「なぁ。」
「な、なに?」
「半分野郎のことすきなんか。」
「轟くん?なんで?」
「一緒に帰ってただろ。」
「あ、あれは、その、かっちゃんの誕生日近いでしょ?だからほら、男の子って何が好きとかわかんないから、轟くんに一緒に選んでもらって、それで、帰ろうとしたら、轟くんが送ってくれるって言うから一緒に帰ってたんだよ。」
「じゃあべつに好きじゃねぇんだよなぁ」
「え!?好き!?違うよ!あ、でも、友達としては好きだなぁ」
えへへじゃねぇわ。可愛いなクソ。
とか思ってねぇ!可愛いとか思ってねぇはしねカス!誰がこんなクソブス…
「…それに、好きな人いるしなぁ…。」
は?
なんて言った?好きな人?は?
幼い頃から一緒に居たけどお前が想いを寄せるよんなやつなんていなかっただろ…。オールマイトくらいだっただろうが。巫山戯んなよ。どこのクソモブだ。言ってみろカス。…まぁ誰でもいい。俺は俺以外認めねぇからな。俺以外の名前言いやがったらクソモブ爆破して殺す。んでデクは監禁してやる。
「クソブスナードのくせに好きなやつ居んのかよ。誰だよ言ってみろよ」
「かっちゃんには絶対言わない。」
「あ"あ"!?…んでだよ。なんで俺には言わねぇんだ。」
「そんなの決まってるだろ!!かっちゃんのこと好きだからじゃん!!」
「あ?」
「…!!か、かっちゃんのせいで言っちゃった!!かっちゃんのせいだよ。バカヤロー…。でも、ごめん。ちゃんと、諦めるから…だから、一思いにふってほしいな…」
正直びっくりしすぎて振るとか振らないとかの内容は全く耳に入ってこなかった。ずっとずっと恋焦がれてきた幼馴染みは俺のことを嫌っていると思っていた。暴力だって只あった。暴言も吐きまくった。大事にしていたノートも燃やした。とてもじゃないがいい事したとは思えない。そんな俺を好きでいるこいつはなんなのだろうか。今思えば幼い頃からから俺の事を好きだとか言っていた。ってことはずっと一途に思ってきたってことだよな。一途すぎんだろ…。
「かっちゃん…?」
固まって反応がない俺が心配になったのかさっきまで目尻に溜めていた涙はひっこんで、したから俺を覗き込んで名前を呼んだ。
正直上目遣いはクるからやめてほしい。
俺はデクの顔を両手で抱えるように掴んで、言い聞かせるように言った。
「いいか。1度しか言わねぇ。ちゃんと耳かっぽじって聞きやがれ。」
デクは再び目に涙を浮かべて小さく「うん」と頷いてた。
俺は1度息を吸い、1度吐いて、もう1度息を吸った。そして、デクの深緑の目を見て声を絞り出した。
「出久、好きだ。」
今度はデクが吃驚する番になっていて、口をあけて、唖然としていた。
そりゃそうだ。嫌われてると思ってたやつからの告白なんだ。吃驚するのもしかたないと思う。
五秒くらい固まっていると、今度は口を閉ざし、目尻に涙を溜め、大粒の涙を1粒、また1粒と流していた。その涙を親指で拭き取りデクの頭を撫で回してやった。
「擦んなよ。目元腫れんぞ。」
「ズッ…う、うん…」
デクは鼻を啜って、小さく返事をした。
「…ほら、おばさん待ってんだろ。行くぞ。」
「うん…」
俺が先を歩いてデクが後から付いて来る。
今まで気づかなかったが、こいつは意外と歩くのが遅かった。仕方ないからいつもよりゆっくり歩いてやれば、嬉しそうに隣に来て歩いた。
デクんちに着けばおばさんが出迎えてくれて、家に上がっていくかと聞かれたがもしもデクと2人で部屋にいることになったら何しでかすかわからないから遠慮しますと断った。その代わり帰りにデクにキスしてやった。顔を真っ赤にしていたが、それすらも可愛いと思ってしまい、鼻で笑って誤魔化した。
俺の可愛い恋人はどうやらまだ階段を踏んでいかないといけないらしい。まずはキスからはじめて慣れさすか…。小さく心の中で呟いた。