少しの沈黙が続いた後、
「嫌えば良いよ…」
少し弱々しい声がこの白い部屋に響いた。
「…意味わかんない、何で、何で蓮夜が悲しんでるの、
悲しいのは私だよ、親もいなくて、やっと本気で好きになった人は……、」
完全な八つ当たり。わかってるよそんなこと。
蓮夜に抱き締められながら、私はぼろぼろと泣き崩れた。
こんなに良いところなかったら、彼と会えていたとしても、
私は選ばれるはずがない。
そう、大好きでたまらない彼の名前は…
「亜蓮、?」
「な…んで、知ってるの…」
蓮夜は、私を抱き締めるのをやめて、私の両肩に手を乗せるようにして言った。
初めて、バレていたらしい。
もうどうしようもないと悟った。今さら何を言っても、バレたものはしょうがない。
………そして私は、神様の悪戯としか思えない事実を知る。
「俺猫田さんのことが好きです。」
突然の告白に私は固まった。私なんて人に好かれるたちでもない、その上アイドル好きもバレている。
何で、好き…?
「俺の、兄の名前、知りたい?」
脈絡のないことを言い出す蓮夜は意味不明でしかない。
「何が言いたいの、」「亜蓮だよ、橘亜蓮。」
「アイドルやってる、橘亜蓮。」
…………神様は意地悪だ。