終え、入所式、宿舎の部屋配置の確認をすると、早くもお昼の時間。今日は持参したおにぎりを食べることになっている。
「「「「いただきまーす」」」」
今朝コンビニで買ってきた大好きな鮭おにぎりを静かに頬張っていると、近くにいた男子が言いづらそうに、ボソッと何か話しかけてきた。
「………した…」
「え?」
「昼ごはん…れました………」
ハァ………。でたでた。中島先生から聞いてた、初日恒例『弁当忘れ』。
「…はい。どーぞ。」
「あ、、すいません。ありがとうございます…」
しょうがないからツナマヨをプレゼント。おにぎり3つ買って良かった〜。嫌な予感はしてたからね。
昼食後は学級タイム。今夜の学年レクと2日目夜のキャンプファイヤーに向け、学年レク競技の大縄や級訓、担任紹介の練習をする。3組はまず級訓、担任紹介の練習。
「「し!こころざしぃ!」」
「「お!思いやりぃ!」」
「「こ!個性ぃ!」」
「「しょう!笑ぅ!」」
画用紙をあげながら全員で叫ぶ。
…はずだが、もちろん声を出すのは一部だけ。みんな人任せ。
「ストップ。全員声出せてる?」
「「「……………」」」
「みんなでやるって決めたんでしょ。級訓とか担任紹介全力でできない人たちに、体育祭勝つ資格なんてありませんよ」
嫌われても叩かれてもしらけても、たまにはこういうこと言わなきゃね。
「さ!練習練習!!学級委員さん!」
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「薊中のスーパーアイドル!!!」
「「「「花最!花最!じゅーんーなっ!!イェーーイ!!!」」」」
少し雰囲気が良くなった気がする。自分の名前全力で叫ばれるって、なんか照れくさいけどね。笑
そろそろ外に出しても恥ずかしくない紹介になってきたかね?級訓のときの声もなかなか悪くないし!
「はーーい!お疲れ様でーす、次大縄するので体育館シューズ履いてアリーナにきてくださーーい。場所は2組の隣でーす」