文才上げるために書く短編集 (失踪する可能性あり)

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19:ムクロ:2015/11/15(日) 22:41 ID:3uI

>>18の続きです
___________

あの汚らわしいものを見るような目から、優しい目付きへ。

「僕はアルカロイド」
「さっき聞いた。毒だっけか?」
「そう、毒。天使なのにね。僕は落ちこぼれ。落ちこぼれの天使は、他の天使たちを道連れにしようとする毒なんだ」

そうか。だから優しい目に変わったんだ。
同類だと思って。同情して。傷を舐め合おうとして。
ムカつく。

「やっぱムカつく!!お前なんなんだよ!!あんなに凄い魔術を呪文無しで使ってオレを同類と見るなよ!!最低だ!!」
「なっ……ぼ、僕は落ちこぼれなんだ!!それに、今僕は君の願いを__」
「うっせえ、お前のどこが落ちこぼれなんだよ!!」

アルカロイドは自分の翼を撫でた。
あぁ、あの翼か。
あの歪な翼が落ちこぼれの原因なのか。

「落ちこぼれというより、ただの偏見さ。翼が歪な天使は悪魔。その考えが悪魔だと言うのに。君が僕の翼を引っ張ったとき、昔のいじめを思い出してね」

____だから発狂したんだ。

周りの人々の叫び声が煩い。
けど、小さい声でもアルカロイドの声は聞こえた。

「気づけば天界から落とされ、あの枯れ井戸の中にいた。君の投げ捨てた丸めてあった羊皮紙を見て、君のことを知った」
「同じ落ちこぼれだと思ったのか?なのにあんな……まぁ、それはいい。翼が歪でも、あんな魔術を使えるんだから、お前って凄いんじゃないのか?落ちこぼれじゃないんじゃ__」
「君も分かるだろ?今君に浴びせられている声は、僕も浴びせられた。ああいうやつらは嫌いだ。だから今報復してやるのさ。君に僕の全ての力を捧げる」

つき出された右手からどす黒い煙のようなものが出てくる。
それを見た人々はどのように解釈したのか、笑い出した。狂喜に満ちている。
そんなに、落ちこぼれが苦しむ様を見たいのか。
オレは悔しくなって下唇を噛んだ。

「なぁ、ロー・ルッタン。君に力を全て捧げるということは、僕は生きるための力さえも捧げるということ。そしたら僕は消える」

突然の言葉に、言葉を無くす。
消える?消えるだって?オレに力を全て捧げて消える?
オレのために?

右手から出てくる黒い煙は、オレの体を徐々に覆っていった。

「この黒いのは僕の気持ちを反映した力だよ。……ねぇ、お願い。僕__ワタシの力で、ああいうやつらに報復してくれ」

___復讐、してくれないかな……?

震える声でアルカロイドが言った。
そして、黒い煙は完全にオレの体を覆いつくし、周りが見えなくなる。
見えるとすれば黒だけ。

「お、おい、アルカロイド?」

呼び掛けると、震える声が返ってきた。

「僕という毒がいたことを忘れないで」

目の前が晴れる。
そこにはアルカロイドは居なく、さっきまでうるさかった人々は静まりかえって、オレを見つめている。

背中にある違和感。
背中に力を入れると、何かが動く音がする。そういう感覚もする。
背中を見れば、そこにはアルカロイドと同じ歪な翼があった。


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