3.どうして!?
教室に戻ると、もう誰もいなくて、わたしのスクールバッグだけがロッカーに入れてあった。
ひとりぼっちじゃないですか…。
スクールバッグを手に、教室を出る。
玄関のロッカーの靴も、ポンとわたしのが置いてあるだけ。
何か、靴も寂しそう。
「葉金井さん」
上から呼ばれて、思わず天井をガン見しちゃった。
て、天井がしゃべった!?
「葉金井さん、バカじゃないの。ここよ。階段」
バカって失礼な!
どなた様なの!?
思いっきり怒ってやる。
階段の方を見ると、ポカンと立っている梨依さんがいた。
「何、梨依さん」
「葉金井さんの家、どこ?一緒に帰りましょ」
「何で!?」
ヤバイ、声に出しちゃった。
やっぱりと思ったけど、梨依さんににらまれた。
あ〜あ、やっちゃった。
すると、梨依さんはクスッっと笑う。
何が面白いの、梨依さん。
「葉金井さんって、本当にバカね。見ていて笑えてくるわ」
ちょっと、失礼ねえ!
わたし、梨依さんじゃなかったら、もう怒ってるけど、今怒るよ!
いいの!?
わたし、多分、結構恐いよ?
「まあ、家の方面違っても、送るわ。行きましょ、葉金井さん」
うん。
っていうか、どうして名前で呼んでくれないの?
名字で呼ばなくてもいいのに!
「梨依さん、どうして一緒に帰りたいと思ったの?すごく嬉しいけど」
「別に。ちょっと、気分」
耳が真っ赤だよ、梨依さん。
すると、梨依さんはボソリと言った。
「む、睦美さん」