アイン・ソフ・オウル 〜Riging sun curiosity〜

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1:名を捨てし者:2017/02/01(水) 18:16

Episode 1

人は誰でも幸せになりたがっている。


人が幸せになりたい思うのはごく自然なこと、幸せは人それぞれ違うものだが自分の人生をより良くしたいと言う点は共通するだろう。


そして俺は特にその思いが強いと自覚している。俺だけは幸せに生きて幸せに死んでやる。
人生は一度だけ、二度目はない。だからハッピーエンドで終わりたい、後悔とかしたくない、バッドエンドは見たくない。
最後の瞬間に『ああ、よかったな』と、そう思える終わりかた、それが俺の考える最高の人生ってヤツ。


俺がそう思うようになったのは俺の親族や近所の人に幸せなヤツがいないから、例を挙げると過労死、自己破産、離婚、詐欺、それに一家心中ととにかく幸せなヤツがいない。かくいう俺も2週間前に自宅が全焼してるし。


「やっぱ呪われてるんだな」
自嘲気味に呟き、目の前の空き地へと視線を向ける。


ここに2週間前までは家があったとは思えないほどきれいな空き地。季節が冬と言うこともあって雑草の類いはそれほど生えていない、そのせいで捨てられたゴミがよく目立つ。


なんか腹が立ってきた、今は空き地とは言え元は俺の家、勝手にゴミを捨てるな。
俺としては今すぐ拾って綺麗にしたいのだがゴミ袋は無いし、近くにゴミ箱も無い。それにそろそろ呼び出しがある頃合いだ。


「正午か……そろそろだな」


スマホの地図でここからあいつの学校までの最短ルートを確認する。あいつの学校は女子校だ。男の俺には無縁な場所、普段女子校なんて行かないから道はちゃんと調べておく、道に迷って無駄に体力を消耗する事だけは避けたいし。
見たところ最短のルートはアップダウンも少なそうで走りやすそうじゃないか。
とそんな事を思っていたらメールの着信音が鳴った、時刻は12時3分、予想通りだ。


メールの内容は『星学の校門前に今すぐ来い』


「了解っ」


俺はすぐスマホの電源を切ってジャージのポケットに突っ込む、靴紐をチェックし軽くストレッチ、どこかで鳴ったクラクションを合図に走り出した。別に走るのが得意とか好きと言うわけではない、なんとなく走りたいから走っているのだ。


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