薔薇の砂糖菓子

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203:ラティア◆/s:2020/01/25(土) 12:16

「もしもし」
彼のお父さんが電話に出てから数十秒、聞き慣れた声がした。電話のときに声が変わると聞くけど、最近はむしろこの声がしっくりくるようになった。
今日学校であった、本当に何気ない話だって彼は聞いてくれる。俺もまた、彼の会社であった何気ない話を聞く。無意味といえば無意味だし、長電話なんてお互い両親に迷惑をかけている。でも、この時間が俺は好きなんだと思う。

「どうしたの?」
突如黙り込んだ彼に尋ねた。そして、返ってきた言葉。

「おまえ、はさ……戻りたいって、思うのか?」

心がざわついた。あぁ今あれ見てるんだ、なんてやけに冷静に考える俺もいて。ただ、俺は……
「どうだろうね。いろいろ考えるとさ、やっぱり駄目かなって思う。だけど……」
これは紛れもない本心。俺はもう必要ないんだって、直接言われたわけじゃないけど分かってた。だからフェードアウトした。だけど、それだけど。かつての仲間がふと目に入ると、それがひどく眩しくて、羨ましくて。

「そういう自分はどうなの?」
「俺も同じかな」
あの場所、似合ってると思うけどな。かっこいいし、上手だし。そんなことは当然言えるわけもなくて、そうなの、だなんて呑気に言って本心は胸の奥底にしまい込む。
また下らない話をしばらくして、受話器を置いた。

きっと彼も俺も、あの場所に戻りたい。ただ、俺たちはもう離れてしまった。きっともう二度と戻れない。それでも、同じ輝きを、そして同じ痛みを共有した俺たちが未だに連絡をとっている、だなんて未練がましくて笑えてくる。
机に向かっても、課題は一切手につかない。何度となく聴いた曲をウォークマンで流すと、勝手に身体が動いた。

後に長い長い付き合いになる「あいつ」に、そして彼に。またあの場所で出会う日まで、あとしばらく。


ラティア◆/s:2020/02/13(木) 23:05 [返信]

うーんTメインで>>201とか>>203みたいなの書こうとしたけど難しいな


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