総督の苦難

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1:総督:2018/05/24(木) 19:58

私の過去の活躍と失敗をここに記す。

2:総督:2018/05/24(木) 20:35

「あれが最後の艦隊ですな、提督」
今から35年前のこと、私が提督であったときのことだ。私は上官のシムファー元帥から惑星ぺトンの攻略を命じられていた。既に敵の艦隊は15艦隊のみとなったが、我が艦隊の被害は駆逐艦二隻の大破のみであった。何せ国力が、軍事力が違うのだ。大人と子供が殴り合うようなものだ、あまりにも圧倒的すぎてつまらない―――血気盛んな兵士たちが苛立ち始めたその時である、敵の艦隊の旗艦である戦艦ルレラヤグスが現れた。巌のような重厚感をもっていた。それは麻薬の如く我らの兵士を刺激し船内は歓喜で溢れ帰った。
「提督、強敵です。様子を見ましょう」
「うむ」
参謀のヴェスマン中佐と私はそういいながら「あれ」を見た。
「所詮は鉄屑だ。訓練通りに動けばエサでしかない」
中佐にそういい私は敵艦を見つめた。何か違和感がある、だが有頂天の私は気にもとめなかった、とんだ失策であった。
 

3:総督:2018/05/24(木) 21:38

「提督!敵の航空機がこちらに来ます!」
「何機だ?」
「一機です!」
「は?はあ?」
私にはわけがわからなかった。戦術に反している。一体どんな無能が指揮しているのか、捕縛したその面を拝んでやろうと私は我知らず考えにやにやと笑みを浮かべた。
「提督?どうされました?」
「あ、いや、なんでもない」
私は我に帰り椅子に腰掛け目を閉じてよく考えた。なぜ?なぜ一機でくるのか――――私の知識を張り巡らした。一機だけでくるやり方が理にかなっているといえる目的――――一つだけあったのだ。そうだ「交渉」だ。

「それは交渉に来ているのだろう。発着口を開けてやれ。酸素発生装置をちゃんとつけるんだ、それと念のために発着口に普通型MBRを50体置いておけ」
航空機が大きく見える、かなり近くに来ているのだろう。私は机の下に拳銃を忍ばせ、交渉人を待った。

4:総督:2018/05/26(土) 20:06

幾らかの時間が経った。交渉の準備を終えた我々のもとに発着口の見張りが飛び込んでくると、
「提督、提督のご明察通り、あれは外交交渉に来たようです!」
「そんなことは分かっている。問題は、誰が来ているかだ」
「えっ、あっ、敵の海軍・・・」
「海軍?」
「げんすい・・・です」
聞いた私は頭を抱えた。元帥自ら来たというのに殺してしまえばこの星からの支持は地に落ちる。それだけでない最悪帝国の法廷に掛けられてしまう。作戦が崩れた私は見張りに訪ねた。
「護衛はいるか?いたとしたら、人数も教えろ」
「6人です。あっ、います」
見張りの頭の悪さに苛立つものの私はある作戦を考えた。
「おいっ、その元帥に護衛を全員置いていくなら交渉に応じる、我々も護衛は下がらせる」
「提督、それは賭けになりませんか?」
命令を下すと即座に中佐が指摘を入れてきた。内容を鑑みるに、この男は分かっているのだろう。私は机をトンツーツートントントントンツーツートンツーツーツートントンツーツーツーツートンツートンツートンというリズムで二回叩くと中佐は視線を下にやり、私と顔を見合せて、にんまりと笑った。
「そういうことだ。早く伝えるんだ。ちゃんと覚えてるな?」
「えっ、うんはい」
少し心配になったものの私の胸は自信が殆どを占めていた。

5:総督 帝国の統帥:2018/05/26(土) 21:41

モールス信号のところが読みにくいかもしれないが、今後も出るかもしれないので御注意を。

6:総督 銀河の悪魔:2018/05/26(土) 22:15

「てーとく!げんすいが来ました」
見張りの横には背の高い初老らしい男性が立っていた。明らかに私を睨んでいる。(我が策成れり)という喜びを噛んで堪え、その男に話しかけた。
「まあ、かけたまえ。それと見張りは発着口に戻るんだ」
「約束は守っていただかなくてはいけませんからな」
「して、貴方は何をお望みですかな?」
「撤兵していただきたい」
「それは私の独断で、できることではありません。艦隊の指揮権は私にありますが、勝手に交渉して撤兵することは認められていません」
私がそう言い切ると男は不敵な笑みを浮かべると、
「この手がある!」
と叫び私に銃口を向けた。その刹那、鈍い音と銃声が部屋に立ち込めた。
「お見通しだ」
もちろん勝ったのは私である。なぜなら、予期していたのだから。
「なぜ、わかった?」
そう思うのも無理はない、私は男に銃を向けつつ説明した。
「お前が私をころす目的で来たことが確定していたからだ」
「いつ――――から?」
「捉え方によるが、さっき私を睨んだろう?あれがもう合図なのだ」
「どこが?私は何も意図してない」
それはそうかもしれない。だが意思とは意図せずして出てしまうものなのである。
「私の急所を見ていた。どこを撃つか見極めている」
「他にもあったのか?確定・・・で・・・きるものが?」
「ああ、まず、お前が来ることが、この作戦の鍵だ。まあ、元帥と言えば他のやつは艦隊ごと吹き飛ばしたからもういない、お前しかいないから私は銃を用意したのだ。スパイを忍び込ませて良かったよ。お前が外交を使って指揮官をころしたり、卑怯な戦法を愛用することをな」
男は観念したのか黙りこくって跪いていた。
「おい!救護班はこの男をすぐに治療しろ。まだ利用価値がある」
男が私を怨めしそうに睨み付けてきたので私は満面の笑みを返してやった。するとやつは憤怒の余りに暴れだして気絶してしまったので、我々は笑うしかなかった。
「あとはあのデカブツを駆除するだけだな」
私は外の敵艦を指差して微笑んだ。

7:総督:2018/05/27(日) 09:51

「各員に次ぐ。駆逐艦、巡洋艦、戦艦、全ては、敵、駆逐、巡洋を中心に狙え。ただしデカブツの攻撃には気を付けよ。第1、第2空母は全航空機を出してデカブツを攻撃させよ」
私の命令が下ると各員はすぐに動いた。元帥が交渉にこぎつけたと思ったのか敵艦隊は殆ど気を抜いていて、謀らずして奇襲の形になっていたのである。私はため息をついて、
「ここまで上手くいくとは・・・」
と、ふと呟いた。事実、敵の駆逐、巡洋はほぼ壊滅していたのである。
「よし、敵の駆逐、巡洋は全滅した。旗艦に集中攻撃せよ」
帝国軍の雷撃、爆撃の絶え間ない激しい攻撃により、もはや屍同然になった敵旗艦など、我が軍の砲撃を耐えられるはずもなく、敵艦隊と共に崩れ去った。
「損害は航空機4機大破、航空機11機中破、航空機20機小破は航空機8機僅かな損傷。駆逐艦1隻火災消化してすぐに上陸せよ」
ここに一つの戦いは終わった。 

8:総督:2018/05/27(日) 12:58

20機小破は航空機8機→20機小破、航空機8機
駆逐艦1隻火災消化してすぐに上陸せよ→駆逐艦1隻火災、消化してすぐに上陸せよ


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