からかい上手の高木さん二次創作

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1:Rika◆ck:2018/08/12(日) 20:22 ID:9x2

基本1レス完結の短編になります
恋愛要素はそんなに濃くありません

2:Rika◆ck:2018/08/12(日) 20:23 ID:9x2

ー熱中症ー



「ねえ、西片。『熱中症』ってゆっくり言ってみて」

 夏休みの日の図書館で。
 隣に座る高木さんが、いきなりそんなことを言ってきた。……何で一緒に図書館にいるのかは触れないでほしい。

「急だね、いいよ。ねーちーゆーうーしーよーう……どう?」

 別に言って損する訳でもないし、俺は高木さんの指示に従った。

「んー、ちょっと違うなあ」

 だけど、何故か高木さんは満足してなかったようだった。

「逆に、どうすればいいんだよ!」

 俺は、思わず声を荒らげる。

「そうだなあ。熱中症の『ねっ』と『ちゅう』と『しょう』を分けて言ってみて」

 すると、高木さんは面白がるような表情で答えた。
 ……明らかに俺をからかおうとしているのは分かるけど、ここでやめたら何か負けた気がする。

「ねーつ、ちゆう、しよう」

「まだまだ。小さい『つ』と『ゆ』はそのまま発音して」

 そ、そのまま発音する……?
 高木さんの言っている意味が全くわからない。

「じゃあ、私がお手本見せようか」

「あ、うん」

 お手本……何か馬鹿にされてるみたいでちょっと悔しい。
 俺はそう思いつつも、高木さんの行動を待つ。

「ねっー、ちゅー、しよー」

「……はっ!?」

 高木さんが唇を細めて言う。
 ……この為だったのか! やっぱり、高木さんは俺をからかおうとしてたのか!

「西片、言ってみて」

「い、言うかよ!」

 言ったところでどうせいじられるだけ。俺の今日の腕立て伏せの回数が増えてしまう……。
 前言撤回、損しかない。

「えー、言わないの?」

「当たり前だろ!」

 ニヤニヤしている高木さんにそう返す。

「ふーん、しょうがないなぁ」

 すると、高木さんは残念な顔をして言った。
 よ、良かった。これで俺は安心して夏休みの課題に取り掛かれ……

「じゃあ、この勝負は私の勝ちね」

 ……ない!

「な、なんでだよ! そもそも、これなんの勝負!?」

 俺は、高木さんに大声でそう尋ねる。

「なんでもいいじゃん。ほら、言わないと西片の負けだよ〜?」

 くそっ、高木さんめ……!

「分かったよ、言うよ!
 ……ねっー、ちゅー、しよー」

 ああ、恥ずかしい……。

「あはははは!! 西片さいこー!」

 高木さんはと言うと、大爆笑していた。
 俺がこんなに恥ずかしいのに、高木さんは……
 と、とりあえずこれで俺の負けは無くなった! 高木さんに何してもらおうかな。



「あ、言うの遅かったから西片の負けね。ジュース奢って」

「ええっ!?」

 ホントに、高木さんは……!!
 そしてこの後、図書館の人に怒られた。全部高木さんのせいなのに……。

「西片ごめんね〜……ププッ」

「笑わないでよ!」

 今日の腕立ての回数は……110回。
 なんで、夏休みに入ってまでこんなことにならなくちゃいけないんだ!

「いつか絶対高木さんを辱めてやる……」

「さあ、出来るかな?」

 今に見てろよ、高木さん……


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