こんにちは!あやのんと申します!
このスレッドで、色んな小説を書ければなぁと思っております。
誤字脱字等あればご指摘お願い致します。
注意点です。
・文章が下手です。たまにどうした!?ってなることもありますので、その点はアドバイスをお願いします。
・ネタが面白くないと感じたら、直ぐにやめてしまうかも知れません。
なるべく粘りますが、もしかしたらやめてしまうかもしれないので…。
続き見たいよーって方は遠慮なく書き込んでください。ネタを絞り出します。
以上です!
それでは、彩音の世界にLet's go!!
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なんだかんだで時は過ぎ、今日は卒業式。今日は朝早くから行って、黒板アートを描く。
集合は6時。特別に開けてもらった。
用意していた晴れ着に着替え、朝ご飯をかき込む。
そして、お父さんに送ってもらった。
「お父さん…今までありがとう」
まだお別れではないが、何か言いたくなって言った、感謝の言葉。
お父さんは、すごい驚いていた。
「行ってきます!」
そう言うと、私は門をくぐった。
まだ辺りは暗い。昇降口に急ぐと、既に3人は来ていた。
「おう、おはよ。」
「「「おはよ。」」」
そして校長先生の登場。鍵を開けてもらい、バタバタと教室へ走った。
教室に入る。
自分の席にカバンを置き、中からエプロンを出す。
エプロンを身につけ、グッパー。
前黒板と後ろ黒板を書く係だ。結果、前黒板は私と希夏ペア、後ろ黒板は結葉、珠里ペアとなった。
「頑張るぞっ!」
「「「おうっ!」」」
私達は作業を開始した。
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7時半前。
「「「「出来たぁ…!」」」」
なんとか時間に間に合った。
これが4人での、学級委員としての最後の仕事。
「今までお疲れ様」
「あぁ。」
全員で、黒板を見つめた。
そして、賑やかになる廊下。
「おはよー!!…ってすげぇー!!これお前らが描いたん!?」
驚く男子達。
ふふ、成功だな。これ、校長先生しか知らないことだったからな。
やがて、先生も来て、黒板見て目を見開いていた。
そして、泣きそうになっていた。
え、待ってよまだ早いよ泣くのは。
前黒板に描いたのは、クラスのメンバー。
後ろ黒板に描いたのは、うちらがデザインした絵と、学級委員からのメッセ。
見事、サプライズは成功したみたいだ。
その後、卒業式が行われた。
私の弾くピアノにのせ、全員が合唱。
先生達、全員泣いてた。
感動させたわ。先生絶対泣かないって言ってたけど。
教室でも、先生にサプライズ。
花とアルバム、文集をプレゼントした。
先生、もっと泣いちまった。
それにもらい泣きした女子数名。大丈夫かな、今から写真撮るのに。
そして最後に記念写真。
イラストのクラスメイトをバックに、実際のクラスメイトで写真を撮った。
このクラスとも、もうお別れか。
寂しくなるな…。
気づいたら泣いていた。
3人の顔を見ると、涙でぐしゃぐしゃだった。
お母さん達が泣きながら寄ってきて、4人の写真をパシャパシャ。
最高の思い出となった。
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あれから三日後。
ついに、大宮家を去る日が来た。
「彩華…今までありがとうね。中学の入学式、行くから。…本当に、ありがとう。」
…泣かないで。お母さんが泣いたら私いま確実に泣くから。
「ん、ありがとう。…さよならね。」
その時、後ろでガソリン音が。
振り向くと、川上家にあったアルファード。
既に全員が乗っていた。
「じゃあ…行ってきます」
その瞬間見えた。普段感情を見せない姉貴と兄貴が泣いているのが。
私はびっくりして、お母さんのにもらった涙が溢れてきた。
兄貴…姉貴…ありがとうね。
涙が見られないように車に乗り込み、荷物を後ろに投げ込む。
珠里の隣に座り、シートベルトを付けた。
窓を覗き、小さく手を振った。
家族全員泣き笑いで手を振り返してくれた。
「存分に泣けよ。うちらしか見てねぇから。」
「迷惑かけない程度に泣くわ。」
「もううちらは大泣きしたけど?」
「嘘つけ。珠里は泣いてないだろ。こんな早く泣き止むかよ。」
「そんなに泣けなかったんだよ。」
「うっわぁサイテー」
「お前が言うな」
こいつらと話してると、涙が出なくなんだよ。笑っちまうから。
車を15分程走らせ、やがて川上家に着いた。
…やっぱでけぇな。
それぞれ荷物を持ち、裏口へ。
玄関に持ってきた靴を置き、靴を脱ぎ、廊下に足を踏み入れた。
四階に移動し、ネームプレートが掛けられた自分の部屋に入る。
洋室で、結構広い感じ。ベッドと机を置いてもまだまだ余裕がある。4人が入る位のスペースは充分あるだろう。
造り付けのクローゼットもあり、その中には白のタンスが入っている。
窓際にベッドが置かれており、その横に机が置かれている。机の前には棚があって、教科書やノートを置くことが出来そうだ。コンセントもついている。
スタンドライト(?)もちゃんとついている。
…ええやん。
隣は本棚。その横にクローゼットって感じだ。持ってきたアップライトピアノも置かれてある。
さてと、片付け始めますか。
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だぁぁぁぁ!疲れたぁ〜!
ある程度のものは向こうで処分したものの、小説とか漫画が多いぶん、片付けに時間がかかった。 引っ越した事ないし。
ペンとかシャーペンとか細々した物をどうしまえば使いやすいのか、そういう所まで頭を使ったので、超疲れた。
そして、私の好きなものを全面にだした部屋にしたかった。
私はジャニヲタ。ジャニーズWESTの、神山智洋君にどハマりしている。
神ちゃんを全面に出したヲタ部屋、でも、スッキリしていて綺麗な部屋にしたかったので、そこにも頭を使っちゃって、もう何も考えたくない状態だ。
片付けた部屋を見回す。
なかなか悪くない。見栄えもいいし、見えない所も、几帳面なので綺麗にしといたし。
CD、DVDコーナーや、グッズコーナーも整理出来たし、ポスターも斜めにならずに貼れたので大満足。
雑誌や漫画、小説が入った本棚も、いい感じだ。
あれ、もしかして私センスありすぎ?
すっかり気分が良くなった私は、神ちゃんを見ようと切り抜きスクラップを取り出した。
神ちゃん時々WESTみたいなスクラップをうっとりと見つめていると、下から声がした。
「みんなー、ちょっと降りてきてー」
佳蓮さ…じゃねぇ、お母さんだ。
なんだろうか。もうちょい神ちゃん眺めときたかったなぁ…。
なんてことを思いつつ、私は下に降りた。
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お母さんに呼ばれ、4階から2階まで下がったうちら。
「どしたの?」
そう聞くとお母さんは、
「ごめんね片付け途中だった?もうちょっと待っておこうかと思ったんだけど、先に渡しておこうと思って。」
そう言って一人一人に渡されたのはなんとiPad。
カバーも付いていて、しかもそれがうちらのイメカラ。それぞれの趣味にあったデザイン。
みんなでポカーンとしてると、お母さんはクスッと笑った。
「初期設定はしてあるわ。パスワードはメモの中に書いてあるから、それでアプリをダウンロードしてね」
言われて、早速スマホを開く。
LINEも入ってるんだ。YouTubeも入れてくれてる。
「ありがとう、お母さん。」
「いいのいいの。LINEには貴方達のグループと家族LINE、それぞれの個人チャットを既に入れてあるわ。
規約を守って、安全に使ってね。」
「「「「はーい」」」」
その後一人一人充電器を貰い、また部屋に上がった。
机のコンセントに、ウォークマンの充電器が刺さっている。その下のコンセントにスマホの充電器を刺した。
スマホを繋げる。
ピコンッとスマホの画面がうつった。
そうだ、待ち受け変えよう。
「えーと、画像検索っと」
メモを開き、パスワードを頭に叩き込む。
それからストアへと行き、『画像検索』と入れる。
出てきた中から一番いいのを入れた。
検索して、出てきたのをダウンロードする。
おし、完了。
画像検索に行き、今一番好きなYouTuberや、アニメの人物などを入れまくる。WESTはもちろん、少しハマり気味の嵐も入れた。
ある程度溜まったので、写真に行き、フォルダ分けをした。これが一番楽しかったかも。
設定に飛び、ロックを神ちゃん、ホームをWESTにした。
キーボードはなんかおすすめにでてきた好きな柄のやつ。
今日はこれで終わろう。あんまり触ると悪いし。
そう思い、私はウォークマンの電源をつけ、音楽を流した。そして、もう少しで終わる春休みの宿題に手を付けた。
毎日一本とか言ってたのに、全然更新してなくてごめんなさいっ!
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「ご飯よ〜」
お母さんの声がする。
小説を読んでいた私はそこに栞を挟み、部屋を出た。
急いで下に降りると、見たことの無いおばあさんとおじいさんが居た。
「あら?貴方が、今日から家で暮らす子?」
…優しそうなおばあさんだな。口調がお母さんそっくりだ。
この人があれか。一緒にお店をやってる私の母って。ここまで似るか…。
「はい、これからよろしくお願いします。あと3人います。」
「あら、そうなの。なら夕食の時に自己紹介でもしてもらおうかしら。ふふふ。」
…確信したわ。この親子めっちゃ似てるわ。
「ごめんなさい、遅れました。」
お、希夏登場。やっぱ律儀だよなぁこいつ。
その後、珠里も結葉も入ってきた。
そして夕食。
なんか豪華じゃね?え、これがこのうちの普通?
メニュー聞く?
おかずはコロッケ。1人2個。
サラダは綺麗なボウルみたいなさらに山盛り入ってる。
で、副菜なのかな、かぼちゃとかの煮付けが小さな皿に入っている。
で、ご飯と味噌汁。…これ食いきれるか?
「じゃあ食べましょうか。いただきます」
『いただきます!』
コロッケに箸をつける。口に含むと、衣はサクサクで中はほくほく。すげぇ美味しい。
かぼちゃの煮付けも食ったけど、しっかり味が滲みてて美味しかった。
かぼちゃ苦手だけど、食えるかも。
食事がだいぶ進んできたところで、おばあさんが口を開いた。
「じゃあ、この子達の名前を聞いてもいいかしら?孫ですから、きちんと名前は覚えないと」
「んー、じゃあ私が言うから、その子の声も覚えてね。
今、青いパーカーを着ていて、ポニーテールのこの子は、川上家の4つ子の長女、彩華よ」
あ、私長女なんだ。小二の頃やったおままごとと同じだ。
「彩華です。迷惑をかけると思いますし、煩いですが、お役に立てる様頑張ります。これからよろしくお願いします。」
躾はしっかりされてるからな。こういう態度だってできんだよ。全員。
おばあちゃんはにこやかに頷き、彩華ねぇと呟いた。
「黄色のトレーナーを着ている、ハーフアップのこの子は、4つ子の次女、珠里よ。」
「珠里、です。これから4人迷惑をかけると思いますが、よろしくお願いします。」
「緑のセーターを着ていて、ショートカットのこの子は4つ子の三女、結葉よ。」
「結葉です。皆馬鹿なんですけど楽しくさせられると思います!よろしくお願いします。」
「最後に、赤いカーディガンを着ていて、ツインテールのこの子は4つ子の四女、希夏よ。」
「希夏ですっ!アホな4人ですが、おばあちゃん達にも笑って貰えるようなアホなので、ぜひ笑ってください!よろしくお願いします」
それぞれ個性出てんなぁ。希夏、なんか日本語おかしいし。
「彩ちゃんと、珠里ちゃんと、結ちゃんと、きぃちゃんね。覚えておくわ。」
おばあちゃんはそう言って微笑んだ。
こうして、和やかな夕食は終わったのだった。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
今日は、初めて川上っていう苗字で顔馴染みと会う日。
そう、入学式だ。
「結葉、ご飯もうひと口食べなさい。倒れたら大変よ。」
「大丈夫。いつもこの量だし」
「もっと食っとけよ。お母さん、お代わり!」
お母さんに味噌汁のお代わりを頼む。
自分でご飯をよそいに行き、戻ってから味噌汁も貰う。
「お前朝から食うなぁ…」
「人の事言えねぇだろ。」
珠里に言われたが、こいつもご飯2杯食ってる。味噌汁もお代わりしてる。
「もう…いつも言ってるでしょ。綺麗な言葉を使いなさいって。貴方達、女の子なのよ。」
「元は友達だもん、そう簡単には抜けないんだよ。」
「そういう事じゃないの。せめて、お前はあんたに変えなさい。本当は貴方がいいんだけど。食うも食べるに変えなさい。」
うちら、いっつも言葉遣いで注意される。
「女の子なんだから女の子らしくして!」って言われるんだけど…無理だよなぁ。
「まぁそのうち直るわよ。早く直して欲しいけどね。彩ちゃん珠里ちゃん、おかずのお代わりはいる?」
おばあちゃんがやんわりと言う。
私と珠里は顔を見合わせ、同時に「じゃあいるっ!」と答えた。
川上家の朝食は和食だ。The、和って感じ。
卵焼きと、焼き鮭、おひたし、納豆or海苔、ご飯、味噌汁!
朝食も豪華なんだぜ。すげぇよなぁ。
卵焼きもお代わりした。珠里と半分こで。
卵焼き、一番好き。だからすぐ食べあげる。
「「ご馳走様でした!」」
部屋に行き、クローゼットのハンガーラックから真新しい制服を取り出した。
セーラー。紺が中心となった、シンプルなデザイン。
これから服選ばなくて済むー。
セーラーを着て、黒のワンポイント靴下を履き、机へと向かう。
買ってもらった、中学の重たい荷物でもイケる、丈夫なリュック。
いつも通り、ポニテに髪を結ぶ。
ん、完璧。
「そろそろ行くわよー。」
下から聞こえるお母さんの声。
私は部屋を出、リュックを持って下へと向かった。
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「着いたやん。」
「そりゃ着いただろうな。」
体験入学以来の中学。
やっぱりデカい。小学校とは比べ物にならん。
「じゃあ、お父さん体育館行くからな。教室迄迷うなよ〜。」
「迷うかい!」
ニヤニヤしながら言ってきたお父さんに軽く文句を言い、私達は中学校へ足を踏み入れた。
少し進むと、掲示板に人だかりができていた。見ると、そこには小学校の同級生達。
あぁ、クラス表か。
「見に行ってくる」
そう言って人混みを掻き分けて前に行った希夏。
「あいつよくこの中スイスイ通っていけたな」
「流石希夏さんですわ」
とかなんとか言ってると、希夏が戻ってきた。凄い顔をして。
「どしたお前。この世の終わりみたいな顔してっけど」
「クラス…分かれた…」
「そういう事ね」
希夏はショックを受けていた。
そりゃそうだ。今までクラスが離れたことがなかったんだから。
この3人がいない教室なんて、想像もしたことない。
「四つ子だし、しょうがないって」
そう言い希夏を慰め、自分のクラスを確認しに行き、昇降口に向かった。
私は1組。珠里は2組。結葉は3組。希夏は4組。
1年の階まで上がって、それぞれのクラスへ行くため、分かれた。
「頑張れよ」
そう言って教室に入った。
クラスの半分以上は知り合いだ。去年からよく見ているメンツもいれば、今年初めて同じクラスになった人もいる。
知らない子もいて、これが中学かぁ…と謎の感想を抱いた。
自分の席を探し、座る。
隣は、一度も同じクラスになったことの無い男子だった。
あ、でも後ろは女子じゃん。その子の隣も女子だし。
私はくるんと振り返り、その子達に声をかけた。
「あのー、これからよろしく。」
「ん?あぁ、よろしく。あたしは河野小春。」
「よろしくー。うちは川崎優乃だよー。」
「私は川上彩華。」
そう言ってちょっと微笑んでみた。
この子達も同じクラスになったことないし。
第一印象ってやっぱ大事じゃん?
それから、小春と優乃と話しまくった。
もう、趣味が合うこと合うこと!
小春も優乃も両方ジャニヲタで、小春は関ジャニ、優乃はKinKikidsが好きだというのだ。
3人とも関西ジャニーズが好きだという共通点で、益々仲良くなった。
うん、中学も楽しく過ごせそうだな。
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それから入学式が行われた。
校長のなっがい話を聞き流し、何度か欠伸を我慢する。
早く終わんねぇかなぁ…。
あ、終わったや。
教室に戻り、担任が前に立つ。
「初めまして。貴方達の担任の山田莉子です。これからよろしくお願いしますね。」
優しそうだな…。
「じゃあ早速…自己紹介をみんなでしようか。
順番に名前と好きな物、好きな事を言っていってー。」
出席番号順に自己紹介。私は9番だから、もうすぐで来る。
あ、もう来た。
「川上彩華です。好きなことは野球。ジャニーズWESTが好きで、特に神山君が好きです。よろしくお願いしまーす。」
拍手が起こる。危ねぇ危ねぇ、噛むかと思った。
自己紹介も終わり、次は係決め。級長、副級長、書記は、違う小学校から来た男子達がなった。
私は、悩んだ末に風紀委員に決めた。
相方は、5、6年で同じクラスだった柳井真央ちゃんだった。
無事係も決め終わり、今日はそこで終了。
明日はオリエンテーションばっか行われて、明後日教科書が配られるらしい。で、教科ごとのオリエンテーション、明明後日からは授業だ。
いやだああああ…。
でも、お母さんは勉強に厳しい。この前、春休みの宿題が終わってなかったけど遊んでいた希夏を叱っていた。
…真面目でいよう。
そう決心し、私は教室を出た。
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入学から2週間。
部活も決まり、ソワソワが落ち着いてきた頃の土曜日、野球部に入った私とソフトボール部に入った珠里は部活が休みだったので家のソファでテレビを見ていた。
バラエティを見ながら談笑していたが、急に珠里が背もたれに頭を乗せ、真面目な顔になった。
「なぁ、うちらを誘拐した人達は、何が目的で誘拐したんかな。」
「…それ今言う?」
今ジャニーズパワーで幸せやったんに。とふざけながら返しつつ、私も珠里の真似をした。
「誘拐の理由なんか、わかんねぇよ。」
「でも、何かしらあって誘拐した訳だろ?やりたかったから誘拐なんて聞いたことねぇし…」
「確かにそうかもしれねぇ。でも、今うちらは生きてる。生きて、親友になって、そして家族になった。誘拐なんて、今のうちらには関係ない。」
「でも、」
「この話は終わりだ。…腹減らねぇ?お菓子なんかあったかな…。」
強制的に終わらせた、うちらの闇に包まれた過去の話。
生まれてすぐの出来事のわけだから、当然うちらに記憶はないわけで。
お母さんもお父さんも、この事は話したくなさそうにしている。
…気にならないと言ったら嘘になる。
誘拐の理由も、うちらを別々にした理由も、時効になったであろう事件を、追い続けうちらを見つけようとした理由も。
全部全部、気になって仕方がない。
「…なぁ珠里。そんなに気になんだったらやってみっか。」
____理由探し。
この時はただの好奇心だった。
まさか、あんなことになるなんて。
あんなことに発展するなんて。
うちらは知る由もなかった。
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理由探しを決めた日から三日後、うちらは私の部屋に集まった。
「とりま参考にはなんじゃねーかってやつ、調べてきたよ」
結葉のクラスは今日パソコンルームに行ったらしく、そこでうちらの事件を調べてきてくれたらしい。
広げられた3枚ほどのコピー用紙にびっしり書かれた文字。
「全部メモったんこれ」
「基本自由だったから。時間の限り書けるところは書いたつもり。最後の方は、時間やべーってなったからURLだけ書いといた」
「お前優秀」
結葉調べのやつを見ると、ざっくりと言えば
・5月19日、4つ子の赤ちゃん(うちら)が誘拐された。
・犯人は複数犯で、全員男。
・両親の顔なじみの犯行として捜査されたがめぼしい人物はおらず、見つからず。
・その後の捜査で、容姿などが一致した人物を一人逮捕したが、その人は無実を主張。裁判の結果、弁護人によって無実が証明され、釈放、事件は迷宮入りとなった。
「…1回、捕まってはいるんだ」
「でもその人無実だったんだって」
「無実が証明されることなんてそうそうないだろ…どうしても犯人に仕立てあげたかったのかな」
「だったら警察やばくね?冤罪って言うの?にならないわけ?」
4人で頭を抱える。
「だめだ…なんのヒントもねぇ」
「それに、結葉が調べてきてくれたこと、なんも引っかかるところないし」
「詳しく書いてるから付け足しもないだろうし」
「まじでどうするよ…」
初手にして完全に行き詰ったうちら。打破するものがなく、悩ませていると希夏が急に声を上げた。
「あ、清水さん」
「清水さん?あぁ、あのときいたおっさんね。あの人が何でき…ん?あの人ってうちらを見つけた人、だっけ」
「政府の関係者、っつってたよね」
「情報持ってんじゃね!?」
うぉおおお!!!っと一気に盛りあがったうちらだったが。
「待って、どうやってアポとんの」
「政府に連絡する方法知ってる人ー?」
「いる訳ねぇだろ」
「じゃだめだ。なんも出来ねぇ」
せっかくいい方法思いついたのに…と項垂れる。
でも、この案は本当にいいと思う。何とかして、清水さんにアポを取らなければ、うちらは永遠に真実にたどり着けない。
何かいい方法はないか頭を悩ませていると、部屋のドアがノックされた。
慌てて紙をかき集め隠し、ドアを開けるとお母さんが立っていた。
「そろそろお風呂入りなさいよー?…って、何?彩華、」
「これだっ!!!」
困惑するお母さんを無視し、私は振り返る。
「お母さんに頼も!」
「え、何を?」
混乱してるお母さんに向け、うちら4人は横並びになり、正座をした。
「お願いします、お母さん」
「清水さんにお礼がしたいので」
「アポを取っていただけませんか」
「お手伝いでもなんでも致しますので」
『どうか、お願いします!!』
そしてぴったりと揃った土下座を披露した。
「え、待って、分かった!とるから!顔上げなさい!」
『ありがとうございまぁぁぁぁす!!!』
こうして私達は、清水さんにアポを取ることができたのだった。
「一歩前進だな」
「やったぜ!」
「にしてもうちらやべぇなぁ、打合せなしであっこまで息ぴったりなことある?」
「さすがですわ」
お母さんに感謝しつつ、私達はそれぞれの部屋に向かった。