長谷部桜–はせべさくら
有木ヶ丘中学3年7組。桜色の髪の毛を肩まで伸ばしている。2年のときは荒れていた。
キュアブロッサム
桜が変身した姿。髪の毛が腰まで伸びて、ハーフアップになる。
ピンクと黒を基調としたプリーツの浴衣ドレスになる。
矢沢椿–やざわつばき
桜のクラスの学級委員長。水色の髪の毛を胸まで伸ばしてハーフアップにしている。
キュアフラワー
椿が変身した姿。髪の毛がパーマがかかり、腰まで伸びてポニーテールになる。
青と黒を基調としたプリーツの浴衣ドレスになる。
橘梅子
桜のクラスの体育委員。黄色の髪の毛を肩下まで伸ばしている。
キュアフルーティ
梅子が変身した姿。髪の毛が伸び、ハーフアップと組み合わさった2つのお団子になる。
黄色と黒を基調としたプリーツの浴衣ドレスになる。
桜「私ら、ほんまになれたんやな…プリキュアに…」
私は、ギュッと拳を握った。隣では椿と梅子が頷いている。
「ありがとうな、3人とも。」
全員「え?」
聞き覚えのある声がして、そちらを振り向くと新任の私たちの担任の先生である櫻田先生だった。
桜「先生!?なんでここに?」
櫻「あれ?まだ気付かないかなぁ。」
梅「ちょっと待って!フーどこ行った!?」
椿「……ま、まさか!!」
櫻「そのまさかだよ。僕がフーだ。」
にっこり笑った櫻田先生…フーは空を指差した。
櫻「上、気を付けて。」
いやな予感がした私は、椿と梅子が空を見上げる中顔を動かさなかった。
「わああああああああ」
あ、ほら。このパターンだよ。上から絶対なんか落ちてきてる。でも今度は私上見てへんもーん。もう窒息せーへんもーん。
桜「ふっふっふ…私は学んあだぁっ!!」
椿「はぁ…」
梅「うわお」
櫻「ははっ」
空から降ってきたものは、私の頭に落ちてきた。なかなかの衝撃だ。
桜「重いわ!!」
頭に乗ってるそれを引っぺがすと、それは白色のフーのような妖精だった。
桜「白いフーや!」
櫻「彼はスー。ほら、スー。挨拶して?」
ス「スーだノル。フー、こいつらはなんだノル?」
櫻「彼女たちは僕が見つけたプリキュアさ。」
ス「ふーん…」
そう言うとスーは私の手の中から飛び降り、着地と同時に人間に変身した。それも私たちは、見覚えのある姿だった。
桜「白井先生!!」
数学の白井先生だ。中村友也くん似のクールな白井先生は女子からすごい人気がある。
梅「でも白井先生って結構前から有木ヶ丘中学におるよな?」
白「ああ。元々は別の学校でプリキュアを探していたが、フーが有木ヶ丘中学に赴任することになったんだ。はっきり言って、計算外だ。」
梅「ああ、そう…」
いや計算外や言われましても…白井先生ってもしかせんくても天然?
椿「あ!!そういえばプリマホは!?」
桜「ああーーーっ!!!」
梅「変身した後どこやったっけ!?」
私たちが慌ててプリマホを探すと、フーがくすりと笑った。
櫻「プリマホなら僕が持ってるよ。」
白「今度からは、これに入れておけ。プリマホケースだ。」
フーと白井先生からピンク、青色、黄色のプリマホとプリマホケースを受け取る。
桜「フー、白井先生!ありがとう!」
私がそう言うと、白井先生は不服そうな顔をした。
白「…俺のことはスーと呼ばないのか?桜」
桜「え?」
櫻「ぷっ…スーも僕みたいに本名で呼んでほしいみたいだよ、桜たちにね。」
白「うるさいぞフー。呼びたくないなら別に呼ばなくていい。」
私たちは2人の言葉に顔を見合わせる。そして笑顔で言ってやった。
『フー!スー!これからよろしくな!!』
櫻「うん、よろしく。」
白「ふん…」
>>6のギャラクシー、名前変更
ミィ
黒十字軍の1人。ジャックハートのような格好をし、ハートのペイントが付いている左右で黒と白に分かれているアイマスクを装着している。
桜「でも2人はいいん?私らがプリキュアで」
帰り道、私がそう尋ねるとフーとスーは顔を見合わせた。
フ「別に誰でもいいわけじゃないよ。
でも、君が言ってた僕たちが出会った運命を、僕は信じようと思うんだ。」
ス「それに、プリマホに導かれてプリキュアになったのなら、文句のつけようがない。
お前たちは立派なプリキュアだ。」
桜「っへへ、うん!」
椿と梅子の方を見ると、2人も嬉しそうに笑っていた。私たち5人は、もう仲間なんだ。
梅「そういえば2人とも、家とかあるん?」
椿「いやそりゃあるやろー。だって2人とも一応教師やで?」
フ「一応とは失礼だな。けど家かぁ…どこに住んでるっていうのはないなぁ…ね、スー」
ス「ああ。そんなこと、考えたこともなかった」
梅「えっ!じゃあ今までどうしてたん!?」
フ「野宿かな。妖精の姿なら小さいし、結構人目のつかないところで寝たりできるんだ。」
桜「野宿!?ターザンやん」
ス「誰がターザンだ」
桜「すいません」
ベシッと頭を叩かれ、私はスーに頭を下げる。でも家ないって結構大変よな…黒十字軍だっていつやって来るか分からへんし…
桜「あ!じゃあうち来ーや!」
フ、ス「え?」
桜「うち親ほとんど家おらんし!」
椿「たしかに桜んチ、あんまお母さん家おらんけど…」
梅「教師と生徒が同居って見つかったらなかなかやばない?」
桜「たしかに!!」
でもなぁ、野宿ってかわいそうやしなぁ。
それに、家で1人でいるより3人でいた方が絶対楽しいよなぁ…
椿「…でもまあ、やれるだけやってみたら?もちろんフーとスーがいいならな」
梅「せやな。バレたとしても、そのときに誤魔化し方考えればいいし。フー、スー、どうする?」
椿と梅子はきっと私のことを考えて言ってくれた。ああ、ありがたいわぁ。ほんまにいい友達持った。
フ「たしか桜の親は離婚して、お母さんはよく仕事で地方に行ってたな…」
ス「俺たちとしてはありがたいが、本当に桜はいいのか」
桜「何が?」
ス「俺たちは本来の姿が妖精とはいえ、普段は人間の男だ。それも見ず知らずのな。」
桜「見ず知らずちゃうやん。私らはプリキュアで、あんたらは私らを支えてくれる妖精やろ?
それだけで分かってたら充分やん。」
そう言うとフーとスーは、顔を見合わせて笑った。
フ「じゃあ、お願いしようかな!」
ス「世話になる。」
桜「うん!」
櫻田颯太–サクラダフウタ
桜のクラスの担任の先生。3年生の先生としては珍しい、新任の先生である。今をときめく吉沢涼くんに似てると生徒から人気がある。
その正体は人間に変身したフーである。
白井涼斗–シライスズト
桜の学年のクールな数学の先生。実は桜たちが入学する前から有木ヶ丘中学でプリキュアを探していた。中村友也くんに似てると生徒から人気がある。
その正体は人間に変身したスーである。
桜「あー、暇やなぁ」
夏「今自習中やぞ。勉強しろやアホ」
桜「誰がアホやねん!ってか今日元気ないな自分。どうしたん?」
夏「あー?昨日色々あってん。」
桜「昨日ねぇ…」
私も昨日は色々あった。
妖精が空から降ってきて窒息しかけたし、プリキュアに変身して戦ったし、その後まあ妖精が頭に落下してきたし、しかもその妖精はうちの学校の先生やったし…
桜「あー…なんか櫻田先生と白井先生見る目変わるわぁ」
夏「は?なんで?」
桜「色々あるんですぅー」
昨日から始まったフーとスーとの同居生活。学校ではあんなに家事ぐらいできるさ、みたいなオーラ出してるくせに本当は家事なんかできないマスコット型の妖精だ。
学校のみんなが聞いたらいいなぁ、なんて言うかもしれないけどまじであいつらやばいから。トキメキもクソもないから。まず家では基本的に妖精の姿だからね。吉沢涼くんも中村友也くんも家にはいません。
桜「イケメンって怖いなぁ…」
夏「…オイ、ほんまに何があってん」
桜「なんもないよ…うん。なんもないねん…」
*
桜「もうちょっとで修学旅行やな!」
ス「はしゃぎすぎだノル。前から思ってたノルが、桜はもうちょっと3年生としての自覚を持った方がいいノル」
桜「出た!!妖精姿の白井先生!!!」
放課後、私の家に集まる。プリキュア会議という名の勉強会だ。
桜「プリキュア会議ゆーから家入れたのに…」
椿「でも桜、行きたい高校あるんやろ?今の成績じゃ足りひんってゆーてたやん」
桜「せやけどぉ…」
椿はクラスで1、2を争う秀才だ。私は特に苦手な数学を、スーと椿に教わる。
椿「どこが分からんか言ってくれたら、ちゃんと教えるから」
桜「でもさぁ…どこが分からんか分からへん…」
椿「あうっ」
涙目でそう言うと、椿はずっこけて本に額をぶつけていた。机に乗って私に数学を教えているスーもため息をついた。
フ「みんな、休憩にしよう。クッキー焼いてみたんだ」
桜「フー!!オーブン壊したりしてないやろな!?」
梅「大丈夫!私が監修しといたから!」
ス「一度 休憩にするノル」
桜「スーちゃん…!」
ス「誰がスーちゃんだ!ほら、はやく食べないと俺が食べるぞ」
桜「変身はやっ!!ってちゃうちゃう!私も食べる!」
変身したスーがクッキーに手を伸ばしたことで、休憩タイムになった。私と椿もクッキーを食べる。少し固いかな。でも、紅茶もクッキーもおいしい。
桜「ちょっと固いけど、おいしい!!」
フ「今度はもう少し上手く焼けるようにするよ。梅子はお菓子作りが上手なんだね」
梅「まぁな!」
桜「でも梅子が好きなんは作るんより食べる方やろ?」
梅「余計なこと言うお口はこれかな?」
桜「いひゃひゃひゃ!ほへんなさい!!」
グイグイと口を引っ張られる。ようやく離されたが、口がヒリヒリして痛い。
椿「普通にあれは梅子も怒る」
桜「普通ってナンデスカー!常識ってナニー!?」
椿「いや怖い怖い怖い」
優雅(?)にクッキーとお茶を楽しんでいると、いきなりポンッとフーとスーが妖精の姿に戻った。
フ、ス「なんか出た!!」
桜「なんかってなに!?」
フ「分からないラフ!けど、悪い“気”ラフ!」
椿「待ってわんちゃん黒十字軍ちゃう!?」
梅「せやったら変身して行かな!」
桜「行くで、2人とも!」
椿、梅「うん!」
ポケットからプリマホを取り出し、空にかざす。
『プリキュア!フラワーシャワー・メイクアップ!!!』
「愛と希望を司る花!!
キュアブロッサム!!!」
「知性と勇気を司る花!!
キュアフラワー!!!」
「夢と自由を司る花!!
キュアフルーティ!!!」
桜「全員での決めゼリフはまだ決まってません!!」
ス「やかましい!!」
キリッとした顔でそう言うと、背後から人間に変身したスーにスリッパで頭を叩かれた。
フ「街を見るラフ!サイテイーダが暴れてるラフ!」
ス「やっぱりあいつらだったか…」
桜「よっしゃ行くでぇ!!」
椿、梅「うん!」
私とキュアフラワーとキュアフルーティと妖精姿のフーを抱えるスーは、一斉に走り出した。
「サイテイーダァァァ!!!」
桜「待たんかい!!」
街を破壊するサイテイーダは、今回は公園の噴水だった。ビルの上ではミィが立って見ている。でも服が少しこの前と違う…?
「出たなプリキュア!!」
椿「出たなプリキュアと言われまして!!」
梅「知名度上がっててちょっと嬉しい!!」
桜「どうもプリキュア2日目の新人です!!」
バッとポーズを決めてバシッと決めゼリフではないセリフを言う。そろそろ決めゼリフ決めなあかんなぁ。
「この前はうちのミィがお世話になったなぁ」
椿「ってことはあんた、ミィじゃないんやな?」
スタッと男が降りてくる。よく見るとミィはハートをモチーフにしたあの黒と白のスーツに対して、彼はダイヤをモチーフにした黒と白で彩られたスーツを着ていた。
そしてミィが中のシャツが赤だったのに対し、彼は青だ。
けれど、ミィと同じアイマスクと帽子を被っている。
「俺はギャラクシー。ミィの仲間だ。」
桜「やっぱり黒十字軍なんやな…!」
ギ「まぁな。やれ!サイテイーダ!!」
「サイテイーダァァァ!!」
噴水のサイテイーダは、口から水を発射した。なかなか勢いがあり、避けたそこを見ると地面にヒビが入っていた。
桜「あっぶなぁ…」
梅「フラワー!手ェ貸して!!」
椿「OK!」
フラワーがレシーブのような体勢をし、勢いを付けてフルーティがその上に飛び乗り、それをフラワーが持ち上げる。
梅「悪い子やなぁ!お仕置きやわ!!」
そう言ってフルーティはサイテイーダの顔めがけて蹴りを入れた。
桜「フルーティ怒らせたら怖いで!!」
私は思い切り地面を蹴ってサイテイーダの頭に、両手を握ってチョップを入れる。
椿「ブロッサムの大事な勉強時間を邪魔しやがって…!許さへんからな!!」
桜「私はそれは許すで!」
ツッコミを入れてると、サイテイーダに足を掴まれて地面に叩きつけられてしまった。そして同時に足をくじいてしまった。
桜「いだぁ!!…ってやば、」
サイテイーダは完璧に私に狙いを定めてる。
椿「ブロッサム!!」
フラワーが空中にダイヤを描くと、水色に光り出して持ち手に円盤、先端にダイヤの宝石がついたステッキが現れた。
プリマホを円盤にかざすと、水色のダイヤ型の宝石になり、フラワーがそれを円盤の中央にセットする。
椿「知性と勇気を司る花の憤怒!!受け止めてみぃ!
プリキュア・スプラッシュ・シールド!!!」
ステッキの先端から出たシールドが、私をサイテイーダの口から発射される水から守ってくれた。
椿「これ以上ムダな時間はいらんねん!
ブロッサム、今やで!!」
桜「うん!」
手のひらで空中にハートを描くと、ピンクに光り出して例のステッキが出てきた。
そしてプリマホをかざして、ハート型のピンクの宝石をセットする。
桜「愛と希望を司る花の憤怒!!受けてみぃ!
プリキュア・ブロッサム・ショット!!!」
先端の宝石から大きな花が咲き、それをピストルの弾丸のようにサイテイーダに撃ち込む。
「サイテイーダァ…」
そしてサイテイーダは粉々になって消えた。めちゃくちゃだった街も元に戻った。
ギ「次はないからな!」
そう言ってギャラクシーも、ミィと同じように消えてしまった。
*
桜「椿ありがとう!守ってくれて」
椿「あんたも無事で良かったわ」
梅「ええな2人とも!次こそはやわ!」
無事な場所に避難していたであろうフーとスーも駆け寄ってきた。そして私の肩に飛び乗る。
ス「既にお前たちはトロピカルステッキを使えたノルか」
梅「桜は前からやけど、椿は今回が初めて、私はまだや」
椿「これ、トロピカルステッキって名前なん?」
フ「そうラフ。これで聖なるパワー、光のパワーで黒十字軍を倒すんだラフ」
桜「これで…」
手に握るトロピカルステッキは、ピンクの宝石がキラキラと輝いていた。
椿「ミィもギャラクシーも、見た目からしたらウチらと同世代ぐらいよな…」
桜「あー?」
椿と梅子と放課後、教室でお菓子を食べているとふと急に椿がそんなことを言い出した。
桜「そうやとしても、私らにそれなんか関係ある?」
椿「ウチらにそんな関係はないと思うけど、なんで黒十字軍なんかにいるんかなぁって。」
梅「たしかに。私ら今までプリキュアも黒十字軍も知らんかったもんな。やのになんで知ってて、しかも黒十字軍にいるんやろとは思う」
桜「……」
たしかに、と思う。黒十字軍は悪いやつらで、どうして私たちと同世代かもしれないミィとギャラクシーはそっち側ちいるんだろう。
桜「なんか事情はあるんちゃうかなぁ…」
椿、梅「……」
桜「ま、どんな事情があろうと、私らの街めちゃくちゃにすんのは悪いことやから戦うしかないけど」
椿「せやな!」
梅「うん!」
ミィとギャラクシーの話は終わり、私たちは机に広げたお菓子に手を伸ばす。
「あ、お菓子食っとるー!」
桜「むごっ、」
すると、いきなり誰かが教室に入ってきた。驚いた私はむせてしまった。
桜「ゴホッゴホッ…ちょ、待っ、死ぬ…!!」
椿「ちょ、大丈夫?」
椿が背中をさすってくれる。ようやく落ち着いた私は、ドアの方に視線を向ける。
桜「じ、仁…!」
仁「よお、長谷部、矢沢、梅子ちゃん」
桜「あんたのせいで死にかけたわ…」
ドアの前に立っていたのは、梅子の後ろの席の男子 田所仁だった。忘れ物でもしたのだろうか。
桜「銀ちゃんと比賀は?」
仁「さすがにここまで一緒ちゃうわ。俺1人」
梅「なに?忘れもん?」
仁「おー。体操服忘れてん」
そう言うと仁は、自分のロッカーから体操着を取ると教室を出て行った。それと同時にフーとスーが入ってくる。
フ「3人とも!」
ス「何かいるぞ!」
桜「また黒十字軍!?」
私がそう言うと、2人は少し険しい顔をした。そして周りに誰もいないことを確認すると、妖精の姿に戻る。
フ「ミィやギャラクシーのときより感じる気は小さいラフ」
ス「はっきり言って、スーたちも気付けたのが奇跡ノル」
桜「でもサイテイーダおらんで?」
フ「とりあえず変身ラフ!!」
桜「あ、はい!
行くで、2人とも!」
椿、梅「うん!」
プリマホをポケットから取り出し、空にかざす。
『プリキュア !フラワーシャワー・メイクアップ!!!』
「愛と希望を司る花!
キュアブロッサム!!」
「知性と勇気を司る花!
キュアフラワー!!」
「夢と自由を司る花!
キュアフルーティ!!」
桜「悪と浮気は、私たちが月に変わってお仕置きだっちゃ!」
ス「それは違う漫画様だ!!」
せっかく変身後の決めゼリフを考えたのに、人間に変身したスーにハリセンで頭を叩かれてしまった。痛い。
フ「と、とにかく、黒十字軍を探すラフ!」
ス「そうノル!サイテイーダが暴れ出す前に止めるノル!」
桜「分かってるて!ほら、あんたらは早よ安全なとこに隠れとき!」
そう言って私たちは、教室を飛び出した。
桜「黒十字軍探すゆーても…」
椿「あいつらがどこおるとか…」
梅「全く分からへん…」
とりあえず廊下を走って黒十字軍を探してみるものの、一向に見つからない。サイテイーダが暴れてる様子もない。
桜「フーとスーの勘違いちゃうんー?」
フ「失礼ラフ!」
ス「そんなことないノル!」
梅「でもめっちゃ感じる気小っちゃいってゆーてたやん」
フ「それはそうラフが…。ッ、あっちラフ!はやく行くラフ!!」
私の肩に乗るフーが廊下の奥を指差す。あそこにあるのは、図書室だ。
ス「いきなり気が大きくなったノル!あそこにいるノル!!」
椿に抱っこされてるスーも図書室を指差した。私たちはお互い頷き合い、図書室へ向かって走り出した。
*
桜「そこまでやで!黒十字軍!!」
勢いよく中に入ると、黒と白のスーツを着た男が背を向けて立っていた。この派手な格好は、黒十字軍のあいつらに違いない。
「ちょ、早いって。まだ帽子かぶってないんで、やり直してもらっていいですか?いいよって言うんで」
桜「ああ、はい」
私たちは一度廊下に出、合図をもらってからまた勢いよくドアを開ける。
桜「そこまでやで!黒十字軍!!」
「お前らがプリキュアか」
椿「お前らがプリキュアかと言われまして!」
梅「ということはあなたがミィでもギャラクシーでもないことを!」
桜「理解できるようになるまで成長したプリキュア 3日目の奴らです!」
決めポーズを決め、もうお決まりとなった流れのセリフを言う。むしろこれが決めゼリフでいいんじゃないだろうか。ダサいけど。やっぱ他の考えよう。
「俺はイニ。ミィとギャラクシーの仲間だ。」
イニはスペードをモチーフにした黒と白の例のスーツを着、同じ色合いの帽子をかぶり、また同じ色合いのアイマスクをしていた。中のシャツは、黄色だ。
イ「お前らサイテイーダがどうやって作られてるか知らんやろ」
桜「まあ、たしかに…」
イ「俺が教えたるわ」
そう言うとイニは、スーツの内ポケットからトランプを1枚取り出した。そしてそれを置いてあるホワイトボードに向けて放つ。
イ「目覚めろ、サイテイーダ。」
イニがそう言うと、ホワイトボードが光り出す。そしてメキメキと音を立てて巨大化し、手足が生えた。最後に、目付きの悪いいつも見てる顔が生まれる。
桜「サイテイーダ生まれ方こっわ!」
梅「R指定レベルやん!」
椿「2人ともそんなん言うてる場合ちゃうわ!来るで!!」
サイテイーダは手を大きく振り上げたあと、本棚を倒すように振り回す。私たちも慌てて地面を蹴り、攻撃を避ける。
そしてサイテイーダに高速パンチをお見舞いしてやるが、全て受け止められてしまう。
そのあと、フラワーとフルーティが同時に蹴りを入れようとするが、逆に足を掴まれて2人とも投げ飛ばされてしまった。
桜「フラワー!フルーティ!」
いつもより戦う場所が狭いため、無意識に行動を抑えてします。
イ「もしかして俺勝っちゃう?ミィとかギャラクシーより先にプリキュア潰せる?」
ニヤニヤしているイニを、キッと睨みつける。
梅「こんな狭いとこで戦わすとかずるいわ!」
イ「悪もんはずるするもんなんですぅー」
梅「腹立つー!」
フルーティが指をさして言うが、イニは気にした様子もなく舌を出して挑発してくる。
桜、椿「せーのっ!!」
フラワーとサイテイーダの腕を引っ張り、一気に背負い投げするような形でひっくり返す。
椿「ちょっとは痩せーやデブ!!」
桜「重いっちゅーねん!」
梅「そこはさすがに許してあげて!?」
大きな音を立てながら起き上がるサイテイーダ。フルーティは目を一度つぶって息を吸ったあと、カッと目を開ける。
梅「私だってトロピカルステッキ使いたいし!ブロッサムとフラワーの足引っ張るわけにはいかへんねん!!」
そう言って、フルーティが空中にスペードを描くとそれは黄色に輝き、先端にスペード型の黄色い宝石がついたトロピカルステッキが現れた。
ステッキについている円盤にプリマホをかざすと黄色の宝石が現れるので、それを円盤にセットする。
「夢を自由を司る花の憤怒!受けてみなさい!
プリキュア ・フリーダム・オートルソニック!!」
ステッキの先端から、超音波のような波動が出てサイテイーダを攻撃する。
「サイテイーダァァァ」
そしてサイテイーダは粉々になって消えてしまった。
梅「できた、私にも…!」
イ「くっそ!次は覚えとけよクソが!」
そう言ってイニも消えてしまい、めちゃくちゃになった図書室も元に戻った。
桜「今度 橋木環奈ちゃんのイベント行かへん?ってフーがゆーてた」
梅「え、なに。フー橋木環奈好きなん」
桜「橋木環奈は国宝レベルで可愛いと思うんやって。そんでイベント連れてってくれって」
椿「ただのおねだりやん。教師のくせに」
桜「それな」
なんやかんやで、今週の土曜日にある橋木環奈ちゃんのイベントにスーも加えた5人で行くことになった。
*
桜「おー、さすが1000年に1人の美少女」
梅「やっぱ人多いな」
椿「フーもスーも落ちんようにな」
私のカバンに入っているフーとスーに椿が声をかける。ピョコっと顔を出すと、嬉しそうに笑った。
フ「もうちょっとで環奈ちゃんに会えるラフ」
ス「橋木環奈ちゃんって誰だノル?」
梅「もしかしてスー!」
椿「知らんと来たん!?」
桜「そういえば説明すんの忘れてたかも…」
いやでもスーに橋木環奈ちゃんが誰かは聞かれてない。むしろ橋木環奈ちゃんを知らないとは思わないだろ。
フ「橋木環奈ちゃんとは、1000年に1人の美少女としてデビューした子ラフ。1000年に1人の美少女という名前に恥じない可愛さである環奈ちゃんは今人気No. 1女優ラフ」
桜「今日から僕は、出てたよな」
椿「あのドラマは良かった」
今日から僕は、とは賀久賢人くんと伊東健太郎くんが主演のドラマである。橋木環奈ちゃんは伊東健太郎くんの彼女役で出ていた。
梅「……ん?あれって…」
桜「どうしたん?梅子」
梅子が指差す方を見ると、そこにはよく知る3人組がいた。私は大きく手を振り、3人の名前を呼ぶ。
桜「銀ちゃーん!比賀ー!仁ー!」
銀太と比賀と仁だ。
梅「あんたらも来てたんやな」
銀「仁が環奈ちゃん環奈ちゃんってうっさいから」
夏「俺らは付き添いやわ」
仁「銀ちゃんもなっちゃんも俺のこと大好きやもんな」
銀、夏「……」
仁「無視よくない」
どうやら銀太と比賀は、橋木環奈ちゃんのことが好きな仁に連れられて来たらしい。
偶然にも程があるだろう。こんなとこでこいつらと会うなんて思ってもなかった。何かと縁があるらしい、私たちとこの3人は。
桜「橋木環奈ちゃんに会えんのめっちゃ楽しみやわあ」
夏「橋木環奈かわいいもんな、長谷部と違って」
桜「どういう意味かな?比賀夏己クン」
夏「まあそーゆーこと」
桜「いや意味分からんっちゅーねん」
桜「今度 橋本環菜ちゃんのイベント行かへん?ってフーがゆーてた」
梅「え、なに。フー橋木環菜好きなん」
桜「橋木環菜は国宝レベルで可愛いと思うんやって。そんでイベント連れてってくれって」
椿「ただのおねだりやん。教師のくせに」
桜「それな」
なんやかんやで、今週の土曜日にある橋木環菜ちゃんのイベントにスーも加えた5人で行くことになった。
*
桜「おー、さすが1000年に1人の美少女」
梅「やっぱ人多いな」
椿「フーもスーも落ちんようにな」
私のカバンに入っているフーとスーに椿が声をかける。ピョコっと顔を出すと、嬉しそうに笑った。
フ「もうちょっとで環菜ちゃんに会えるラフ」
ス「橋本環菜ちゃんって誰だノル?」
梅「もしかしてスー!」
椿「知らんと来たん!?」
桜「そういえば説明すんの忘れてたかも…」
いやでもスーに橋本環菜ちゃんが誰かは聞かれてない。むしろこの世に橋本環菜ちゃんを知らない奴がいるとは思わないだろ。
フ「橋本環菜ちゃんとは、1000年に1人の美少女としてデビューした子ラフ。1000年に1人の美少女という名前に恥じない可愛さである環菜ちゃんは今人気No. 1女優ラフ」
桜「“明日から俺は”に出てたよな」
椿「あのドラマは良かった」
今日から僕は、とは賀久賢人くんと伊東健太郎くんが主演のドラマである。環菜ちゃんは伊東健太郎くんの彼女役で出ていた。
梅「……ん?あれって…」
桜「どうしたん?梅子」
梅子が指差す方を見ると、そこにはよく知る3人組がいた。私は大きく手を振り、3人の名前を呼ぶ。
桜「銀ちゃーん!比賀ー!仁ー!」
銀太と比賀と仁だ。
梅「あんたらも来てたんやな」
銀「仁が環菜ちゃん環菜ちゃんってうっさいから」
椿「夏己も環菜ちゃん好きやっけ?」
夏「俺らは付き添いやわ」
仁「銀ちゃんもなっちゃんも俺のこと大好きやもんな」
銀、夏「……」
仁「無視よくない」
どうやら、橋本環菜ちゃんのファンである仁に銀河と比賀が付き合わされているらしい。なんだこいつら、仲良しかよ。
*
橋「皆さん!今日は私のために来てくださってありがとうございます!」
ステージで橋本環菜ちゃんが笑顔で挨拶をすると、会場は一気に歓声に包まれた。スポットライトに照らされる彼女は、1000に1人の美少女という名の通りかわいい。
フ「環菜ちゃんかわいいラフー!!」
フーもナマ橋本環菜ちゃんに大興奮だ。
楽しい時間はあっと言う間に過ぎ、あと少しで終わる時間となってしまった。
橋「皆さん、今日は本当にありがとうございました!皆さんの笑顔が見れて、元気が出ました!」
環菜ちゃんが頭を下げると、会場の電気がいきなり消えた。それに騒めく会場。
フ「桜!」
ス「なんかいるノル!」
桜「もしかして…!」
フ「急いで変身するラフ!」
桜「行くで、2人とも!」
椿、梅「うん!」
行くで2人とも、とは言ったものの、こんなに大勢の人がいるなかで変身はできないので、慌てるお客さんに声をかけるスタッフさんを避けながら会場を出る。
桜「トイレで変身って…」
梅「なんか示しつかんなぁ…」
椿「そんなんゆーてる場合ちゃうわ!」
私たちはトイレに来ていた。誰もいないのを確認してから、プリマホを空にかざす。
『プリキュア !フラワーシャワー・メイクアップ!!!』
「愛と希望を司る花!
キュアブロッサム!!」
「知性と勇気を司る花!
キュアフラワー!!」
「夢と自由を司る花!
キュアフルーティ!!」
フ「我ら!橋本環菜ちゃん親衛隊ラフ!!」
ス「お前たちはプリキュアだろ!!」
フーも入れてポーズを決めていると、毎度のおなじみのように人間に変身したスーにハリセンで叩かれてしまった。
桜「よっしゃ!じゃあ行きますか!」
椿、梅「うん!」
*
「サイテイーダァァァ」
ギ「今日は3対3かよ〜」
ミ「初めてやん」
イ「まあ俺らが3人揃ったら無敵やん。プリキュアも今日で終わりや」
ギ、ミ「……」
イ「無視やめて!!?」
桜「なっ…!」
会場に戻ると、照明のサイテイーダが暴れ出していた。そしてステージの上で、ミィ、ギャラクシー、イニがその様子を見ている。
桜「やっぱあんたらなんやな!!」
ミ「そういえば俺らのこと教えてなかったな」
椿「はあ?」
ギ「俺らはヴィランズ・トランプ」
イ「まあ簡単に言えばお前らの男版で、お前らが正義なら俺らは悪ってことやな」
椿「どういう、こと…?」
3人の言ってる意味が分からない。
私たちの男版で、私たちが正義なら3人は悪?
私たちの男版ってのが分からんわ。
ミ「まあ細かいことはええやんけ。」
ギ「せやな」
イ「いっちょやりますか」
そう言うとミィは私に、ギャラクシーはフラワーに、イニはフルーティにめがけて攻撃を繰り出してきた。それをどうにかして防ぐ私たち。
桜「次はこっちからやで」
椿「……」
梅「どうしたん?フラワー」
椿「…ううん、なんでもない」