…*魔法少女mirai*7/~*…【創作】

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1: 苺ましまろ*◆LM …*:2016/12/07(水) 05:55




メモ板は若干板違いかもなので…* 😅
基本れす禁です~* (◍•ᴗ•◍)

>>0002

2: 苺ましまろ*◆LM …*:2016/12/07(水) 05:56



http://otameshipost.gonna.jp/novels_original/novels_original.cgi?mode=view&no=1&id=sakura15ichigo

http://otameshipost.gonna.jp/novels_free/novels_free_deux.cgi?mode=view&log=525

*…*…*…*…*

3:匿名希望:2016/12/10(土) 20:52


立てたものの、…*
ストーリー思い付いたらたまーに書きます…*

4:苺ましまろ*◆LM:2016/12/12(月) 04:02



転校生の檸檬と蜜柑は、とっても仲がいい双子の姉妹。今時珍しいよね。
でも、ある日私(桃音)とくーちゃんは、体育館裏の倉庫の前で殴り合いの喧嘩をしていた二人を見付けたんだ…。
二人はみんなの前では、仲が良い姉妹を演じてるみたい…。
一体どうして?
とりあえず、私とくーちゃんで一人ずつ聞いてみようってことにしたんだけど…。
檸檬ちゃんは「たまたま喧嘩してただけ」、蜜柑ちゃんは「いつもは皆さんが知っているような感じですよ」と真実を言ってくれない。
しかも、この二人が闇かも知れない、って妖精さんが言い出したんだけど…。
嘘でしょ、どうすればいいのさ…!

5:苺ましまろ*◆LM:2016/12/12(月) 17:42


…この人が…?この人が、檸檬ちゃんを傷付けていた、教師__?
その時、私の中の何かかブチンと破れた。

「ちょっと音無先生…!ここまで来て、また檸檬ちゃんを傷付けるつもりなの!?
ちゃんと教育したいなら暴力じゃなくて言葉で教えなよ!
それほど、音無先生は無能な教師なの!?
暴力で解決しようなんて、生徒を傷付けてまで自分の地位を維持しようなんて……一回頭を冷やして考え直してよ!!」
私は一心不乱に叫び散らした。音無先生はうつむいて、ぷるぷると震えている。
「……あなたに、何が分かるのよ」
「分かりたくもないよ、あんたみたいな犯罪者の気持ちなんて!」
「……え」
「音無さんがやったことは、完全に体罰よ、警察に訴えて当然のこと」
翡翠ちゃんが静かに言った。
「あ、あれは教育で……」
「そんなのただの言い訳よ、暴力を奮っていたことに変わりはないわ」
「そ、んな」
「音無先生」
檸檬ちゃんが項垂れる音無先生の襟首を掴んだ。
「あんたが暴力奮ったのが私で良かったな……。もし私じゃなくて蜜柑だったら、私はあんたに復讐してた」
「………」
私達は音無先生と檸檬ちゃんを呆然と見詰めた。
檸檬ちゃんが髪の毛をほどいている__つまり、本気で喧嘩するつもりだ。
「何なら今、私がされたことを返してもいいんだけど」
「ひ、」
「檸檬ちゃん、止めて…!」
青葉ちゃんが叫んだ。
「……本当は許せなかったんだよ」
檸檬ちゃんはゆっくりと話し出した。

6:魔法戦士ばんびーな\☆/◆N2:2017/09/02(土) 00:46


ここからはお話の整理です。
やっぱり主人公目線で書きたかったから、この際1ページの量を少なくして読みやすくしようかと思います。

7:魔法戦士ばんびーな\☆/◆N2:2017/09/02(土) 00:46

*…*…*…*…*


「桃音ー、早く準備しなさーい」
1階から母親の声が聞こえてくる。
仏壇の前で目を瞑っていた桃音は、慌てて立ち上がって時計を見た。
「やだなぁ、そんなに慌てなくてもまだまだ時間は__ってもう7時!?」
壁掛け時計の針は7時を差していた。
「もうそんな時間なの!?」
桃音は寝間着を脱ぎ散らかしながら制服を手に取った。
まだごわごわした手触りのブラウスに腕を通しながら、昨日の夜絶対に遅刻しないように、時計の針は秒単位で合わせたことを思い出す。

ドタドタと音を立てながら着替えていると、硬いものにつまづいて転んでしまう。
「もう、一体誰よこんな場所に学生鞄置いたの!」
桃音は怒りながら通学鞄を蹴散らした。


「もう、小学生じゃないんだからしっかりしなさい」
「は〜い……」
桃音は項垂れながら朝食を食べた。
桃音の家から青空学園までは、徒歩20分くらい掛かる。少し時間は掛かるものの、電車やバスに乗るのはちょっともったいない気がする。
ダイエットも兼ねて体力作りにもなるから、桃音は歩くのが一番だと自分を納得させている。
(でも、自転車通学が禁止なのはやっぱり惜しいかなぁ。)


*…*…*…*…*


歯を磨いて髪を2つに結んで、桃音は家を出た。
暖かい日差しが桃音の紅茶色の髪を照らし、満開の桜の花が春風に乗ってゆらゆらと落ちている。
「私もついに。青空学園の生徒になるんだ」
校舎が見えてくると、ここでいきなり緊張感が襲ってくる。
足ががくがくと震える。
(き、きっと武者震いだよね。きっとそう。)
鼓動がドキドキ音を立てて、胸が張り裂けそうになる。一生分の鼓動を使い果たしてしまいそうな程、心臓は激しく踊っている。
「ついに。_私も」
桃音は青空学園の校門を潜った。


*…*…*…*…*


ひたすら自分が立っている場所に満足しながら入学式を終え、桃音は家に帰った。
「ただいま〜」
家に入って、何気なく口に出す。母親は勤務中だから誰も居ないのは分かってるが、何となく寂しくて返事を待ってしまう。
「……おかえり」
虚しくなって自分に返してみるも、さらに虚しくなるだけだった。
諦めてローファーを脱いだその時だった。
心臓がどくんと大きく波打って、心臓の底でキラキラと煌めく何かがぐんぐんと伸びてくるような感覚に襲われた。
それは止まることなく上へ上へと突き進んでいく。桃音の頭の天辺を目指して。
そして脳味噌を突き破って__

目の前が真っ暗になった。


*…*…*…*…*


『….……て、……………て』
誰かの声が聞こえてきた。
今にも泣き出しそうな声に、桃音は身震いした。
「あなたは、誰なの?」
その問いに答えることもなく、その声はすぅっと闇に溶け込んでいった。


*…*…*…*…*


「………ぅう」
意識がゆっくりと戻ってくる。
頭の中が混沌としていて、何だかぐちゃぐちゃして気持ち悪い。
身体がもぞもぞして、ふわふわしたものが脚に触って_

(……これは、何?)
袖と裾がふんわりと膨らんだミルク色のワンピースに夜空よのうに煌びやかに輝くベール、胸元には大きなリボンと羽根の生えたハートの石……。
今まで青空学園の制服を着てたはずが、見たこともない姿に変貌していたのだ。

????????

「な、な、…な………
何これぇええええええええっ!?
何この衣装、すごく可愛いけど……でも何でこんなもの着てるの!?」
小さい頃、日曜日の朝に放送していてた魔女っ子アニメを思い出す。
(……あれにかなり近いよね。なんか怖い怪物を倒して世界を救う〜ってやつ。
キャラクターも初めて変身した時は驚いてたっけ。
……じゃあ私も変身しちゃったってこと?
うそうそ、何で!?)
桃音は混乱しながらワンピースに手を当てた。

8:魔法戦士ばんびーな\☆/◆N2:2017/09/02(土) 00:46


あ、整理のためだから話の順番はめちゃめちゃです。…*

9:苺ましまろ*◆LM:2017/09/08(金) 02:33

「いたたた……着地失敗だ〜」
赤色の妖精さんは、小さな頭を抑えながら呻いた。呻きたい気分なのはこっちの方なんだけどね。
「あっ、悪さは辞めなさいッ!」
闇の姿を見た途端、赤色の妖精さんは急に厳しい顔になる。まるで悪さをした子供を叱りつけるお母さんみたいで、何となく微笑ましいな。

……微笑んでる場合じゃないよね。妖精さんが来たとは言え、紅ちゃんが変身するまでは気を抜いていられないよ!
って意気込んでるその時だった。
紅ちゃんの動きがいきなり止まっちゃったんだ。辺りは一気に色褪せて、モノクロの世界が広がっていく。
どうして、闇の結界が……!?
「桃音、紅の体を見てみろッ!」
「えっ」
妖精さんに言われるままに紅ちゃんの体を見てみると、眩しいくらいの光が溢れ出していたんだ。
目の前が血に染まったみたいな、真っ赤。

「どうして、このタイミングで__」
「ねェ、聞いてッ!
光は闇が張った結界の中で、妖精と遭遇して危険に晒されないと光になれないの!」
赤色の妖精さんが説明してくれた。
「あァ、何だそれ。そんなことワタシは知らないんだが?」
「キミは桃色の妖精?」
「あ、そうだけど何だよ」
赤色の妖精さんはくいっと首を傾ける。
「それじゃ、キミは__」

10:苺ましまろ*◆LM:2017/09/08(金) 02:39

「話は後にしてくれないかな!?
光に変身してくれるなら好都合だよ、私はただこいつを殺せば気が済むって訳じゃないからね……。
かつてmiraiが勝手に決めた皮肉な運命に苦しみのたうち回ってもらわないと気が済まないの」

「赤羽さんを守らなくちゃ」
「お前も魔法を使うのは初めてだからな…
こいつにも早く目醒めてもらわねぇとな」
妖精さんは赤羽さんをバシバシと叩いた。

「恐らく闇の連中は校庭に居る。」
「行こう、妖精さん!」
私は走りながら、ポケットの中のミラクルキーをぎゅっと握り締めた。
「妖精さん、変身ってどうやるの!?」
「強く念じろ、何かを守りたい、命を捨ててでも、と。
他に何も考えるな、腹に力を込めろ!」

妖精の声に合わせて、強く念じ、命を落とす覚悟を決め、頭を真っ白にし、お腹の底に精神を集中させる。

「私が赤羽さんを守る!」

私から飛び出した桃色の光が私自身を包み込み、青空学園の制服が、魔法少女の衣装に変貌していく。
本当に変身出来たんだ!
校庭に出ると、ショートカットの女の子が立っていた。
「……あの時の」
入学式の日、私が光になった日、妖精さんと激闘したあの女の子だった。
この前より髪の毛が短くなったような気がする。
「あはっ、久しぶりだね」
女の子は私に近付いてくる。
そして、ゆっくりと右腕を上げていく。

「伏せろッッ!」
妖精さんが声を張り上げた。
私は反射的にしゃがみ込む。
そして、頭上では何か重たい物が空を切る音……。
「てめぇ__何しやがるんだ」
「あーあ、あんたのせいで仕留め損ねたじゃない」
女の子は呆れたように笑った。

「赤羽さんは、私が守る!」
集中しなくちゃ。もしここで私が倒れたら、誰が赤羽さんを守るの。
赤羽さんだけじゃない。これから覚醒する光はまだたくさん居るんだから。
「防御しか出来ないあなたに勝ち目なんか無いんだよ?」
「うるさいなぁ、だったらあなたの体力が擦り減るまでずっと防御し続けてあげるよっ」
「あっはは、そんなの出来るわけ無いじゃん!自惚れやさん」
「とにかく、私はあなたを__」
「待てッ!」
妖精さんが叫んだ。灰色一色の世界に、甲高い声が響き渡る。
「ちょっと、何さ?」
「防御し続けたらいずれ死ぬ事になるぞ!」
「え?」
「魔法を使うにはそれなりの代償がいるんだよ。防御魔法は体力を大幅に擦り減らされるからな。
もし使い続けたら生命まで削る事になる」
そんな…それじゃあどうやって勝てばいいのさ!?
「安心しろ、闇も体力を使うのは同じだからな。
ただ、ずっと前から魔法を使っているから、力に多少の差は出るだろうが…」
「あははっ、アマチュアなヒヨッコと同じにしないでよね。
私の魔法、ちゃーんと目に焼き付けなさい。
ほーら!」
避ける隙もなく、女の子が放った黒い霧が、私目掛けて飛んできた。

「桃音─────ッ!」
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11:苺ましまろ*◆LM:2017/09/08(金) 20:22

「いたたた……着地失敗だ〜」
赤色の妖精さんは、小さな頭を抑えながら呻いた。呻きたい気分なのはこっちの方なんだけどね。
「あっ、悪さは辞めなさいッ!」
闇の姿を見た途端、赤色の妖精さんは急に厳しい顔になる。まるで悪さをした子供を叱りつけるお母さんみたいで、何となく微笑ましいな。

……微笑んでる場合じゃないよね。妖精さんが来たとは言え、紅ちゃんが変身するまでは気を抜いていられないよ!
って意気込んでるその時だった。
紅ちゃんの動きがいきなり止まっちゃったんだ。辺りは一気に色褪せて、モノクロの世界が広がっていく。
どうして、闇の結界が……!?
「桃音、紅の体を見てみろッ!」
「えっ」
妖精さんに言われるままに紅ちゃんの体を見てみると、眩しいくらいの光が溢れ出していたんだ。
目の前が血に染まったみたいな、真っ赤。

「どうして、このタイミングで__」
「ねェ、聞いてッ!
光は闇が張った結界の中で、妖精と遭遇して危険に晒されないと光になれないの!」
赤色の妖精さんが説明してくれた。
「あァ、何だそれ。そんなことワタシは知らないんだが?」
「キミは桃色の妖精?」
「あ、そうだけど何だよ」
赤色の妖精さんはくいっと首を傾ける。
「それじゃ、キミは__」

「話は後にしてくれないかな!?
光に変身してくれるなら好都合だよ、私はただこいつを殺せば気が済むって訳じゃないからね……。
かつて|mirai《みらい》が勝手に決めた皮肉な運命に苦しみのたうち回ってもらわないと気が済まないの。」
闇は悲しそうに微笑みながら、紅ちゃんの身体に触れた。
赤色に輝く光が、心臓の鼓動に合わせるように点滅し始める。
「な、何したの!?」
「何って?光が目覚め始めてるから、それを早めてあげただけだけど」
光が目覚め掛けてる……?それじゃあ、昨日の私も今の紅ちゃんみたいに動かなくなっていたって事なの?
確かに少しの間だけ夢を見ていたけど__あの夢の中で聞いた声は、何なんだろう?
今日の朝の夢にも出てきた、あの声と女の子。私と同じワンピースを着て、大きな鍵を持ってて__

私の考えを遮るように、バァンッと大きな音がする。
音と共に紅ちゃんから溢れ出していた赤い光は空気の中に弾け飛び、中から赤色のワンピースを着た紅ちゃんが現れたんだ。
初めて見た、私以外の光が変身する瞬間。
紅ちゃんはうっすらと目を開けた。

「………私」

「羽さんを守らなくちゃ」
「お前も魔法を使うのは初めてだからな…
こいつにも早く目醒めてもらわねぇとな」
妖精さんは赤羽さんをバシバシと叩いた。

「恐らく闇の連中は校庭に居る。」
「行こう、妖精さん!」
私は走りながら、ポケットの中のミラクルキーをぎゅっと握り締めた。
「妖精さん、変身ってどうやるの!?」
「強く念じろ、何かを守りたい、命を捨ててでも、と。
他に何も考えるな、腹に力を込めろ!」

妖精の声に合わせて、強く念じ、命を落とす覚悟を決め、頭を真っ白にし、お腹の底に精神を集中させる。

「私が赤羽さんを守る!」

私から飛び出した桃色の光が私自身を包み込み、青空学園の制服が、魔法少女の衣装に変貌していく。
本当に変身出来たんだ!
校庭に出ると、ショートカットの女の子が立っていた。
「……あの時の」
入学式の日、私が光になった日、妖精さんと激闘したあの女の子だった。
この前より髪の毛が短くなったような気がする。
「あはっ、久しぶりだね」
女の子は私に近付いてくる。
そして、ゆっくりと右腕を上げていく。

12:苺ましまろ*◆LM:2017/09/08(金) 20:26

その時、いきなり世界が桃色に変わったんだ。
これってもしかして、結界が張られたのかな?
確か昨日、妖精さんが結界を張ると、周りの色がそれぞれの光の色になるって言ってたよね。という事は、妖精さんが結界を張ったってこと?
「妖精さん、まさか敵が__」
ポケットの中のミラクルキーをぎゅっと握り締めた。
「ちげェよ、結界を張ったのはワタシじゃねェ!」
えっ、だって昨日そう言ってたよ?
「お前は闇が張った結界しか見てないだろ!?
これは赤色の光の色だよ!」
そう言われてみれば、少しだけ赤みが強い気がする。桃色と言うよりは、赤色に近い気もする…。

「え、どうして私以外の光の色なの!?」
頭が追い付かないよ。赤色の妖精さんが結界を張ったってことなのかな?
「お前馬鹿かよ、そうに決まってんじゃねェかよ!」
妖精さんは本気でキレちゃってるみたい。もう目ん玉が半分飛び出してるよ……
「とにかく緊急事態だ。赤色の妖精が結界を張ったってことは、赤色の光が闇に接触したのかもしれない」
妖精さんは真剣な面持ちで説明してくれた。
あ、そっか。昨日も私があの女の子と会った時に、妖精さんが落ちてきたんだよね。
「落ちてねェよ。とにかく助けに行くぞ」
「うん、分かった!」
私以外の光と会える、もしかしたら仲間になれるかもしれない……!

よし、変身しよう!
えっと、昨日はどうやって変身したんだっけ?
「えっと……へーん・しん!」
「ふざけてんのか?」
ふざけてないよ、至って真剣です!
「昨日は光が目覚めたから強制的に変身しただけだ。
ミラクルキーを強く握って『トランスフォーム・フューチャー』と叫べッ!」
「う、うん!」

私は2回深呼吸をしてから、大きく息を吸った。
「トランスフォーム・フューチャー!」
  

 

13:苺ましまろ*◆LM:2017/09/08(金) 20:33

ミラクルキーを握った両手が、勝手に胸の辺りに近付いていく。心臓辺りに重なった途端、ブワッと桃色の光が溢れ出す。
キラキラと煌めく光の中で、私が着ていた青空学園の制服がすうっと溶けていき、魔法少女のワンピース姿に変身していく。

気が付くと光は無くなり、私は変身した姿で立っていたんだ。

「………すごい」
夢みたいだよね、ほんとに。
「感心してる暇はないからな。行くぞ、桃音」
「う、うん!」
妖精さんは物凄い勢いで玄関へ飛んでいく。私もブーツをガタゴトと鳴らしながら後に続いた。
鍵を開けて外へ出てみると、結界の中だからか誰も居なかった。
「昨日の今日でまた闇が現れるとはな……」
妖精さんは眉を潜めながら呟く。
私は不安そうに立っていることしか出来ないけど、いざと言う時は妖精さんを助けないと!

「覚醒直前の光なら結界の中に入れるはずだ。多分この街が結界を張られたってことは近くに赤色の光が居るってことだ。
それに闇はとにかく光をぶっ潰すことが目的だからな……」
え、今なんか不穏な事言わなかった?
「闇ってどうして私達を邪魔者扱いしたり地球を嫌うの?」
「闇は光を強く恨んだ人間に宿るんだ。
闇も7人居て、昨日現れた奴はお前を心の底から恨んでる桃色の闇だ。」
「えっ……」
それじゃあ、私は昨日の女の子に殺したいくらい恨まれてるってことだよね?
恨まれるようなことしたのかな、私……。
どこかで会ったことあるような気がしたのも、本当に会った事があるからなのかも知れないね。

妖精さんは相変わらず眉を潜めながら飛び回っている。
「くそッ、どこに居るんだよ……闇も光も__」
妖精さんの動きがぴたっと止まる。
「どうしたの?」
「……おい」
妖精さんはわなわなと震えながら、顔を真っ青にして私を見た。

「赤色の結界が貼られてるってことは、赤色の光が目覚める事を知った赤色の闇が、赤色の光を殺しに行ったのかもしれない……」
「赤色って単語が多過ぎてよく分からないんだけど……」
「闇は自分が恨んでいる光を真っ先に消しに行く!だから赤色の闇が、ワタシ達を潰すより先に赤色の光を潰しに行ったかもしれないんだよッ!」
「え、それって__」
赤色の光を助けに行かなきゃ……!

14:苺ましまろ*◆LM:2017/09/08(金) 20:33

私と妖精さんは、赤色一色に染まった町中を駆け巡った。
だけど、いくら走っても人影は見当たらないんだ。
「ねぇ、闇が一斉に攻撃してくることってないの?」
「ワタシにもよく分からないんだが、闇はとにかく恨んでる光を集中的に攻撃するだろうし、それに__」
妖精さんが説明してくれている途中で、ザッと砂利を踏む音が聞こえてきた。

はっとして顔を上げると、そこにはにんまりと笑った女の子が立っていたんだ。
「だっ、あなたは!」
私は思わず唾を飲み込んだ。噎せながら女の子を指差す。

「教えて上げようか、赤色の光の居場所を」

「えっ!?」
赤色の世界によく似合う、赤色のコスチュームを身に纏った小柄な女の子は、にっこりと笑ったまま動かない。
「な、お前まさかッ!」
妖精さんも気付いたみたいだ。
「そうだよ、私は赤色の闇。」
そう言いながら、女の子はゆっくりと手を差し伸べてきた。
「よろしくね」
「あ、はぁ」
その手を握ろうと思って差し出したら、妖精さんにチョップをお見舞いされる。
「お前馬鹿か、そんな気軽に闇に身体を触らせるな!
よく見てみろ、コイツの手!」
「え?」
言われるままに見てみると、女の子の手は真っ赤に焼け爛れていた。
……いや、焼け爛れてるんじゃない。女の子の手が燃えていた。
「私の魔法、炎なんだよ」
女の子は笑いながら近くの塀に手を翳した。
塀は忽ち燃え盛り、ボロボロと崩れていく。

「ね。挨拶はこれくらいにして。
赤色の光の居場所、分からないと困るでしょ?」
女の子の笑顔が陰る。
すっと笑顔が消えると、私の疑心が確信へと変わっていった。
私、この子と会ったことがあるよ。

「あなた、学校でミラクルキーを拾ってくれた子だよね?眼鏡は掛けてないけど__」
「あァッ!?ミラクルキーを拾ったのがコイツ!?」
妖精さんが物凄い形相で私を見た。
学校に敵が居たなんて、私も信じたくないよ。何より妖精さんが注意してきたことが本当になっちゃうし、何言われるか分からないしさ……。
だけど、私も驚きを隠せなかった。

「ミラクルキー?……あぁ、あれね」
私と妖精さんのやりとりを見守っていた女の子は、一瞬黙り込んでから、にやりと怪しげに笑った。
「その話はどうでもいいよ。赤色の光はね__あ」
言い掛けてから、私らは死角になっていて見えない道路を横目で見る。

「__あはっ、教える必要はなかったね!もう来ちゃったよ!」
女の子は嬉しそうに笑った。
あ、赤色の光……私と同じ、光の戦士。
どんな人なのか全く想像出来ないよ。学校でミラクルキーを拾ってくれた女の子が敵だったってことも相まって、その不安はかなり大きくなってきてる。
「ふふっ、久しぶりだね、__」
女の子が言い掛けたその時、曲がり角から赤色の光の少女が姿を現した。

「__お姉ちゃん」
そこには、桃音が知っている人が立っていた。

15:苺ましまろ*◆LM:2017/09/08(金) 20:34

そう。今目の前に居る2人の女の子は、どっちも私と会ったことがある人だったんだ。
「う、うそ……」
改めて目の前に立っている2人の女の子を何度も見比べてみる。
闇じゃない方の女の子__多分赤色の光の女の子は、戸惑いの表情を浮かべながら、私と同じようにその場に居る全員を見回している。
態度は全然違うけど、でも……

「何で?どうしてあなたが2人居るの?」
そこに居る2人の女の子は、何度見たって全く同じ姿をしていた。

肩で揃えられた茶髪も、つり気味の目も、すもも色の瞳も、シャープな輪郭も、身長も__ただ1つ違うことと言えば、眼鏡を掛けているか掛けていないかと、着ている服が違うってところくらいしか無さそうだよ。
「あ、朱あかり……?」
赤色の光の女の子が闇に問い掛ける。
声もそっくり。よくよく聞かないと聞き間違えそうなくらい。
「そうだよ、久しぶりだね。……紅くれないお姉ちゃん」
闇は心情が読み取れない笑顔で答える。
「どうして今まで帰ってこなかったの!?お父さんも私も凄く心配してたんだよ?」
赤色の光の女の子が闇の手を握ろうとすると、あえなく振り払われてしまった。
「何?心配って」
闇は笑顔のまま訊ねる。

「え?」
「心配なんかしてないくせに。ってか、私が帰らないのは誰のせいだか分かる?」
「え……」
2人の間に出来た微妙な距離。
「私をあんな所まで追い詰めたくせに!それにお母さ__あの人は心配してないのね!
やっぱりね、あんたとお母さんはいつもいっつも……」
「待って、ちょっと待ってよ!」
闇の声を掻き消すくらいの大声で、赤色の光の女の子が叫んだ。
「お母さんは、お母さんは!
先月から行方不明になってるの……!」

辺りがしんと静まり返る。
私と妖精さんは何も言えなくなり、ただぼーっと見てることしか出来ないでいた。
「え?あの人、が……」
闇が固まったままゆっくりと呟く。
「どういうこと?あいつ、私が逃げることは許さなかったくせに、自分は逃げたって言うの!?
私の事はあんなに縛ってたくせに……」
「違うの、お母さんは__」
「何が違うの!もういい、あんたも消えて!
消えて、私の記憶からも消えてっ!
私の過去も、あんたに怯えて生きなくちゃいけない記憶も!全部、全部!」
「あ、朱……」
闇の瞳が、真っ赤に燃え盛る。

「伏せろッ!」
妖精さんが咄嗟に叫んだ。その声に反応した私と赤色の光の女の子は、反射的に地面に身を伏せる。ついさっきまで女の子の首があった空間を、大きな炎が薙いだ。
「な、何なの、朱……」
赤色の光の女の子は頭を抱えてぶるぶると震えている。
「とにかくこのままじゃマズイ……。てか何で赤色の妖精はこっちに来ねェんだよッ!」
妖精さんは愚痴りながら飛び回る。
「あーもうめんどくせェ!
おい、お前紅とか言ってたよな?」
妖精さんは地面に座り込んだままの女の子に問うた。
「……名前を訊く前に、今のこの状況を説明してちょうだい」
赤色の光の女の子は静かに問い返した。
声が低くなって、微かに震えている。さっきの闇の魔法がショックだったのかな。それともこの摩訶不思議な現象に戸惑ってるとか?

「おい、今はそんな事説明してる場合じゃねェんだよ!」
「そんなことって何よ!何年も行方を眩ませて、死んだ事にされていた妹にやっと会えたのよ!?
それなのに朱はあんな変な技術を手に入れて、周りの景色も真っ赤になってしまったのよ!?
こんな状況で冷静で居られるあんた達は何なのよ!」
女の子は悲痛な叫び声を上げながら、頭を抱え込んでしまった。
「何で妖精は来ないんだよ……てか何で闇と接触してるのに光の能力が目覚めないんだ?」
妖精さんもブツブツと呟きながら苛立ちを露わにしている。

闇は恨めしそうに赤色の光の女の子を睨み付けている。攻撃はしてこないんだけど、相当な恨みがあるみたいだよね。それも家族絡みで……。
ちょっと話しただけの他人の家族事情に口出しするつもりはないけど、このままじゃいつか、本当に殺されちゃうかもしれない。
どっちにしろ、女の子は早いうちに光の力を手に入れないと駄目だよね。
……よし。


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