君に、愛の言霊を――、

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37:遥姫 ◆ml2:2016/05/08(日) 17:05 ID:gBQ


強くなりたい。その理由 【 緋色の欠片 / 真弘×珠紀 】


 先輩の、その宿命を知ったとき。どうしてと思った。どうしてそんなことを、教えてくれなかったのかと。でも、先輩は言いたくなかったんじゃない、言えなかったんだ――。


 私たちの、私の中の先輩はいつも笑っていた。偉そうで、俺様で、自分勝手で。絶対にあきらめない強さを持っている人だと私は勝手に決めつけていた。先輩が隠していたことなど知らずに。それが、先輩の枷になってしまっていたのかもしれない。

 あの人は、優しくて、頼りになる私の先輩だったから、先輩は、言えなかったのかもしれない。そんな人が、守るべき人に弱さを見せることなんてできなかったから。

 でも、先輩は、確かに私に助けを求めていたんだ。時折見せた、あの寂しげな表情、後ろ姿。気づいていたはずなのに、言えばいいのに、私はそれを見て見ぬふりをしていたのだ。確かに、嫌な予感はしていた、でも、先輩に限ってそんなことはない、見間違いだ。そう思っていた。

 そう、何も言えなかった先輩のせいじゃない。何も気づくことができなかった、弱かった私のせいだ――。
 
 だからね、先輩。私は、強くなりたいよ。貴方から何もかもを奪おうとする全てのものから守りたいよ。……ううん、私は強くなるよ。誰よりも、何よりも大切で大好きな先輩だから。


「だから、先輩……待っててね。すぐに行くから」


 ひとつ深呼吸をしたあと、私は、部屋に貼られているその結界へ、手を伸ばした。


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 珠紀のモノローグ。時間的に、真弘先輩が蔵に閉じ込められて、それを助けるために珠紀ちゃんが救いに行くところぐらい。

 


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