先輩の中には未知が住みついている

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1:羊◆.o:2018/12/30(日) 20:45

中二病の先輩と現実主義者の後輩がいちゃつくだけのたいして面白くもない小説っぽいなにか


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17:羊◆.o:2019/01/06(日) 11:21

>>16
ん〜、やっぱり冗長になっちゃって読みにくいですよね....
ご指摘ありがとうございます、がんばります!

18:羊◆.o:2019/01/08(火) 22:41

『ヴァルプルギスの夜』

少女は金糸雀色の帯を締め、二つに結わえていた髪を解いた。微かに香る芳香を纏う彼女の髪は、小花の髪飾りで彩りを増している。

「はぁ、なんで断っちゃったんでしょうか....」

私は重苦しい溜息を吐き出した。

私達の街で夏祭りが催されるこの日は、隣町からも多くの人が押し寄せる。雑踏に紛れ、私達三人も屋台を見回っては買い食いをした。
“私達三人”の内訳は、私と同級生の女友達二人だ。

−−そう。この場に先輩は、いない。

こうも人混みの中ぎゅうぎゅうに詰め込まれていると、脳裏に先輩と手を繋いだ日のことがよぎる。私は手元のイカ焼きを噛り、強引にあの思い出をかき消した。

「あれ〜委員長顔が赤いねえ?」
「あ、もしかしてあの彼氏先輩のこと思い出してたんじゃね?」
「彼氏じゃないです!誤解!」

隣を歩く友人二人に図星を突かれた上でからかわれ、頬がさらに紅潮する。正直自分に備わっているとは言い難い“女の勘”というものの的中率は、毎度ながら畏怖と尊敬の念を持たずにはいられない。

「....てかさ委員長、なんで今日はあたしらとなん?
いやもちろん委員長が遊んでくれんのは嬉しいけどさ、いつもあの先輩と二人で行ってたじゃん、夏祭り」
「ま、まさか委員長、失恋しちゃったの...?」
「ちが、そ、そもそも、先輩のことなんて別に好きじゃないですし!あの人ならきっと今頃好きな子を誘って楽しくしてますよ」

後半の言葉に、友人二人の顔が曇る。
今の発言で二人に先輩のあらぬ悪評を広めてしまったことに気がつき、私は慌てて二人にことの成り行きを説明した。
そもそも、私にはこの日の先輩の動向について頓着する資格はないのだ。

何せ、私を夏祭りに誘ってくれた先輩に、自分ではなく片想いの相手を誘うように促したのは私自身なのだから−−−−

19:かがり。◆LEU:2019/01/09(水) 02:58



突然失礼します…、凄く物語が好きです。
表現が丁寧でとても綺麗な文章だと感じました。
これからも読ませていただくので頑張ってください!

20:羊◆.o:2019/01/09(水) 19:43

ウワァア〜〜コメント嬉しいです(´;ω;`)
正直自信なかったので励まされました....!更新頑張ります!

21:羊◆.o:2019/01/12(土) 08:14


「先輩、お誘いは嬉しいですけど、今日の夏祭りは私ではなく片想いの人を誘ってください。先輩ならきっとうまくいきます」
「えっ、僕の好きな人って....」

私がそう言った時、先輩は当惑したように苦笑いを浮かべていた。先輩のことだから、意中の相手を誘うのは造作もなく、むしろ嬉々としてやるだろうと考えていた私は、少し寂しそうな先輩の反応に若干動揺してしまった。
先輩をあそこまで手こずらせるとは、お相手は相当の魔性の美女に違いない。

あまりにも勝ち筋の見えない恋路を疎ましく思いながら、先程出会った友人の姉が、私達三人に差し入れてくれたいくつかの飲み物のうちの、缶ジュースと思しきものをあおった。

....と思えば、口の中に炭酸、苦味と酒の匂いが広がる。
予想外の味に、思わずむせ返った。

「げほっ!これお酒じゃないですか」
「ええ、大丈夫か委員長!姉さんまさか間違えやがったか....って委員長?」
「あちゃー....なんだか定番なカンジだね」

呆れたように笑う友人二人を横目に、なにがおかしいのかよく理解できぬまま、私は突如訪れた熱の籠もってふわふわと浮くような感覚に酔いしれた。なんだか、頭が回らない。
お酒のせいだろうか。

「....なんかおかしいれす」
「あっまって委員長!どこ行くの!」
「あーあーあーちっちゃい委員長が人混みに紛れたら見つかんなくなっちゃうって」

私がふらふらとした足取りで歩き出したのは、先輩に会いたくなったからだと思う。

そもそも、あの友人二人が私と先輩の関係について変な誤解を起こしているのは、私のクラスで横行している先輩と私の恋愛的噂のせいに他ならない。
最も、毎日一緒に登下校している上に偶然会うとめちゃくちゃ絡まれるので、色恋沙汰の大好きな高校生間で噂が立つのも仕方がないかもしれないが、大抵誘ってくるのは先輩だし、いつも少女漫画に出てくるようなセクハラまがいのことをしてくるのも先輩だ。私をこんなにもその気にさせておいて、片想いの人がいるなんてあんまりだ。

そんなことを考えながら歩いていると、紺色の浴衣を着た男性に真正面からぶつかってしまった。
謝ろうとして、何故だか先輩のにおいがしたので思わず見上げる。

「わ、お酒の匂いがするし....後輩、一体どうしたの」

そこには、心配そうに私を覗き込む先輩が立っていた。


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