今日の朝、遥のスマホには小羽から「生理辛いからきて」というメッセージが届いていた。
「…行くか。」
多分両親が外出していていないのだろう。これは結構いつものことだし、家も隣なので部屋着から着替えて小羽の家のチャイムを鳴らした。
ピンポーン
とりあえず鳴らしてみたが、誰も出ない。まあ多分鍵は空いている。
ガチャッ
予想通り鍵は空いていた。インターホンに出る元気はないから勝手に入ってこい、ということなのだろう。全く不用心だ。
「こはー?来たよー」
二階に向かって声をかけてみるが返事はない。
上がれということなのだろう。
小羽の部屋をノックする。
「こは?入るよー?」
「ん…」
小さな声が中から聞こえた。ドアを開け、中に入る。小羽は布団にくるまってうずくまっていた。
「大丈夫?」
大丈夫ではなさそうだがとりあえず聞いてみる。
「だいじょばないー……」
だよな、と思う。
「薬は?飲んだ?」
「飲んだけど効かない…いった…」
痛がる小羽に手を差し出し腰のあたりをさする。
「湯たんぽとか使ってないの?」
「取りに行けないもん」
「じゃあ持ってくる、ほかにいるものは?」
「な…い。」
少し考えるようなそぶりを見せてから小羽が言う。
「ん。」
短く返事をしてから、遥は部屋を出た。
《続く》