匿名板で小説書きたいのです

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1:匿名:2015/08/06(木) 22:48

つい建てたけど……まだまとまった考えを持っている訳ではないです。
何か案がある方、コメントお願いします。決まり次第気楽にばんばん書きたいです。
※注:自分の文才を上げるためでもあるので、下手くそでもよろしくお願いします。

54:匿名 age:2015/09/05(土) 23:15

 そして、ユミはふらりふらりと歩き始めた。
「ちょっと!こんな速さじゃ……」
サファイアが言いかけた時。
突然ユミが一気に加速し出した。
サファイアは驚き、言葉を失ってユミの足を見る。その足は、凄まじい速さで動いていた。
「どう?マーガレット!速いでしょう?」
「______!!!!」
サファイアは声も出せず、ユミの背中に必死でしがみついた。
馬の何倍も速い。ユミの速度は、最早人間とは言えないものだった。
「このまま行くから」
ユミは言った。
「待っ___」
サファイアが叫ぶよりも早く、ユミは更に加速する。サファイアは諦め、舌を噛まない様にと黙った。

サファイアが何とか横を向くと、景色はどんどん変わっていた。ビュン、ビュンと風を切る音が、耳元で鳴り響く。
一体いつまで続くのかと、サファイアはユミの背にしがみつきながら、遠くなりそうな意識の中、思った。先程から15分程度が経っていたが、ユミの速度は一向に落ちない。
もう、限界。
サファイアの頭が真っ白になりかけた時。
ふいに、風を切る音が止んだ。
「……よし。マーガレット、町はもうすぐそこだよ」
「………え?」
ユミの声で、サファイアはゆっくり顔を上げる。いつの間にかユミは立ち止まって、満足気に前方を眺めていた。
「ほら。あれが町」
サファイアがユミの指差す方に目をやると、少し遠くに町が見えた。
「うわぁ………」
サファイアは思わず感嘆の声を漏らす。
「結構、着くのは早かったでしょう」
ユミは言った。
「うん……って言うか!あの速さ、何?!!」
頷きかけたサファイアは、慌てて訊ねる。
「『レットゾーン』の事?…あれはわたしが、墓場歩きになったのと引き換えに手に入れたもの。神、仂乘の脚力」
「神??ろ、ろくの??」
淡々と答えるユミの言葉は難しくて、サファイアの頭からは疑問が完全には消えなかった。更に疑問をぶつけようとしたが、ユミの言葉の方が先だった。
「ここからだったらあの町、ミランテスまでは歩いてすぐ。だから行こう、マーガレット」

55:匿名 age:2015/09/07(月) 22:19

{4}
「この町なら、食べ物が買える」
町の出入り口前に来てすぐに、ユミは言った。真上にはそこそこ大きな門が建つ。
「そりゃあ、町だもんね」
サファイアは平然と言い返す。
「それにしても、ごく普通の町だねぇ」
続けてこう呑気な感想を述べた。ユミが鼻を鳴らす。
「そうかもね…。で?何を買うつもりなの?」
サファイアは即答した。
「焼き菓子!」
「やきがし??」
ユミが不思議そうに聞き返す。
「え?!焼き菓子知らないの!!?」
サファイアは逆に驚いて叫んだ。ユミはこくりと頷き、更に訊ねる。
「それは、西地方の物?」
「うん。…ああ、そうか。ユミは東地方の人っぽい感じだもんね。焼き菓子は、西地方のお菓子。すっごく美味しいんだよ!!」
「へぇ。自分の事は全然思い出せないくせに、そういう事には詳しいの…」
顔を輝かせて説明するサファイアに、ユミは半ば呆れた顔で呟いた。
「何でだろうね?」
サファイアは再び呑気そうな顔を作って、町の出入り口の門を潜る。そしてユミを振り返り、言った。
「ユミ、行こう!」
「全く………」
ユミはやれやれと首を横に振り、駆け出すサファイアの背中を見つめた。

56:匿名 age:2015/09/09(水) 22:50

 ミランテスの町は、そこそこ賑わっていた。何もかもが平凡な造りの町だ。大通を挟んで、両側に家や店が建ち並んでいる。
しかしミランテスには、他の平凡な町とは明らかに違う、大きな特徴がある。それは、この町を外から見ただけでは到底気付く事が出来ないものであった。

出入り口の門を潜ってすぐに走り出したサファイアだったが、20歩程進むとふいに立ち止った。そしてゆっくりと空を見上げる。
「うわぁ……綺麗だなぁ……」
青空が広がっていた。金に輝く太陽も昇っている。それらを見たサファイアは、思わず感嘆の声を漏らしていた。
「どうしたの?」
ユミが後ろから、のんびりとした足取りで追い付いて来た。そして突っ立っているサファイアに声をかける。サファイアは前を向いたまま答えた。
「ううん、何でもない。ただ、この町は空が綺麗だなぁって思って」
ユミは苦笑する。
「さっきまで『平凡な町』って言ってたくせに」
サファイアも苦笑いになり、ユミに訊ねた。
「えへへ…。ねぇ、焼き菓子の店ってどこにあるの?」
ユミは首を横に振る。
「知らない。わたしは一度しかここに来ていないもの。…ちょっと待ってて。今聞いてくるね」
そう言って、すぐ近くの店に入っていった。
今度はサファイアがその背中を見送る番だった。

57:匿名:2015/09/09(水) 23:17

乗っ取られるに1000ペリカ

58:匿名 age:2015/09/09(水) 23:36

>>57
概要を頼む。

59:匿名:2015/09/09(水) 23:50

「あっやっべ!!! 右腕が疼いてきたわ! やっべ!!」
「はっ!? どうしたんだ急に!!」

 ユミが店へと進む歩を止め、脚を抑え始めた。

「いやさ、わたしの右脚に眠ってた虚龍(ヴィディバインメント・ドラゴン)が暴れ出したんDA」
「ファッ!? お前中二病みたいなこと言ってんじゃねーよ」
「ううっ!! 疼く!! 疼くぜ!! やばい、もう出る」

 そう言った彼女の右腕からじわじわと蛆虫が湧いて出てきた。

「おい! 蛆虫じゃねーかそれ!!!」
「ヤベェ……包帯巻いてたら脚が壊死してたわ……」
「キメェよ!」

 サファイアは涙を流した。

60:匿名:2015/09/09(水) 23:58

すると、一人の医者学園現れた。

名前 ルビー・エメラルディア

種族 闘

属性 天

性別 女

詳細 医者の高校生。天然派ドジ少女。

61:匿名:2015/09/09(水) 23:59

誤りがありました。

学園はいりませんでした。

62:匿名:2015/09/10(木) 00:08

「壊死した腕を直してやんよ」

 ルビーはおもむろに注射器を取り出した。

「それで治るのか?」
「さあ?」
「ファッ!!?」

 逃げようとしたユミに注射器が迫る。

「う、うわああぁぁぁぁああああ」
「ゆ、ユミェ……」

 サファイアはユミの後姿を恋い焦がれる乙女のような目で追いかけた。
 逃げるユミを有り得ない速さで捕まえたルビー。

「た、助けてく……れ」
「ほ〜ら、逃げるな逃げるな……あっ」

 ユミが勢い余って注射針を胸に突き刺した。

「やばい、心臓とかに刺さったかも」
「ファッ!!!??」
「てへぺろ」

 サファイアは涙を流した。

63:匿名:2015/09/10(木) 00:10

サファイア「………。」ドクン!

サファイアの能力の火が体の痛みを喰い尽くし、呪いが解け、痛みがとれた。

サファイア「……。フフフ…。よくも、殺ったね。」

64:匿名:2015/09/10(木) 00:10

「オエエエエエッ!!」
「どうした、サファイア!!」
「なんか突然吐き気が!!」
「そうか、ならこれだ!!」
「なんだこれは!!?」
「ルビーの死体だ!!」
「いつの間に死んでたんだってばよ!!」
「いいから食え!!」

 サファイアは涙と胃液を流した。

65:匿名 age:2015/09/11(金) 22:02

「えっと、うーんっと…じゃあそこの『砂糖焼き』で!」
「はいはい」
親切な人の案内により、ユミとサファイアはようやく焼き菓子の店に入る事ができた。
ユミはずらりと並ぶ焼き菓子に圧倒されながら、店の端でサファイアを待っていた。そのサファイアと言えば、先程から何を買おうかと迷っていたが、今ようやく決めたようだ。元気良く店員に注文する。
「にしても……」
店員は、サファイアが注文した焼き菓子を袋に詰めながら、不思議そうにユミとサファイアを交互に見た。
「?」
ユミとサファイアも店員の顔を見る。
「君達、ずいぶんとおかしな組み合わせだねぇ」
店員は言った。ユミはうっと押し黙り、サファイアはまだ意味が分からずに首をかしげる。
「どこが?」
「どこがって……白黒じゃないか」
そういえば、とサファイアは自分とユミを見比べ、頷いた。
「姉妹?」
店員の質問に、ユミはぶんぶんと首を横に振って否定する。店員はやっぱり変な組み合わせだな、と呟き、サファイアに焼き菓子の袋を渡した。
「はい、ありがとうございました」

焼き菓子が手に入ったサファイアは上機嫌で、不本意な勘違いをされたユミはやや不機嫌で焼き菓子の店を出たのだった。

66:匿名 age:2015/09/14(月) 21:18

>>56

67:匿名 age:2015/09/14(月) 21:20

>>55>>54>>53

68:匿名 age:2015/09/14(月) 23:06

 そして、ユミとサファイアは再びこの墓場へと戻って来た。
ミランテスの町からここまではもちろん、ユミがサファイアを背負って走ってきたのだ。再びあの『レットゾーン』を体験したおかげで、サファイアは墓場に着いた途端地面に倒れ込み、しばらくは頭がぼうっとして何も考えられなくなったのだった。

「マーガレット!マーガレット!」
そんな事があったので今、ユミは意識が朦朧とした状態のサファイアを介抱するはめになっていた。墓石の一つに寄り掛かって、サファイアはぐったりとしている。目線は宙をさ迷い、上半身はふらふらと力無く左右に揺れていた。ユミはその額を撫でて、懸命に話しかける。
「マーガレット!!ねえってば!!」
ユミが叫びながらサファイアの肩を揺らしていた時だ。
「ぐぅっ……ううっ……」
突然、サファイアがうめき始めた。目は変わらず虚ろだったが、額には大粒の汗が浮かんでいる。ユミは訳が分からず、呆然としていた。サファイアが身をよじって苦しみ、声を漏らす。
「あ……あ、ない………」
「ない?」
「いやぁあああああああああ!!!」
ユミが思わず聞き返した。するとサファイアは激しく暴れ出した、足をじたばたと上下させ、ユミを勢い良く蹴っ飛ばす。
「______がっ?!!」
ユミは1メートル程後ろまで吹っ飛んで、墓石に背中を叩き付けられた。
「痛………」
何とか身を起こし、ユミは自分の体を確認する。どうやら骨は折れていないようだ。そのまま正面に顔を向けると、サファイアもよろよろと立ち上がっているところだった。
「はあっ、はあっ……」
ユミは荒く息をし、サファイアに近付こうとする。途端サファイアは絶叫した。
「いやあああああああぁぁっ!!!お母さん、お父さん!!!」
一瞬耳がキーンと鳴り、ユミは何も聞く事が出来なくなった。サファイアは泣き出す。
「ない……ない…、みんな……爆弾が……あ、あ……いや……」
そして再び絶叫した。
「いやぁぁぁああああああっ!!!」

69:匿名 age:2015/09/14(月) 23:10

あ、間違い!
×墓石に背中を叩き付けられた
o背中を墓石に叩き付けられた

70:匿名 age:2015/09/16(水) 23:16

{5}
 しばらくして、サファイアの絶叫は聞こえなくなった。ユミは、ずっと耳を塞ぎうずくまっていた。だがふいに顔を上げて、サファイアの方に目をやる。サファイアは立ったまま目を擦り、すすり泣いていた。
「ひっく…ひっく……」
ユミは今度こそ立ち上がった。少しの間サファイアの様子を見ていたが、暴れ出す気配が無いと分かると、そのまま近付いていく。そしてサファイアとの距離が五歩程になった時、立ち止まった。
「マーガレット」
優しく話しかける。サファイアはゆっくりと首を横に振った。
「いや……怖い、怖い……」
ユミは言葉を続ける。
「怖くないよ。落ち着いて」
サファイアが顔を上げた。
「だって……兵隊が…みんな……」
その目は泣きはらして赤く、まだ大粒の涙が溜まっている。
「そっか……」
ユミは、そっとサファイアの顔に手を伸ばした。サファイアがびくっとのけぞる。ユミは指で、サファイアの目に溜まった涙を拭うと言った。
「怖かったね……辛かったよね……。大丈夫、大丈夫」
そして、にっこりと笑う。
「泣かないで。笑って」
サファイアの目から、堪えようとしていた涙が一気に溢れ出す。
「…………ひっく」
気持ちとは反対に、涙は止まらない。とうとうサファイアは、顔を手で覆って泣き出し始めた。
「うわぁぁあああん!!…ケホッ、ケホッ!!うぇぇええん!!」
ユミはそんなサファイアの頭を撫でて、落ち着かせようと唄を歌い始める。
「花はー、命儚し 瞬く間に、お前は枯れる 花よ、花よ 枯れないでおくれ ああ どうか 泣かないで」

墓場にはサファイアの泣き声と、ユミの歌声がしばらく響いていた。

71:匿名 age:2015/09/19(土) 22:40

ごめんなさい
明日更新する

72:匿名 age:2015/09/20(日) 23:30

 泣き疲れたのか、サファイアはいつの間にか墓石に寄りかかって寝息をたてていた。ユミはそんなサファイアの額を撫でる。
「マーガレット。戦は嫌なものだね」
そう呟いた。

「おいしい!やっぱり、焼き菓子って最高!」
一時間後、目を覚ましたサファイアは何事もなかったかの様に焼き菓子を頬張っていた。『レットゾーン』の時、吐き気に耐えながら守り抜いた焼き菓子だ。おいしさもやはり格別である。
「ねえ……マーガレット。本当にさっきの事、覚えてないの?」
ユミは信じられないといった顔で、これで三度目となる質問をサファイアにしてくる。
「うん?何にも。レットゾーンの途中までは覚えてるんだけど……」
サファイアは正直に同じ答えを返した。
「あのマーガレットの暴れ様は凄かったよ?絶叫してたし、何かぶつぶつ言ってたし……」
ユミは引き下がらない。サファイアは、ぽかんとした表情で目の前に立つユミを見上げた。
「本当に覚えてないよ?」
その目を見れば、嘘を言っていない事ぐらいは分かる。それでもユミには信じられなかった。
「一体あなたは何者なの………」
焼き菓子を食べる事を再開したサファイアを見下ろして、ユミは呟いた。
「あの焼き菓子のお店いいね!また行こうよ、ユミ!」
この墓場に泊まるのは一夜限りと言ったはずなのに、サファイアは満足そうに頷いていた。

73:匿名 age:2015/09/23(水) 23:01

 結局ユミは、サファイアを居候させる時間を次の墓場に移動するまでに引き延ばす事にした。
サファイアのあんな状態を見たら、中々外に追い出す訳にはいかないし、何よりサファイアも墓場に泊まるのは一晩だけ、と約束した事をすっかり忘れているらしいのだ。
そのためユミは、居候させる代わりねとサファイアに言って、墓場歩きの仕事を手伝わせる事にした。

翌日の朝。ユミとサファイアは昨日とは反対側の位置の墓石を掘り返していた。
「ユミ!ここ固ーい!掘り返すの手伝って!」
ユミと離れ、しばらく一人で頑張っていたサファイアだったが、そろそろ体力に限界がきてしまっていた。ユミに向けて手を降り、助けを求める。ユミは分かった、と返事をすると、サファイアを手伝い始めた。二人で一つのシャベルに、めいいっぱい力を入れて踏ん張る。
「___っ!!もうっ!……確かに固い」
ユミは乾燥してかちかちに固まった地面を睨み付けた。サファイアは言う。
「もう少しで割れると思うよ!よし!ユミ、もう一踏ん張りしよう!」
ユミは頷いた。同時にシャベルに体重をかけてみようという事になり、サファイアがかけ声を出す。
「いくよ!!いっせーの、せっ!!」
ユミとサファイアは同時にシャベルに身を任せた。ぎちっ、ぎちっと地面がなる。ユミは更に体重を乗せるため、空を見上げた。
もうすぐ昼になりそうだというのに、墓場の空は灰色に濁り、辺りは薄暗い。そんな空を見上げていたユミは、ふと思い出してシャベルから手を離した。
突然片方が軽くなり、サファイアはたまらず後ろにひっくり返る。
「うわっ、痛っ!!……ちょっとユミ!!」
抗議の声をあげかけたサファイアを見下ろし、ユミは訊ねた。
「そう言えばもう昼になるけど。お腹は空いていないの?」
サファイアは腰を擦りながら立ち上がり、ユミの質問にきょとんとする。
「え?ううん。全然」
ユミは不思議そうに首をかしげた。
「変ね。普通の人間ならとっくに空腹になってるはずなのに」
昨日はあんなに空腹を訴えていたサファイアだったのだが、今はぴんぴんとしている。
そんなユミの心配にはお構いなしで、サファイアは少し土のついた顔をユミに向けてきた。
「さあ、ユミ!!続きを掘ろうよ!」

74:匿名 age:2015/09/27(日) 23:19

すみません。明日更新する

75:匿名 age:2015/09/28(月) 20:20

「お…腹、減った……」
その日の昼、唐突にサファイアは呟いた。
丁度、十個程の墓石を例の森に移動させ、ユミと休憩していた時の事だ。
「え?何?」
サファイアの後ろに立ち、木に寄りかかって寛いでいたユミが、聞き返してくる。
「お腹が…減ったの……」
サファイアはもう一度弱々しく繰り返した。
「え?だって、さっきまで全然お腹減ってないって……」
ぐううううぅっ、とサファイアのお腹が鳴った。ユミが不思議そうに言いかけたのと同時だった。
「………ね?」
サファイアはユミを振り向く。ユミは小さくため息をついて言った。
「もう………。お金は?まだある?」
サファイアは頷く。ユミが膝を折って体制を低くし、サファイアに背に乗るようにと言った。サファイアはユミの背に飛び乗る。
「それじゃあ、ミランテスに行くよ」
ユミがゆっくりと歩き出した。だが、すぐにサファイアはそれを止める。
「あっ…ち、ちょっと待って!」
「どうしたの?」
ユミが足を止め、顔だけこちらを振り向いた。サファイアはおずおずと言う。
「あのね……レットゾーンの時は
その、気持ち悪くなっちゃうから、眠ってたいんだ……。だから、何か唄ってくれない?」
ユミは何だ、と小さく息を吐いた。
「じゃあ、森を抜けるまでね」
そして再びゆっくりと歩き出す。レットゾーンは、しなかった。ユミは歌い始める。
「花はー、命儚し 瞬く間に、お前は枯れる」
サファイアは何だか安心した気持ちになり、ゆっくりと目を閉じた。

ものの15分も経たない内に、サファイアはユミの背中で寝息をたてていた。
「お前に会いたい お前に会いたい……儚き命を示し 開く花よ、雪原のー中で、お前は 短い命を終える……」
幽霊の様な森の中、ユミの歌声だけが響く。

76:匿名 age:2015/10/04(日) 22:55

{6}
 ミランテスの町には特に問題なく辿り着けた。
レットゾーンの途中はユミの背中ですやすやと寝ていたため、今回のサファイアはいかんせん元気だった。
ユミの背中から降りた途端、サファイアが大声で空腹を訴えてくるので、二人は早速この間の焼き菓子の店に入り、そこでサファイアがクリーム入りの焼き菓子を買った。

「いやー、おいしい!」
ユミとサファイアは今、町の大通りを歩いている。サファイアは出来立ての焼き菓子を頬張りながらだ。ユミがその様子をを見て、あきれた様に言う。
「歩きながら食べると、こぼすよ」
「まあまあ。大丈夫だって!」
サファイアがユミを見上げて笑い、角を曲がった時だ。
わああああっ!!と、角の先から突然の歓声が響き渡った。
「わっ?!」
サファイアはその歓声の大きさに驚き、危うく焼き菓子を落としそうになった。ユミとサファイアが前方へと目をやると、二人が立つ所よりもすこし先に、結構な人だかりが見えた。何かを囲む様にしてできている。
「な、何?!あの人だかり・・・」
サファイアはユミを見上げる。ユミは行ってみようと呟き、その人だかりに向かって走り出した。サファイアも興味深々にそれに続く。


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