気が変わったので登場人物紹介無しでいきますごめんなさい……。
『再開』
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目の前に立っているこの背の高い男は私の双子の兄らしい。
自分でも状況が把握できていないのだが、とりあえず今言えることはそれだけしかない。
沈黙の中お互いに様子を伺っている綾達を気にすることもなく、両親達は呑気に紅茶をすすっている。
彼の左腕に光っている銀色の時計は、誰もが知っている高級ブランドのものだろう、文字盤には反射してキラリと光るブランドロゴが刻まれている。
綾の視線は腕から足元へと移り、彼の履いている革靴まで辿り着いた。
ふうん、フィエルテか。
巷では有名なシューズブランドである。フィエルテとはフランス語で"誇り"を意味し、シンプルながらに洗練されたデザインの靴が多くユーザーも幅広い。
春の新作のパンプス、買おうか迷ってたんだった。
綾がカラーバリエーションを頭に浮べようとしたとき、沈黙に耐えきれなくなったのか、相手が口を開いた。
「なあ」
思っていたよりも声が低い。
ふいに話しかけられ、カタカナの並んだ色の名前を思い出そうとしていた綾ははっと彼の顔を見る。
「なによ」
咄嗟に返事をすると、彼は頭を掻きながら照れくさそうに言った。
「元気だった?」
どの口がそれを言うか。
思わずしかめっ面をしそうになったが、いやいやいけない、せっかくの化粧が台無しである。
私はお前に置いていかれた身だ、今更心配してもらう義理などない。
「元気だったよ」
精一杯の営業スマイルを彼に見せたが、流石に見慣れているのか軽くあしらわれた。
「親に言われた時は驚いたよ、まさか綾と双子だったなんて」
それはこちらのセリフだ。
だって私達は、
恋人だったのだから。
(半値変えるの忘れてた)
見なかったことにしておいてください!笑