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129:エンジュ◆6E:2022/08/04(木) 12:02

伝承

まだ町ではなかったころ、付近で戦が起こり田畑が荒れ、人々は飢えに苦しんでいた。
そんな中、ある若者が山奥まで食べ物を探していたところ、人の言葉を理解する大きな蛇にであった。
人を丸飲みできるほどの大きなそれは、出会った痩せ細った人間を愁い、自身が脱皮した皮を喰らうと良いと提案する。
人は脱皮を繰り返す大蛇のその皮を食べながら飢えを凌いでいたが、余裕ができると欲が生まれ、もっと欲しがるようになった。
ある愚かなる者が山奥の大蛇に会いに行くと、「人々が流行り病に罹って体力を付けなければならない、だから皮をもっとおくれ」と言いった。
まだ脱皮の時期ではないが、哀れに思った大蛇はその者に、その巨大な肉体を刃物で削いで食べさせてやれと言い、恵んでやったが、後にそれが嘘であることに気づく。
人々はその愚か者を大蛇に食べさせ、削いだ血肉を再生させたが、心の傷が癒えなかった大蛇は、姿を消した。大蛇が住処にしていた穴は血まみれであった。
再び飢えに苦しみ始めた人々は、自分達の強欲さを恥じ、愚かな行いと、人を信じその身すら恵んでくれた大蛇を忘れまいと住処の大穴に社を建てた。

記録、仮説

町の近くのより大きな町の記録だと伝承で書かれている戦とは、武士同士の戦いではなく、農作不足による村人同士の争いとされているが、そもそも争ったこともないとするものもある。
大きな大蛇とは比喩であり、山奥の獣を生態系を壊すほど乱獲したのではないかと。
大蛇を騙すために流行り病に罹ったとしているが、実際に記録ではその地域で衰弱した人間が多く出てた。しかしその周囲では同時期に病と思わしきものは流行していない。
伝承で社が立ってからは他の地域が混乱する時期でも安定しており、それはこの伝承を教訓とした独自の活動によるものと推測される。

事実

大蛇は生き物の霊力を吸って巨大化する怪異である。
伝承の戦とは記録や仮説のような人間同士の争いではなく、この怪異と人との争いである。
山奥を住処とし、飢えて食べに来たのは蛇の方であり、大蛇が地を進むだけで村が荒れた。
大蛇は村の人間を生かさず殺さず、食料として飼うことを思いつき、村に呪いをかけた、それが記録での衰弱の原因。
大蛇の肉を削いだとする愚か者は、大蛇討伐をしようとした強い霊力を持つ巫女であり、大蛇はその肉体を失い、霊魂だけの存在となるまで追い込まれる。
しかし霊魂だけとなった大蛇は呪いを強め、人々はよりいっそう苦しめられる。そこで巫女は霊魂すらも消滅させようと大蛇を探すが、人々に裏切られる。
大蛇に巫女を差し出し、霊魂が尽きぬように祀れば、呪いの解除とここ一帯の守護を約束しようと。
もしも反逆の意思を示すならば、この大蛇の呪力を以て人々全員と心中すると。

祭りの内容
脱皮した皮を与えたことから、いらなくなった衣服などを譲りあう習慣
今でいうフリーマーケットのようなものが中心であり、そのなかでも引き取りてがでなかったものは集められ
大蛇の供物として供養してから処分する。


◆lIlJ.:2022/08/04(木) 21:43 [返信]

こういう設定はどうだろう?

巫女を裏切ったのは巫女の一族の者で、一族の中でも特に強大な霊力を持つ巫女を恐れていた。
そんな時、近くの村に大蛇の怪異が現れたという噂を耳にし“巫女と大蛇を戦わせ共倒れさせる”という計画を思い付く、しかし巫女は大蛇を圧倒しあと一歩で消滅というところまで追い詰めてしまう。
このままではまずいと思った、弓矢で背後から射られた巫女は自らを裏切った一族を末代まで呪いながら怪異と一体となった。
巫女と大蛇は後に蛇穴と呼ばれることになる場所に封印される。

その後、巫女と怪異の復讐を恐れて巫女の一族は蛇より強い生き物である角鷹(くまたか)へと姓を改めた。
巫女を射た弓矢は今も角鷹家の家宝として保管されている。


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