6年前、京都____
私は家に飾ってある写真を眺めている。
「ねぇ、やっぱりぱぱとままって仲悪いの?」
「‥ゆら、いきなりどうしたの?」
「‥‥ぱぱがままの事もう好きじゃないって、この前あったとき言ってたよ?」
「確かに今まではお父さんとりさと離れて暮らしてたけどこれからは違う。また一緒に暮らせるのよ。東京にあるおばあちゃんの会社の本社で働けることになったからね!ゆらも来週からすごい学校に行けるの!試験頑張ったもんね!今のお友達と離れるのは寂しいかもしれないけどそのかわりお父さんとりさがいるの!だからゆらは何も心配しなくていいよ、お母さんと一緒に頑張ろうね!」
「うん!頑張ろ!!!!!」
‥‥
……‥
ー応接室ー
「かっこいーっ!ずっと制服憧れてたの!」
「良かったねゆら。あんな名門校に通えてゆらは幸せ者だよ!」
そして私は制服を抱きしめる。
「あ、ゆらやめなさいシワになる。おばあちゃんにちゃんとお礼言いなさい」
「おばあちゃんありがとう!学校楽しみっ!」
「うふふふ、喜んでもらえてよかったわ」
「ちょっときてみよーーっと!」
「‥‥‥莉子さん」
「あ、はい!!ゆらここでおとなしくしててね!」
‥‥
‥‥‥
‥‥‥‥
「‥え?どういうことですか…?」
「私の息子と離婚してください、あなたもわかっているでしょう、もう息子にあなたへの想いはないのよ。」
「でも‥なんとかやってみます!子供らにはなるべく気づかれないように心掛けてますので!」
「はぁ‥あなたと別居している間息子はこちらで別の女性と暮らしていたの」
「え‥」
「相手の女性は大手企業の跡取りよ、私も彼女を気に入っているわ、とてもじゃないけどあなたが張り合える相手じゃない。」
「お義母さんにとってもわたしはいらないってことですか‥?子供がいるんですよ?」
「形だけの夫婦の方が悪影響だとは思わないの?子供には確かな教育と愛のある家庭環境が必要よ。息子とあなたでは育った環境が違いすぎる。いずれすれ違いが生じると思っていた。だからあれだけ結婚に反対していたの。お互いに興味を持つだけで制御できていれば良かったが、ゆらが生まれてしまったものだから…」
「子供に罪はありません‥」
「わかってるわ、だからこそ大人の身勝手で将来苦労しないように東京の名門校、城下学園に入れてやりたいと思ったの、あそこなら大学まで一貫で立派な寮もある、社会に出た時も学園の名が役立つ。せめてもの償いよ。ゆらが20歳になるまで教育費は息子に変わって私が支払うわ」
「あの、待ってください、先程からゆらの話しかされてませんけど、りさは‥」
「‥ゆらはあなたに懐いてるけどりさは父親と一緒がいいそうよ、あなたとの離婚が成立したらりさを連れて海外に移住するといっているわ」
「ちょっと待ってくださいよ!ゆらとりさを本格的に離す気ですか!?ゆらはまだ9歳、りさは7歳ですよ!?」
「まま‥?」
「ゆらは私らの別居で父親とも妹とも引き離されてそれでも我慢してるんです!ゆらにだって父親が必要です!」
「でもりさは絶対に父親から離れないといっているわ」
「そんな!」
「父親が恋しい年頃よ、当然でしょう、ゆらに父親が必要かどうかはゆらが決めることよ」
「‥お義母さん、嘘って言ってください、こんなのあんまりです!」
「追い討ちをかけるようで済まないですけど莉子さんには私の会社も辞めてもらいます」
「どういうことですか!?なんで全部一方的に‥!本社で働かせてもらえるって話はっ‥!」
「本気で言ってると思ったの?ゆらをこちらに連れて来るためについた嘘に決まってるでしょう、あなたには京都でチャンスを与えてあげたのに成果をあげられなかったでしょ!9年もの間何していたの!?」
「大輝さんの浮気を知ってから私はストレスで体調を崩して____」
「言い訳はいらない!夫の浮気ぐらいで仕事に支障が出る子なんかいる!?あなたは学歴がないが私はその人柄を評価してあなたに期待していたのに残念よ」
「待ってください!なんでもします!今まで以上に頑張ります!クビだけは本当に勘弁してください!この通りです!もう一度だけチャンスをください!離婚まで突きつけられて仕事までなくしたら!ゆらのこともみなければいけないのにどうしたら___‥」
「あなたにスーツは似合わないんじゃない?あなたにはあなたのレベルに合った仕事がきっとあるわ、本当に子供が大事なら命がけでやり直せるはずよ、私にとってもあの子はたった一人の息子よ幸せになってもらいたいの、とにかくあなたがゆらを育てるのならゆらの学園のことは私に任せて。」
ガチャ
「‥大輝、たった今莉子さんに話したわ」
「ああ、なんとかなるわままに任せなさい」
「まま…泣かないで。ゆらもうこれ着れないの?」
『おばあちゃんありがとう!学校楽しみっ!』
「ゆらが決めたらいいわ…ゆらは……お母さんとお父さんどっちと暮らしたい…?」
6年後、現在____
高等部エリア
5月
「やだーーーっ!朝からでぶすみるとか今日の運勢最悪!やっぱり私もパパに頼んで寮を申し込もうかなぁ」
「でぶすって?」
「嘘!知らないの!?まじー?」
「ちっ…朝からうっせーなあ、このクソぶりツインテが」
「はぁーーーー!?何がくそぶりツインテよ!ふざけんな!」
「はっ」
「こいつっ!鼻で笑いやがった!」
城下学園ー高等部エリアー
ここは日本中のお金持ちとか著名人の子供なんかも通う幼稚部から大学まで一貫する名門校。
いや、元名門校ってのが適当かも。
世間のイメージは金持ちばっかの気高い生徒様に芸能人や人気アイドルなんかも通うまさに夢の学園そのもの。
テレビに取り上げられるのは華々しい話題や、ここを卒業した大御所タレントたちが語る城下のメリット
マスメディアを通してみたこの学園はそれはキラキラ眩しく映るだろう。
だけどさっきのを思い出して欲しい
『朝からでぶすみるとか今日の運勢最悪っ!』
これが現実__
もともとここの生徒のほとんどが幼稚部からの内部進学生
そのうえ望めば贅沢な寮生活を送れるため学生寮を希望する生徒が多く親よりも長く時間を共に過ごしてきた生徒たちには変に強い結束力がある。
城下はそんな生徒が多く集まる金持ちのための楽園。
「きゃあああああああ!」
それとこの学園には二つの勢力が存在する。
一つが「菊池派」の存在。
あの勢力に目つけられたら本当に終わる。
気にくわない生徒を「ターゲット」と呼び自主退園するで徹底的にいじめ抜くゲームらしく、降状を拒むものはここを去るしかない。
幸いにも私は菊池派とは接点のないまま今日まで生きてこれたけど…
「一条がいる限り安心して過ごせないからなぁ」
「あら莉愛羅に何か用?」
出た、美少女3人組。
「この学園にでぶすが安心して過ごせる場所なんてないわよ?ほんと今日も醜いわねぇ…この学園の制服を着る資格なんてでぶすにはないのよ?寄付してないのはあんたの家だけだし…貧乏人にいつまでも居座られてほんと迷惑よ」
んで、この可愛い猫娘が二つ目の勢力
「一条派」のトップ、一条莉愛羅。
この学園の理事長の娘で主に女子生徒の中心
一条は昔から父親の権力を武器に生徒を脅しては自分に逆らう者を学園から追い出してきた。
こんだけ美人なのに3人とも性格に問題ありで本当にもったいない
うちはこの学園に来た時からこいつのくだらない嫉妬で目をつけられてる。
「ルックスの悪い人間って目障りだし本当迷惑。そのうえ貧しいなんて生きている意味あるの?あんたも少しは伶奈を見習いなさいよ、そうよねえ、伶奈?」
あ、そうそう、一条が支持される理由の一つに最近めっちゃ注目されてる人気モデルの秋元伶奈ってのがこの勢力にいるからってのもあるよね。
「あんたさぁ、中等部の時に一条の勢力に加わったらしいけど芸能人がいじめグループにいるなんてバレたら大事だよ?自分のためにも____」
「話しかけんなブス」
こんにちは。
一通り読んでみた感想です。
まず良い点は、話の進むテンポが良くて読みやすいなーと思ったのが第一印象でした。
スラスラ読めるというところが良いところです。
そして人物の性格がはっきりしています。これも良いなーと思いました。
そして改善点は、2つあります。
1つ目は、描写を丁寧に書くということだと思います。
一通り見ると、学園の事実の説明や主人公の心情などがほとんどで、描写が少し雑なところが目立ちました。
そして会話文が4分の3であるところも気になりました。
その教室にいる生徒たちの様子など、周りの描写も必要です。
これから練習してみると良いと思います。
2つ目は、カタカナや漢字を使うことです。
序盤は6年前の話で幼い感じを出すために『パパ』を『ぱぱ』などにしたのかなと思いました。
ですが、『でぶすみる』というところは最初どういう言葉なのかよくわかりませんでした。
ここは『デブス見る』というようなカタカナと漢字を使わないと、読者がどういう単語を使っているのかがわからない場合があります。
まだ始まったばかりなので、とにかく書き続けてみてください。
描写なども書いていれば極められると思います。
参考にしてくださると嬉しいです。それでは。
客観的描写の註釈ほしいですね、会話仕立てならそれに徹すればいいと思います。
例えば、カップをそっと置くと視線をあげて呟いた。など。
一気に読めるので、その場の雰囲気は見えるといいですよ。がんばってください。応援しています。
コメントしてくれた方々ありがとうございます!
アドバイスなどもすごく助かるので嬉しいです!
「きゃははっ!伶奈ちゃんさいっこーー!」
「とことん恥ずかしいわね」
ちっ…
「いつも言ってるけどあんたなんて優里亜に頼まなくたってパパに言えばいつでも退園出来るのよ?莉愛羅が生かしてあげてるの感謝しなさいよね。デブスは自分の事で手一杯のようだから知らないと思うけどあんたがターゲットになった初等部の頃、他にも莉愛羅のターゲットだった生徒がいたわ。なのに今じゃデブスだけよ。いつまでも莉愛羅に従わないのは___」
「従う理由がねーからな、つべこべ言う暇あるんだったら親父にでも言って退園させたら?授業料は滞納した事ないし、寄付金以上の代償は払ってるはずだよ」
なんだかんだうちをいじめるのが楽しくて追い出す気は無いんだろう。
その気ならとっくに実行してる女だからな
この学園で生き残る方法は二つ___
媚びるか、戦うか。
ここに来て6年流石に慣れた
「莉愛羅、最近デブスに何言っても手応えなく無い?ノーダメージって感じで逆にムカつくんだけど…」
「確かにこれじゃつまんないわね…優里亜がちっともデブスに興味を持たないのよ、菊池派が加われば学園全体が盛り上がるのに…」
「…優里亜ちゃん、花梨ちゃんの件があってからもう新しいターゲットを作る気になれないのかな…」
「……んー……そうよ、優里亜はデブスに興味がないのよね…ふふんっ♪馬鹿ねデブス、中等部の頃と同じだと思ってるんだわ、甘いわねあの調子じゃまだまだ物足りないようだし、もう少し莉愛羅の怖さを思い知らせてあげたほうが良さそうね」
「どうするのっ?」
「デブスの弱点なら知ってるわ」
……
………
「ねえお姉ちゃんりさそろそろスマホ欲しいんだけど、もう中2だよ、周りでもってない子いないんだけど…」
「りさ、あんたそれママに言ったらダメだよ、ママも持ってないのになんであんたが持つのよ、これ以上悩み増やしてまた倒れたらどうすんの」
「んもーーっ!なんでうちらこんな貧乏なの!金もないのにお姉ちゃんが城下なんか通ってるから余計苦しいんだよ!」
「そりゃうちだってバイトしてちょっとでも家計の足しにしたいけどさ、城下は面目を保つためかなんか知らないけどバイト禁止なんだよ」
「でも城下って芸能人いるじゃん!それも仕事じゃん!」
「うちに言われても知らないわ、ごちゃごちゃ言うんだったらパパのところ戻りな?パパならスマホでもパソコンでもなんでも買ってくれるでしょ」
「それは嫌。なんでりさがママのところに戻ってきたか知ってるでしょ、パパと暮らしててもりさより新しい嫁ばっか優先してたんだよ」
「……自分が腹痛めて産んだ娘捨ててまで他人の女選ぶような人なんだから当たり前よ」
「お姉ちゃんまだパパのこと恨んでるんだ」
「……」
『あなたにスーツは似合わないんじゃない?』
「あんたはお母さんの泣いてる所も見てないじゃん。」
『あなたにはあなたのレベルに合った仕事がきっとある』
「多分一生許さないよ」
「一生!?」
「ま、ママが幸せになってくれたら許せるかも、かもだよ」
ガチャガチャ
「あ、ママ帰ってきた!」
「さっきのスマホの話黙っときな?」
「はいはい、おかえり〜」
「うん、ただいま、ゆら、りさ」
間違えました!
自分が腹痛めてのところは
自分が好き好きって言ってた子供捨ててまで他人の女選ぶような人なんだから当たり前よ
です!
「あー疲れた…」
「ママ汗臭っ!」
「今日は一日中動きっぱなしだったから」
「おつかれさん」
「だからりさもこんな仕事したくなかったらちゃんと勉強していい会社にはいらなきゃダメって言ってるの」
「説得力あるわぁ…」
「そーでしょ?」
「はい」
「今日みんミススペシャルだよ?」
「あーそうだったね!」
だいぶ痩せたな
顔もやつれた
一日中女が外で働いて、日焼けして会社ではあんまり人間関係もうまくいってないらしい
それでもうちとりさを女手一つで育ててくれてる
誰がなんて言おうとうちらにとっては立派なママだよ
あの日の約束___
「…ゆらはままと一緒に居たい、ぱぱはたまにあってたけどままはずっと一緒だったもん、髪の毛結んでくれるのも毎日ご飯作ってくれるのも運動会来てくれるのもままだけだもん……うちままと離れるほうが嫌!ままのことこんなに泣かせて絶対ぱぱもおばあちゃんも許さない!!!!」
「…ゆら、いい?あなたは城下に通って、あんな所誰でも入れる学園じゃないしままと一緒にいてもこんなチャンスはもう絶対無い、辛くても頑張って大学卒業して立派な会社で働くの、そんで見返しな!!ゆらを捨てたパパを!大人になって幸せな姿見せつけてやりなさい!ゆらが幸せになってくれたらそれでいい…もう…本当にそれだけよ…」
「わかった、もう泣かないでいいって…ゆらとままの約束ね」
あれから6年
あの約束のためだけにあの学園に通ってる
「あ、そうだゆら、高校生になって学校どう?」
「めっちゃ楽しいよ!もう新しい友達出来たし!早いでしょ〜!」
「城下いいなぁ、お姉ちゃんだけずるい〜」
まさか学園でのけものにされて友達もいないなんて絶対言えない。
「そっか、それならいいの、金持ちの学校に金のないもんが通ってたらいじめとか、浮いたりするだろうしね、やっぱみんな育ちがいいんだね、さすがしっかりした名門校は違うな、心配だったけどゆらは明るいし優しいから周りから自然と人が寄ってくるよね、安心した」
「大丈夫大丈夫!何にも心配しないでいいよっ!あと10分くらいでカレーできるよ!」
「なら今のうちにお風呂はいってくるわ」
「りさ机の上片付けて」
「へーへー」
ごめんね
そうやってママが安心してくれるのならうちはいくらでもこんな嘘つくよ
次の日
「うわっ!デブス!」
「早速見ちゃった最悪〜〜!」
「ごきげんよう?」
「うっぜえええ!」
ああ、毎朝この大階段きっついわ……
「んにしてもデブスってみるみる太ったよね」
「ここに初めて来た時のデブスの姿もう思い出せないもん!」
「デ〜ブ、デ〜ブ、デブス!」
鏡見て言えや
まぁでもそうだよな
確かに太ったわ、それは否めない
元々うちら家族3人は社宅で暮らしてた
城下でのいじめがどんどんエスカレートしていって、それを誰にも打ち明けられないストレスは食べる事で解消してたけど
去年___
「あのさぁ…ゆらたちに話さなきゃいけない事があるの…最近会社が上手いこといってないみたいで社宅出なきゃいけない事になったの」
「「え!?」」
「一応新しいアパートは今の学校に歩いて通える所だよ、ここより狭いし古いけどそんなこと言ってられない、そんで、給料も前より減るからちょっとお菓子とかも節約しなきゃいけないんだ」
「た、たしかに、わかった。控える」
「ごめんねぇ」
「いやいや」
あのどか食いはまずかったよな
あれさえなかったら「デブス」のブスはあってもデブはついてなかったかも
「ねぇ知ってる?あの1年、靴箱に靴入れないでなんでもあのカバンに入れてるらしいよ、ああやってスリッパもわざわざ家に持ち帰ってんだってさ」
「はぁ?なんで?」
「捨てられるからだよっ!」
「ぎゃははっ!靴箱鍵ついてるじゃん!」
「莉愛羅ちゃん相手に鍵なんか意味ないよ」
「うけるわぁ」
何がおもろいんすか先輩方…
スリッパはともかく、靴なんか何回も買う余裕ないんだわ
教室にて
「……。針椅子な。祝20回目だ、暇かよお前ら。全部上むいとるわ」
その時
ばっ
「よし!ゲットー!」
「ちょっ、何してんの返して!」
「莉愛羅ちゃん成功だよ!はい!」
「やだぁ!そんな汚いもの莉愛羅に近づかないでよ!病気になっちゃう!まりあに渡しなさい!」
「…一条、どういうつもり?怪我する前におとなしく返したほうがいいよ」
「ふふん♪ねぇデブス、莉愛羅とゲームしない?」
「は?」
「ルールは簡単♪ここに泥水が入ったバケツを用意させたの、制限時間内にあんたが莉愛羅に一度でもその泥水をかけることができればバッグはすぐに返してあげるし2度と私物に手を出さない、どう?簡単でしょ?」
「…授業は?」
「授業?そんなもの莉愛羅が言えばなんとでもなるわよ、制限時間は10分、ただ逃げるだけじゃつまらないから莉愛羅はこれでデブスを倒すわ!」
「おおおっ!莉愛羅ちゃん頑張れ!」
「…何企んでんの?」
「いちいち疑わないで、やるの?やらないの?」
絶対なんかの罠だ…
まんまと乗ったら多分後悔するのは自分
「……ほんとつまんないわね、現実を受け入れなさいよ、あんたの場合例えその醜い姿が奇跡的に良くなったとしても、貧家である限り現状は変わらないのよ?今更何をしても嫌われ者じゃない、ここの生徒はあんた以外みんなお利口よ?莉愛羅を敵に回すと生きづらくなることを知ってるもの、まりあ。」
「はーーい、じゃあまずはこの汚らしいペンケースからー♪」
「おおおーっ」
「次は汚い財布〜♪」
「あほか!何してんの!」
「ふふん♪あんたが親に買ってもらったものを大事にしていることは知っているわ、だけど大丈夫よ、死に物狂いで働くママにまたがって貰えばいいじゃな〜い」
また間違えました
最後のがってもらえばいいになってたので買ってもらえばいいに訂正です!
「ねぇみんなデブスのママのお仕事知ってる?一年中汗水垂らして外働の上出世した年下にこき使われているそうよ、なのに人並みの稼ぎしか得られないんだから庶民って怖いわよねえ〜」
「こわ〜い」
「ありえないっす」
「ここへの寄付金も最初の内は別れた父親の親が支払っていたんですってえ、だけどデブスの為なんかにお金を捨てるのがきっとバカバカしく感じたのね、支払いがあったのは初等部の内だけよ、ママに情報を聞いた時驚いたわ…本当デブスのママと莉愛羅のママは何もかも違うわね、まず価値が違うもの!ゴミの親も所詮ゴミでしかないのよ」
「ふざけんなよさっきからぁ!」
「や〜ん❤だれか〜」
「莉愛羅ちゃん私が守るよ!」
「私も!」
「おい!まてデブス!」
「なんやちびが!ルールはこれだろ!」
「は〜い!ゲームスタートするよ〜!制限時間は10分でーす!デブスが勝てば2度と私物には手を出しませ〜ん」
「それ絶対守れよ!」
「ん〜?」
クッソ、あの女ペラペラ言いたい放題言いやがって!
絶対許さない!
どこ行った!
探し回ってるだけで時間減るやん!
これが狙いか
「はーはー…どこよ!うちを倒すんでしょ!隠れてないでさっさと出てこ______いいいぃ!?」
「ねぇ駒井!今の見た!?莉愛羅の命中率!」
「もちろん!さすが莉愛羅ちゃん!何をされても完璧です!」
「意外と楽しいわ!」
「姫が楽しそうで何よりです〜〜!」
「……」
クリーニングなんか出す余裕ないのに…
ブチ切れたわ…
一回でもあいつに泥水ぶっ放したらうちの勝ちなんだよな
ちゃぷん…
「姫〜❤」
「り、莉愛羅ちゃん逃げた方が!この距離だと届くかもしれません!」
「逃すかぁ!」
「デブスこっちよ!」
「あ!?」
びちゃあ
「忘れてない?私達は莉愛羅ちゃんの味方よ」
「今のうちに逃げてください!」
「…あんたらまで相手するなんて聞いてないけど?」
「言ってないもん」
「私達一条派が莉愛羅ちゃんを守らないわけないでしょ、残り4分、デブスを莉愛羅ちゃんに近づかせないように!」
「おーーーーーーっ!」
「まとめて全員ぶっかけたるわ!」
「ねぇ、いいの?莉愛羅ちゃんに使う分が無くなっちゃうけど?」
「…」
くそ…
だめだこいつら相手してたら時間も泥水ももったいない
一条を探そう!
「追いかけるよ!」
びしゃあ
ふざけんなよ!あんなハイテクなもん使いやがって!
なんの訓練だよ!
せめて水にしろよ
一条の強烈な香水の匂いが…
近いな___
「…っ!」
「そこにいたか一条うぅ!」
ぱしゃああぁっ
「やあぁぁん!」
「くっ…!姫に手出しさせねえから!」
くそほど邪魔だわ
「雑魚はひっこんどけ!」
「莉愛羅ちゃん!あと1分逃げ切れば勝ちだよ!計画通り!」
あと1分かよ!
あの時階段で全部ぶっかけたらよかったな!
「…っ!嘘でしょ!そんなっ!行き止まりなんて!」
よし!今しかない!
「おらぁ!一条!お前の負けだわ!」
ぱしゃああぁんっ
「ふふん♪いいえ…あんたよデブス」
キーンコーンカーンコーン
「優里亜ちゃん!瑠奈まで!大丈夫なの!?」
ガシャーン
「う、うわー!デブスのやつ!」
「菊池派の優里亜ちゃんと瑠奈ちゃんに…っ!デブス遂にやっちゃったぁ」
「今回はマジで終わったね」
この学園であの一条以上の権力を持つグループのトップ菊池優里亜と河田瑠奈___
名前くらいしか知らない…
正式なメンバーこそは少ないけど相当ヤバい奴らってのは城下の人間なら誰でも知ってる
「ちょ、ちょっとデブス!瑠奈にまで汚い泥水をっ、最低ー!」
「ねぇ」
「だってぇ〜」
「だってぇ〜じゃないでしょ、これ見てみ?いきなり何なの?どういうことか説明して?」
「だから莉愛羅を怒んないでよ、優里亜、瑠奈、紹介するわ、この目の前の醜い豚が一条派のターゲットデブスよ」
「あー…、例のね」
くそ…この6年間目すら合わせないように気をつけてたのに
「何度も何度も莉愛羅が、優里亜にオススメしていたのに全然興味を持ってくれなかったデブスよ、一条派のゲームに巻き込んでごめんねぇ、2人が汚れることになったのは全部このデブスが悪いの」
「…!ちょっと待てよ!そんなんずるいわ!あんたが言い出したゲームでしょ!何でうちだけ___」
その時、優里亜がバケツを蹴り飛ばした
「でもさ、お前がやったことに変わりないでしょ」
「そ、そうよ!2人に泥水をかけたのはデブスでしょ!莉愛羅のせいにしないでよ!ね!みんな!」
「そーだよ!」
「…でも…これはハメられて…」
「あ?」
「は…はめられたんです、うちだって本当はこんなことしたくなかったんですけど」
「みんなぁ!あのデブスが敬語を使ってるわよ!」
「やっぱり誰だって優里亜ちゃんの前ではこうなりますよねっ!」
謝罪したくらいで事態が収まるわけないだろうけど謝らないよりはマシかもしれない
実際泥水かけたのは私だし
「あの…菊池派の皆さんには関係ないのにすいません、本当にわざとじゃなかったんで…」
6年間これだけは避けてきたのにここに来てターゲットか…
「はぁ…」
いじめの規模が変わる
「ふふん♪敬語なんか使っちゃって無様ねえデブス、優里亜たちは知らないだろうけどこの豚、一条派の中じゃかなり有名人よ、今は優里亜を前におとなしくしているけど下層民のくせに生意気に反抗はするし下品でみーんなの嫌われ者なんだからっ、本当目障りで仕方ないの、ね?デブス」
「じゃ、退学で」
「はっ…」
「え…優里亜退学って?」
「私は楽しいことが好きって知ってんでしょ?初っ端から謝るような弱いやつターゲットにしても張り合いなくてつまんないわ、目障りなら一条派で消せば?」
「え〜結局そーなんの!?」
待ってなんでいきなり退学なの!?今までと違うじゃん!
「おい、君たち!とっくに鐘がなったでしょう!早く教室に___」
「んんっ」
城下では先生なんか居ても居ないようなもん
「菊池派のターゲットにしてよー、すぐに退学じゃ莉愛羅たちもつまんなーい」
「興味ないわ」
「んもーっ」
「まさかのターゲットにもされないとか」
「初めてだよねぇ」
「でも優里亜ちゃんがいうなら仕方ないよね」
「んね」
「んね」違うって!
「はぁ…ざんね〜ん、オススメだったのになぁ…」
「でもそれなりに楽しめましたよね」
「そうねぇ」
「たしか小4だから6年かぁ、まあ持った方だよね」
「んね」
待て待て待て!なにこの空気!
本当にこのまま学園から追い出す気!?!?
「シャワー浴びたいし戻るわー」
「はぁ、仕方ないわね…」
「ちょ、ちょっと待って!待ってよ…うち、あの…」
正直に家の事情話して理解してもらう?
価値観の違うこいつらの前で?
いうだけ無駄でしょ…分かり合えるはず無いんだから
「ふふん♪退学だって聞けばデブスのママどんな反応するでしょうねぇ、だけど今より家計は楽になるだろうし案外喜ぶかもしれないわよ?」
『心配だったけどゆらは明るいし優しいから周りから自然と人が集まってくるよね、安心したわ』
辞められない
「…退学だけは勘弁してほしい…あんたらには一生理解できないだろうけど辞められない理由があるの、寄付金が払えるかどうかママにも聞いてみる!言っとくけどうちがいない学園は面白く無いよ!」
「自分で言うかよ」
「必死すぎ〜」
「そうね、確かにデブスのいない学園は退屈かもしれないわ、あんたよりもメンタルの強い生徒もなかなかいないでしょうし」
「そうだよ!うちだから6年も___」
「でもね、莉愛羅わかったの、この6年間あんたが莉愛羅に屈した事はなかったわ…莉愛羅はねそれが一番つまんないの」
「は…?」
「あんたは味方もいないくせにいつも平気な顔で余裕見せつけて莉愛羅に逆らうばかりで従おうとしない自分は他の生徒と違って追い出されることがないと勘違いしていたんじゃない?そもそも庶民が無理をして入るような学園じゃないのよ、城下は将来美しい白鳥になるヒナだけが通うことを許された学園よ、まがい物の醜いアヒル…いいえ、醜い豚は立ち入ることすら許されないの、優里亜たちと一緒に遊びたくてこんなくだらないゲームまでしたけど菊池派がターゲットにしないって言うなら尚更あんたにはもう用ないの、ちょうど飽きてきたところよ、デブス、あんたを城下学園から追放するわ」
「遂にデブスが退学〜!」
「だ、だから待ってよ!簡単に辞められないの!家族に心配かけたくなくていじめられてることも黙ってきたしママとの約束があってそれを果たすために」
「あー、貧乏人のその手の話はここじゃ通じないよ?んなもん聞いたとこで誰も共感しないしね」
「さっすが優里亜!」
「共感なんか別に求めてない!ただもうちょっと他人の意見に耳を貸してもいいじゃん!なんであんた達はそうやって一方的に___……」
『どういうことですか!なんで全部一方的に…!』
あの時と一緒だ。
権力のあるものから居場所を奪われて潰される
次はうちの番か___
「みんなも6年間よく我慢したわね、莉愛羅にまで見放されたデブスとは今日でお別れよ、みんなで最後の思い出作ってあげて!」
「ねぇ!莉愛羅ちゃんの話聞いたでしょ!」
「さっきはよくもちびって言ってくれたな!」
「部外者はさっさと出てけ!」
「莉愛羅ちゃんのいう通り、醜い豚の通うところじゃねぇんだよ!」
「ターゲットにもなれないクズが!」
「ねぇ誰か抑えて!」
「私にもやらせてー!昨日親にキレられてイライラしてんだわ!」
「ふざけんなっ!お前らのくだらん憂さ晴らしなんかにつきあうきないの!!!」
「菌が喋んなよ!」
「ほら見てよ、やり合う気にもなんない、やっぱダメだね______あ?これ何?」
「やだぁ、デブスのバッグよ、生徒が持ってきたんだわ」
「きったね」
バンっ
ブチ…
『高校生になったらまた持ち物も増えるかもしれないでしょ、いつものスーパーの前にカバン屋の売店が来ててね安かったから3人分買ってきたの、気にいるか知らないけど』
『おーまじ!?』
『3人でおそろかよー』
『いいじゃん、大事に使いなよ?』
うちだってこんなとこ好きで通ってんじゃない
でもここでやめたら今まで我慢して嘘を通してきた6年間が全部無駄になってしまう
「優里亜、私は寮に戻るよ、さっさと着替えたいしね」
「あっ、待って瑠奈、莉愛羅も行く〜」
「ま、待ってよ…どいつもこいつもなめくさりやがって……菊池___っ!!」