小説読ませて下さい!

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1:◆9c:2017/07/13(木) 20:42

小説を書いてください!

読みます!

2:越後:2017/07/13(木) 21:26

http://ha10.net/novel/1498832274.html
拙いですがこんなので良ければ(

3:匿名:2017/07/14(金) 01:22

9cさんへ
越後くんやっほ

「戦場に花が溶ける」

 イリアは花が好きだった。僕は台風が好きだった。 
 僕たちのふるさと、イグ村は、清らかな空気に包まれていて、
涼しいところだった。だけど同時に暖かいところでもある。
 朝は真っ白な霧が出る。息は白くなる。冬は雪が積もる。どれも白いね。
 そうだ、イリアの肌も、とても白かった。白く霞んでいるように見える。太陽が強く
ないから、日焼けしないのだ。そういえば、彼女はとくに、白い花を愛してた。

4:匿名:2017/07/14(金) 01:26

 イリアは花が好きだった。僕は台風が好きだった。
 彼女は、「誰のものでもない場所」を見つけては、そこに花を植えた。
「本当は、すべての場所に、花を植えたいのだけどね」
と彼女は言った。
 誰かの土地には、勝手に植えてはいけない。
 誰にも必要とされない土地こそ、彼女には必要だったんだね。
 カタスミ。そうだ、彼女は、いつも片すみばかりを眺めてた。
 

5:匿名:2017/07/14(金) 01:31

 イリアは花が好きだった。僕は台風が好きだった。
 僕たちのふるさとには、一年に数回台風が通過する。
 大人たちは自分たちに必要なものだけを、台風から守ろうとするのだけだった。
 片すみの花なんかよりも、米の蔵の方が大事である。畑の作物の方が大事である。その気持ちは、イリアにだって
よくわかっていたんだよ。
 イリアはただ、花の気持ちもわかっていただけだ。
 台風の夜。
 外がゴウゴウ言っているのを聞きながら、イリアは眠れなかっただろうね。
 次の朝。
 外がとても静かなので、イリアは起き上がりたくなかっただろうね。

6:匿名:2017/07/14(金) 01:40

 イリアは花が好きだった。僕は台風が好きだった。
 僕は台風の夜に、なぜか興奮していた。
 僕は強いものが好きだ。
 何かが壊れるのが好きだ。
 大きな音が好きだ。
 男は、そういうのが好きなんだぜ。
 朝めちゃくちゃに荒れた外の景色を見て、嬉しくなって、僕は泥を蹴散らしながら、村を走りまわった。
 その時ゆっくり歩くイリアに会った。
 イリアは花束を持っていた。泥まみれの花束。
「また植える」
と言った。
「…僕も手伝う」
 僕の大好きな台風は、大切なものごと、綺麗にさせる。
 大切なものだけを、僕は手伝う。

7:匿名:2017/07/14(金) 01:52

 イリアは花が好きだった。僕は台風が好きだった。
 僕は物理学者になりたかった。いや、工学者になりたかったのだ。僕は学園で、熱心に学んだ。
 イリアは、特になりたいものはなかったらしいが、勉強が好きだった。お前は、何にもならなくたっていい、
と僕は思っていた。彼女に話したことは一度もないが、いつか結婚したいと願っていた。
 戦争が始まったらしい。徴兵で、勉強させてもらえなくなった。
 毎日の厳しい訓練で、僕の個性は無くなった。
「右を向け!」
と言われたら、右を向いた。殴られたら、黙って、立ち上がった。
 イリアのことはなんとも思わなくなった。

8:匿名:2017/07/14(金) 02:05

 イリアは花が好きだった。僕は台風が好きだった。
 戦争だ!戦争だ!
 僕は殺人マシンだ!
 敵の国の人を、ただひたすらに殺すんだ!
 もし敵の兵士に殺されそうになったとしても、ただで死んではいけない!
 手榴弾で相討ちだ!
 憎しみでもなんでもない、赤い砂漠のような心で、ただ殺せ!
 僕は何もわからなくなった。
 動物になった気分。
 理性がなく、殺すことがあるだけだ。
 僕は何を見ているのだろう。
 赤黒い、ぐにゃぐにゃしたものばかりが、目の前をチラチラしている。

9:匿名:2017/07/14(金) 02:15

 イリアは花が好きだった。僕は台風が好きだった。
 僕は血まみれの、荒れ果てたイグ村で、自分が自分であることに気がついた。
 イリアが僕のことを覗き込んでいた。
 イリアは泣いている。僕は言った。 
「殺さなきゃ」
「戦争は、終わったのよ」
「じゃあ、もう殺さなくていいのか…」
 僕の中に、ふっと心がよみがえって、そして涙が止まらなくなった。
「ああ、怖かった!怖かったよう!」
 僕は、イリアにすがりついて泣いた。僕の軍服についた生臭い血が、
イリアの真っ白な服について、汚れてしまった。だけどイリアは
「ちょっと、心の中に台風が通っただけです。大丈夫、また植え直しましょう」
と言って、僕を抱きしめた。
 僕たちの上に、雪が降り始めた。
 それは戦争が置いて行った醜いものを、優しく隠していくようだ。
 僕の話はこれでおしまい。 


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