IRONFOOD_鉄なる者たち_

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1:サンダー:2017/07/14(金) 21:33

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序篇=敗走=
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嘗ては隆盛を誇ったであろう高層ビル群は、今や経年劣化によって壁面はひび割れ、窓ガラスは残らず砕けて風が吹き抜け、一つの明かりも灯っていない。
人が絶えて久しい市街地の中、捲れ上がった車道を何度も横断し、路地裏を伝って身を潜めながら走る青年がいた。何かを避けるように時折周囲を見回しつつ、何度目かの路地裏で壁にもたれ座り込んだ。
「畜生……っ!話が違うじゃねえかっ!!皆、皆死んじまった……!」
黒の短髪を振り乱し、僅かに男性とわかる中性的な顔を怒りに歪めながら地面を殴り付ける。

>続く

2:サンダー:2017/07/16(日) 19:25

__7時間前。廃墟市街の近郊の、やはり廃墟と化したサッカースタジアムに集まる群衆。それらは皆一様に白黒の衣服を纏っており、男女別のそれとわかる違いこそあれど同じ意匠から、何らかの組織である事は明らかであった。それも、皆がその手に武器を携えている。多くの者は刀剣等近距離武器、ごく僅かに回転式短銃を持ち、明らかな軍組織である事が見てとれる。急ごしらえで復旧されたスタジアムライトに照らされつつ入場すると、集団はあらかじめ決められたらしい幾つかの列に別れていく。その人波の中に、黒の短髪と僅かに男性とわかる中性的な顔の青年……アラン・シュナイドの姿もあった。
>続く

3:サンダー 脳の潜在能力って科学的には特に存在しないとも聞きます:2017/07/29(土) 12:36

「すげえなあ……三地区の異能者全員が集められたとは聞いてたけど。」
"異能者"。この世界において、絶対的存在として恐れられる者たちである。時に西暦456X年。いつとも知れず科学技術が衰退していった地球で、人類の一部は思いがけぬ進化を遂げる事となった。空想や魔法の世界じみた、常人ならざる力"異能"を得たのである。灼熱の炎、怒濤の水、荒れ狂う風など自然を操る者はもちろん、空間変動や重力変動、瞬間移動に空中浮遊、時間操作や因果律操作、歴史改変や精神汚染に至るまで、ありとあらゆる力を持つ"異能"は神のごとき全能と讃えられた。そして実際に異能者の中には、魔力や霊力が存在し善悪双方の神々や霊的存在が住まう"異世界"へ到達し、それら人ならざる超存在とコンタクトした者さえ現れた。無論、これら超存在との契約を交わし更に力を増した異能者が現れたのは言うまでもない


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