こんにちは依紗です。
猫の小説を書いてみます。
感想はご自由にどうぞ。
そんな感じです。
【登場生物】
・私
・ニンゲンモドキ
・ニンゲン
あんまり決めてません。
思いついたら話の間で書きます。
よろしくおねがいします。
まぁそんなヤツのことはよい。
私はメスから顔を背け、ふと視線を落とした。
するとそこには奴がいた。
「ぅぅうううう〜!」
そう。ニンゲンモドキだ。
何やら大層ご機嫌な様子で、こちらに突進して来ていた。
……もう一度言う。こちらに『突進』してきていた。
ワタシ、キケーン。ゼンリョク、バック、スル。OK?
「ふわあああああああああああああ!」
思考停止のち再起動。
危険回避のため全速力でズササササササーと後ずさりする私。
「ぅ……う“うううううう!」
加速するニンゲンモドキ。
すんでのところで回避する私。さらに追うニンゲンモドキ。
そのままグルグルとその場を回転しながら、私とニンゲンモドキは激闘を繰り広げ、結果として普段運動していなかった私がニンゲンモドキに組み伏せられた。
こんなことなら普段から縄張り争いに参加しておくべきだったと思うも時すでに遅し、顔に手をかけられ、そのままニンゲンモドキに捕食されそうになる私。
だが、そこで思いもよらない助けが入った。
「ほーら、いきなり突進したら猫ちゃん驚いちゃうよ?」
メスニンゲンだ。我が倒され、いよいよ恐怖したのだろう。メスニンゲンがニンゲンモドキを取り押さえようとしている。
「だーうぅ!」
しかしさすがニンゲンモドキ、まとめて成敗してやるとばかりに手足をバタつかせる。
このままこの場がニンゲンモドキに制服されるかと思われたその時だった。
「ほーら、ハナちゃん。じっとしなきゃ、めっ!」
「ぁう”ぅ? ぅぅ……」
メスニンゲンに頭をぺしっと叩かれたかと思うと、急に黙り込んでしまうニンゲンモドキ。
「さっきも勝手にハイハイして路地裏に行っちゃうし……動くようになったらある程度じっとできるようにしなくちゃね〜」
その光景を見て我は……私は、とてつもない悪寒に襲われた。
まさかお前……飼われて、おるのか……?
同族(ネコ)諸君に誤解の無いよう補足するが、私はニンゲンに飼われるということをそこまで悪くは思ってはいない。ケンカ強さだけがネコの価値ではないし、甘え上手だって立派な才能だ。なにより、にゃーんと泣くだけでエサを出す馬鹿共を利用するのは至極当然だとも理解できる。
だが、こいつは……これだけ強いニンゲンモドキが、なぜこんなメスニンゲンに服従しているのか。私は到底理解できなかった。
「あぁ“! うーうー!」
メスニンゲンに抱かれ、嬉しそうなニンゲンモドキ。
なぜだ、モドキよ……。そんな生物に養(やしな)われて何が嬉しいと言うのだ!
私は悲しくなった。別段長い付き合いがあったわけでもない、というかさっき会ったばかりだというに……。どうやら私は自由奔放なニンゲンモドキに自分を重ねていたようだ。
まるで自分がニンゲンに敗北したような悲しさに襲われ、じっ…とニンゲンモドキを見つめる私。依然としてメスニンゲンの手の中で笑う彼奴はそんな我の視線を知ってか知らずかヒトコト、こう呟いた。
「んんー! ……ま。まんまっ!」
「…………!!」
私はカッと目を見開く。
そうか……そうだったのか。眼の前のニンゲンモドキ。メスからハナと呼ばれているこいつの真意に気づき、私は自分の考えを恥じた。
今、ヤツが口にした「まんま」と言う言葉、
これは我々で言うところの「エサ」に当たる言葉だ。
そして、その言葉をヤツはメスニンゲンに向けて言っている。
つまり。ヤツにとってニンゲンなど、食べ物でしかないと言うことなのだ!
すると賢い同族諸君はこう首を傾(かし)げることだろう。
なぜエサであるニンゲンをハナは食わないのであろうか……と。
しかし、諸君より少々頭の回る私はすぐに「カッコウの話」を思い出したのである。
話は逸れるが、最近の人間共は「トショカン」とかいう場所に自らの知識を貯め込むようになった。ま、奴らの頭は容量が少ないので仕方のないことだろうが、大変生意気だったので私は夜な夜な、その「トショカン」とやらに忍び込み奴らの知識を盗むのを生きがいの1つとしている。
特に我々ネコや他の生物に関する文章は特に読み漁ったが、その膨大な書物の中にカッコウという生物が出てくるのである。
簡単に言ってしまえばカッコウは鳥だ。味は見たことも狩ったことも無いので知らぬ。
しかし生態は他の鳥とさほど変わらぬので諸君らも想像しやすいだろう。
いつも我々の手が及ばぬ空中を飛び、子供さえ高所に上げてしまう高所マニアだ。
我々からしても大変にズル賢い生物なのだが、このカッコウというヤツはさらにずる賢い。
なんと他の鳥の巣に卵を生み、卵をすり替えることで他の親鳥に我が子の世話をさせるのである。
その知識を持ってして、さて目の前の状況に立ち返るに、もはや答えは明白だろう。
ニンゲンモドキはこのメスニンゲンの子供に化けているのだ。
そう、エサをもらうために。
まったくもって平和ボケしたメスニンゲンのツラを眺めながら、私は「愚かなことだ」とほくそ笑んだ。
どうしてこの生物が自分と同じニンゲンと断言できるだろうか。我のツラを掴み、我を気……戦慄させ、あまつさえ狩られる寸前まで我を、『猫』を追い詰めてみせたこの化物がニンゲンのはずが無いではないか。
いや。ともすれば我々猫にとっても見過ごせぬ事態だ。
まさかニンゲンに擬態したこんな規格外の生物が生息していたなど、他の同族は知り得まい。よもや、もうすでに我々猫の預かり知らぬ所でニンゲンモドキ達の【侵略】が始まっているやも知れぬ。
『なんとしてでも確かめなければならぬ』
私は決死の覚悟でニンゲンモドキへと四足を進めた。
その時の行動は今思い返しても無謀だったと思う。
底知れぬ相手というプレッシャーと、狩られかけた恐怖がその時の私を襲っていた。
それでも同族のため、ひいてはこの世界のために私は目を閉じ、ニンゲンモドキへと顔を近づけたのだ!
「あら? ネコちゃん、どうしたの? お腹が空いてるとかかなー?」
「あ。あぁ、おあぁあー」
「え、ちょっとハナちゃん暴れないの!」
それを見たニンゲンモドキが突如として暴れ出した。腕をバタつかせ、身をよじり、メスニンゲンの拘束から逃れようとしているのが、目を閉じていても分かった。
正直怖かった。何度も何度も私に手を伸ばしてくる生物が怖かった。
それでも私は待った。
ニンゲンモドキは私に何かを伝えようとしていることが分かったから待った。
そして、その時は来た。
私の鼻にスベスベとした感触があった。
同族とは全く違う、毛が一本も生えていないモチモチとした感触を覚えて私はゆっくりと目を開ける。
そこにはニンゲンモドキが居た。
超至近距離できゃっきゃと笑う奴が居た。
私達は、友達となったのだ。
む? 意味が分からない?
ずまない、言葉足らずだったか。
若造猫には人間的な詩的表現は難しかったかもしれぬので補足する。
この時、なんとニンゲンモドキは私の鼻先に自分の鼻先をこすり付けていたのだ。
私は確かめたかった。ニンゲンモドキが我々猫にとって【敵】ではないということを。
だからこそ私はニンゲンモドキと友好関係を築くため鼻を差し出し、挨拶をしたのだ。
そして、ニンゲンモドキも猫の礼式に乗っ取り、私の鼻に自分の鼻を重ねた。
こうして我々はお互いに敵意がないことを確かめ合ったというわけだ。
なお、我々猫にとって互いの鼻を重ねることが友好関係を深める挨拶であることは、
さすがに若造猫でも心得ていると思うので説明を省かせていただく。
とかく、こうして私はニンゲンモドキとの「ふぁすとこんたくと」に成功した。
得も言われぬ達成感がこみ上げてくる。
諸々、色々なことがあったがやっと我々は理解し合えることができたのだな。
そんな感慨にふける私の首元で『カシャン』と音がした。
……ん?
同時に首元の毛に締め付けられるような感覚が走る。
まさか。そう思った時にはもう遅かった。
「よーし、首輪とリード取り付け完了!」
その時すでに、私はメスニンゲンに捕獲されていたのだ。
『…………』
油断していた。
友好的な態度を取られたからといって、気を許しすぎていた……。
此奴は表面上は友好的なフリをしながら、裏でメスニンゲンを操り、まんまと我を捕獲したのだ!
さて、前言を撤回するとしよう。
やはり! ニンゲンモドキは! 我々の! 【敵】だッ!
『図りよったな貴様ぁああああ!!』
私は爪を立て眼の前のニンゲンモドキに飛びかかった!
が、首に付けられたヒモの長さが足りず、べしゃっと地面に落ちる。
『おもしろい』
そんな私の姿をニンゲンモドキがあざ笑う。
くそっ、なんたる屈辱。何たる恥っ!
何が『おもしろい』だ、コケにしよって……。
もー許さん。絶対許さんッ!!
必ずや、そのツラ引っ掻いて――って、いや待て。
そこで私はようやく気が付いた。
何だ今のは……ナゼ今、私は猫語で喋りかけられた?
まさかここらの猫が見物にでも来たのか、と辺りを見回すとまた声がした。
『おもしろい。毛玉』
今度ははっきりと、【ニンゲンモドキ】から声がした。
声といっても先程までと同じく、「あー」だの「うー」だの言っているだけだ、
ニンゲンが聞いてもその違いは分からぬだろう、しかし、しかしそれは……。
それは確実に猫語だった。
【1時限目 〜終礼〜】
『以上が私とニンゲンモドキの出会いだ』
東の空が明るみ、風景が色を取り戻す中。
私は空き地に集まった、同族たちに向けてそう言った。
『世の中には我々、猫ですら知らぬことがある。それを痛感した瞬間だった』
普段は私の話など見向きもしない同族達の視線を浴びながら、こういった物言いは少々照れるがしかし、この集会を授業と銘打った以上、私は声高々に幕引きを告げるのだった。
『ここからまた積もる話もあるのだが、それはまた。次の授業で話すとしよう』
【1時限目 〜ニンゲンモドキ〜】履修完了
【休み時間 1回目 】
○私
100度の冬を越え、100年を生きる化け猫。
ものすごく威張っているが別に強くはない。
死ぬことがないくらい生命力はすごいけど
ケンカとか普通に負ける。でも今日も威張る。
>>21
訂正。200年でした。