少しずつ更新
8:選ばれたのは綾鷹:2014/06/06(金) 16:55 ID:szE そしてまたあるとき、少女は夕日で空が真っ赤に染まる、どこまでも穏やかな海に来ていた。
けれど少女の顔は、その景色とは反対に真っ青になっていた。
頬は痩け、唇は紫、立っているのも辛そうな足。
言葉を出すのも辛そうだ。
ふと少女は後ろに気配を感じる。
少女がゆっくりと振り向くとそこにいたのは黒い、自分と全く同じ形をしたシルエット。
そして「それ」は少女をふわりと抱きしめ、優しい声で語りかける。
「これ以上進んではダメ。もう旅は終わりにしましょう?」
「痛いの。辛いの。苦しいの。悲しいの、そう言いたいんでしょう?」
「でも旅を続けてもあなたは楽にはなれないわ」
「こんなことはやめにしましょう?……」
どんどん涙ぐんだ声になって行く「それ」は、昔の少女によく似ていた。
人が大好きで、困っている人は放っておけなくて、泣き虫な昔の少女に。
「全部あんたの……せいなのに……偽善者が口を出すな……!」
けれど少女の心にその言葉は響かない。
力のない腕で「それ」から体を引き離すと、突然激しい目眩と吐き気に襲われる。
視界が揺らぎ、突然世界は黒になる。
「……!……‼︎」
最後に聞こえたのは、もう聞き飽きた自分の声。
口から流れ出るのは、とても鮮やかな赤だった。
そして今、少女は世界で一番美しい景色を見ている。
辺り一面無の世界は、少女が求めていたそのものの姿だった――
〜fin〜
どんどん自分を傷つけていく少女のお話。
終わり方がそっけなくて申し訳ないです
悲しいお話ですね……。
でもこの気持ち……分かるような気がします。
次のお話も待ってます。
描写が綺麗!更新頑張って下さい♪
画像|お絵かき|長文/一行モード|自動更新