キミ色に染まった世界で恋する

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1:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 13:13

●作者からメッセージ●
こんにちは!
恋愛小説は3回目。
頑張って、読者の皆さんに希望や勇気を届けられたら嬉しいと思います。
掛け持ちしまくりですが、どうぞよろしくお願いします。

2:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 13:18

登場人物

詩神 美海
お金持ちの家庭のひとり娘。
みんなは気楽だと思っているが、実はとても苦労している。

冴橋 来雅
美海の幼なじみ。
優しくて頼りになるイケメン。
モテているらしいが、自覚はない。

桜庭 涼
美海の秘密を知っている。
隣町に住むイケメン。
私立に通っている秀才。

3:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 13:54

ー第1話ー

ひとりだって大丈夫。
ママがいるから。
パパが仕事で出ていって、大きな本館にひとり残される。
おばあちゃんもいないし、開けてもいいんだよね。
こっそりパパの部屋からカギを持ってきて、ママのいる別館の二番目に狭い部屋のカギを開ける。

「ママ?」

「美海…。開けてくれたの?」

「そうだけど。ママ、本館来て」

本館へ呼ぶと、ママに残っているパンをあげた。
ちょっとの間、食べてないはず。
家の怖いおばあちゃんが別館に閉じ込めたから、会えてもなかった。
ご飯くらいは食べないと。

「ありがとう、美海」

私の名前は、詩神美海。
詩神家のひとり娘で、出来が悪いのに期待されている。
詩神家でひとり娘なら、私が詩神会社を継がないと倒産してしまうから。
こんな理由で厳しい生活をしている。

「いいの。ママを守りたいから」

「美海の気持ち、すごく嬉しい。そうなんだけど、ここにいたら死んでしまうわ。美海を置いていなくなるなんてイヤなの」

ご飯食べれないからっ?
だから、もう持たないの?
そんなのイヤだよ…!
私、ママを守って一緒にいたい!

「そのために考えたの。ママは、どうしたらいいのかって」

「答えは?」

ゴクンとつばを呑み込む。
ヘンな、イヤな答えはやめて。
おばあちゃんに反抗してもいい…!

「詩神家を離れて、和泉家に戻ろうと思うんだ」

「そんなことしたら離れちゃう!お願いだから、詩神家にいて!」

ママは、肩をゆっくり掴んで笑った。
柔らかい笑み。
イヤなんだって。
ママと離れることが一番。

「もし、詩神家のままだったら、死んじゃうかもしれない。ちょっとでも長い間生きて…。いつかは、美海とも会えるはずだから」

「そうしたら、私のママじゃなくなるの!?私のママだよねっ!?」

ママはにっこり笑ってうなずいた。
荷物、もうまとめてある…。
行く気なんだ…。

「佐江子さんに電話するわ」

佐江子さんは、おばあちゃんのこと。
私が我慢したら、ママが楽になれる。
生きられるんだ…。

「ごめんなさい、美海。いつかはきっと会えるから、大丈夫」

うん、会えるから…。

4:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 14:23

パパが帰ってきて、ママのことをパパに伝えた。
おばあちゃんはすぐ納得。
ママは和泉家…結婚する前の産まれた家に帰ってしまった。
離婚じゃなくて、別居状態。
生き抜くために。

「悲しかったな、美海。お母さんはママにあんまり会うなって言ってるんだろ?パパがいるから大丈夫」

そう、だよね。
ママがいなくても、パパがいるから大丈夫だよね、きっと。

「こんなことを言ったけど、パパ、休みが取れないんだ。明日もひとりになっちゃう。大丈夫そうか?」

「うん、大丈夫だよ。宿題とかあるから、やらなきゃだし」

これでいいんだ。
考えすぎると、泣きそうだし。
ママが決めたことだし、ママが幸せになるためなんだもん。

「おやすみなさい、パパ」

「ねえ、美海」

パパに呼ばれて振り返る。
優しい目で微笑んで、首を横に振る。

「おやすみ。美海」


ザーザーと降る雨。
別館の、一番狭い部屋へ入る。
私が外した小窓、直って良かった。
小窓を開けて、隣の家を盗み見る。
…あ、来雅勉強している!

「美海?」

「そうだよ!おはよう、来雅!」

来雅は、私の幼なじみ。
本名は冴橋来雅。
隣の家で、別館の一番狭いこの部屋のちょっと上が来雅の部屋。

「来雅の家さ、お母さん今いる?」

来雅は首を横に振る。
じゃあ、来てよ。
ちょっとひとりは寂しいから。
来雅を本館に呼んだ。
なぜか、来雅のお母さんは私のことが嫌いみたいで、関わると叱られるの。
だけどいいよね。
唯一、ひとりの幼なじみだもん!

「美海ー、来たぞー」

「来雅!」

もう来たんだ。
さすが、来雅だね。
来雅の好きな紅茶を出して、広いリビングの机の上に宿題を広げる。

「宿題やってたんでしょ?教えて!」

「ああ」

来雅は頭が良いから、宿題とかも難なくやっちゃう。
そんな来雅に比べると、私って全然出来ないんだけど…。

「おーい、美海」

「あ、ごめんごめん」

私は、紅茶の乗ったお盆を持ってキッチンからリビングへ向かった。

5:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 15:20

翌日の月曜日。
私は市立園田中学校へ向かった。
そこの中学校の生徒で、中1。

「あっ、美海ーっ!」

家を出てちょっと歩いた交差点で、仲良しの瑠夏と会った。
手を振って待っている瑠夏。
急いで交差点を曲がって、瑠夏と一緒に登校する。

「いいよねえ、美海は。お家がすごく整ってて、来雅くんと幼なじみ!」

『お家がすごく整ってて』?
整ってるのは、外だけ。
中は全然そんなことない。
叩かれたり、叱られたり、閉じ込められたりはよくあること。

「あれ?美海?」

「どうしたの?瑠夏」

「え、だって美海がボケッとしてるからどうしたのかって」

ボケッとしてた?
そうかなぁ。
会話をしながら教室に向かう。
教室に着くと、ひとりの女の子が私の元に近寄ってくる。

「ねえ、詩神さんのお家ってお金持ちなんでしょ?お父さんが会社を経営していて、詩神さんがあととり娘」

「一応そういうことになってるけど」

クラス中がわっと盛り上がる。
みんなが質問攻めしてくる。
何でこんなに気になるの…!?

「何の会社を経営しているの?」

「詩神さんが継ぐの!?」

「お母さんは何の職業なのー?」

ママの仕事…。
どうして、ママの名前が…。
これがボケッとしているのかも…!
ダメだ、ダメだ。
こういう癖、直さないと。

「えっと、お父さんは医療関係の仕事を経営していて、私が継ぐみたいなことになってて、ママは…」

ママの職業はパパが経営している医療関係の仕事を生かした詩神病院の社長を勤めている。
このことをみんなに言うと、おおっと声が上がった。

「詩神さんスゲー!」

「お金持ちは違うのね、やっぱり」

「いつも幸せな暮らししてのんびり暮らせそうだよね」

みんなが言ってること、全部違う。
確かに、お金持ちって優雅に過ごすイメージがあるけど、全然ない。
ひとり娘だから?

「ねえねえ、詩神さん。また今度遊びに行っていい?」

うっ、マジ…。

6:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 16:39

「いいけど、大したものないからね。普通の一般的な家が広いって感じ」

「その広い家に行きたいの!私、浅瀬菜奈だから!」

浅瀬さんって言うんだ…。
全然知らなかった。
瑠夏が頬を膨らませる。

「いつも他の子とキャーキャー言ってる癖に、お金持ちのこと知ったら、美海に近寄ってさっ」

「まあいいじゃんいいじゃん。瑠夏も何度か家来てるし」

一番多くいるのは瑠夏なんだし。
瑠夏、自分が一番じゃなかったらヘコんじゃう時あるんだよね。
直した方がいいかもだよ、瑠夏〜。

「ねえねえ、詩神さん!」

3年生の学年カラーのスリッパ!
どうして私のこと知ってるの?
悪いことでもしちゃったかな?
屋上へ呼び出されて、3年生の先輩はこちらを振り返った。

「急にごめんなさい。知ってるよね、私のこと。お父さんの仕事を継ぐって母から聞いたから。私の母は、詩神さんのお父さんの事業ライバルなの。私が詩神さんと繋がることって、結構大切なことらしいの」

パパの事業ライバルの娘さんと!?
今から繋がっておくってこと!?
私、めちゃめちゃ継ぐことになっちゃってるじゃん…。

「私の名前は木下だから。木下救急会社のあととり娘ね!よろしく!」

木下救急会社って聞いたことある…!
確か、詩神医療会社のパートナーでありライバルらしい会社だった。

「ちょっと、美海っ!」

「瑠夏!?どうしたの!?」

「こっちだよ!何があったの!?」

木下先輩とあったことを瑠夏に話すと、瑠夏は驚いた顔をした。
そんなにビックリする!?

「未来の話をされてるんでしょ!?さっすが美海!頑張れ!時期社長さんっ」

じ、じ、時期社長って…。
急に恥ずかしくなって赤面化する。
ちょっと、瑠夏〜!

7:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 16:58

その日の放課後。
家に帰ると、見慣れた靴があった。
この靴の持ち主、ママだっ!

「ママがいるの…?」

リビングへドシドシと入っていくと、木下先輩に似ている人が椅子に座ってパパと話していた。

「あ、ただいま…」

「美海、お帰り。木下さん、こちらが例の時期社長候補の美海です」

パパに自己紹介するよううながされて、渋々お辞儀する。
木下さんはにっこり微笑む。
事業笑みって言うのかな。

「初めまして。私の名前は、詩神美海です。…いつかは、詩神医療会社の社長になりたいと思っています!どうぞよろしくお願いします…」

はぁ〜、言っちゃった〜!
社長になりたいだなんて〜!
木下さんは目を見開いて微笑む。

「いい子ねえ、美海ちゃん。さすが、お宅の娘ね。ウチの花奈もよろしくお願いします」

よ、良かったのかも…?
別館の私の部屋に向かう。
っていうか、あの靴ママと一緒。
ママがパパにもらった靴って言ってた気がするな。
ブランド物で高くて、個数も全然なかったから、余計嬉しいって。
木下さん、それを手に入れたんだ。
力は大きいって思える。

「おーい、美海ーっ!ママから電話。美海の部屋に繋ぐぞー!」

ああっ、どうせ仕事の話中だったのに私が本館にいなかったからっ!
…ショック。
そい思うのもつかの間。
ママから電話がきたんだねっ!
急いで部屋の受話器を握る。

「美海ですけどっ!」

「ママよ、美海」

良かった…ママが元気そうで。
ママは笑ったのか、言葉を緩ませて話し続けた。

「悪いけど、明日の放課後、和泉へ来てくれる?お願いがあるの」

8:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 18:00

浅瀬さんには、どうやって断ろう?
すごく楽しみにしててくれたのに。
その夜、ずっと同じことを考えていた。
パパは木下さんやその会社の人と会食で家におらず、作り置きのハヤシライスを食べたんだ。
ほぼずっとひとり。
慣れてるけど、ママがいなくて寂しい気持ちが勝ってるかも。
すると、いきなり電話が鳴った。
おそるおそる受話器を取る。

「もしもし、詩神です」

「あ、美海〜?瑠夏だけど〜」

あっ、瑠夏か…。
めちゃめちゃ緊張した〜。
ちょっと言葉が緩くなる。

「美海の家に、明日浅瀬が行くらしいじゃん。私も…」

「そのことなんだけど…」

はっきり言っちゃっていいよね。
言わないと、ママに会えない。
お願いがあるんだよね。
私に出来ることなら、全力を尽くしたいから、いいよね。

「ママに呼ばれて、ちょうど同じ時間に行かないといけないところがあるんだ。だから、無理かも。浅瀬さんも」

瑠夏は「そっか…」とつぶやく。
もしかして、気を落としちゃった!?
そんなつもりなかったんだけどっ。

「大丈夫。美海は、美海のお母さんのために動きなよ。浅瀬には私から言っとくからさ」

「ありがとう、瑠夏」

瑠夏との電話を切って、リビングのドアを開ける。
どうしてこんなに広いの?
私がひとりで過ごしている今、この空間が余計に広く見える。
ママも一緒に住んでいたあの時は、すごく楽しくて全然気にしてなかった。
楽しくて楽しくて夢中だったから。
だけど、無音のこの部屋。
私以外に誰もいないこの部屋。
広すぎて悲しいよ…!
来雅、来て…!
気がつけば、別館に来ていた。
だ、ダメ。
もう寝ないと。
私のヘンな気持ちが、頭の中をグルグル周回している気がした。


ついに、今。
和泉家へ向かうんだ。
電車に乗って、地図を開く。
ここから、歩いて行けば着くよね。
電車から降りると、すぐママがいた。

「ママっ!」

「美海…!」

良かった、会えた。
ママの温もり。
ギュッと抱きしめてくれて感じた。
私、こんなに良いママがいて幸せだって思ったんだ。

9:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 18:11

ママが住んでいるところは、ママのママの家。
つまり、おばあちゃんの家。
怖い詩神家じゃなくて、優しい和泉家の方のおばあちゃん。
温度差が激しいんだよね、ホント。

「おばさん、回覧板!」

ママに回覧板を渡す男の子。
その子は、一瞬こちらを見て口を紡いだ。
私にヘンな反応する!
ずーっと前、来雅と来た時もそう。
回覧板を渡しに来た男の子。
不思議な反応をしていたんだよね。

「何か、用ですか?」

「いやいや。何でもないよ。ごめん」

その子は、身をひるがえして隣の家に帰ってしまった。
どうして謝ってきたんだろう。
うーむ、気になるな。

「それより、美海。お願い聞いてくれるために来てくれたんでしょう?ありがとう、美海。正直なところ、美海なら来てくれるって思ってたから」

ママに信頼されてるかも…。
ふふふ、良かった。
…それより、お願いって何?
ママに尋ねる。

「佐江子さんに、このお手紙を渡してほしいの。中は絶対に見ちゃダメ。佐江子さんに渡すだけよ」

「そんなことなの?」

ママはにっこり笑う。
なんか、ヘン。
絶対ウソついてる!
ホントは何かしてほしいんじゃ…。

「ママ、何でもするよ。私、ママのためなら何でも出来る」

ママはちょっと涙を流して微笑む。
そして、家の中に入っていった。
私を家に上げる素振りはなかった…。
おばあちゃんも…。

「ねえ、キミ」

へっ?
不思議な男の子だった。
クスッと笑ったその子は、私の手を掴んでおばあちゃん家の横の家。
つまり、その男の子の家へ私を連れていったのだ。

10:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 19:17

ー第2話ー

一体、この子何なの!?
その男の子はリビングにも行かず、二階へ上がり、ひとつの部屋へ案内したんだ。

「ここが俺の部屋。入って」

言われるがままに入った部屋。
男の子の部屋って、来雅の部屋以外入ったことなかったけど…。
ちゃんと整理整頓されてる男の子の部屋って、素敵…。

「俺のこと…。俺は、桜庭涼って名前なんだ。キミは?」

「わ、私は…。って、どうしてあなたに言わなきゃならないの。ここに連れてこられたのとか、意味分からないんですけど!」

ホントだよね。
急に案内してきてさ。
もしかして、ナンパだったり!?
離れた方がいいね…。

「俺は、キミのこと知ってるよ。ずっと前から」

「何言ってるの?私はあなたのこと全然知らないし、聞いたことも…」

いや『全然』じゃないかも。
私、ずーっと前におばあちゃん家来た時も、この子が回覧板を渡しに来た。
その時、何となくピンとしたんだ。
アルバムで見たことあるって思った。
ただめちゃめちゃ似てる、だけ?

「キミの名前は、詩神美海ちゃん。当たってるでしょ?」

何で、この子は私のこと知ってるの?
おばあちゃん(怖い)の力?
パパの力?
それとも、この子ストーカー!?!?

「私、ここに来る意味ないので、帰りますからっ!」

部屋を飛び出して家を出る。
その時、落としてしまったんだ。
おばあちゃん(優しい)の家と、私の家の場所に赤丸が打ってある地図を。


昨日あったことを瑠夏に相談する。
とりあえず、話せば何かなるかも!
そう思ったけど、瑠夏は騒ぎ立てる。

「ちゃんとした答え待ってるの。落ち着いて落ち着いて」

瑠夏は、その…涼くんがちょっとイライラしちゃうみたいで、さっきから暴走気味なんだよね。

「おいおい。瑠夏のペースに落ち着いてる冷静な詩神さんも着いてけねーぞ、瑠夏っ!」

瑠夏の頭をポカッとやったのは、クラスメイトの大杉くん。
クラスの中でも中心の子で、ワイワイしてる子らしいけど…。

「そんなことないよね、美海っ!」

「う、うん。そんなことないない!」

11:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 20:04

部活、選ばなきゃな…。
瑠夏といろんな部室を行ったり来たり繰り返している。
すると、ちょうどサッカー部の辺りで声が上がった。

「来雅くん推薦入部なんだってね。美海の周りは本当にすごい人ばっかり」

ある意味すごい人もいるけどね。
来雅とかは、エースだし、モテるからすごいよね。

「キャアアアッ」

サッカー部でも声が上がっていたけど、次は校門辺りで黄色い声が。
そんなに魅力的な男の子?
女の子って、大変。
そう思いながら瑠夏と中部活を見学しに行こうとすると…。

「ねえ、美海」

「どうしてここにいるの!?私、あなたに教えてないよね。住所とか」

涼くんが来るなんて、聞いてないんだけど…っ!
瑠夏に耳打ちする。
「この子が涼くんだよ」って。

「おい、お前。美海にナンパしたらしいな。迷惑だよっ!」

瑠夏が涼くんに怒ってる。
私なんかのために…。
ナンパと聞いて周りがざわつく。

「他校の生徒は入ってはいけない決まりだ。詩神、外へ」

担任の生徒がサッカー部の顧問だったので、その騒ぎにいち早く駆けつけてくる。
なんかかわいそうな感じがしてきたんだけど…、涼くんが。

「涼くん」

ふたりで校外へ出る。
どうして来たの…、ホント。
涼くんを振り返る。

「ねえ、何で来たの!?学校にまで来るとか、めちゃめちゃ迷惑だよっ!」

間違ってないよね?
だって、ちょっと会っただけなのに、ここまで来ないでよ…。

12:瑞◆MIZU/j3v.s:2018/01/09(火) 20:23

新連載おめでとう!
いろいろと恋のトラブル的な物があったりしてこれからどうなるかわくわくする!楽しみにしてるね!

13:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 20:32

すると、いきなり涼くんは耳元でささやいたの。

「俺はずっと…」

「お前っ!」

瑠夏がバンと涼くんの背中を蹴る。
あああ…大丈夫…?
涼くんが立ち上がる。
結構笑ってるんだけど…。

「キミ面白い子だね。…で、美海」

どうして私なの〜?
瑠夏の方が魅力的で惹かれる子だよ。
も、もしかしてお金目当て!?
これは隠さないと。

「学校の時間が終わるまで、ここで美海を待たせて」

「お前なあっ」

「待つだけなら、いいけど」

瑠夏がえーっ!っと言った顔をする。
まあ『待つだけ』だもんね。
私と瑠夏が学校に戻る。
まだあとちょっと部活見てない…。

「ねえ、美海。涼のヤツ、いいの?」

「大丈夫だよ、全然」

言い返せる力はある。
もし何かなったら、家に逃げ込むか、来雅に助けを求めればいい。
周りが助けてくれるから…!

「私決めた!サッカー部のマネージャーやるわ」

「マネージャー!?」

瑠夏はコクンとうなずく。
そして、来雅を指差してつぶやいた。

「ずっと守ってほしいの。美海を。それを影からでも支えたいし」

瑠夏、私のことも考えてそれにするの!?
もったいないよ…!
瑠夏はそそくさとサッカーへ走っていってしまう。

「何にするの?詩神さんは」

後ろから浅瀬さんが歩いてくる。
そうだよねえ。
瑠夏が決めちゃったもん。
私も頑張って決めなくちゃ。

「浅瀬さんは何にしたの?」

「野球部のマネージャー」

ちょっとマネージャー多くない!?
瑠夏といい、浅瀬さんといい。
私もマネージャーにしようかな…?
だけど、内申書にいいの書きたいし。
運動苦手じゃないから…。

「決めるの早いね。私は中部活見てくるね〜」

体育館へ行くと、すぐに卓球部が目についた。
ちょっと遊びでやったことがあるだけの卓球だけど、楽しかったな。
出来たら、やってみてもいいかも。

「あれ?詩神さん!」

き、木下先輩も卓球部!?
でも入ってみたいな…。

「卓球部の部長!気に入った?」

「はい…」

木下先輩はパアッと目を輝かせて部内に入れてくれた。
仮入部…、楽しそうだな。

14:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 20:34

瑞ちゃん、ありがとう!
読んでくれたみたいですごく嬉しい。
良ければこれからもよろしくね♪
推しキャラが今の時点であったら教えてほしいな〜♪

15:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 20:53

もうヘトヘトでくたくた。
スクールカバンを肩にかけて瑠夏と交差点まで歩く。
涼くん、まだいるのかな!?

「ごめん瑠夏。ちょっと先帰ってて」

私は、あわてて涼くんと別れたところへ走っていく。
って…まだいるじゃん…!

「美海、待ってたよ」

「1時間くらいあったけど…」

「考え事してたから全然大丈夫!」

心配したつもりじゃないんだけど…。
別に、勘違いされてもいいけど。

「何で来たの?」

「ずっと前からキミのことを探していたから。突然来ただろ?昨日。これ、地図」

はあっ、地図落としたんだ!
そのせいで居場所を突き止められたってことなんだね…!?
ウソォーーー!
いつ落としたんだろう…?

「俺さ、ずっとずっと、ずぅっと前から美海のこと好きなの」

はっ…?
涼くんは突然、告白してきた…。
私が初めてされた告白だけど、相手に無感情なんですよぉっ!

「ごめん、無理。全然あなたのこと知らないの。涼くんが私のこと知ってたとしても…」

私は、家に向かって駆け出した。
涼くん、待っててくれたのにごめん!
だけど行かせて。
私はどうしたらいいの…?

「美海っ!」

涼くん、追いかけてきたの…?
家に入ろうとするけど、涼くんが手首を握っていて身動きが取りにくい。

「好きなんだ。美海のことが」

そんなこと言われても…。
私に何をしろって言いたいの?
本当に何も出来ないんだってば。

「ねえ、美海。別館へ案内して」

「無理よ!パパが帰ってくるんだから!帰って!」

お願いだから、帰って。
私にはそんなに望まれても何も出来ないんだよ…。

16:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 21:09

翌日も、その翌日も。
毎日涼くんは中学校に来た。
そのたびに瑠夏が背中を蹴っている。

「ねえ、美海!もうしつこいよ、涼。来雅に言おうよ」

確かに、何も出来なくてイヤ。
来てくれて、告白もしてきてね。
だけど何も出来ない。
逃げているだけな私もイヤ。

「来雅くん、ちょっと…」

瑠夏が男の子と話していた来雅を呼んで、今まであったことを伝える。
来雅は聞く中で、どんどん顔をしかめていく。

「涼、かぁ。俺はどうしたらいいの?美海はどう思ってんの?」

「私は…」

正直に言えば、涼くんが怖いし、何がしたいのか分からないし、プラスの考えはひとつもない。
だけど、どこかで見たことがあるの。
それだけしか何も…。

「美海の気持ち次第だな。勝手にやるのもよくない。答えが決まったらまた呼んで」

来雅は、また男の子たちとの話に入っていく。
涼くんも男の子だし、来雅は考えてることちょっとも分からないのかな?
どういうことか、教えてよ!

「美海…」

瑠夏が背中をさすっている。
あれ、私泣いてる。
男の子の集団がドドッとこちらへ駆けてくる。

「どうしたの?詩神さん」

「瑠夏がいじめたのか〜?」

「違うってば!うるさい!黙って」

どうして出来ないの?
周りで付き合ってる子とかいる。
告白されたことあるって子もいる。
なのにどうして…!?

「ついに詩神さんも恋を!?」

「えええっ!1年2組のプリンセスだったのにー」

『1年2組のプリンセス』。
こんなの、どうせお金でしょ?
私は、お家の大きさでしかみんなに見てもらえない。
それに、お家の大きさでしかみんなに向き合えないんだ…。

「教えて…瑠夏…。どうしたら…私は何とか…なるの…?」

それさえ分かれば。
きっと、涼くんも楽になれる。
1日でも早く答えを出したい。
ふたりともがいい答えを。

17:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 21:25

その日、涼くんが来た時に思いきって聞いてみた。
「私のどこが好きなの?」って。

「美海の全部が好き。だから、何とも言えないんだ」

全部って、お金もふくめて?
そんなことでしか、やっぱり無理なのかな、私…。

「毎回外じゃ悪いから、お家へ案内してあげる。別館の客間を使って話をしたり、聞いたりするってことね」

涼くんといると、目立つ〜。
こう見ると、カッコいいのかな?
私はあんまり分かんないけど。
『恋』とか『好き』だとか。

「ここが私のお家。大きいとか思わないで。さあ、別館はこちら」

本館から離れて、ちょっと奥。
別館の玄関のカギを開ける。
誰もいなかった空間に、涼くんが来たからそんなに寂しくなくなった。
ひとりじゃないんだって。

「客間はここ。座ってくつろいで待っててくれる?」

涼くんに座っててもらって、キッチンで紅茶を出す。
ホントは来雅と飲みたかったな、この紅茶。
賞味期限切れちゃう…。

「はい、どうぞ」

涼くんに紅茶を出す。
話し合いが始まっちゃう。
ちょっとドキドキしていた。
ヘンなこと言ったらどうしよう…。

「あはは。もしかして、美海緊張してるの?緊張する必要ないよ」

「でも…」

むぐぐ…。
ヘンなこと言っちゃいそうで怖い…。
引かれたらそれはそれでイヤだし。

「…で、涼くんは私の何を知っているのか教えて」

「いろいろ知ってるよ。誕生日、好きなものや嫌いなものまで」

試しに誕生日を聞いてみると、普通にスラスラと答えてくる。
好きな食べ物、嫌いな教科、その理由まで一致していた。

「どうして知っているの?」

「だから言っただろ?何でも知ってるんだって」

涼くんは立ち上がって、頭をポンポンしてくれた。
……初頭ポンポンがぁ〜っ!

「どうして美海は俺じゃダメなの?」

「全然知らないから!何から何まで全然分からないの。だから…」

…何かヘン。
どうして涼くんがダメなのか分からなくなってきた。
でも、付き合うとかも無理だし…。

「美海、美海、美海っ!」

涼くんが呼んでる。
もう無理だ、私…。

18:相原梨子◆x.:2018/01/09(火) 21:38

ー第3話ー

目を開けると、蛍光灯がまぶしく光っているだけだった。
看護師さんがいる…?

「あ、目を覚ましたのね」

看護師さんによると、カッコいいイケメンの男の子におんぶされて連れて来られたそうだ。
パパやおばあちゃんには、連絡しても仕事で来れないって断られた。
こんな時までひとりなんて、辛い…。

「美海っ?」

「涼くん…、ありがとう」

病院のベッドに寝てるんだ…。
ここの病院は、もしかして詩神病院!?
そう思ったのもつかの間。
社長であるママが入ってきた。

「大丈夫?美海。疲れたならうんと休まないとダメ。分かった?」

「はい。ごめんなさい…」

ママが出ていくと、涼くんはベッドの布団に顔をうずめた。
そして、顔を上げて言った。

「お願いだから付き合ってよ…!絶対楽しい思い出作るから!」

二度目の告白。
もう付き合っちゃうの…?
イヤイヤ、まだ早いよ。

「涼くんがいいなら、友達から始めてほしいな」

「しょーがねーな。待ってやるよ、美海の気持ちが変わるまで。俺はずっとそばにいるから」

涼くん…。
ちょっとでもプラスの気持ちが心の中に広まった気がした。
何が何だか、本当によく分からない。
だけど、涼くんって面白そう。

「もうゆっくり休んで。俺はずっとここにいる。美海…」

涼くん、どうしてこんな私を好きになったの…?
ちゃんと教えて。
私も…何だかヘンだよ…。

19:相原梨子◆x.:2018/01/10(水) 20:11

パパが部屋についてくれる。
ちょっと、まだダルいかも…。

「ねえ、美海…」

パパが頭をそっとなでる。
こんなこと、久しぶりかも。
全然時間もないし。
出勤時間が早いパパは、朝ごはんを食べていても出勤してしまう。
一緒にいること自体、あんまり少ないから、昔を思い出してしまった。

「美海が倒れたって聞いた時も、木下さんとの仕事があって、病院に行けなかった。どんなことがあっても、美海より仕事を優先しちゃって済まなかったよ…」

「いいんだよ…。パパは、私のために働いてくれてるんでしょ?ママも病室に来てくれたから、寂しくなかった」

前、おばあちゃんに言われたことがあるんだ。
『おばあちゃんもパパも、あなたのために働いているんだ』。
会社を継ぐために。
何としてでも、詩神家を守るために。

「娘が美海で良かった…。今日はゆっくり休みなさい。明日は行けたら学校へ行くんだよ。こんなときも悪いんだけど、明後日から出張で一週間いなくなっちゃうんだ。お手伝いを雇って、美室さんに来てもらう。困ったことがあれば、すぐ言ってね」

明後日から出張かぁ。
また、パパに会えなくなる。
美室さんが来てくれる…。
だから、寂しくないよ。

「明日はいつも通りだから、美室さんは来ないからね。…おやすみ」

「おやすみなさい」


スクールバッグを肩に引っかけて、とぼとぼ道を歩く。
瑠夏が見えるけど、走る気力も全然なかった。

「ちょっと、美海ー?大丈夫ー?」

「全然大丈夫」

昨日あったこと、瑠夏知らないんだ。
私は『友達から』って話から、瑠夏に話した。

「今日来ちゃっていいの!?また男子が1年2組のプリンセスが〜って言うよ。美海、カワイイからね」

プリンセス、本当にやめてよ〜。
お金だけとかイヤだ…。
すると、クラスメイトの男の子集団が声を上げて駆けてきた。

「ちょっと、美海、走れる?」

「多分…」

瑠夏に手首を引っ張られて走る。
クラスメイトの男の子集団から逃げるのぉぉぉ〜!
瑠夏、早いよ〜!

20:相原梨子◆x.:2018/01/10(水) 20:27

「ねえ、美海。一緒に帰ろ〜!」

サッカーボールをいくつか手に持っている瑠夏が顔を覗かせる。
今日は仮入部中の卓球部が終わり、校門に向かっているところ。

「じゃあ、校門のところで待ってるからね」

瑠夏、バリバリサッカー部のマネージャーやってるじゃん。
多分向いてるもんな〜、瑠夏。
何事にも真剣で、サポートすることが上手な瑠夏。

「おーい、マネージャー」

ら、来雅じゃん…!
瑠夏のことマネージャーって呼んでるんだ…。
何か話してる…。

「美ー海っ!」

「涼くん!?今日も来てくれたの!?」

肩をポンポンしてきた主、涼くん。
遠いはずなんだけどな、家から。
毎日会いに来てくれてる…。

「今週の土曜日、会わない?」

「えっ…?」

涼くんはニッと笑って、一枚のチラシを渡してくれた。
『桜恋フェスティバル』かぁ。
ちょっと気になるのが、桜恋…。
恋愛系のイベントなのかな?

「あああっ、美海。誤解しないで。桜が関係しているイベントなだけだからさ…っ!その…ね…」

恋愛じゃないってこと?
それなら、いいんだけど…。
すると、涼くんをドンと蹴る足が!
やっぱり主は…。

「私の美海に何してんだ、涼っ!」

瑠夏、終わったんだ!
良かった〜。
今思えば、瑠夏って涼くんのこと呼び捨てで呼んでるよね。
仲良くなったのかな…。

「ってことだから、他のヤツには話すなよ!当日の朝の9時に迎えに行くから、家で待ってて!」

涼くんは、一目散に駆けていく。
帰っちゃった…今日は。
瑠夏はキョトンとしている。
話しちゃダメなのかな…?

「瑠夏、帰ろうっ!」

ギュッと瑠夏の手を握って交差点へ向かって歩く。
もしかしてこの手、マメが出来ちゃってる…?
マネージャー大変なのかな。

「涼と上手くいくといいね、美海!」

「何で…?」

「美海、涼のこと好きでしょ!?」

…えええええーっ?

21:相原梨子◆x.:2018/01/10(水) 20:47

何を着ていけばいいのかな?
桜恋フェスティバルって何するの?
スカートでもいいのかな…?

「ただいま…」

パパっ!
本館の二階の自分の部屋から身を乗り出す。

「お帰り、パパっ!」

玄関まで降りると、パパが大きなスーツケースを持っていた。
もう、明日の準備されてるんだ…。
行く気満々なのかな。
し、仕事だから仕方ないよね…っ!

「ねえ、今週の土曜日、友達とお出かけしてもいい?誘われたの」

「瑠夏ちゃんとか?」

私は、他中の友達と伝えた。
男の子の名前出すと、不審に思われちゃうよね。

「美海が他の中学校の子と…」

なんか、ちょっと感動してない!?
二階に上り、また服選びに専念する。
どんな服だったらいいの〜?


今日が約束の日。
涼くんがお迎えに来てくれるってことだったよね。
美室さんが別館の掃除をしている間に、急いで服に着替える。
一応、シンプルな黄色の服に刺繍がしてあるトップスに青いスカート。
動きやすいし、カワイイコーデ。

「美海様、涼さんがやって参りましたよ。ご準備をなさってください」

お嬢様扱い!?
美室さん、そんなのいいのに…。
そう思いながらカバンを肩にかけて家を出た。

「おはよう、涼くん」

「美海…カワイイ…」

はっ…!?
そういうの言わないでぇ〜!
涼くんをトンと押す。
恥ずかしいんだよ、そういうのぉ〜!

「今日、空けてくれてありがとう。じゃあ行こっか」

涼くんが手を握ってくる。
恋人繋ぎじゃないけど、手を繋いでることは間違いじゃない…。
どうして涼くんは恥ずかしくないの〜?

22:相原梨子◆x.:2018/01/10(水) 21:00

着いたここは、広い野原。
ここが、フェスティバルのために屋台が出ていたり、ステージが出ていたりしている。
ここのイベントも、詩神家のサポートがあるのかな…?

「ステージ見に行こう」

涼くんに手を引っ張ってもらって来たここは、ステージ。
プロデューサーさんのひとりが私に気付き、みんなを引き連れてこちらへ走ってきた。

「これはこれは、詩神のお嬢様!資金をありがとうございます!ご参加なさってくださって…!」

また『詩神』だから頭下げられてる。
ちょっと会話をしていると、案内してくれると言われた。
ステージを見ることをプロデューサーさんに伝えると、特別席を用意してくれて、涼くんとふたりで見れた。

「美海の力すげぇ」

「うんん、詩神がすごいだけ」

パパ、ここにも顔を出して、資金を出しているんだ…。
それってだけなのに…。
プロデューサーさん、パパにお礼言うよね、礼儀として。
涼くんのこと、言わないといいけど。

「あれ?涼じゃん」

誰だろ、この子。
可愛らしくて、ゆるふわ系の女の子。
涼くんと関わりが深そう…。

「あなたの名前は?」

「し、詩神美海です…!」

ふーんと言った顔をして、涼くんに向き直る。
なんか嫌らしい子な気がする。
無関係の私には無視するの…?

「この子とどんな関係なの?」

「友達以上、恋人未満ってことになってるけど」

恋人未満って言葉が出てくる!?
『友達』じゃないの!?
いつの間にか変わってる…。

「良かった〜。ねえ、美海ちゃん」

その子が耳元でささやいた。
言葉は聞き取れなかったけど、だいたい意味は分かった。
『涼くんに近付かないで』って。

「別に、そんなつもりじゃ…っ!」

「言い訳いらないよ〜?私は向こう行くからね、美海ちゃん」

何でそんなこと言うの…?
この子、ちょっと怖いよ…。

23:相原梨子◆x.:2018/01/10(水) 21:15

涼くんにあの子の名前を聞いてみた。
絶対、あんな子になりたくない!
人といい向き方で向けてないもん。

「美海、ムスッとしないでよ。アイツは朝加真子。俺の幼なじみ」

朝加真子さん…。
もしかしたら、涼くんのこと好きなのかもしれない。
嫉妬しちゃってる?

「美海。真子は、ちょっと怒る時はよく怒ってるけど、いいヤツだから。気にすることねーよ」

いや、気にするよ…。
だって、私と一緒にいる人のことが好きなんでしょ?
涼くん気付いてないのかな?
朝加さんの気持ち、届いてないんだ。

「始まるぞ、美海」

涼くんが言った瞬間。
サーカスみたいな集団の人たちがステージに上ってきて披露が始まった。
今は、朝加さんのこと気にしなくてもいいかな。
このイベント、楽しんでもいいよね。


ステージが終わり、屋台を見に行く。
出来たら、知り合いに会わないといいんだけど…。

「俺、クレープ買ってくる。美海はここで待っててくれる?」

涼くん、私の好きな食べ物知ってて、クレープって言ってくれた?
どうして知ってるんだろう。
涼くんはクレープを買いに行ったので、私は席を探した。
パラソルで日射しが遮られている席をとり、座って待つ。

「美海、お待たせ…」

「ねえ美海ちゃんっ!言ったよね!」

朝加さん…と…会っちゃった…。
涼くん来てないよね…。
なら、言い返しても大丈夫かな?

「朝加さんだって…」

「何言ってるの?全然聞こえない!」

うんん、聞こえてるはず。
朝加さん、そんなに涼くんが好きなんだったら、何かしたらいいのに…。
私だって涼くんが…嫌いじゃないって言うか…。
その…。

24:相原梨子◆x.:2018/01/10(水) 21:27

真子、美海に何してるんだ!
近くの人にクレープをあげて、美海がいた席に走る。
こんなに真剣になったのなんて、美海のことくらいかも。
俺、続けるの苦手だし。

「何言ってるの?全然聞こえない!」

真子何言ってるんだっ!
ふたりの間に入ろうとしたけど、美海が思いっきり真子に言い返した。

「朝加さんは、朝加さんのしたいようにすればいいんだから、私と涼くんのことはほっといて…っ!」

あんな恥ずかしがりの美海が、大きい声出してるなんて、珍しい。
俺のために…?
めっちゃ嬉しいんだけど。

「私のしたいこと?それは、美海ちゃんと涼が離れるように仕組むこと!だから、今してるの!」

離れるように仕組む…?
絶対、真子が俺と美海の間に入ってきても離れない。
ずっと美海といる…!


どうして離れなくちゃならないの?
私は…私は…。
どうしたいんだっけ…?

「美海ちゃんは、したいことないの?ないなら、私に従ってよ!」

なくない。
だけど、何がしたいのか分かんない。
涼くんと付き合いたい?
それは早いと思うから、無理かも。
じゃあ、友達のままでいたい…!

「そう。私は、涼くんとずっと仲良くしたい!」

「勝手に仲良くしてもいいけど、恋愛の目で涼を見ないでよ」

恋愛の目で涼くんを見る…。
それは、無理かも。
何度か告白してくれてるのに、友達のまま終わらせるなんて無理だよ…。

「美海っ!」

「あれ?涼くん。クレープは?」

もしかして、見てた!?
私の言葉聞かれてた〜?
急にあわあわする。
ど、どうしようっ!

「美海は、俺と仲良くしていたいって気持ちでいい?」

私はコクッとうなずく。
涼くんは、にっこり笑ってギュッと抱き締めてきた…。

             (つづく)

25:相原梨子◆x.:2018/01/10(水) 21:34

あとがき

初めまして。
『キミ色に染まった世界で恋する』の作者、相原梨子です!
1巻はいかがでしたか?


ある漫画を参考に書かせていただき、みんなの青春の恋を描いています。
勝手に参考にさせていただいて、著作権とかダメかもなんですけど、あくまでも参考だからいいよね…?


皆さんは『恋』してますか?
一生に一度の青春。
欠かせないものは恋です!
女の子は、恋すると可愛くなって、変われるんですよ♪
恋したり、好きな人が出来たりしたら、ぜひ教えてくださいね!


ここまで読んでくださった読者さん。
コメントをくれた瑞ちゃん。
本当にありがとうございました!
次回の2巻もよろしくお願いします。
2巻で会えることを楽しみにしていますね!

             相原梨子

26:相原梨子◆x.:2018/01/10(水) 21:44

ー次回予告ー

「私、好きな人出来たんだ〜」
瑠夏に好きな人が出来た!?

「美海、研修へ行こう」

ええええっ?
詩神の仕事の研修!?

27:相原梨子◆x.:2018/01/11(木) 19:42

『キミ色に染まった世界で恋する 2』

登場人物

詩神 美海
お金持ちの家庭のひとり娘。
みんなは気楽だと思っているが、実はとても苦労している。

冴橋 来雅
美海の幼なじみ。
優しくて頼りになるイケメン。
モテているらしいが、自覚はない。

桜庭 涼
美海の秘密を知っている。
隣町に住むイケメン。
私立に通っている秀才。

28:相原梨子◆x.:2018/01/11(木) 19:50

今までのあらすじ

突然目の前に現れた男の子、涼にお出かけに誘われた美海。
涼の幼なじみで、涼に恋している真子に出会い、美海が涼に対する気持ちを伝える。
一方の涼は、美海が大好きで好きなものや趣味なども知っていた。
何度も告白した結果、友達から始めることになったけど…?

29:相原梨子◆x.:2018/01/11(木) 19:51

目次

ー第4話ー
ー第5話ー
ー第6話ー
ー第7話ー
あとがき
次回予告

30:相原梨子◆x.:2018/01/11(木) 20:25

ー第4話ー

桜も散って、市立園田中学校の裏庭は緑の葉っぱでカーペットが敷かれているかのよう。
どうしてここにいるのかというと…。

「詩神さんのことが、好きです!入学式の時から、ずっと!その…付き合ってくれませんか!?」

私の人生で3回目の告白をされて、呼び出されたのです!
相手は、浜村くん。
違うクラスで、話したこともない。
今日知った子だった。

「ご、ごめんなさい…。私、ちょっと気になってる子がいて…」

浜村くんは、えっ?とした顔をする。
今、頭に思い浮かべている男の子は、涼くん。
あの時抱き締められて、何かあるたびに思い出しちゃうんだよ…っ!

「そっか…。出来たら俺、そいつを越せるように頑張るから、そいつの魅力教えて」

涼くんの魅力…。
私は、指を折りながら浜村くんに教えてあげた。
すごく私に夢中になってくれて、優しくて、気を使ってくれるところって。

「それが、詩神さんのタイプってことだよね!ありがとーっ!」

涼くんの魅力を言ったんだよ〜。
タイプなんて一言も…。
浜村くんは走っていって、裏庭にひとり取り残された。

「お〜い、美海〜?」

遠くから親友の瑠夏が走ってくる。
見てたのかな?
今の浜村くんとの出来事。
瑠夏は、にっこり笑ってつぶやいた。

「私、好きな人出来たんだ〜」

え…瑠夏に好きな人!?
すごく気になる!
瑠夏は、耳元でささやいた。

「リョーなの」

涼くん!?
え、やっぱり仲良くなったから!?
私は気になってるレベルだから…。

「ごめん、美海!涼なのっ!」

マジですか…!

31:相原梨子◆x.:2018/01/11(木) 21:27

「そんなの全然いいじゃん!私、瑠夏の恋応援するよ!」

「え!?ホント!?ありがと〜」

私と瑠夏の気持ちは違う。
誰が考えても、瑠夏の方が気持ちが大きいから、私は応援側だよねっ!

「ごめんね、本当に。涼は美海のことが好きなのに」

「そんなの気にしないで!瑠夏が気持ちを伝えたら、涼くんはきっと振り向いてくれるよ〜」

すると、瑠夏はちょっと顔をしかめる。
あれ、どうしたのかな…?
あんまりしない方がいいことしちゃったのかな…っ!

「涼のこと、美海って涼くんって呼ぶんだね。両想いじゃない、よね?」

「私がそこまで行ってないから両想いじゃないと思う」

瑠夏はほっとしたのか微笑んだ。
私に出来ること…。
瑠夏は涼くんのことが好きなんだから、出来るだけ距離を取るとか…?
それだと、涼くんが悲しいよね。
じゃあ、瑠夏の魅力を目一杯伝えるとかだったらいいのかな。

「早速協力するね!」

瑠夏とふたりで教室に戻った頃には、もうみんな部活へ行っていた。
仮部活じゃなくて、入部したの!
私は卓球部に。
瑠夏はサッカー部のマネージャーを仮部活でやってたんだけど、涼くんが好きだから変えたんだって。
仮部活でサッカー部のマネージャーをやってたのは、私を守るためだったから。(1巻2話参照。)
始めたのは、陸上部のマネージャー。
理由は知らないけど。

「ねえ、涼と付き合ったら、美海はどうする?」

瑠夏が突然つぶやいた。
心配してくれてるんだ…。
だけど、私はにっこり笑って見せる。

「大丈夫だよ。瑠夏を応援する!」

瑠夏はニカッと笑って、リュックを背負ってグランドへ走っていった。

32:相原梨子◆x.:2018/01/14(日) 20:22

私も部活行かなきゃ!
スクールバッグを肩に引っかけ、教室のドアに手を掛けると。

「詩神さん、ちょっといいかしら」

担任の大島先生が教室に入ってくる。
もしかして、この間涼くんを校内に入れてしまったから?
お叱りなのっ?
ウソ、どうしよう。
パパやおばあちゃんに怒られる…!

「詩神さん、研修頑張ってね。中学校の先生みんなで応援しているから、未来の日本を担う研修、全力でね!」

未来の日本を担う研修?
一体、どういうこと?
大島先生はにっこり笑って教室を出ていってしまう。
パパたち、何かしたの…?
待って、聞いてな〜い!

「おーい、詩神さん」

「木下先輩!」

背中をドンッと叩いてくる木下先輩。
ニカッと笑って「部活遅刻ー!1年なんだし、早く来てよ!」と言う。
あわてて時計を見上げると、もう完全に部活遅刻時刻だった。

「あぁぁぁっ!すみません!」

木下先輩に手首を引っ張られながら体育館へ走っていく。
みんなに迷惑かけちゃったよ〜!
部室を抜けて体育館へ行くと。

「ちょっと、詩神ちゃん遅〜い!もっと早く来てよ〜!」

キャハハと笑いながらつぶやく先輩。
怒られなくて良かった。
ちょっとホッとしていると、同じ1年生の子にボソッとつぶやかれた。

「詩神さんさぁ、やる気ないわけ?」

言ってきた子の胸元には『高橋』と名字が刺繍されている。
高橋さんっていう子かぁ。

「私もみんなも上手くなりたいの。上手くならないと雑用だから。詩神さんみたいな子がいると、正直邪魔」

周りを見ると、うんうんとうなずいている子。
そして、大丈夫とでも言うかのように首を横に振っている子に別れていた。

「さっさと動いて」

「す、すみません…」

こういう時、瑠夏なら、涼くんならどうする?
『邪魔』なんて言わなくてもっ…!

「高橋さんっていうんだよね!私だって上手くなりたいけど、先生に呼び止められたんだから、仕方ないよ!」

「詩神さん?」

「どしたの、詩神ちゃん」

つ、つい大きな声出しちゃった…。
この場に居づらくなる。
みんなの視線がすごく怖い。

「詩神ちゃん…」

「すみません」

さっき首を横に振ってくれていた子が手招きしてくれている。
その子たちの元へ駆け寄った。

「高橋さんさ、自分が一番って考え方だから。詩神さん悪くないよ」

「ありがとう…!」

邪魔だなんて、何度か言われたことあるはずなのに…。
どこか悲しいのか、嬉しいのか分かんないけど、目の縁が熱いよ…っ!

33:相原梨子◆x.:2018/01/14(日) 20:43

高橋さんに言われた言葉が胸にグサグサ突き刺さる。
そんなことを考えながら校門を後にしようとしていると。

「美海」

「涼くん!」

今日も来てくれたんだ…。
単に嬉しい。
高橋さんとのことが忘れられそう。
涼くんは私の両肩をガシッと掴む。
その時、ふと思い出した。
瑠夏が涼くんのこと好きなんだって。
ちょっと後ずさりする。

「ん?どうした、美海」

「うんん、別に。今日早く帰らないといけないんだ。だから、いい?」

「あ、そういうこと?送るよ」

いいのに…。
瑠夏がそろそろ来るから、待っててあげてよ…。
足を速めると、涼くんも私の速度に構わず食らい付いてくる。
ヤバイ、歩幅が全っ然違う!

「おーい、美海ー!」

あの車、あの声…。
パパだっ!
中学校にお迎えなんて、やっぱり研修があるらしいから?
私がいるところに車を停める。

「美海、乗って」

「分かった。じゃあ、涼く…」

「君は…」

パパ、もしかして彼氏とか思ったりしてないよねっ?
全然…違うからねっ!
パパは私を後部座席に乗せると、涼くんと何か話をする。
何話してるんだろう…。
窓をちょっと開けて聞いてみる。

「お前…だよな?」

「は、はい…」

何か空気重くない?
肝心なところが全然聞こえない。
ふたりはちょっと会話して別れる。
ちょっと、涼くんがトボトボしているように見えた。
パパ、何言ったの…?

「ごめんね、美海。さあ、行こう」

「ねえ、パパ」

パパは運転する前に後部座席を振り返る。

「どこ行くの?」

パパは髪をちょっとポリポリかいて、真っ直ぐこちらを見た。

「ついさっき決まったから、言ってなくてごめんね」

パパはちょっと間を空けて、そして私の頭をそっと撫でた。

「美海、研修へ行こう」

34:相原梨子◆x.:2018/01/14(日) 20:59

ー第5話ー

「美海、研修へ行こう」

やっぱり行くんだ…。
パパが言うには、詩神の仕事を2週間研修するってことらしい。
このためにわざわざ帰ってきたんだ。
パパが私の未来を考えてくれていて嬉しい気持ちと、怖い気持ちがあった。
おばあちゃんがいるよね…。
また、何か言われるのかって。

「荷物をまとめなさい。今日出発で、美海ひとりで部屋に泊まるんだ」

恐ろしい気持ちが打ち勝つ。
家に着くと、別館の私の部屋から荷物を詰めていった。

「無駄なものは持っていかないように気を付けて。筆記用具と泊まる用具くらいでいいからね。オシャレもダメだから、動きやすい服を3着ね」

リュックに言われたものを詰める。
全て詰め終わると、早速詩神医療会社事務所へ車を走らせた。
ここの近くで泊まるらしい。

「美海、ずっとお世話してくれるのは、基本母さんだけど、いつも通り頑張っていればいいから。何も怖がることは全然ないよ」

研修なんて初めてだし、何をするのかも、何をさせられるのかも知らない。
だけど、分かったことがある。
これはやったらためになるって。
怖くてもやらないと終わらないし、やれば未来楽になるかもしれない。

「着いたぞ」

パパが外から車のドアを開けてくれる。
荷物をガシッと掴んで、パパに必死に着いていく。
これくらいのスピード、慣れないとヤバイのかな…っ!

「あら、美海ちゃん。研修?」

ふふふと笑った女の人…。
働いてる人かぁ。
全然知らないんだけど…。
私は、その人に笑いかけてパパを追いかけた。

35:相原梨子◆x.:2018/01/14(日) 21:26

事務所の社長はパパだから、いつもここで働いているはず。
おばあちゃんはいたりいなかったりしているみたい。
今日はいないのか、社長室やおばあちゃん専用の部屋もいなかった。

「今日はいないな。パパが部屋に案内するから、部屋の電話でお母さんに電話をかけて報告してね」

おばあちゃんに電話するんだ。
部屋の電話から。
ママにも…もしかしたら電話出来るのかな…。

「必要以上のことはしないように。部屋にカメラが付いてるから」

全然何も出来ないじゃん。
パパは「さすがにベッドルームとキッチンルーム以外は付いてないけど」と小さい声で付け足す。
部屋に着くと、鍵を預かってパパは仕事へ戻っていった。

「よしっ!」

鍵をガチャッと回す。
ここ、普通のホテルみたい。
大きなベッドがふたつ。
カウンターみたいな机があって、キッチンがある。
部屋に入ってすぐのところにお手洗いとお風呂があるだけだった。

「電話しなきゃね…」

わざとつぶやいて、ベッドに荷物を置いて受話器を握りしめる。
受話器の側には、パパとおばあちゃんの電話番号のメモが置いてあった。
こんなの見なくても、出来るよ。
覚えさせられたんだから。

「もしもし、詩神です」

「もしもし。こんにちは。美海です」

おばあちゃんは「ようやく着いたの。明日からは研修をみっちりやってもらうから」とだけ言い、電話を切った。
もう終わった…。
か、カメラがあるんだった!
早速荷物をハンガーにかけたり、カバンをクローゼットに閉まったりと慌ただしくする。

「失礼します」

トントンとノックの音がして、さっき笑っていた女の人が入ってくる。
胸元のネームプレートは『大津』。

「今日から佐江子様に代わって時々お世話させていただく大津です。これが詩神の仕事の本になります。ちょっとでも暇な時間は読んでください。これを全部覚えることが宿題で、明日テストします」

はっ…?
テストがあるの!?
分厚い本5冊をドサッとカウンターに置いて出ていく大津さん。
中学校より超キツいじゃーんっ!

36:相原梨子◆x.:2018/01/14(日) 21:39

夜ご飯で持ってきてくれたご飯は、パエリア。
電子レンジで温めるだけだって。
早速、電子レンジにパエリアを入れ、温めを開始する。
食器棚から、大きめのお皿とスプーンを取り出してカウンターに乗せる。
こういう間も、本読んだ方がいい?

「美海様、失礼します」

大津さんが入ってきて、紅茶を持ってきてくれる。
これ、来雅が好きな紅茶だ。
すると、電子レンジが音を鳴らす。
温めが終わった合図だ。

「ありがとうございます、大津さん」

「いえ。今日お運びするお品は以上ですので、時間が空いたら本をお読みくださいね」

大津さんが出ていく。
パエリアを電子レンジから出し、カウンターで食べる。


本をパタンと閉じ、本棚に並べる。
これで全部読んだけど…。
まとめたノートをまじまじと見る。
100点満点じゃないと、追試が延々と続くテストだから…絶対…。
すると、突然電話が鳴った。

「もしもし。美海です」

「美海?パパだけど」

パパ…っ!
電話番号を見ると、もう家からかけていて、仕事が終わった印だった。

「早く寝ることは守って。1日の生活も評価に入るんだから」

「分かった」

評価があるんだ…。
多分、めちゃめちゃ細かいよね。
姿勢をあわてて正す。
パパとちょっと会話をして切った。
評価が悪かったら、転校。
お嬢様学校へ行かなければならなくなるかもしれないんだ。
ちゃんとしなきゃ。
瑠夏と別れたくないよ…。


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