黒歴史投げ場

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1:ヒツ◆.o hoge:2018/11/07(水) 17:54

書いたはいいが行き場のない短篇群を投げるところ
乱入おけなのでアドバイスとか感想くれたら....いやなんでもないです(白目)

9:ヒツ◆.o hoge:2018/12/11(火) 17:55

『無敵のカエルへの序章』

「あなたは死にました」

唖然として身動きの取れない俺の前に立ち、美しい肢体から溢れんばかりの輝きを放つ女は言った。

これは比喩表現ではない。

俺自身が説明したこの女の容姿も、この女の言葉も。

俺の記憶は混濁していたが、大型トラックがけたたましいクラクションを鳴らしながら、俺目掛けて突っ込んできた光景が目に焼き付いていた。もうあの大事故からの生還は絶望的だろう。
これが俺の最初で最後の臨死体験__否、俺は死んでいるので死亡体験?
まあ細かいことはどうでもいい。
痛みは覚えていないが、俺の死因はどうやら交通事故のようだ。

「私は人間達が言うところの女神。
ああ、貴方のいた時代はもう宗教が廃れているのでしたね。異空間から貴方達人間を見守る高次元生命体、とでも言えば分かりやすいでしょうか?」

女が口を開いた。女神なんていう非科学的な言葉、普段ならば真っ先に疑うだろうが、この現状だ。女の言葉を素直に呑み込み、コクリと頷く。
俺はこの展開に覚えがあった。
生前、勉強がダルくて高校を中退し、バイトも探さず惰眠を貪っていたニートの俺が、有り余る時間を潰すため読み漁ったラノベ。アレに書いてある通りの展開だ。

「ああ、わかったぞ、あんたの手違いで俺は死んだんだろ。それで俺はお詫びとしてあんたから超絶チート能力をもらって、異世界に転生してウハウハハーレムする。それならまあ手違いに関しては許してやっても..」
「何を甘ったれているのですか?」

女神は、きたる異世界ライフ浮かれていた俺にぴしゃりと言い放った。

「あなたは私の手違いで死んだ訳でもなければ、チート能力とやらを授けられる資格もありません。そもそも異世界に干渉するのは私達の間では禁じられていますから、例え手違いであったとしても、私の独断でそんなタブーを犯す訳にはいきません。」
「そ、そんな!じゃあこれから俺はどうなるんだよ!」

侮蔑の視線と共に現実を叩きつける女神に噛み付くように、俺は目を見開き腹についた贅肉をタプタプと揺らしながら抗議した。せっかく嫌な現実から逃げ出せると思ったらこれだ。俺はつくづくツイていない。

「ご心配はなさらず。転生は通例通り行います。ただ、あなたの生涯評価は最低ランクのFですから、人間には転生できませんね...。そうですね、脆弱な個体で同族に虐げられる事にはなりますが、豚なんかがおススメです」
「は?豚?誰がなるかよ!俺虐げられるのやだし!なんか他にねえのかよ!」
「あら。人間に食肉加工されるまでなんの責任も負わず呑気に生きていける辺り、あなたにはピッタリだと思ったのですが。」

声を荒げる俺に、女神の視線は冷たさを増していく。
弁明するが、俺はこんなカエル面の醜い容姿に生まれたせいで、散々虐げられてきた。性格が歪んだのもこのカエル面のせいに違いない。俺を産んだ両親は恨んでも恨みきれない。
俺は、もう日陰者として隅で震えながら生きるのは嫌だった。

10:ヒツ◆.o hoge:2018/12/11(火) 18:00

「そうですね...相当次元は下がりますが、おもちゃに転生するのは如何でしょうか?物体ですから、生物としての喜びや悲しみは何もかも失いますが、造形が既存の生物に寄せられているので努力次第では魂の力に依存して動くこともできますよ。
しかも、人間から物体にまで落ちぶれる方なんて滅多に居ませんから、あなたはお山の大将ができるでしょう。」
「は?オモチャ?バカにしてんのかよ。てか美少女は別として、ガキは嫌いだし。もっといいやつねえの?」

舌打ちをし、苛立った様にわざとらしく溜息を吐いて見せる。こうして駄々を捏ねていれば、女神も折れ、俺を人間に転生させてくれるだろう。

__などと考えた俺は、いかに浅はかだったか。

目の端に映った女神は、先程までの作り笑いとは打って変わって、悪鬼の如き形相で俺を睨んでいた。

「のさばるのも大概にしろ下等生物が。お前のような出来損ないには魂が享受すべき転生の機会すらも過ぎたことだ。
お前には特別に呪いの糸を贈ってやろう。空気振動を介しての声どころか、心の声さえも遮る一級品だ。」

女神の透き通った声は怪物の唸り声のような重低音と化し、その美しい姿は泡立つように膨れ上がって得体の知れない化け物の姿に変容した。女神だったものの体はぬらぬらと不気味に輝き、見ているだけで正気を失いそうな心地がした。
俺はその時、俺達の住む次元をどんな恐ろしいものが支配しているのか、その片鱗を垣間見てしまった。

怪物が虚空に手と思しき部位を掲げる。すると、どこからともなく現れた一本の糸が、なんの予告もなく俺の口を貫いた。

「あ"あ"ああああああぁぁ!!!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!!!」

感じた事もないような鋭い痛みに襲われて、派手な悲鳴が出る。体勢を保てずその場に崩れ落ちるが、糸が刺さった部分から供給される激痛は留まるところを知らない。痛みのあまり、全身からあらゆる液体が吹き出て、俺の周囲に水たまりができた。

唐突に訪れた激痛に耐えられず、俺が意識を深淵に落とし込むのは、あっという間の出来事であった。


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