すこしずつ

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1:選ばれたのは綾鷹:2014/05/28(水) 19:24 ID:szE

少しずつ更新

8:選ばれたのは綾鷹:2014/06/06(金) 16:55 ID:szE

そしてまたあるとき、少女は夕日で空が真っ赤に染まる、どこまでも穏やかな海に来ていた。
けれど少女の顔は、その景色とは反対に真っ青になっていた。
頬は痩け、唇は紫、立っているのも辛そうな足。
言葉を出すのも辛そうだ。

ふと少女は後ろに気配を感じる。
少女がゆっくりと振り向くとそこにいたのは黒い、自分と全く同じ形をしたシルエット。
そして「それ」は少女をふわりと抱きしめ、優しい声で語りかける。
「これ以上進んではダメ。もう旅は終わりにしましょう?」
「痛いの。辛いの。苦しいの。悲しいの、そう言いたいんでしょう?」
「でも旅を続けてもあなたは楽にはなれないわ」
「こんなことはやめにしましょう?……」
どんどん涙ぐんだ声になって行く「それ」は、昔の少女によく似ていた。
人が大好きで、困っている人は放っておけなくて、泣き虫な昔の少女に。

「全部あんたの……せいなのに……偽善者が口を出すな……!」
けれど少女の心にその言葉は響かない。
力のない腕で「それ」から体を引き離すと、突然激しい目眩と吐き気に襲われる。
視界が揺らぎ、突然世界は黒になる。
「……!……‼︎」
最後に聞こえたのは、もう聞き飽きた自分の声。

口から流れ出るのは、とても鮮やかな赤だった。

9:選ばれたのは綾鷹:2014/06/07(土) 14:22 ID:szE

そして今、少女は世界で一番美しい景色を見ている。
辺り一面無の世界は、少女が求めていたそのものの姿だった――

〜fin〜

どんどん自分を傷つけていく少女のお話。
終わり方がそっけなくて申し訳ないです

10:rumia:2014/06/08(日) 22:01 ID:KCM

悲しいお話ですね……。
でもこの気持ち……分かるような気がします。
 次のお話も待ってます。

11:ルル:2014/06/15(日) 10:07 ID:2Rw

描写が綺麗!更新頑張って下さい♪


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