2.名前呼び
「で、多田本さん。何の本借りたの?わたしはちなみに、主丸倫子先生のシリーズ、『八王子プリンス』を全巻借りたわ」
「ぜ、全巻借りたの!?全部読めるの?…わたしが借りたのは、赤ちゃんの名前の、男の子の本と女の子の本、あとお菓子の本だよ」
「多田本さん家、赤ちゃんが産まれるの?」
「そうだよ」
すると、ふみ会長の学校でのキッっとした顔じゃない。
柔らかい笑みを見せた。
「おめでとう。お菓子の本って、明確スイーツ研究部でしょう?また依頼をお願いしようかしら」
「ぜひ、依頼して!」
明スイの名前が出て、カフェの椅子を思いっきり飛ばしちゃった。
ヤ、ヤバイ。
超迷惑だよね。
「多田本さん!」
ふみ会長が、椅子に座るようにうながす。
周りの目が怖いよぉ…。
「あの、多田本さん。マミってほどは無理だけど、真美ちゃんって呼んでもいい?」
「もちろん!じゃあ、プライベートでは、ふみちゃんって呼んでもいい?」
「ええ。いいわよ」
自然に、ふみちゃんに向けて笑みがこぼれる。
またひとつ。
またひとつと。
「真美ちゃん。一緒に赤ちゃんの名前考えましょう。その前に、ティータイムをしてね」
「うん!」