「冗談だろ」
「ホントだよ」
ヤマザキはにこにことした笑みを崩さない。ポーカーフェイスが上手いから、どこまでも信じがたいのだ。
「冗談じゃないとしても、そんなことに付き合ってる暇はない」
さっさと踵を返して、退場の準備をする。こういうことを本気で受け止めてしまってはダメだ。取り返しがつかなくなって、傷付くのは自分だから。
それじゃあ、と駆け出そうとすると、右腕を掴まれてしまった。その力は思っていたより強かった。こいつ、もっと弱くなかったっけ。
「信じてよ」
それから、唇同士が触れ合うまで、三秒とかからなかった。
*
ノリと愛はこわいぞ!
過去になにかがあるようなないような伊月