旅鼠の厭世詩

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1:レミング◆yc:2019/09/13(金) 12:00

思い付いたときに詩を書いていきます。

詩ではなく短文に思えることもあると思いますが、
本人は詩のつもりで書いております。

乱入は可ですが、感想を添えて頂けると幸いです。
また、こちらからの感想はあまり期待しないでください。
何分、自分の意見を述べるのが苦手なもので。

322:レミング◆yc:2022/01/05(水) 20:34

さてその仮定
この惰性で続けた
こんにちまでの日

憧れ妬みに嫉みに恨み
それらも全ては
愛ゆえの狂気

その視線の先が
何処へ向かおうと
きっと迎えに行くからね

私はアナた
挿れるためじゃなく
落ちるための

さぁ堕ちて頂戴
目指すは将来

分かっているでしょう
逃げさせはしないの

この手をどうぞ
どうか取って!

323:レミング◆yc:2022/01/29(土) 04:40

恐れていた病魔が
たった今目を覚ました

重く首をもたげた
膿の詰まったつま先が弾けた

燻ったままだった
腐りかけの生まれかけの
心臓を穿った

目を焼く光に心ごと焦がれた
その妄念に手を伸ばしていた

触れたが最後
触れたが最初

堕とされていた
生きていた
自覚していた

笑っていた
狂っていた

救われていた

324:レミング◆yc:2022/02/11(金) 00:19

届かない手なら
いっそ折れてしまえと哭いた

ただ目指した

誰に褒められようが
謗られようが
関係なかった

ただ目指した

目も霞むような天の頂を

ただ
ただ
それだけを見据えていた

けれど
ほんのひと刹那

その光のかたちを
捉えてしまった

それは到底
皆を照らす光などではなく
昏きに誘う闇などでもなく

思考を奪い心を焦がし
ソラに昇らせまいとする
光を知り

脚を掬い心を惑わし
奈落の底に留めんとする
闇を知り

それでもなお
震える脚で立ち上がり
眩しいほどに輝く

それはまさに
“偶像”

ああ

それは
そんなものは

魂が凍りつくのがわかる

冷静になれば気付いてしまう
まともになれば分かってしまう

研いでいる刃は
内から腐っていると

生を受けた時点
発った場所が違うのだと

この生には限界があり
そして
終点に辿り着いたとて
その頂点に届きはしないと

ああ

それならばと
声が涸れるほど

ただ

手よりも先に
折れてしまった心臓を
未練がましく抱えていた

325:レミング◆yc:2022/02/19(土) 01:05

空を見上げていた

右には地獄が広がっており
左には虚無が広がっていた

後は誰かが隠してしまった
前には何も無いというのに

青は
思わず竦むような群青は
進むしかないのだと
叱咤した

橋が落ちていた
空き家が連なっていた
森が燃えていた
道が塞がれていた
死体が転がっていた
誰もいなくなった

それでも

時計の針が止まっても
時間は進むしかないのだと

頬を伝う
それが傷に沁みる

過ちを
違えてしまった真実を
憎みながら

ただ足だけは
止めてはならないと

青が
誰かが
僕が叫ぶのだ

326:レミング◆yc:2022/02/20(日) 01:50

それはまるで
在りもしない夢物語のような
美しい情景

寄り道にもならない
そんな刹那に
酷く心を惹かれてしまって

まばたきよりも早く
目の前を通り過ぎていった
極彩色を
追いかけたくなった

その夢の
続きを描くのはあまりに無粋で
ifを書くのはあまりに虚しい

それでも
惜しいと思ってしまった

鮮やかで
ふざけていて
無意味で
それでいて愛おしい

幼稚でも
確かに素晴らしき
ひとつの世界

そんな
不安定で曖昧なものに
枠線で形作られた自由に
望むべくもないはずの希望に
一瞬の永遠に

あなたに

恋をした

327:レミング◆yc:2022/02/22(火) 01:15

貴女は何になりたかったの?

答えて、メアリー・スー

貴女は彼に愛されたかった
貴女は彼を愛していた
貴女は彼に愛されない

復唱して、メアリー・スー

貴女は彼に愛されたかった
貴女は彼のために偽った
貴女はエゴのままに偽った

答えて、メアリー・スー

貴女は彼に愛されたかった
貴女は貴女のかたちを捨てた
貴女は貴女の名前を捨てた

復唱して、メアリー・スー

貴女は彼に愛されたかった
貴女は彼に愛された
貴女はもう、貴女でなかった

答えて、メアリー・スー

貴女はそれで良かったの?
貴女はそれを望んだの?
貴女の望みは叶えられたの?

貴女は彼を愛していた
心の底から愛していた

彼が愛したのは貴女なの?
彼に愛されたのは貴女なの?
彼を愛した貴女はどこへ?

答えて、メアリー・スー

何もかもを捨てたもの
何もかもを失くしたもの
何もかもを忘れたもの

何者でも無くなったもの
誰でもない私

ねえ、メアリー・スー

328:レミング◆yc:2022/02/26(土) 03:27

君の本命になりたいな
君の本命になりたい

君から香る
知らないシャンプー

スクロールしきれない
新着メッセージ

ポストからはみ出た
ラブレター

サイズの合わない
汚いTシャツ

君から溢れる
知らないだれかの

どろり

君の本命になりたいな

最近ほんとに思うんだ
君の本命になりたい

どうしても
君を嫌いになれない
君を殺せない

贅沢は言わないからさ
せめて

君がその厚化粧を
落とす日が来たら

君が君でいたく
なくなったら

そのときは

君を繋ぎ止める術なんて
知らないから

ずっと傍にいたい
なんて言わないからさ

せめて
死ぬ時くらいは一緒がいいな

329:レミング◆yc:2022/03/18(金) 04:55

私が満ち足りない世界

握りしめる燻んだ一色
見上げるだけの虹
両手に掬い上げる誰かが
憎くてしょうがないけど

汚い薔薇色の吐瀉物
搾り出して

握り直す古びた鉛筆
残されたただひとつの道
何も無くて成すことなんて
到底出来やしないけど

完成しない
ハッピーエンド妄想癖
現実を見ろと何度
バッドエンドを突きつけられた

何でもない
言葉なんていらない
変わり映えなんてしなくたって

日の目を見ない
浮かばれやしない
劣等感に押しつぶされたって

マイナスで終わらせたくはないんだろ
何だかんだ奇跡を期待したいんだろ

下劣最低見苦しくても
これこそが私の最高点だって

330:レミング◆yc:2022/03/29(火) 23:55

最近
空が青くないんだってね

ざまぁないって思ったよ
今更お前に
興味なんざ無いけどさ

どうだい?
承認欲求を塗りたくった
自我を見せびらかして
裏切られた感想でもひとつ

溝でも浚って探してみなよ
唾飛ばして語った理想とやらを

ああ良い夜だね!とびきり
このご時世じゃ珍しいくらい

救われたい自覚があるから
救われない覚悟しといてよ
救われない私を笑って
救った気になってた愚かなお前

331:レミング◆yc:2022/04/08(金) 20:38

随分と平凡に生きたものだ
なんて自分で思う

気怠い生ぬるさの中生きている
死ぬ気なんかひとつも無いまま

悔いのない生涯なんて不可能だ
だって時間が足りないのだから

何を成すにも
造るにも
終わらせるにも
人生はあまりに短いのだ

納得のいく幕切れは
どうやら期待できそうにない

しかし
それでも

限られた時の中で
満足なんて夢と知って

悔いのまま死ぬとしても
無駄に無力に生きるとしても

それでも足掻くのが
人間というものなんだろうか

それならば
なんて素敵なことだろう

332:レミング◆yc:2022/04/21(木) 03:47

形だけの心臓なんて
いらないわ

真っ赤に脈打つ中身なんて
とっくのとうに当の貴方に
盗られてしまっていたんだもの

雨風に晒される
冷え切った身体
きっときっと明日こそ
そんな期待を踏み潰されてきた

初めて触れた確かな温度
それがたとえ
幻であったとしても

ええ
好きなようにすると良いわ
心は此処に
貴方と共に


視界に広がる浮ついた目
後悔に怯え震える眼が
それでも良いと迫るのならば

心臓なんていらないの

333:レミング◆yc:2022/05/11(水) 04:37

ああ、きっと今
たった今失くしたの

傘を

肩にぶつかる水の弾丸
冷たくて
染み込んで
もう二度とは拭えない

救えない
ええ、分かっている

防げない
寒さも不快さも

笑えない
笑えないの
あなたがいなきゃ

私病んでしまうわ
雨に打たれて生娘のように
咳をしては愛を吐いて
嚔をしては哀と泣いて

それでも駄目なの
あなたはもう
傘をさしてはくれないの

334:レミング◆yc:2022/05/20(金) 07:30

もう、何度目かの恋をした

彼には大切な人がいる
私よりも
誰よりも
自分でさえも二の次なほど
とってもとっても大切な人が

私はどうしたって一番になれない

いつもそうだ
ずっとそうだ

今までの全ての恋は、
恋以外のなにかに破られて
私はいつだって
蚊帳の外で

視界にすら入れない
思考にすら入れない
私の存在は埃の一粒に等しい

見た目を磨こうと
内面を磨こうと

何もかも、
意味はないと知っている

知っているのに

また、恋をした

335:レミング◆yc:2022/06/07(火) 21:04

それはまるで、
寄生虫のような

蠢く恋

意志など端から無かったように
あなたのために生きている

わたしの中で
あなたが生きている

脈動している

支配される身体
侵されていく
すべて

あなたを離さない
寄生する恋
心臓に絡みつく脈動

あなたの
細胞のひとつまで

336:レミング◆yc:2022/08/18(木) 06:36

足元をすくわれたように
一転する視界

ぐらりと揺らいだその先に
眩しく煌めく光のかたまり

それが何だか
ものすごく美しく見えて
ものすごく哀しく思えて
ものすごく欲しくなった

追憶するは在りし日の夢ごと

あの頃はただ虚しくて
纏わり付く光の粒が妬ましくて
瞬きさえも鬱陶しくて

涙も枯れるほど
恋焦がれていた

人生の根本から
すくわれてしまったように

あなたに出会って
変わり果てた人生

それは存外、悪くない

337:レミング◆yc:2022/12/06(火) 18:43

ヒーローになんてならないで
偶像になんてならないで

誰かの理想が貴方を汚す
誰かの想いが貴方を縛る
誰かの祈りが貴方を×す

ヒーローになんてならないで
誰かを救おうとなんかしないで

御伽に騙られた貴方は まるで傀儡
あんなに輝いた過去は
今や曇り硝子の向こう側

差し伸べた手は千切れてしまった
掬い上げた腕は捥がれてしまった
守ろうとしたものは

何処

ヒーローになんてならないで
笑いながら泣かないで

きっと貴方も救われたかった

338:レミング◆yc:2022/12/14(水) 02:36

ねえねえねえ
あなたにわたしは救えるの?
ねえ
あなた わたしを救ったつもり?

ママはわたしに優しいの
嫌なことなんにもしないのよ
良いこともしてはくれないけれど
それでもわたしはしあわせよ

パパもわたしに優しいの
上手くできたら褒めてくれるわ
失敗したらきつく叱られるけど
それでもわたしはしあわせなのよ

ねえ

しあわせなのよわたし
しあわせだったの
知らなければ
知らなければしあわせだったの
ねえ

ここに愛が無いだなんて
どうしてそんなこと言うの
どうしてそんなこと
どうしてそんな ひどいこと

幸せな夢から引きずり出して
汚い現実に顔を漬けさして
『お前のいた場所はこんなにも』なんて
ねえ
ねえねえ

愛してくれるわけでもないくせに
救ってくれもしないくせに

どうしてくれるの

ねえ

339:レミング◆yc:2022/12/14(水) 02:39

後悔しています。

340:レミング◆yc:2023/01/17(火) 22:55

月が綺麗だね
今日はどこまで行こうか
昨日より遠くへ行こうよ
空気がつめたくて気持ち良いね
鳥がとまってるよ

水辺がキラキラしてる
風が吹いているね
雨の匂いは久しぶりだ
花が咲き始めたみたい
街灯が無くてもよく見えるよ

いつからだろうね
星が瞬いているよ
いつからだろう
月が欠けないね
いつから?
君はどこにいるの

太陽が昇らなくなったね
人の声が聞こえなくなったね
毛布がないと寒いね
光が眩しいね

君はいつから喋らなくなったの
君はいつからここにいたの

昨日はないよ
明日もないよ
君とずっと今日のまま
ずっと消えない夜のまま

変わらない景色に歌でも唄おう
君が寂しくないように
僕が消えてしまわぬように

またいつか
君と笑って出会えるように

341:レミング◆yc:2023/01/25(水) 05:40

ああ!
全くもって許し難いねその愚行
反撃も意図してない?
それこそ愚の骨頂!

売られた喧嘩は高く買おう!
さぁルーラー、
すぐさまレートを上げてくれ!
是非最高値で買ってやるから

言い訳は無用?
正当防衛まで割愛かい
ああまるでやってらんない
幸先はお前の屍のその向こう!

突然の暗転

お涙のヒステリー
ほら次第にメランコリー

聞くも語るも失笑まじり
散々な人生なんです
デバフなんかも盛っちゃって!
平均以下を誇っちゃって!

さてそろそろ競りは終わった?
感性マグロちゃん!

342:レミング◆yc:2023/04/20(木) 02:45

あんたのいない寝覚めが嫌いだ

呟けば
一秒待って へらりと笑う
気に食わない

緞帳は降りている
最初から
ここはぼくらの独壇場

誰にも邪魔されない
誰にも見つからない

星が舞う
雨がふる
それを見ている

たにんごと

あんたの隣でしか
息が吸えない

カーテンが揺らめく
真空
ブルーサイダーの夜

343:レミング◆yc:2023/05/25(木) 04:56

闇夜を照らす
あなたの微笑み

その輝きを閉じ込めた幾億の宙が
今夜もあなたのためだけに歌う

星々の瞬き 交響曲
それらを指揮するのは私
あなたという光に導かれて

無粋に彷徨う陽光は
やがて喪われるのでしょう

白夜の微睡み
永遠の彼方
繰り返す音色に身を委ねて

朝の来ない儘
夜に囚われた惑星で
いつまでも
あなたを歌っていられたなら

狂える綺羅星の煌めきに
網膜を焼かれた者同士ならば

あなたの創る私の旋律が
この宇宙の全てを彩る

344:レミング◆yc:2023/06/29(木) 02:14

美しい夜に祝杯を
明けないように鍵をかけて
永遠の真似事をしよう

金星を醒ます歌声を
君だけに聴かせてあげる

緞帳を降ろして
カーテンを閉めて
この舞台は僕らだけのもの

拙い演技などやめてしまって
僕は君の小夜曲になりたい

迷える仔羊に暖かな光を
眠れぬ君に甘ったるい闇を

穴兎の白昼夢
恍惚と憂鬱
紛い物の救いをもう一度

星座のパレードを眺めながら
片手間の愛でも語り合おう
どうせこの世界は終わるのだし

神様ぶった僕の仮面を
どうか君だけが撃ち抜いてしまって

345:レミング◆yc:2023/08/05(土) 08:08

あなたがあなたという光であり続ける限り
私の世界はずっと美しいままだ

346:さき:2023/08/24(木) 11:30

『アッブルパイの唄』
 ・おいしいよな
アッブルパイ
大好きなんだよ
美味しいのに
理由なんかないさ
単純に好きなんだよ
大好物さ
甘ずっぱい
カリッコリッの
毎日たべても
あきない
アッブルパイ

347:さき:2023/08/24(木) 11:30

『三つ葉の付箋』
 ・ボクの三つ葉の付箋
 三つ葉の付箋
 ボクのだよ
 すごく大切にしてるんだ
 あの机の上の本に
 挟んでいる
 付箋だよ
 ボクの付箋

348:レミング◆yc:2023/09/14(木) 16:46

>>346 >>347
無邪気な子供のような、可愛らしい詩ですね。
真っ新であどけないようでいてどこかノスタルジーを感じ、ふと子供の頃を懐古してしまいます。

349:レミング◆yc:2023/09/20(水) 01:24

空中ブランコで宙を蹴った

土星が泣いている
君が玩具を取り上げたから

沸き立つ雲は
燃える快晴は
みんな君を責め立てていた

被害者だった
そんなような気がしていた

帰り道には飴を買って
水銀製の蛇口で手を洗おう
ひとり多い遊戯場から目を逸らして

ちゅうぶらりん
インスタントカメラには映せない
焦燥 懐古 狂悦

二度と帰ってこないでね

虹が滲んだ雨上がりは
もう全く煙ってしまっていて
君の顔はわからなかった

青と藍の境目を探そうか
斑模様にピントが合わないうちに

夏と冬の境目を探そうか
飽きが来ないうちに

浮かばれない声が
聞き取れないうちに

350:レミング◆yc:2024/02/20(火) 14:17

貴方だけを見ていてあげる
鍵穴の外側から

孤独な貴方を
惨めな貴方を
大好きな貴方を
亡霊なんかに盗られた貴方を

怨嗟と呪詛が聞こえてくる
鍵穴の向こうから
私はそれを子守唄に
今日も眠りにつこうと思う

貴方は夜な夜な吐き出している
切らなくても擦らなくても
吐き出されるそれは
紛うことなき血の想いだ

飲んであげる
苦くて酸っぱくて
嫌な匂いのするそれを
全部残らず飲みほして
私の喉を焼いてあげる


貴方 私を好きだと言ったのにね
月明かりに夢見てしまったのね
可哀想な人

ねえ
まだ許してあげるから
少しだけ私を見てちょうだいよ
まだそこに戻ってあげるから
みんなみんな忘れてあげるから

ねえ
ねえ……

貴方が死んだら
そうしたらきっと私
貴方のお家に行って
貴方の嫌いな人を
みんな残らず殺してあげる

棺桶に眠る貴方を見て
鼻で笑って
攫ってあげる

空っぽの底に
菊の造花を一輪残して

だからね 今日も見守ってあげる
鍵穴を覗いて
饐えた匂いの箱庭に
たったひとり閉じ込められた貴方を
ずっとずぅっと見ていてあげる

351:レミング◆yc:2024/03/25(月) 06:33

桜の樹の下には

今日に至るまで
何度繰り返された詩だろう

桜の樹の下には死体が埋まっている

憂鬱の彼は考えたのだ
満開の桜があまりに美しいから
それには対価があるに違いないと

桜の樹の下には死体が埋まっている

では、
桜を前にしてなお輝くばかりに美しい
あなたの足元にも
死体が埋まっているのだろうか

桜の樹の下には

あなたが踊るように歩む
全ての道の先にも後にも

死体が埋まっている

それを足蹴にしておきながら
養分を吸いさえしない
あなたの完璧な美しさは
あなたのみで完結する

あなたの下には

淡い花曇りの空の下
咲き誇る幾万の花の下

死体が

色素の薄い虹彩が
全ての輪郭を溶かす

埋まっている

桜の樹の下
その上に立つあなたの足元には

死体が埋まっている

風に乗って運ばれる微かな香りに
満開の桜さえも霞むようなほほえみに

あなたの足元になら
埋まってやってもいいとすら思った

あなたの下に

あなたの

花弁を踏みつける足取りの
なんと軽いことか


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