新 ロミオとジュリエット

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧キーワード▼下へ
1:雅:2018/02/17(土) 01:47

たとえ君が僕のことを忘れても、僕は君を忘れない。





生まれ変わっても、必ず君を見つけ出す。





何度でも、君を愛し続ける。





もう、最初で、何度目のキスだろうか。





おやすみ、ジュリエット。

14:雅:2018/02/27(火) 20:27

>>13
ありがとう、ちょこちょこ書いてくよ。

15:雅:2018/03/02(金) 20:00

「…じゃあ、行ってくるわ」

ジュリエットは藍色のマントを纏い、ルトーに挨拶をする。
昨晩に降った雨のせいか、いつもより景色が鮮やかに見える。足元に咲き乱れる桃色の華には朝露が光っており、ジュリエットを一層美しく見せた。

「はい、いってらっしゃいませ。くれぐれも道中はお気を付けて下さいね」

「ふふっ…もう、本当に心配性なんだから。大丈夫よ、いつもの城下町ですもの」

「しかしジュリエット様は身元も明確にされておりますし、盗賊団にでも見つかったら大変なことになりますぞ」

半分ほど冗談で、ルトーは言った。当たり前のことだが、ジュリエットを狙う盗賊はまずいないだろう。

ジュリエットの遠い家計は古くからレスタルト地方に貢献しており、人々にからの信頼も厚いのだ。
まだ人間に「魔力」という不思議な力が宿っていたころの話では、貧相の子供達を屋敷に招いて食事会を開いたり、高齢者が困っていれば救いの手を差し伸べ、怪我をした人間に魔力を総動員して治癒をする、という優しさを持っていたという。

つまり、現在でも----妖精や一部の人間しか魔力を持つものは居なくなってしまったが----子孫であるジュリエットは優しさの象徴なのだ。

ジュリエットもそんな先祖を敬っていたからか、困っている人には手を差し伸べるという優しさを持っている。
彼女は皆に愛され、彼女も皆を愛している。幼い頃から愛を授かった少女は、母親のように強く美しい娘へと成長している。

16:雅:2018/03/07(水) 20:19

「盗賊団、ねぇ…?」

ジュリエットは妖しげな微笑を浮かべ、赤い瞳を細目にした。
口元に片手を当て、まるで母親が困ったように呟く。こんな時はからかうときの姿勢だ。

「い、いえ…何も! その、失礼致しました。どうかお許し下さい、ジュリエット様」

ルトーも慌てる「フリ」をして跪く。
こんなやり取りは、もう何年も続けてきた。

「あはははっ! 冗談よ、冗談。大丈夫…ふふ、行ってきます」

ジュリエットはいつもの様に微笑み、いつもの様にマントをなびかせて歩いていった。
彼女が道を歩めば、枯れた華々はたちまち生命の輝きを取り戻し、彼女の為に華を咲かせる。
彼女が思いを込めて唄い舞えば、不毛の大地は豊かなる自然で満ち溢れてゆくだろう。

ジュリエットは、美しかった。

17:雅:2018/03/07(水) 20:25

ルトーは屋敷に戻った。主が居ない屋敷はどこかくすんでいるようにも見える。
絢爛豪華な美術品も、数々の高価な宝石も、朝に摘んできたばかりの一輪の薔薇でさえ、どこか安物に見えてくる。
ルトーは血を吸ったような真紅の薔薇に水をやり、屋敷の窓を開けた。

18:雅:2018/03/07(水) 20:43

あとは、部屋と廊下の掃除をし、使用人達に労いの言葉を掛けつつジャムやナッツ類の残量確認をし、使用人にほつれたドレスとメイド服、紳士服の手入れを頼み、
庭に植えている木苺と林檎を収穫し、窓ガラスと調度品を丁寧に磨き上げ、使用人と共に過ごした後に華に水をやり、残った洗濯を終え、足りない日用品のメモを取り、夜の為に赤ワインを一本取り、ジュリエットのベッドメイクを終え、届けられた文を整理し、お昼ご飯を使用人と共に食べ、古い書庫から何冊か本を取り出し、
必要があれば手紙を書き、来客が来ればもてなし、使用人の剣技訓練を眺めつつ読書を楽しみ、終わったらティータイムを使用人と共に終え、保存食を作り、
ジュリエットが帰宅するまで読書をし、ジュリエットに夕食を準備し、お風呂の用意をし、ジュリエットの勉強後にワインを開け、お風呂に入り、眠るだけだ。

19:雅:2018/03/08(木) 19:43

ジュリエットは、ジュードス王国の城下町「ドルト」の商店街を歩いていた。
今日の買い物は泡を固めて作った特別な石けんと、黒花弁を絞って作ったインク、ロザネにプレゼントする
宝石をあしらったブローチだ。

「…ああ、なんていい香り。きっとこれは焼きたてのパイの香りだわ」

広場には微かにパイの焼ける香ばしい香りが充満しており、道行く人々の表情を柔らかくさせていた。
ジュリエットは商店街の店を覗き込みながら、石けん屋を探す。泡を固めて作った石けんは、洗い心地が良く
滑らかで使いやすいのだ。

「あっ、見つけた! えーと、すみません。泡石けんを四つ下さいな」

店員であろう黒髪の女性に声を掛けると、女性は「ジュリエット様!? お久しぶりでございます!」と嬉しそうに微笑んだ。










城下町で買い物を済ませ、教会に出かける。
教会で火の女王エキドナレアに出会う。二人で祈りを捧げる。
会話をしてから森に出かける。

「星屑の森」
古代、流れ星が落ちてきた森とされている。特別な月が見られたときには不思議な癒しの空間が広がるという。
中心部には、巨大な大樹がそびえ立っておりときどき妖精や天使が遊びに来るようだ。

森で木の実を拾った後、自分の元に帰る。

20:雅 ミスりました。改正版です。:2018/03/08(木) 19:43

ジュリエットは、ジュードス王国の城下町「ドルト」の商店街を歩いていた。
今日の買い物は泡を固めて作った特別な石けんと、黒花弁を絞って作ったインク、ロザネにプレゼントする
宝石をあしらったブローチだ。

「…ああ、なんていい香り。きっとこれは焼きたてのパイの香りだわ」

広場には微かにパイの焼ける香ばしい香りが充満しており、道行く人々の表情を柔らかくさせていた。
ジュリエットは商店街の店を覗き込みながら、石けん屋を探す。泡を固めて作った石けんは、洗い心地が良く
滑らかで使いやすいのだ。

「あっ、見つけた! えーと、すみません。泡石けんを四つ下さいな」

店員であろう黒髪の女性に声を掛けると、女性は「ジュリエット様!? お久しぶりでございます!」と嬉しそうに微笑んだ。

21:雅:2018/03/13(火) 15:12

ジュリエットは店の奥にて、紅茶をご馳走になっていた。
あの店員の女性が「久しぶりですし、せめてお茶だけでも」と用意してくれたらしいのだ。

フルーティーな果実がブレンドされた紅茶は、店員が自分でブレンドしたという。爽やかな香りと
すっきりした味わいが何とも上品で、正にお手本のような美味しさだった。

「ジュリエット様」

黒髪の女性がひょっこりと顔を出す。どうやら仕事が一息ついたらしい。
右手には石けんが入った袋が握られていた。

「お久しぶりね、最近の調子はどう?」

ジュリエットは紅茶を飲みながら尋ねた。

「うーん、まあまあですかね。石けんの売れ具合も微妙ですし、今週中で良く売れたのは
商人に大量購入された鉱石くらいです」

ここの石けん屋は、商人との交流も行っており不思議な商品が出ることも多い。ガラスのオブジェや綺麗な
布地、さらには鉱石の管理者でもあるらしい。
最近では紅茶の茶葉売りを始めたそうだ。それは良く売れるだろうなとジュリエットは思った。

「だけど、この紅茶はとても美味しいわよ。買っていこうかしら」

「本当ですか? 良かった…実は上手くできたか不安だったんですよ。あ、買っていかれますか?」

この紅茶を朝に飲めば…いや、優雅な午後のティータイムにみんなで飲みたい。そして、使用人のなかでもお
茶を淹れるのが特に上手なメリルに頼めばいい。

「ええ、買うわ。とりあえず一つ、追加でお願いできるかしら?」

店員の女性は微笑んだ。
そして、はいと大きく返事をして店に戻っていく。

「またお越しくださいませ、ジュリエット様」

「次は屋敷でご馳走するわ」

ジュリエットは茶葉と石けんが詰まった袋を受け取り、挨拶を告げて店を後にした。

22:雅:2018/03/19(月) 17:18

街外れの古びた屋敷を裏手に周り、壊れた柵の隙間へと体を器用に通す。
この道を通るのはかなり久しぶりだ。ドレスが裂けないように細心の注意を払いながら柵を超えてゆく。

この屋敷の名は通称「月夫人の館」という。
かつて月をも魅了すると言われた美しい娘が、伯爵に結婚を申し込まれ幸せな生活を送ったという。その
夫人の美しさから娘は「月夫人」と呼ばれていたらしい。
その月夫人が、愛する公爵と生涯を過ごした館がここなのだ。

今では古びた屋敷跡となり、枯れ果てた花園と錆びたテーブルが虚しく転がっているだけだ。
かつては色鮮やかな花々が咲き乱れ、テーブルには美味しい紅茶と月夫人の微笑みが儚く佇んでいたのだろう。

23:雅 お久しぶりです:2018/04/05(木) 13:23

柵を越えると、そこには星屑の森へと続く小道がある。
森林の青々とした若葉が一枚、ひらりと優しく風に吹かれて、月夫人の館になびいていった。

その教会は、かつて聖なる五芒星の加護を受けたとされる女魔導士リフェータが、星に祈りを捧げるためにつくったのだという。
当時は教会に華が添えられ泉の水が湧き出る美しい教会だったのだが、今では人々に忘れ去られ、こうして
たまにジュリエットが祈りにくる程度だ。

だが、今日は少し違った。

礼拝堂の中心、割れたステンドグラスの光を浴びて輝く深紅の色。しなやかでありつつも豊潤な肉体。
強気な態度が現れたような、赤と橙のドレス。
その者はジュリエットに気付き、祈りを中断して微笑んだ。

「おや、珍しくも可愛い客が来たと思えば、そなたは王女、ジュリエットではないか」

彼女の名は、恐れ多くも偉大なる赤き火の女王、エキドナレア。
この世界における属性の一つ、「火」の均衡を保つ女王だ。別名は「獄炎の女神インフェリニア」
また、定期的に精霊達と接触し、体内の魔力を活性化させるという役目がある

「エキドナレア様、お久しぶりでございます」

ジュリエットはドレスの裾を摘まんでお辞儀をする。
エキドナレアも扇子を取り出して、ジュリエットに礼をした。

「ふふふ、わらわも運が良いようじゃな。ジュリエットは祈りに来たのか?」

「そうですわ。最近は多忙な日々が続きまして、お祈りが出来なかったのです」

「はあ…こんなにも愛おしく小さき少女に国の面倒事を押し付けるとは、大臣共の狂気が知れぬな。
わらわのジュリエットに精兵の出撃命令など…全く、神が許すというならばわらわが代わりに命令を下したい
ぐらいじゃ」

面倒事というのは大抵ルトーがやってくれるのだが、ジュリエットはあえて言わなかった。
代わりに久しぶりに出会えたエキドナレアとの会話を楽しもう、と心に決める。

「エキドナレア様はどんな時でも、気高くお優しいですわ。さすが火の女王ですわね。そう言えば、エキドナレア様はご用件があって教会におられるのですか?」

「わらわは火の精霊達に会いにきたのじゃが、どうやら眠り姫の効果が発動しているようなのじゃ。
精霊は眠りについておるし、祈りだけ捧げておこうとな」


新着レス 全部 <<前 次100> 最新30 ▲上へ
名前 メモ
画像お絵かき長文/一行モード自動更新